2021年12月23日木曜日

スタバ株は1月に買え!―10万円で始めるイベント投資入門

 

2008年ぐらいから本格的に専業投資家になった方の著作。俗にいう、当時でのアルファブロガーだった感じ。楽天証券でもコラム掲載してますトウシル(楽天証券)

感想としては、全く投資スタイルに共感できなかったが、初心者にはウケるコンテンツっぽい。個人的にファンダメンタルを毛嫌いする投資スタイルって後出しジャンケンみたいで、平均移動線の上昇/下降トレンドだけで資産ポートフォリオをYoY+80%増できるのかよww、と思ってしまっています。はい。リスクかなり取らないと、どう考えても80万円から1億円にまで膨張しないだろという。書籍の中盤で初心者ウケしそうな株主優待券がいい銘柄を推奨しているけど、そんな投資手法ではどう考えても無理ゲーな気がしている。前半に書いてあった内容のうち、いくつかの株式が当たっただけなのでは!?と懐疑心持って読了しました。東証二部銘柄が東証一部銘柄に変わり、そのタイミングで機関投資家が買う組み立て銘柄に入った株が伸びることに着目するのはありなのかも。そもそも日本株の伸長率が低いから、対象市場にするべき論がありますが。


  • 3~30銘柄を対象株式として観察する
  • 個人投資家比率が高い指標:信用評価損益率=買建玉評価損益合計/買建信用建玉残高合計;-10%だと相場×


ググったら過去にさりげなく影響力の武器と行動ファイナンス理論をオススメしているBlogを発見しました。やっぱり書籍書ける人って勉強熱心なのは間違いないですね。知識やノウハウを提供しているわけなのでw


イベント投資"を行う上で、ぜひとも知っておいた方が良いものが「人間心理」
「行動ファイナンス」といわれる分野です。ある出来事が発生した場合、人間な
ぜそんな行動をしてしまうのか。

これを知っていれば、なぜ人間は繰り返し同じような行動を起こすのか(=同じ
出来事が起こると、いつも同じような株価チャートを描く)について、納得でき
るようになります。

おススメ図書としては「影響力の武器」と「ランダムウォーク&行動ファイナンス
理論の全て」です。

「影響力の武器」は、投資本ではなく、一般的な心理に関する本です。詐欺師
養成図書と言っていいくらい、恐ろしい本です。世の中の詐欺は人間心理をこう
やって突いて行われるのか、というのが良く分かります。衝動買いがなぜ起こる
のかも理解できます。

「ランダムウォーク&行動ファイナンス理論の全て」は投資に関する話題で、
中級者向けですが、あらゆる心理的状況がよくまとまっています。なぜ勉強すれ
ばするほど損をするのか... 分かりやすいです。

自分がなぜ、あのときに、あの値段で買ってしまったのかが理解できない...
という心当たりのある方は、ぜひ2冊をどうぞ。

2021年12月22日水曜日

バカでも稼げる 「米国株」高配当投資


最近流行り(!?)の有名Bloggerから出版なさったパターン。投資歴がそれなりにある方で、マクロ動向への理解はかなり高いのでは、と本家のアフィリまみれのBlogを見て思ったのですが、FANG株の予想は全然的外れでした。GAFA株が結局のところ2020~2021年も牽引した事実から、グロース株ではなくバリュー株になっている、あるいは、コロナ禍からの経済回復期を牽引するハイテクセクター代表のグロース株になっている、のどちらかの解釈が可能です。バフェットが保有している理由でWFCを押していましたが、確か近年バフェットのいるバークシャーハサウェイは不正問題で売却したはず。出版年月が2018年4月なので、仕方ないといえば仕方ないですが。今年のように、グロースが伸びている中バリューだけに集中して売買できる人は少数であり、そのメソッドだと結局のところ入金力勝負という身も蓋もない話になってしまう気が。。。資産運用にまつわるパラドックスです。


  • 分散投資銘柄は8~16銘柄が妥当。理由は管理できる数、かつ、リスク許容度の範囲に収まるから。
  • 低PERや高PERは、背景次第での解釈になる。一時的な高PERは割高ではない。代表例が2014~16年のエネルギー株。
  • 利回り=DPS/株価。配当利回りだけを重視する投資方法だと、株価の下落によって高利回り株を購買する事になる。実際は、業績見通しが悪くて下落している場合、いずれ減配に向かう。
  • 営業キャッシュフロー/売上高>15%を確認すること。キャッシュフローマージンが黒字であることは必須。
  • 景気循環別でセクターを分けてポートフォリオを組むこと。


ネット産業はこれからもまだ伸びしろがあります。それゆえ、AMZNなどの高PER株を大切に長期保有しようとする痛い投資家は少なくありません。しかし、ネット産業が成長することと、もっと言えばAMZNの業績が伸びることと、AMZNの株価が伸びることはイコールではありません。ネット産業が成長し、AMZNの業績も伸びているなかで、株価は全然上がらないということは普通のことなんです。

これを「成長の罠にハマる」と言ったりします。「成長の罠」とは、将来有望で時代の最先端を走る企業に投資することで投資家は過大な値段を支払わされ、結果的に長期的なリターンは低くなるというものです。ちなみに、こうした将来有望な企業に投資することで儲かるのは一般の投資家ではなく、創業者であり、開発資金を出したベンチャーキャピタルであり、株式公開を仕切った投資銀行などです。

投資経験が未熟な自称長期投資家ほど、将来有望な銘柄に投資し「あとは気絶するわ」とかぬるいことを言ったりするのですが、目が覚めた時には「あれ?」て思うくらい株価は同じ数字を示したりします笑

グロース株に長期投資して成功した投資家はほとんどいません。グロース株で成功している投資家とは利確、損切を徹底していて戦場で気絶するなんて愚かなことはしないんです。

「FANG」は例外なくグロース株です。グロース株をバリュー株のように長期保有することを長期投資とは言いません。利確も損切りもできない決断力のない愚かな凍死家です。長期投資とはバリュー株に投資することであり、バリュー株とは初心者が投資するような、誰もが知っているつまらない株のことです。

それゆえほとんどの投資家は、ある程度知識と経験を積むと、バリュー株から離れていきます。「俺も昔はプロクター&ギャンブルやジョンソンエンドジョンソンに投資してた。だけど結果が出ないから今はギリアドサイエンシズとかアマゾンに長期投資してる」とか言う痛いことを平気で言っちゃうんです。

彼らも最初は「ゆっくりお金持ちになろう」と考えていたのに、結局「早くお金持ちになりたい!」という誘惑に負けてしまったのです。もちろんグロース株の短・中期売買はバリュー株に長期投資するよりも早くお金持ちになれるのも事実です。しかし、ほとんどの投資家は途中で淘汰されるということもぼくたちは知っています。

ぼくらは彼らを笑い者にするのではなく「明日は我が身」と気を引き締めて、今日もつまらない株に投資していかなければなりません。

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2021年12月11日土曜日

不動産投資の嘘 木村昌慶


書籍の内容をまとめると

  • ホームズのオーナー向けサイト「ホームズ 不動産投資見える!賃貸経営」
  • 不動産投資を投資として捉える場合は、SnapshotとVideoの両方の観点から投資判断をする必要がある
    • FCRとK%
    • 金利が低い/高い→出口時の残債
  • ここでFCRを詳しく説明すると
    • GPI(gross potential income/満室賃料)-空室/未回収損=EGI(実行総収入)
    • =EGI(effective gross income/実行総収入)-Opex(運営費/管理会社への管理料、共有部分の電気代や水道代、各種保守点検費用、固定資産税、都市計画税)=NOI(営業純利益)
    • =NOI(営業純利益)-ADS(annual debt service/年間ローン返済額)=BTCF(before tax cash flow)
    • =BTCF-Tax(税金)=AFCT(after tax cash flow)
    • TAXの計算
      • NOI-金利-減価償却=課税所得*実効税率=税金
  • イールドギャップ=FCR(真実の利回り)とK%(ローン定数)の差を指す
    • 利回り-金利=イールドギャップ(間違い)
    • FCR-k%=イールドギャップ
    • K%=支払い金額(ローンの年数と金利)/借入額
  • 質権設定:火災保険などで保険契約をした物件が被害に遭った時の保険金を請求する権利(保険金請求権)を被保険者が他人(質権者)に質入れすることをいう。この場合、質権者は金融機関になる
  • テナントリテンションコストの方が、新規顧客を付けるよりも安く済む
  • メンテナンスの種類
    • 予防メンテ:業者の繁忙期を外せば、設置費や修理費が安く済む
    • 矯正メンテ:直さないと事故になるメンテナンス
    • 繰延メンテ:出口を1~2年後と考えた時に、そのメンテナンスをしたことによって高く売れるのか、直したところで、売値に関係ないところであればやらない選択肢もある
  • 管理会社:実際に両方を満たす会社を見つけるのは難しい
    • 管理料が安い
    • 客づけができる
  • 売却の際の融資づけの注意点
    • 次の購入者がローンを組めるかどうかが鍵
      • 耐用年数よりもローンを延ばしている
      • 耐用年数-築年数が十分あるか
    • 抵当権以内でないと、次の購入者のローン期間が取れにくくなり、購買者がいなくなる
    • 個人名義での売却だと譲渡税がかかる
      • 不動産譲渡所得税:個人が不動産を売却した時の利益にかかる税金で、所有期間によって税率が変わる。法人には、不動産譲渡所得税はない。
        • 短期譲渡:売却した年の1/1現在で「所有期間5年以下」の場合、所得税と住民税合わせて39%の短期譲渡税がかかる
        • 長期譲渡:売却した年の1/1現在で「所有期間5年超」の場合、所得税と住民税合わせて20%の長期譲渡税がかかる
  • 法人のメリット
    • 法人で最初から購買することは可能
    • 役員報酬で家族へ所得分散できることがメリットとして主張される
      • 役員報酬に対して給与所得者控除が適用され、法人への管理費は損金扱いとなる
    • 役員退職金や生命保険を使った節税対策が可能になる
    • 相続税発生時に土地評価の減額が可能(サブリースと物件所有時)
    • 赤字決算になっても、欠損金の繰越が可能(個人で3年、法人で9年)
    • 不動産投資における法人には、管理法人と所有法人の二種類がある
      • 不動産管理会社:個人もしくは他の法人が所有する賃貸不動産の管理運営を行う法人
      • 不動産所有会社:プライベートカンパニー。保有法人は資産そのものを法人で所有する個人の資産管理会社
  • 減価償却と簿価
    • 法廷耐用年数を全てけいかしたもの
      • 法廷耐用年数*0.2=残存耐用年数
    • 法廷耐用年数を一部経過したもの
      • 法廷耐用年数-経過年数+(経過年数*0.2)=残存耐用年数
    • 木造22年/RC47年/電気設備・給排水衛生設備など15年/エアコンなどの一般的な住宅設備6年

2021年10月23日土曜日

History in Crisis? Recent Directions in Historiography written byNorman Wilson

 

読んだ。160ページぐらいあった。マルクス主義歴史論とか哲学者カールポパーの反証主義が出たりと、学術的に「歴史」とは何なのかを解説した本。要は、歴史学以外の分野にいて様々な手法や見解が進歩したからそれを取り入れることこそが、歴史だよーっていう本です。間違った要約だったらぜひ指摘してください。



History cures us of provincialism by showing that change is the only constant.
History is to time what anthropology is to space in that differences occur over time.
The otherness of the past is a product of these changes over time.
The historical perspective of this otherness cures us of our provincialism by revealing the uncanniness of our own world.
This memory of the past is necessary because our collective memory defines us.
Therefore we need ambitious and passionate historical who are willing to create new questions and answers. The pursuit of new questions and new histories should prevent history as a field of study from becoming stagnant.

Postmodernism, postcolonialism and the rise in literary criticism of self-defined New historicists all contribute to a new type of history and a new role for history. Postmodernism reveals the fallacies of the literary from that historic as have embraced without questioning for thoousands of years. Moreover, the rejection of the very possibility of universal standards means that standards are historically contingent. Kuhn’s theory of paradigms in science is superseded by the notion that all knowledge is merely linguistic convention. History offers the opportunity for exploring the factors that created the expressions, the range of recipients’ receptions, and the general contingency of knowledge. Knowledge exists within a historical context, so history subsumed all other disciplines: the Archimedean point for evaluating the respective merits of any form of discourse becomes a historical problem. Recent developments in theory do not singnal an end to the pursuit of truths; they instead require analysis of the historical contingency of those truths.

2021年10月10日日曜日

買い物ゼロ秒時代の未来地図 望月智之


株式会社いつもの社長の著作。ECの出店周りの支援業務がメイン。この領域では、知り合いが起業しているしキャッシュを稼ぎやすい事業なんだろう。2021年10月10日で見ると、株価は2296円、上場ゴールみたいな会社になってるなぁ。


内容は小売業界と関わりのある私からすると既知の内容。知らなかった情報は、3万人フォローワーをファンビジネスしたいなら目指すべきらしい。ライブコマース盛り上がっているもんねぇ。ただ、この領域って昔でいう、口コミ>紙チラシ>Blogger>Twitter>Instagram>ライブコマースへの遷移にすぎないからなぁ。競争優位の文脈で語られる、差別化戦略がそのままマーケティング戦略になるパターン。

What>Why, Howがこれまでの時代だったが、Why, How>Whatの時代になると言及している。これには半分同意だけど、半分は多分そんなことにならない。会社としてDTC事業にも関わってきているからこそのポジショントークだと推察。


2021年10月9日土曜日

Why Software Is Eating The Worldを読んで改めて近未来を考えてみた

マーク・アンドリーセンは伝説のVCです。公式なプロフィールは以下になりますが、ビジネスマンなら知っているでしょう。(私は最近知りましたw)

Marc Andreessen is a cofounder and general partner at the venture capital firm Andreessen Horowitz. He is an innovator and creator, one of the few to pioneer a software category used by more than a billion people and one of the few to establish multiple billion-dollar companies.

Marc co-created the highly influential Mosaic internet browser and co-founded Netscape, which later sold to AOL for $4.2 billion. He also co-founded Loudcloud, which as Opsware, sold to Hewlett-Packard for $1.6 billion. He later served on the board of Hewlett-Packard from 2008 to 2018.

Why Software Is Eating The World 


今月のウォールストリートジャーナル紙に、ブラウザNetscape開発したことでも有名なソフトウェアエンジニアで投資家でもあるマークアンドリーセン氏(Marc Andreessen)の寄稿文掲載されました。
”Why Software Is Eating The World“(ソフトウェア世界飲み込む理由と題された手記には、古いビジネスモデルに基づいた産業ソフトウェアの登場によってビジネス転換余儀なくされ、その「ソフトウェア化」の波に乗れない企業は廃業に追い込まれている構図鮮明に描いています。これは以前このブログの「バリュー・チェーンで見えてくる各社の市場参入戦略」でも紹介した、企業の経済活動によって生み出される価値(バリュー)とその連鎖(バリューチェーン)理解することで、各企業の今後の戦略見えていくることと深く関わっています。ソフトウェア産業がこれまで無縁であったような産業まで飲み込んでいるという経済構造の変革期にあって、「あちら側」(古い経済構造)から「こちら側」(新しい経済構造)に企業レベルでも個人レベルでも軸足を移すことの重要性など、アンドリーセン氏の寄稿文はとても深い洞察に満ちています。 

5年後にどうなったかの考察になります。

Software is still eating the world


ようやくマーク・アンドリーセンが2011年にWSJに寄稿された伝説のエッセイを読みました。感想としては、「大学生の時に知りたかったw」です。2016年から社会に出たわけですが、ここまで日本社会までもがソフトウェアに飲み込まれているとは思いもよりませんでした。経営学の人的資本論では、個人のキャリアはピボット可能として語られますが、現実的にスキルセットに互換性があることはほぼなくて、多くは転職に苦しむ世界になるんでしょう。CourseraのIPOを含めたEd tech業界や新薬開発でのHealth careが盛り上がりを見せているタイミングまでもを、ドンピシャで当てるマーク。天才すぎますw


国内の産業へのValuationを見て見ましょう。米国同様な現象は起きつつあります。旧式のコンサルティング会社であるDIの株価が全然伸びないのに対して、ベイカレントやAccenture(米国)の株価は爆上がりです。国内事業をほぼ捨ててIndeedに集中しているリクルートの株価は上昇中です。VC業界も高学歴エリートが行きたい人気転職先になっています。事業承継領域のM&Aもクラウドなり仲介サイトに高いValuationがついています。日々の生活レベルで考えてみましょう。2018年だとまだ電子決済のPaypayもそこまで店側で浸透おらず、Uber eatsもメニューが貧弱でした。しかし、2021年にもなれば電子決済が当たり前で東南アジアで展開しているGrabやGojeckとほぼ同じような世界線になってきました。例えば、マーケティング領域ではMarketing Automationサービスが浸透しつつあり、Data integrationがレガシー領域で進歩しています。同様に、Digital Ad領域では広告代理店の仕事を奪うことを念頭に置いているGoogle marketing platform、Accentureが広告代理店領域にグローバルでは踏み込んでいたり、案の定広告代理店のProfit zoneは消えつつあります。同様なことが、事業会社のマーケティング部でも起きつつあります。つまり、本当に一部の価値貢献業務以外の領域で人が不要になっていくわけです。なお、典型的なPR業務はこの5年で消えました。厳密には椅子の数が減ってアウトソースされたのが正しい説明になりますが。


もはや目先の仕事では関係なくても、たぶんこの10年のうちに、労働市場の大改革が起きるのは確実なんでしょう(労働法が変わるかはわからないけれども)。仕事論を飲み会で語っていた大先輩の仕事が消えて、リストラ対象になるかもしれません。年下に細かいオペレーション作業を振っていたら、自分だけがDigital worldから取り残されてしまうかもしれません。


答え合わせは10年後。


こちらで原文が読めます。

https://a16z.com/2011/08/20/why-software-is-eating-the-world/


2021年9月25日土曜日

Origins of the modern Japanese state: Selected writings of E. H. Norman (The Pantheon Asia library : new approaches to the new Asia)

 

明治時代の近代化から戦後にかけての日本の記録が、米国本土でどのように扱われていたか、が書かれている。米国が戦後の日本がマルクス主義に傾聴しないように、"Pysicological program"があったりと、結構衝撃的な内容もある。政治が財界と軍事のバランスを統制できなくなってから、軍国主義へ突入した分析も江戸時代の身分制度の解放(士農工商)まで結びつけて分析されていたりする。英単語は難易度高かったw

The art of history is essentially a selection of the relevant facts and an assessment of their interrelationship.




2021年9月20日月曜日

Global Inequality Branko Milanovic



It is now clear that capitalism and globalization wouldn't ultimately benefit everyone. He warns that growing inequality poses a real threat to democracy. While he presents the scientific data on inequality at great length, he gives only brief consideration to solutions on how the dynamics that drive inequality might be reserved. His case for open borders, however, leaves a lot to think about. Milancovics authoritative book makes for a technical  but compelling read for those who want to understand the forces driving inequality.

Globalization has changed the world dramatically with the promise of growing prosperity for all. But the reality is different: Globalization also has its losers. 

いやー2021年ですけど、これ今後10年のトレンドですね。自民党総裁選挙に出馬している岸田さんも格差是正のポジションとっているし、多分アメリカに追随して日本もアンチグローバリゼーションの流れになり、国内での再分配が加速するのでは。マクロな視点で見ると、2000年から20年間ぐらい「資本主義とグローバリゼーションはみんなにとっていいよね!」と盲信していた先進諸国の中間階層が経済的恩恵の犠牲者(=敗者)になったということです。米国だけかと思っていたら、日本でもサラリーマンの厚生年金負担割合が上がったりと、さりげなく、しかし、確実に中間階層が割に合わない時代に突入です。

近年になって、トマ・ピケティがr>gという事実を明らかにしたりと、要は、中間階層が高等教育にお金を払って(それこそ大学院とか英語学習とかプログラミング学習とか)、賃金上昇を期待して頑張ってきたけれども、実態はほぼ多くの人が報われない結果が突きつけられたということです。労働市場って残酷ですよね.....

米国株式市場を見ても、2000~2010年まではグローバルカンパニーの時代、それこそ、P&GとかGEとかエクソンモービルとか製造業拡大の時代でした。2010年から流れが完全に変わって、GAFAMといったソフトウェアの時代になってしまった。それに応じて、日本も昔は外資系企業の日本支店に入れば、その賃金メリットにありつけていたのが、今はほぼ完全にありつけなくなってしまった(それもそのはずで、会社レベルでグローバリゼーションが進めば現地人を現地の賃金水準と比較して少し高いオファーを出すことで雇用が可能になるから)。

民主主義による政治に支持された価値観が、必ずしも幸福に繋がらないあたりが、まさに不合理な人間の集合体って感じですよね。まさに解答がないテーマでした。


2021年8月14日土曜日

時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」 ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著)

 

Google Venturesで勤務していた著者二人による、時間効率管理術の書籍。読もうと思った背景がいくつかある。

  • 会議中にChatする文化があるチームにいた時、正直言ってChatを引き起こす階層以下の意思決定の質が著しく低かった。
  • 仕事に慣れてきたおかげでマルチタスクをこなせる一方で、集中力が落ちてきていると日々実感していた。
  • 複数のニュースソースを日々チェックするようになってから、情報の海におぼれている感覚があった。
そういう問題意識から読んだ時間術のノウハウ本。すでに80%ぐらいはすでに実行できているが、20%ぐらいがまだ日々組み込める領域な感じがした。

  • 「デフォルト」で時間配分の9割が決まるという思想からスタートしている。まさにテック企業的な発想。気合や根性論ではなく、システムでアプローチするスタイル。個人的にはこういう手法がすごくしっくりくる。
  • ハイライトは、緊急性・満足感・喜びの三次元で判別していく。特に3つ目の喜びに結びつけられたほうがストレスを感じることがないため、効率がいいんだろうと推察する。
  • 一度作業を中断すると、再度集中して作業ができるようになるには平均して23分15秒かかると言われている。(by グロリア・マーク教授/UC Irvine professor)
  • ワーキングメモリを起動させるには時間がかかる。隙間時間でできることは、所詮たかがしれている些細なことでしかない。
  • アプリを消せ。特にTwitter/Instagram/Snapchat/Facebook/Tiktok、どれもなくたって人生困らない。
  • アナログタイマーを用いてタイムプレッシャーをかけるといい。
  • 毎日運動すること。20分でいいから、本当に毎日。無理なら二足歩行をしろ。
  • 加工食品と糖分とは距離をおくべく、野菜・ナッツ・果物中心の菜食主義でいこう。
  • 森林浴をしなさい。自然と触れることの効果は計り知れない。
  • 瞑想しろ。呼吸に意識を向けるだけでもいい。
  • ヘッドホンと距離を置く。音楽を聴いてリラックスにはならない。脳に付加をかけないように。



アラサー間際だからこそ、貴重な時間配分を間違えないようにしていきたい。

2021年7月31日土曜日

Why 1 in 2 extensions fail and how to beat the odds Taylor David

 Benefit of brand architecture 

  • Identity coherence (company)
  • Communication strategy (company)
  • Boost ROI (company)
  • Add consumer navigation (consumer)
  • Master brand concept (consumer)

  1. Brand architecture helps structure and organize the product range to maximize efficiency for the company and ease consumer choice
  2. Product platforms should group products together, help stimulate innovation and show how each one helps build the master brand vision
  3. Where possible, strategies and executional consistency with the master brand should be maintained, with changes made only when the degree of stretch is substantial

ブランド拡張する時にやりがちなミス
  1. Strength the core:neglecting the core brand/product range>Protect and grow the core
  2. Vision:forgetting what made you famous in the first place>Clear vision to ensure extensions have added value
  3. Ideas:extensions are company not market driven>Use market and consumer insight as a catalyst for ideas
  4. Focus:scatter-gun stretching leads to dwarf extensions>fewer, bigger, ideas that build brand and business
  5. Delivery:execution fails to deliver against promises>excellence in execution as a key source of differentiation
  6. Brand architecture:confusing range for both consumer and company>structure that aids consumer choice and company efficiency

2021年7月25日日曜日

働き方2.0 vs. 4.0 橘玲

 

令和の働き方の指南書です。すでに働き方3.0のコミュニティってあるから、あと10年ぐらいするとフリーエージェント社会が到来する感じ。2015年とかでは考えられなかったけど、既に今の会社も、「無駄な仕事で残業するぐらいなら副業します」みたいな価値観の新入社員が一定数いるしなぁ。



  • 働き方1.0 年功序列、終身雇用の日本的雇用慣行
  • 働き方2.0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード
  • 働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリストが融合集散するシリコンバレー型
  • 働き方4.0 フリーエージェント
  • 働き方5.0 機械が全ての仕事を行うユートピア/ディストピア

  • アベノミクスは働き方1.0を2.0にしようとした。その結果、非正規雇用のシワ寄せが正社員の長時間労働になった
  • ムーアの法則(集積回路)、ギルダーの法則(通信網)は2020年になっても当てはまっており、この流れは誰も止められない
  • 日本はそもそも「家」単位構成社会である。年金制度もそのまま家単位で負担する仕組みであり、個人単位になっていない。他国では個人単位での年金制度が当たり前である。
  • 未婚率は毎年上昇傾向にあり、男性だと1990年に5%が2000年に12.6%、2015年には23.4%が未婚という世界。つまり、40人クラスだと10人が結婚できない世界観
  • 世銀の主任エコノミストであるブランコ・ミラノヴィッチによる「エレファントカーブ」で明らかにされたのは、先進国の中産階級がグローバリゼーションの割を食った階層という事実である。所得も資産もべき乗分布するのであり、正規分布ではない。
  • 日本は身分社会であるため、労働集約型の製造業、小売業じゃないとグローバルで競争優位を保てない。知識集約型産業の金融やITはボロ負け状態。外国人労働者受け入れ問題は、市民権プレミアムをめぐる移動問題と同値である。(実際外国人受け入れ労働者問題が国際社会でついに指摘されましたね。。。)
  • 日本は20世帯に1世帯が資産額1億円世帯であり、2人以上の世帯のうち上位10%超の平均年収が1441万円(2017年)である。意外にも格差は少なく、富裕層が依然として多い国である。
  • ドナルド・コースの「コースの定理」によれば、取引費用がゼロになると会社は不要になる。しかし、現実はグローバルカンパニーへの集中が起きている。これは、経済がシュンペーター型になり、テクノロジー競争を勝ち抜いた企業が独占するゲームに変化しているからだ。不完備契約理論と残余コントロール権を用いて、取引費用がゼロになっても中間管理職なり、会社が存在する理由をサンフォード・グロスマンとオソバー・ハートは説明している。
  • 知能によって差別をしてはいけないリベラルな社会では、「やる気」がない人間は糾弾される。やってもできない人間は生涯学習の社会契約に違反したとみなされ、自己責任で社会の最底辺に突き落とされる未来がやってくるかもしれないのだ。リカレント教育が叫ばれる背後には、理由があるのだ。
  • 本郷バレーと呼ばれる、東京大学本郷キャンパスでExitする起業家グループがいる。彼らからすると、わざわざシリコンバレーを目指すのはコスパが悪いのだ。日本語という参入障壁に守られて、経歴のおかげで資金調達が容易にでき、それなりの金額での売却先があるなら、とっとと富を稼ぎきってしまおうという発想である。
  • Giveしても減らないものは、知識とネットワークなのである。

2021年7月22日木曜日

ZMOT by Jim Lecinski

 ZMOT

超有名な原典を読んだ。約10年前に出版されたけれども、見事に予想した世界線になっている。産業構造が崩れると、それに付随する組織能力の変化が求められ、結果的に、個人レベルにおいては、スキル受給バランスに歪みが生じた。まさにそんな2015~2021年だったと振り返る。

Mental model of marketing historically

  • Stimulus
  • Shelf=FMOT
  • Experience=SMOT

The data revealed that the average shopper used 10.4 sources of information to make a decision in 2011.

People like to talk most about the products they love the most.

2021年7月17日土曜日

Japan at War: An Oral History

 

Japan at Warということで、英語ながらも日本の視点に立って描かれた戦争回顧録になります。米国の大学教授が数多の日本人のインタビューを時系列(cronological)にまとめた書籍です。NY times book of the yearにも選出されました。英語のレベルはそこまで難しくないので、サクサク読めます。

2021年6月20日日曜日

公式テキスト財務モデリング 日本CFO協会

 

Amazonでも探してなかったんですけど、日本CFO協会が出している財務モデリングの書籍は名著です。(特に、仕事で自分で財務モデリングを作った経験が浅い方は◎)

世間のExcel本は、「なんでそのショートカットを使用するのか」まで書かれていないケースが多いです。それは、Excelを使用する目的がそれぞれなので、踏み込んで解説できないからでしょう。この書籍の美学はそういった実務レベルで熟達するために、何をどこまで考えて手を動かすべきかを解説しているところです。

  • モデルの基本方針を以下の観点から評価
    • 操作性
    • 再現性
    • 読解性
  • プロセスの基本方針を以下の観点から評価
    • 作成スピード
    • 作成効率
    • マネジメント

財務モデリングのPL表は、財務部に任せずに自分できっちり作れるようになるべきだと思っている派です。個人の資産運用計画表にせよ、不動産投資の収益計算書にせよ、事業内容の収益予測表にせよ、使用用途がかなり広いです。




2021年6月6日日曜日

プロフィット・ゾーン経営戦略 エイドリアン・J・スライ ウォツキー/デイビッド・J・モリソン/(訳)恩蔵直人


筆者は、ハーバード大MBAとロースクールを卒業後そのままマーサー・コンサルティングに買収されるCDIを創立した、コンサルタント。「量的成長(市場シェア)の経営ではなく、価値成長の経営が大事」、そして、「そうした価値成長を果たす企業に変革するための経営戦略は何か」を解説する書籍です。この書籍は当時のファイナンス部門の方が絶賛していたのですが、まさにこれを参考にしながらPLの改善を一歩一歩を行なっていたんだと懐かしく思いました。会社でよくあるのが、事業戦略という名の下、業績目標と連動していない戦略が立てられることが挙げられます。実態はそんなもんです。故に、Forecastはアートか科学かの議論が起きがち。だいたい業績が悪い事業部は負のスパイラルに入っているので、How to winよりもWhere to playを再定義することが大事だが、そこにリーダーの焦点が向かわないと再定義の議論にならない。この書籍は超良書。

(絶版に近いのはビジネス書あるあるで、良書を出すとそれを理解できる読者が一定数しかいないため売上が取れずに結果的に消えていくんですよね)




ビジネス・デザインの再定義
  1. 顧客の選択:企業による顧客集合の選択
  2. 価値の獲得:顧客に向けた価値によって、企業が如何にして報酬を得るか
  3. 戦略的コントロール:利益の流れを守る力
  4. 事業領域:企業の活動および提供する製品やサービス

長きに渡って高収益を上げている企業は、顧客からはわかりにくいかもしれないが、企業変革を行っている。

利益中心のビジネス・デザイン
  • 顧客開発・顧客ソリューション利益(=購入と利用プロセスのうち、顧客にとって厄介で、費用がかかり、時間を消費する問題への支援方法を発見することが方法論になっていく):GE、CBI,サンドズ
  • 製品ピラミッド利益:自動車業界(ホンダ、トヨタ、ニッサン、フォード、GM)、バービー人形を発売しているマテル
  • マルチ・コンポーネント利益:P&G、ネスレ、ゼネラルフーズ
  • スイッチボード利益:
  • 時間利益:インテル
  • ブロックバスター利益:製薬会社
  • 利益増殖モデル:ディズニー、サンリオ
  • 起業家利益:
  • 専門家利益:エレクトロニック・データ・システム、ABB
  • インストール・ベース利益:マイクロソフト
  • デファクト・スタンダード利益:オラクル、愛黒ソフト
  • ブランド利益
  • 専門品利益:メルク、ヘラクレス、3M
  • ローカル・リーダーシップ利益:小売りチェーン、食品スーパー、スター・バックス
  • 取引規模経済:投資銀行、不動産、長距離空輸
  • 価値連鎖ポジション利益:PC業界だとマイクロプロセッサとソフトウェア、化学業界だと製造、雑貨品業界だと流通、自動車業界だと金融サービスや各種保証
  • 景気循環利益:産業設備が必要な業界に多い
  • 販売後利益
  • 新製品利益:自動車、コピー機、産業設備、楽器
  • 相対的市場シェア利益
  • 経験曲線利益
  • 低コスト・ビジネス・デザイン利益:サウスウェスト航空、デル

Playing-to-win how strategy really worksにも書かれているんですけど、「営業利益をどうするか?」がPLをマネージするビジネスマンの基本姿勢なんですよね。




2021年6月5日土曜日

Liar's Poker: From the author of the Big Short Michael Lewis (著)


Michael Lewis (著) による、ライアーズ・ポーカー。1980年代のソロモン・ブラザースのmortage trading floorの様子が刻々と描かれています。NYのトレーニングで日本人のことも描写されていました。金融の知識がなくても読めますが、単語の使い方が慣れないものが多かった印象。

This very nearly was the final straw. (否定語と合わせて、ほとんど無価値な存在)





2021年5月29日土曜日

SEOについて

 

Search engine organic=SEO


実は知っているようで全然知らない領域。エンジニアでない文系卒の人間には、魔界です。


What is quality score?

Quality score is an estimate of the quality of ads, keywords and landing pages. It scores 1 to 10.

Quality score is determined by Expected CTR(=the likelihood that your ad will be clicked), Ad relevance(=how closely your ad matches the intent behind a user's search) and Landing page experience(=how relevant, transparent and easy-to-navigate your page is for users).


How to win in search

  1. Know where you stand today with your "share of search" today
  2. Be accountable to your consumer: Are you aligned to your search and content strategy?
  3. Winning in Organic search is comparable to gaining earned media
  4. Transforming your brand website to be a content leader is critical to winning in search
  5. Avoid going dark
  6. Notify your regions search hub/agency when you are making any website changes or updates
  7. If your region has a search hub, fully engage in your quarterly business reviews


日本語の記事だと、これになるのかなぁ。プログラミング知識が必須の時代になってきている。

https://www.sem-r.com


2021年5月20日木曜日

ゲームの変革者 A.G.ラフリー/ラム・チャン

 

2010年代以降は完全にIT業界の時代に変遷してしまったが、製造業が華の時代だった2000年代にイノベーションを中心に企業変革を行った伝説の経営者の自書伝になる。勝手な見解だけれども、米国企業を中心とした株式市場から優良企業と見なされる会社は、システムが圧倒的に優れている。もちろん社長は従業員に対しては「我が社は人財が大事だ」と他の会社と同じようにメッセージを発するが、この組織形態の実態はO-TSR(事業総株主利益(O-TSR))と呼ばれる指標を基に組織が構成され、それに相応しい人材を各役職に当てはめるのが正しい認識だと思っている。こうした組織編制をイノベーションを中心に置いて、会社の業績をどう改善したかを実例と共に解説したのが本書になっている。なお、A.G.ラフリーの名著はPlaying to Win: How Strategy Really worksなので、こちらも併せてどうぞ。

A.G.ラフリーがP&Gで行った実績は以下である。

  • すべての中心に消費者を置く
  • 外に開かれたオープンな開発モデルにする(Connect & Development)
  • M&Aに依存せずに持続可能な内部成長を遂げることを優先する
  • 持続可能な内部成長を遂げるためにイノベーション中心の組織をつくる
  • イノベーションを新たな視線で考える
彼に言わせると、イノベーションは統合された経営プロセスである

  1. 目的と価値観の動機付け
  2. 背伸びすれば手の届く目標
  3. 選択肢のある戦略
  4. 他社にはない強み
  5. 実現する組織
  6. 一貫性のある信頼できるシステム
  7. 勇気にあふれる人とつながりのある文化
  8. 人を奮い立たせるリーダーシップ

消費者がボス:成功するイノベーションの基盤
  • 潜在的ニーズと顕在的ニーズ
  • 偉大なイノベーションは未対応のニーズやウォンツを理解することから生まれる
    •  消費者が今手に入れているもの(競争相手の商品、サービス・あるいは自社の商品、サービス)と彼らが望むものとのあいだにはどれくらいのGapがあるのか?
    • 低所得者市場は、価格そのものより、値ごろ感がはるかに大事である
    • 未対応の消費者ニーズに応えるべき。なぜなら、本当に欲しいものは消費者はひょうげんできないから。
  • whoのセグメンテーションが正確なイノベーションをもらたす
    • 誰のセグメンテーションはイノベーションに不可欠。しかし、それに基づく何らかの行動が取れて初めて価値を持つ。
      1. 市場のダイナミックス
      2. 消費者トレンド
      3. 会社として付加価値を加えられる分野
    • 広義の誰の中で、あなたのイノベーションをもっとも評価しれくれ、主要ターゲットとなるサブグループは誰かを特定し、サブグループ管で優先順位をつけられるか?
    • 一度しか購入したことのないユーザー、あるいは、ときどき購入するユーザーを、もっと頻繁に購入し利用する愛用者に変えることができるか?
      • なぜある消費者はあなたの商品やサービスを一度使ったきり、二度と買わないのか?
      • もっと消費者志向の事業にするには何が必要か?
  • どこで戦い、どのように勝つか?:イノベーション達成に目的と戦略が果たす役割
    • 当時のP&Gが実施したこと
      • P&Gの主力事業を伸ばすことに集中する
      • より速い成長、より高い利益、より資産効率のよいポートフォリオに変える
      • 急成長を遂げる新興市場で低所得の消費者を獲得する
        • 破壊的イノベーションと持続的イノベーション
        • まったく新しい消費者の形をつくりだし、既存市場を変えてしまう
        • 消費者の価値を高める(新たな機能、新たなバージョン、新たなサイズ)
        • これは通常の戦略ポートフォリオアプローチでは事業ポートフォリオのなかで魅力ある領域とその期待成長率を分析する。これでは、事業領域そのものを持続的イノベーションが変えられるという点を考慮していないから
    • もっと得意とするところを十分に活用する:強みをイノベーションで再活性化する
      • 持続可能な競合優位性をもたらす強みをだらだらと長いリストで書くのではなく、いくつか選び出す毅然とした態度をとれるか?
      • 現状の強みを組み合わせて、成長の新たな機会を作り出したり、競争相手を出し抜いたり、市場のゲームを変えることができるのか?

·       イノベーションを実現する

  • イノベーションのための組織をつくる:イノベーションを可能にする枠組みをつくる
  • 組織形態をデザインし、選択するときに考慮すべきポイント
    • イノベーションの機会は、主力事業にあるのか、主力事業の周辺にあるのか、あるいはまったく新規の事業なのか
    • リスク、チャンスのレベルと投資のレベル
    • イノベーションの機会が会社の強みをテコに利用する度合い、あるいは、新たな能力や強みをつくり、育てる必要があるのかどうか
    • イノベーション開発の時間軸
    • イノベーション開発チームに必要とされる経験と専門性の種類
    • イノベーションの開発段階はコンセプトや試作品をつくる段階、開発、検証、商品化のいずれの段階にあるのか
  • イノベーションを日常業務に取り込む:アイディアの創出から市場展開まで
  • イノベーションレビューの要素
    • イノベーションポートフォリオはどれくらいしっかりしているか
    • 主要な競争相手と比べてイノベーション計画はどれだけ強固か?
    • イノベーション・プログラムは損益、収益率にどの程度プラスとなるか?
    • 事業戦略・計画を定期的に減価国行っているか?イノベーション戦略は事業戦略と連動しているか?
    • ニーズは詳細に、明確に定義されているか?その結果、焦点を絞って内外からアイディアを探せるしくみができているか?ニーズに優先順位がつけられているか?
  • イノベーションのリスクを管理する
    • 顧客を知る
    • 試作品をつくる
    • 厳格な消費者テストをする
    • イノベーション・プロジェクトのポートフォリオを管理する
      • 事業計画や業績目標を達成するのに十分な数のプロジェクトがあるか?あるいは不足しているか?
      • ポートフォリオにあるプロジェクトは短期、長期、リスクの高低のバランスが取れているか
        • コントロールできない外部要因
        • ブレイックスルーがうまくいかない(言い換えれば、会社が勝利を収めるのは、新たな技術開発とコスト効率の良い生産工程が同時に実現した時だけ)
        • 競争相手がアイディアを盗む
      • 広く浅くの過ちを犯していないか。
        • 実験にあたって偏見をもたない
        • 致命的な問題を早期に発見する
        • 過去から学ぶ
        • 評価指標をつかってイノベーションを評価する
イノベーションマスタープランに関して述べると、これは製造過程を含めて年次営業目標を到達するのに必要十分なイノベーションを作ることが求められている。が、実態は結構ずさんで虚構のwhoセグメンテーション、アイディアの欠如、技術による優位性の欠如が、組織構造上起き得るケースが多々ある。こういったプロセスのPitfallを把握していないと、収益責任を問われた場合、イノベーションではなく、Execution側が悪いとされるケースがある。それゆえ、「評価指標が本当に正しいか」どうかは丁寧に把握しておかなければならない。

イノベーション文化

  • イノベーションは団体競技だ
    • Courageous
    • Connect
    • Corporative
    •  Curious
    • Open
    •  P&G asia文化方針は当時評価されていた
      • Inclusive:ゲームを変えるイノベーションを育てるのに必要な多様な考え方やアイデアの恩恵を享受する
      • Decisive:組織のしがらみ、議論、過度の分析を排し、イノベーションの開発、認定、商品化をはやめる
      • External:社外に目を向け、消費者、顧客、サプライヤーとの接触を密にする。競合相手と比較する、率直で客観的な評価基準が必要とされる
      • Agile:消費者や市場環境の変化に迅速に反応し、先をみて考え、予測可能なリスクを躊躇なくとれるようにする
      • Simple:イノベーションにもっと時間をつかえるように、仕事の枠組み、手順を合理化し、簡素化する努力を継続する
    • リーダーの新たな仕事
    • イノベーションリーダーに必須なスキル
      • ひるまぬ勇気、統合嗜好、IQEQのバランス

2021年5月8日土曜日

不動産の価格がわかる本 日経BP社


大和不動産鑑定株式会社が出している書籍。これは結構勉強になった。あとは、モデリングを自分で組めるようになれば、一通りの計算は完結できるようになりそう。 

  1. 不動産市場サイクル
    • 不動産市場のサイクルは、同じ価格水準や市況のまま安定して5年間続いたことがない。不動産投資は市場のサイクルにうまく乗るかどうかにかかっている。
  2. 不動産価格評価手法
    • 費用性:原価法
      • 同じ不動産をつくるのにいくらかかるかを算出し、そこから時の経過にともなって発生する減価額を控除することによって不動産の価格を求める。
      • 積算価格=再調達額-減価額
      • 土地の場合は、一般に取引される造成済みの既成市街地の土地に原価法を適用することは通常なく、取引事例法を使用することが多い
      • 原価修正に関しては
        • 耐用年数に基づく方法:会計処理の減価償却の計算方法と似ている。経過した年数に応じて機械的に減価額を把握する
        • 観察減価法:不動産を実際に見て、修繕更新の状況や管理の状況を踏まえて適切に減価する
    • 市場性:取引事例比較法
      • 事情補正
      • 時点修正
      • 地域要因の比較
      • 個別的要因の比較
      • 比準価格=取引価格X事情補正X時点修正X地域要因の比較X個別要因の比較
      • 床単価を算出して他の手法で算出した価格の妥当性を県書することは実務的に実施されている
    • 収益性:収益還元法
      • 直接還元法:不動産を永久に保有した場合に、将来にわたって生み出されるであろう毎年の純収益を現在価値に割引、合計額を算出して不動産の価格を求める手法
      • DCF法:一定期間の純収益および復帰価格の現在価値の総和を求める手法(このメリットは直接還元法よりも計算過程が詳細であり、現時点から数年間は毎年の純収益を分析できる)
      • 還元利回りに関しては、想定した純収益とセットで考えないと数字だけが独り歩きする。マーケットが過熱しているときは、高い賃料水準と低い還元利回りで評価されるが、賃貸市場サイクルで賃料が下落局面になることも想定しなければいけない。
        • 主な収入
          • 貸室賃料収入
          • 共益費収入
          • 水道光熱費
          • 駐車場収入
          • その他収入(看板、アンテナの設置によって得られる収入、住宅系の礼金や更新料、店舗の権利金など)
        • 主な費用
          • 維持管理費
          • 水道光熱費
          • 修繕費
          • プロパティマネジメントフィー(建物を管理するにあたり、管理会社に払う費用)
          • テナント募集費用(新規テナントの募集に必要な仲介手数料や既存テナント更新に当たって必要となる費用)
          • 公租公課(土地、建物および償却資産の所有者などに課される固定資産税、都市計画税)
          • 損害保険料
          • その他費用(借地で必要となる地代、看板などが道路に突出した場合に行政に支払う道路占用使用料)
        • その他
          • 一時金の運用(敷金、保証金などの預り金から得られる運用益)
          • 資本的支出(建物の価値や耐用年数を延ばすような大規模な修繕に対応する支出)
  3. オフィスビル
    • オフィスビルの収入は、貸室賃料収入、共益費収入、水道光熱費収入、駐車場収入、その他収入
    • そのうち、賃室賃料収入の見積=ビルの賃料設定が評価額に大きな影響を与える
  4. 住宅
    • 住宅の種類は戸建て住宅、分譲マンション、賃貸マンションなど多様に渡る。サラリーマン向けの投資用マンションはほぼ中古の区分所有マンションになるケースが多い
    • 賃貸マンションの収益価格を算出するに当たっては、収支の査定と共に礼金、敷金、更新料などの一時金の性質と評価上の取り扱いを理解する必要がある
    • 投資対象としては、人口の増加が見込まれるエリア、ワンルームの賃貸需要が多いエリア、インフラ西部が進むエリア、機関投資家が好むエリアにある物件が望ましい
    • 住宅の評価
      • 戸建て住宅:費用性を重視した積算価格と市場性を重視した比準価格を主に用いる
        • 国土交通省の「既存戸建て住宅の評価に関する留意事項」を参照しつつ、リフォームされた部分や維持管理の程度を念入りに観察すること
      • 分譲マンション:費用性を重視した積算価格と市場性を重視した比準価格を主に用いるが、築年数が古いマンションだと積算価格法は不適切である
      • 賃貸マンション:キャッシュフローがどれくらいか、投資期間が終わったときの転売価格はどれくらいかを重視して決める。
      • 賃貸マンションの収入
        • レントロール(賃料一覧表)、プロパティマネジメントレポート、賃貸借契約書などに基づいて稼働率と各部屋の賃料や単価を確認する
        • 入居者の属性や直近の成約賃料、敷金、礼金といった一時金の収受状況やフリーレントの有無に関しても確認
        • 共済費収入が区別されているか、確認する
        • 水道光熱費収入
        • 駐車場収入
        • 空室等損失:空室期間は2~3カ月程度は発生するもの
        • 貸した倒れ損失:入居者の家賃滞納で、賃料回収が困難になった場合の損失を見積もる
        • 一時金運用益:これは敷金の運用方法によって決まる
      • 賃貸マンションの費用
        • 維持管理費:共有部の清掃やエレベーターの維持管理、法定消防点検、受水槽の点検など建物管理にかかる費用。目安は共益費込み貸室賃料収入の3~5%、賃貸可能床面積1坪当たり月額300~500円
        • 水道光熱費:共益費込み賃室賃料収入の1~3%、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~300円
        • 修繕費:通常の維持管理に必要な修繕費と賃借人の退去時に必要となる原状回復費に分けられる。
          • 修繕費は、会計上費用として計上が可能。共益費込み賃室賃料収入の1~3%程度、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~300円。
          • 原状回復費は、クロスの張替えや床の張替え、エアコンクリーニング費用など。賃貸可能床面積1坪当たり15,000円が目安。このうち、オーナーの負担割合は50~60%程度になることが多い。
        • プロパティマネジメントフィー:賃料の集金、滞納の最速、入退去手続、募集、騎乗の受付、リフォームの手配など、入居者の管理にかかる費用
          • 賃料の回収や設備管理、保守点検を行う管理会社の管理・監督に関わる費用を計上し、ビルメンテナンスは維持管理費、コンストラクションマネジメントは資本的支出、リーシングマネジメントはテナント募集費用として計上するのが一般的である
          • だいたい賃料収入の3~5%が目安である
        • テナント募集費用:新規テナント募集の仲介業務や広告宣伝、契約更新時の更新事務にかかる費用。成約賃料の2~3カ月分が目安。内訳は仲介手数料が賃料の1カ月、宣伝広告費が賃料の1~2カ月分。更新事務手数料の目安は更新賃料の50%。
        • 公租公課:固定資産税と都市計画税がある。固定資産税は償却資産も対象になる。(何もてがかりがない場合は各法務局が公表している「新知己建物課税標準価格認定基準表」を基に査定した価格に、総務省が公表している「経年減点補正率基準表」に基づき、経年による補正を行い課税標準を想定して算出する)
        • 損害保険料:火災保険、利益保険、施設賠償保険など。再調達価格の0.015~0.030%が目安
        • その他の費用:借地の場合の支払い地代、袖看板などの道路占有使用料、区分所有の場合は組合管理費、敷地外駐車場を借りている場合は使用料、町内会費などがある
        • 資本的支出:共益費込み賃室賃料収入の1~5%、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~500円が目安になる。CMフィーの目安は工事価格の1~3%程度になる。全体的な経費率の目安は15~25%になる。
        • 還元利回りの査定:これまで算出した純収益を還元利回りで割り戻したものが直接還元法による収益価格になる
          • だいたい東京都心部で4~5%が目安になる。このエリアの利回りに、築年スプレッド(0~10年は0.1%、10~20年は0.2~0.3%が目安)、借地(流動性が劣ることを考慮し、+0.1%以上)などの要因を考慮して決める
        • 一時金の評価上の取り扱い
          • 敷金・保証金:実際には敷金の一部を返還しない特約(敷引特約)を結ぶ場合がある
          • 収益還元法での運用益を含める場合は、(あ)全額を返還準備金として預託することを想定して運用益を発生時に計上する方法、(い)全額を受け渡し時の収入または支出として計上する方法がある。実際は(あ)が実務上では広く採用されている。
          • 礼金・権利金
          • 更新料:通常は新規賃料の1~2カ月分として設定することが多く、賃貸借契約書において更新料条項が記載されている
  5. 商業施設
    • 商業施設の賃料形態:固定賃料、歩合賃料、最低保証料+超過歩合賃料
    • 賃料負担率=粗利利益率X不動産特有経費率
  6. ホテル
    • 労働集約型事業である
    • 重要な指標
      • ADR(average daily rate):稼働客室数当たりの平均客単価
      • OCC (occupancy rate):客室の稼働状況を表す指標
      • Dbl-OOC(double occupancy rate):客室数当たりの平均宿泊客数、「総宿泊客数÷販売可能客室数」
      • Rev PAR(Revenue per available room):販売可能客室数当たりの平均客単価、「総客室売上高÷販売可能客室数」=「平均稼働客室単価(ADR)X客室稼働率(OCC)」
      • GOP(gross operating profit):売上高から売上原価や営業経費を控除した償却前営業利益。営業総利益。運営の成果を示す重要な経営指標。
  7. ヘルスケアアセット
  8. 物流施設
  9. インフラ
  10. ゴルフ場
    • ゴルフ場は一般の建物と異なり、建築年数が経つにつれて、価値が高くなるのが通常である
    • ゴルフ場の評価:オペレーショナルアセットであり、他のアセットと異なり家賃相場もないので、ゴルフ事業収入に基づくインカムアプローチが基本である
    • 一般的にメンバーの来場者割合が30%を超えるとプレー収入に影響が出始めて経営が苦しくなり、プレー収入の落ち込み分をカバーできるだけの年会費収入が得られないと経営が成り立たなくなる
    • 費用に関して、割合が大きいのが人件費、次に巨額な固定資産税になる。また、地代があるかないかでゴルフ場運営収支に大きく影響を与える
    • 還元利回り:オフィスや住宅、商業施設は総収益に対する経費率が30%程度に収まっているのに対して、ゴルフ場の経費は固定的要素が強く、経費率が70%以上と高いことがほとんど。

  • レントロール
  • プロパティマネジメントレポート
  • 賃貸借契約書

稼働率や各部屋の賃料の単価

敷金・礼金といった一時金の収受状況の把握
共済費加入
空室等損失:だいたい二か月は発生する

維持管理費:エントランス、ゴミ置き場の清掃、エレベーターの維持管理、法定消防点検

貸室賃料の3~5%
一坪当たり300~500円

海外不動産における定義は都度確認すべき
ネット面積:実際に使用する面積
グロス面積:トイレや廊下といった共有部を含む面積
壁の内側、中心、外側のどれで計測するかによっても変わってくる

マンション購入時の注意:広告やパンフレットに記載されている面積と法務局に登記されている登記面積と異なるケースがある

住宅ローン控除の基準となる建物面積は壁の内側から測る登記面積

固定資産税の推定方法(固定資産税に関する資料が入手できない場合)

公的な土地評価の決まり事として、地価公示価格を100とすると相続税路線価は80、固定資産評価額は70の関係になっている。しかしながら、固定資産評価額ではなく、課税標準額に税率をかけて出すほうがより正確に算出可能である。その年の新しい評価額に対する前年の課税標準額の割合を負担水準という。これの負担上限は通常70%とされているが、都内は条例によって65%となっている。

e.g. 商業地の地価公示価格が100だとする。固定資産評価額が70、負担水準の上限が70%なので、70*0.7=49が課税標準になる。

一般的な住宅地の場合は、地価公示価格を100として、評価額が70であるため、結果的に課税標準が1/6の12ぐらいになる。

新築建物の固定資産評価額は、再調達原価の50~60%の水準に落ち着くことがおおい

2021年5月2日日曜日

ゴミ投資家のための人生設計入門

 

20年以上も前に出版された後、絶版になっている本なんですが、将来予測がほぼほぼ当たっていますw

ただ、コロナになってPTになれる生き方にリスクが顕在化したのが5年前と異なる点です。いつの時代も危機が終われば、グローバリゼーションが加速化し、次の時代が始まります。

 

2021年4月29日木曜日

マーケティングプロフェッショナルの視点 音部大輔

 

音部さんの書籍です。音部さんの書籍は言葉の定義がしっかりしています。



  • 市場創造とは
    • 製品属性の順位の転換「いいXX」の定義を変えることになる
  • マーケティングとブランディング
    • 共通点:消費者の認識に作用して、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動である
    • 相違点
      • マーケティングは「属性の順位を転換して市場を創造する」を目指す。
      • 結果的に、ニーズを作り出すことにつながる。
      • ブランディングは「ブランドの意味の確立」を目指す。
      • 結果的に、ベネフィットを作り出すことにつながる。
    • 両方がうまく機能することで、消費者の満足に基づいた持続的な売上と利益の成長を期待しやすくなる
    • マーケティングファネルはエレベーター型で考える
    • ファネル型の上から考えても結局は、購買のタイミングに「便益」で絞り込まれてしまうから
    • 逆に「購買」から逆算してどこまでリーチするかを考えた方が効果的になる
  • マーケティングは結局のところ、ターゲット消費者・競合・ベネフィットに行き着く
  • リピートに繋がらないトライアルは結局意味ない


2021年4月18日日曜日

リブラの正体 GAFAは通貨を支配するのか?

 

リブラに関して2019年にまとめた書籍。経済、法律、技術、思想からどういった問題点を抱えているのかを包括的に述べている。仮想通貨は次世代産業になるのは間違いない。知識のキャッチアップスピードを上げていきたい。

2021年4月10日土曜日

財務3表実践活用法 会計でビジネスの全体像をつかむ (朝日新書) 國貞 克則

 

國貞さんの書籍を読んでみた。わかりやすい。「本質を徹底的に抽象化する」作業がされた上での説明なので、記憶に残りやすい。


そういや、弊社の税務部の方も神戸鉄鋼から転職した方。弊社だけかもしれないが、事業会社の外資系法人に勤めていると、会社法や税務周りの知見が全然身に付かない。

部署でも知識レベルが統一されていないから、社内のプロセス知識は身につくけれども、会社法として/税法として/財務会計としての知見が身につくかは本人次第なんだよねぇ。

2021年4月3日土曜日

Amazon Product Management Interview

AmazonのProduct Managerになる本です。典型的な「行動についての質問」と「仮説についての質問」を構造化することに尽きます。





2021年4月2日金曜日

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか? アル・ライズ/ローラ・ライズ

 

世界的に有名なアル・ライズ(英語読みだとアル・リース)の著作になります。経営幹部の議論において、CEOとCMOによる思考の違いを章立てにして解説していく書籍です。




  1. マネジメントは「現実」に取り組む。マーケティングは「認識」に取り組む。
    • クリスタルペプシは、食料品部門の年間最優秀新商品に選ばれたが、12ヶ月後、市場から姿を消した
  2. マネジメントは商品に力を注ぐ。マーケティングはブランドに力を注ぐ。
    • 「よりよいXX」ではブランドは構築できない
    • ブランドの何らかのより良いところを見つけて、「違うもの」にすること
    • 同一カテゴリー内の商品は、たいてい次第に似たり寄ったりになってくる
  3. マネジメントはブランドを持とうとする。マーケティングはカテゴリーを持とうとする。
    • 消費者の頭の中には、高い品質と価値を備えた魅力的な商品という氷山はない
    • カテゴリーを支配すること
    • 重要なのは、新カテゴリーの名前を決めるとき、真面目に考えすぎる。重要なのは、新カテゴリーの利点を伝えることではなく、新カテゴリーの本質的特徴をできるだけシンプルな言葉で表現すること
  4. マネジメントはよりよい「商品」を求める。マーケティングは他とは「違う」商品を求める。
    • 「より良い商品」や「より良いサービス」によって業界のトップの座を奪い取ろうとしているが、うまく行った事例がない
      • バーガーキング vs. マクドナルド
      • エナジャイザー vs. デュラセル
      • ペプシ vs. コカ・コーラ
      • Newsweek vs. Time
      • マスターカード vs. VISA
    • 戦略を変えない限り、No.2の座に甘んじ続ける
  5. マネジメントはフルラインナップを好む。マーケティングはラインナップを絞る。
  6. マネジメントはブランドの拡大を図る。マーケティングはブランドの縮小を図る。
    • ほとんどの消費者はトップブランド、一番安いブランド、特徴のあるブランドしか覚えていない
    • 過度に混み合ったカテゴリーの場合は、成功する戦略は一つしかない。それは消費者のメッセージを極端に単純化するという戦略である
  7. マネジメントは「ファースト・ムーバー」を目指す。マーケティングは「ファースト・マインダー」を目指す。
  8. マネジメントは「ビッグバン」を期待する。マーケティングは「スロースタート」を予想する。
    • アイディアが革新的であればあるほど、消費者に受け入れられるには長い時間がかかる
    • PRにおいては、狭いターゲットに絞った方が良い。初期からの愛用者は、自分たちがその商品を流行らせたと思いたがる
  9. マネジメントは市場の中央を狙う。マーケティングは両極のどちらかを狙う。
    • High endとLow endに市場は分割される
    • 中間層を狙うと失敗する
  10. マネジメントは全てを詰め込もうとする。マーケティングは一語で表現しようとする。
    • その体験を要約した一語を提供しようとする
    • そうしないと、消費者がそのブランドを分類し、覚えておくことができない
    • USP=Unique selling point
    • 全てが揃っているというのは、結局何もないのと同じ
  11. マネジメントは抽象的な言葉を使う。マーケティングは視覚的な表現を使う。
    • 視覚イメージは釘とハンマー
      • 釘=言葉
      • イメージ=視覚イメージ=具体的、極力シンプル
    • 例外は新カテゴリーの最初のブランド
    • 消費者は広い一般的な言葉より、意味の狭い具体的な言葉を好む
  12. マネジメントはブランドをひとつにしようとする。マーケティングはブランドの数を増やそうとする。
  13. マネジメントは才気を重視。マーケティングは実績を重視。
    • 経営者はしばしば原因と結果を混同している。もちろん、消費者に愛されるブランドを築きたいと、全ての企業が思っている。どの企業も、ブランドが贔屓にされるとか、愛着を持たれるとか、そのほか色々なそういう感傷的な願いを持っている。しかし、それらは会社の望んでいる結果だ。それをもたらす原因は何か?
    • それはブランドの実績
    • 優れたテレビコマーシャルも、意味のない大半のぶぶんとブランドの実績を示すことに凝縮されたアピール部分とからできている
    • 実績を示して、はじめてブランドは築かれる。ブランドのマーケティングにおいては、常に実績を中心に置かなくてはならない
    • 成功したブランドには、何らかの実績があることがほとんどだ
  14. マネジメントはダブルブランド派。マーケティングはシングルブランド派。
  15. マネジメントは永遠の成長を目指す。マーケティングは市場の成熟に備える。
  16. マネジメントは新しいカテゴリーを潰す。マーケティングは新しいカテゴリーを生み出す。
    • 右脳タイプのマーケターは新しいカテゴリーの発展につながる方針をとる。新しいカテゴリーは何によって生まれるのか?
    • 事実から生まれるのではない。消費者の認識によって生まれるのだ。消費者が新しいカテゴリーと認識すれば、それは新しいカテゴリーとなる
  17. マネジメントは情報を伝えようとする。マーケティングはポジションを獲得しようとする。
    • マーケティングにおいて、コミュニケーションとは何か?それは会社が媒体を通じて、見込み客にメッセージを伝えることだ
    • 広告の役割は情報を伝えることではない。商品の位置付け(Positioning)をすることだ。最も優れた広告は商品についてわずかの情報しか伝えない。
  18. マネジメントは顧客を一生、手放すまいとする。マーケティングは顧客を短期間で手放すことはいとわない。
    • 私たちがブランドを選ぶとき、それが自分にとってどういう位置付けのブランドであるか、自己イメージに合うブランドであるかどうかを考える
    • 自分に相応しい何かを表現してくれるブランド出ないなら、もう用はない
  19. マネジメントは割引券とセールが大好き。マーケティングはそれらが大嫌い。
  20. マネジメントはライバルのまねをする。マーケティングはライバルの反対を狙う。
    • 「より良いもの」で勝とうとする戦略はまず成功しない
  21. マネジメントは名称の変更を嫌う。マーケティングは名称の変更をいとわない。
  22. マネジメントは絶えざるイノベーションに必死。マーケティングはひとつのイノベーションで満足。
    • 成功した会社のマーケティング戦略には、イノベーションを含むものと含まないものがある
    • 企業の基本的な機能とは、カテゴリーを支配できるブランドを築くことである。イノベーションは戦略ではない。それは、あくまでマーケティング戦略のもとで使われる戦術の一つである
  23. マネジメントはマルチメディアを絶賛。マーケティングはマルティメディアに懐疑的。
  24. マネジメントは短期的にものごとを見る。マーケティングは長期的にものごとを見る。
  25. マネジメントは常識を拠り所にする。マーケティングはマーケティングの感覚を拠り所にする。
    • そもそも戦略が良ければ、実行は容易になる
    • というより、実行の質や一貫性を高められるのがよい戦略だと言える


消費者に親近感を覚えてもらうことに主眼を置き、ブランドへの愛着を育もうとする。心温まる情景を描くのが典型的なTVCMだ。消費者にブランドを好きになってもらおうとする意図が、そこにはある。~中略~そういう手法は間違ってはいない。ただし、ひとつ条件がある。それは実績を示すという要素が入っているということだ。~中略~30秒のCMを流しても、消費者に真剣に受け止めてもらえる実績がそこに含まれていなかったら、消費者のハートは射止められない。経営者はしばしば原因と結果を混同している。もちろん、消費者に愛されるブランドを築きたいとすべての起業が思っている。どの企業もブランドが贔屓にされるとか、愛着を持たれるとか、そのほか色々なそういう感傷的な願いを持っている。しかし、それは会社の望んでいる結果だ。それをもたらす原因は何か?それは、ブランドの実績だ。成功をしたブランドにはなんらかの実績がある場合がほとんどだ。実績を示して、初めてブランドは築かれる。ブランドのマーケティングにおいては、常に実績を中心に置かなくてはならない。

2021年3月28日日曜日

IPO投資のきほんと儲け方ズバリ! 西堀敬

 

IPO投資です。投資家の片山さんがモリダスの株式をロックアップ期間に売却したことで炎上してますねw


  • IPOは初値が公開価格を上回るかどうかが全て
    • 大型株
    • 小型株
  • IPO discount=20~30% x 適正株価=公開価格
  • 日本の上場小型株に投資できる機関投資家は、投資信託・年金の一部
  • 時価総額100億以上が望ましい
  • IPOの多い時期は3月と秋から年末にかけて

IPO投資はまだしたことないんですよね。もうちょっと勉強していきたいです。

2021年3月20日土曜日

資産運用実践編1/資産運用実践編2 山崎元


山崎さんの書籍です。かなり本格的ですが、投資に関して包括的な知識を身につけるには必須でしょう。この内容が分かって、自分で計算できれば、FPは不要です。あと、非常に評価できる点は参考文献をしっかり記載している点ですね。


  • 双曲割引
    • 将来の異時点の価値判断に合って近い時点を過剰に重視するような人間の価値判断の歪みのこと
  • Income gainとCapital gainを区別する必要はあるのか?
    • 課税タイミングによる有利・不利の大きさは、分配金にかかる税金の税率と分配金の水準に影響される 
  • Income gainとCapital gainを区別したくなる心理はMental accouting (心の会計)と呼ばれる現象の一つ
  • 個人型確定拠出年金
    • 自営業者
    • 企業年金のないサラリーマン向け
      • メリット:月18,000円(掛け金が金額所得控除、運用益の課税が繰延べの対象になる)
      • デメリット:60歳まで引き出せない。加入手数料や年間の管理費がかかる。
  • 一般の投資のPrinciple
    • 投資家自身が仕組みを完全に理解できない
    • リスクの大きさと内容をよく理解する
    • 実質的な手数料を軽視しない
  • 個別銘柄
    • 標準偏差で見たリスク
      • β=25~30% (average)
      • β=40% (max)
    • 投資家がどれだけ財務的な余裕があるか
    • リスク拒否度=k/リスク許容度
      • ポートフォリオリスク(γ:リターンの年率標準偏差)と期待リターン(R)が分かっている場合、リスク拒否度(λ)を推定する
      • U(効用=投資の満足度)=R-λ*σ2=I*σ-λ*σ*2の最大化する条件
      • (R(リターン)=I*σだから)
  • Cash flow法
    • 資金使途と運用内容には本来関係ない
    • 財務状況の概要の把握
      • リスクの内容と大きさ
      • コスト
      • オプション性の有無
      • 信用と流動性のリスク
      • 期待リターン
        • ベンチマークの期待リターン
        • 投資家の期待リターンを観測して、これを参考にする=判断する方法がない(対ベンチマークでの運用の良し悪し=アクティブリターン)


  • 株式は株主にとっての企業の価値を原資産とするコール・オプション(買いの権利)と考えることができ、オプション価値として株式価値を考えると、企業の価値の変動リスクが大きい場合、理論株価は高く評価される傾向がある。これは原資産の価格のボラリティーと捉えても問題ない。
  • 業種の異なる複数銘柄に投資するのが基本;一般化はできないが、三銘柄ぐらいからスタートするもの。
  • 「株価はよく見よ、しかし、売買はコストを考えて慎重に」
  • 「① 「成長株の長期投資がいい 」というのは事後的に見た場合に言えることだが現実には理想論であるということ 、 ②成長株が他の銘柄よりも高いリタ ーンを上げるのは主として市場参加者の予想を上回る利益成長が示唆された時に株価が上昇するから 、つまり 「例外的な追加リタ ーン 」の源泉は 「予想を上回る新しい状況 (情報 )の登場 」であること 、の 2点に纏めることができます 。」
  • 「割安株投資は 、 ①投資銘柄選択の基準が比較的明確であること 、 ②大まかな傾向として割安な株式のリスクが大きくない (相対的に値動きが安定している )こと 、 ③売買回転率が小さくて済む傾向があること 、 ④株価が一時的に下がっても 「割安度合いが改善した 」と考えられることが多く個人投資家がその状況を我慢しやすいこと 、などの特色から 、個人投資家に向いた投資戦略といっていいでしょう 。インデックス連動ファンドへの投資なども個人投資家に向いた戦略といえますが 、個別株に投資したいという個人投資家にとって 、割安株投資は一貫した投資戦略の中では実行しやすいものの一つといえるでしょう 。もちろん 、割安株投資でも 、集中投資をするとリスクが大きくなるので 、なるべく初めのうちから分散投資を心掛けることが必要です 。」


興味がある方は長期投資の基本書を読んでみるのもオススメです。

株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす ジェレミー・シーゲル

2021年2月28日日曜日

こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる 魚谷雅彦


今は資生堂の社長の魚谷さんがコカコーラ日本法人社長になった時に書いた書籍(ちなみに、P&G先輩が好む書籍にもランクインしてくる)。

ブランドマーケティングの話がメインだが、個人的にはクラフト・ハインツの日本法人を経験したのがキャリアの転機な気がして経緯が気になる。ライオンを辞めた転職先がCiti銀行(たぶん投資銀行部門)だった点は知らなかった。Wikipediaでも明記されていないが、自叙伝では上手くいかなかった旨(根本的な思考が合わなかった点)が数行で語られていた。そこから、クラフト・ハインツの転職オファーを頂いたという巡り合わせ。うまくいかなった時に、阪急グループ創設者である小林さんの言葉に奮起した話も印象深かった。


マーケティングの内容に触れておくと、コカ・コーラのブランディングは、機能であるExtrinsic valueを変えていけないから、時代に応じて如何にIntrinsic valueと称される感情的便益をどう伸ばしていくかがマーケティングの課題となり、それを実行していくことが求められる。


2021年2月26日金曜日

図解実践マーケティング戦略 佐藤義典


なぜか戦略コンサルタントがお勧めする書籍として取り上げられる本書。スモールビジネスをする人にとっては確かに実用性が高いのかもしれない。筆者はWharton MBA取ってから外資系でマーケテイングに従事した後、独立している。




  • Segmentationを絞ってNo.1を取る
  • あなたのSegmentationを評価する顧客
  • Selling message
    • Strategic
    • Impressive
  • 具体的な方法は、広告の製品名を他社製品と入れ替えてみる。その際に、言い換え可能な場合は、独自性がないため良いSelling messageとは言えない。
  • 差別化=顧客の頭の中で決めること
  • コトラーによると以下の理由から、Simplicity/Impressiveness/Relevencyの3点を網羅した情報でなければならない
    • 選択注意
    • 選択的歪曲
    • 選択的記憶
  • Benefit=Function+Emotion
  • マインドフロー=客から見て、あなたのIssueがどこにあるのか。客がどこで立ち止まっているかを体型的に考えていく手法。
  • 結局、本書の売りであるマーケティングノウハウは以下に集約される。
    • Strategic BASiCS
    • Product flow
    • The depth/width of needs (ニーズの構造を捉える)
    • Mind flow
    • 売上5原則
  • ニーズを広げる時のSelling Lineは地獄型、かつ、不安訴求の方がうまくいくケースが多い
    • Fear:こんなにまずいことになりますよ?
    • Uncertainty:よくわからない将来に備えませんか?
    • Doubt:それ本当に効果ありますか?
  • ニーズを広げる時のSelling Lineが天国型、かつ、バラ色の世界を見せる方が浸透までに時間がかかる

2021年2月21日日曜日

もっと言ってはいけない 橘玲

現代の遺伝学が明らかにしつつあるのは、「どんなに努力してもどうしようもないことがある」という現実である。そして、リベラルな社会になればなるほど、それが剥き出しに現れる。それを様々なFactを用いながら、現代の大衆メディアに支配されている言論に一石を投じる内容になっている。個人的には、肌感覚と合っている。日本の労働社会がグローバル化しない本質は、グローバル化が進むことで多くの人(労働者)が不幸になることを直感的にわかっている点と自己社畜されることで幸福を感じる遺伝子によって不合理を受け入れる民族である点が絡まっているからだろう。複雑怪奇な労働環境もほぼこれで説明ができる。



行動遺伝学によると、一般知能(IQ)の遺伝率は77%で極めて高い。

リベラルな社会では、「個人の努力ではどうしようもないもの(運命)」を理由にした差別は許されない。これは人種だけでなく、民族・国籍・身分・出自・性別・性的嗜好・障害なども同じである。

アイデンティティは「社会的な私」の核心にあるものd、徹底的に社会的な動物であるヒトにとって、それを否定されることは身体的な攻撃と同じ恐怖や痛みをもたらす。人類が進化の大半を過ごした旧石器時代の狩猟採集生活では、集団(仲間)から排除されることは直ちに「死」を意味した。自己は社会=共同体に埋め込まれているのだ。〜中略〜世界を「俺たち(善)」と「奴ら(悪)」に分割し、善悪二元論で理解しようとするのは、それが一番わかりやすいからだ。

世界を複雑なものとして受け入れることや、自分が「悪」で相手が「善」かもしれない可能性を疑うことは、この単純な世界観を激しく同様させる。それは、陳腐で平板な世界でしか生きられない人たちにとってものすごく不安なことなのだろう。現代社会を蝕む病は、脆弱なアイデンティティしかもてなくなった人たちがますます増えていることだ。彼らは名目上はマジョリティだが実体は「社会的弱者」で、だからこそ自分より弱いマイノリティに激しい憎悪を向ける。

知識社会とは、その定義上、高い知能をもつ物が社会的・経済的に成功する社会のことだ。そう考えれば、知識社会における経済格差とは「知能の格差」の別の名前でしかない。「知能」の問題から目を背けて、私たちがどのような世界に生きているのかを理解することはできない。

ヒトの脳は、直感的には因果律しか理解できないように作られているため、あらゆる出来事に無意識のうちに原因と結果の関係を探す。これが、自分にとって不愉快な統計的事実を定義と混同死、それを否定するために経験的事実を「ブラックスワン」として持ち出すいちばんの理由である。

私(人格)=遺伝+環境(共有環境-非共有環境[友達関係])

ノルウェーの双子データによると、環境で47%が決まり、遺伝的理由で41%が決まってしまう。


ヘックマンが明らかにしたのは、「0~5歳までの教育投資が重要である」ということであり、認知的スキルは11歳ごろに基盤が決まる点であった。なぜなら、年齢が上がるほど遺伝子による差異が目立つため、どれだけ教育に投資しても効果は薄れてしまうからである。

米国社会におけるアジア系移民の成功を、トマス・ソ・ウェルという黒人経済学者は「日系米国人の経済的成功は、"特別扱い"されなかったからだ」と述べた。

Quiet(ものしずか)の中で、スーザン・ケインはこう述べている。内向性の時代において、50%は遺伝率で決まり、残りの半分は非共有環境(=友達関係)で決まる。

他人の道徳的不正を罰することで快感を覚えるように脳をプログラムしておけば、共同体の全員が「道徳警察」になって相互監視することで秩序維持に必要なコストは劇的にさがる

狩猟採取生活は、人口密度の高い集団生活を余儀なくされた。つまりは、感染症のリスクが高まり、結果として免疫機能の発達につながった。炭水化物を大量摂取しても糖尿病になりにくい体質へと進化した。

ラクトース(乳糖)は元々人間が摂取する成分ではなかった。これは、西アフリカ、ヨーロッパでの牧畜文化から摂取するようになった。それによって、わずか数千年で乳糖不耐性タイプでない人も生まれたのだ。

遺伝が極めて複雑な相互作用で、自然環境ではなく、社会環境との相互作用も含まれるため、現代人とは、遺伝と文化の「共進化」の産物である。

Race Differences in Inteligence(リチャード・リン)によると、PIAAC/PISAでの試験で計測される知能は北東アジアがスコアが高く、SG>香港>中国>韓国>日本>台湾の順位である。

シリコンバレーのベンチャー企業の創業者・経営幹部にアシュケナージが多い。次に目立つのが、インドのバラモン出身(インドの中で極めて知能の高い集団)である。

ネオフォリア(新奇好み)は、リベラルになりやすい。ネオフォビア(新奇嫌い)は、保守派になりやすい。

日本人の下戸は23.9%であり、本州中部に多い。

環境の影響が大くなれば遺伝率は下がり、逆に環境の影響が小さくなれば遺伝立は上がる。つまり、「リベラルな社会ほど遺伝立が上がる」という単純な事実である。だとすれば、「リベラル」な人たちこどが、環境のちがいで人生が決まることのない遺伝率100%の理想世界を目指さなくてはならない。

産業革命以降、私たちは「知識社会」という人類がこれまで体験したことのない全く新しい世界を生きることになった。そこでは、「知能」と言う、狩猟採集時代にはもちろん中世ですらたいして重視されてこなかった能力によって人生の成功と失敗が大きく左右される。なぜなら、知識社会とはその定義上、知能の高い者がもっとも有利になる社会だからだ。差別の根源は、一般知能(言語運用能力と数学・論理能力)を端的に重視する現代社会そのものなのだ。これは、知能の格差を論じることを「差別」と言い立てる人たちこそが、知能に深く囚われていることを示している。

2021年2月20日土曜日

地頭力を鍛える 細谷功

 

フェルミ推定の第一人者である、細谷さんの書籍。非常に論理的かつ包括的にまとまっている良書でした。結局、フェルミ推定を通じて、以下の能力が鍛えられるから非常に頭脳の訓練には有効だという主張を述べています。

  • フレームワークを用いてモレなくダブりなく考える力
  • 対象とする課題の全体像を高所から俯瞰する全体俯瞰能力
  • 捉えた全体像を最適な切り口で切断し、断面をさらに分解する分解能力


フェルミ推定自体のフローは以下の流れになる。

  1. 全体→部分への視点移動
  2. 切断の「切り口」の選択
  3. 分類
  4. 因数分解
  5. ボトルネック思考

その際のアプローチ方法でこそ、地頭の差が如実にわかる点になる。
  • 地理的アプローチ=1m2あたりの電柱本数
  • 供給視点アプローチ=世帯あたりの電柱本数(供給側・需要側から考えるアプローチは訓練しないと意外と身につかない)

フェルミ推定を活用して抽象化思考力を鍛えられるか?>Yes
  • モデル化
  • 枝葉の切り捨て
  • アナロジー
仕事における能力を分解すると、以下の三次元に分解でき、Xの考える力は今後重要度が増していく。
  • X:考える力「地頭がいい」
  • Y:対人感性力「機転が利く」
  • Z:知識・記憶力「物知り」

では、その地頭力を定義して、分解するとどういった能力の集合体なのか?
  • 知的好奇心:これが全てのベースとなる
  • 論理的思考力:左脳による積み上げる思考のことを言う
  • 直感力:右脳による閃きとも言われる
  • 抽象化思考力(単純に考える)
    • 具体⇄抽象の往復
    • モデル化
    • アナロジー(類推)
      1. 抽象化する
      2. モデルを解く
      3. 再び具体化する
    • 枝葉の切り捨て
  • フレームワーク力(全体から考える)
    • 絶対座標と相対座標
      • 座標系=視座・視点(+視野)
    • ズームインの観点移動
    • MECE
    • 適切な切り口(軸)の設定
    1. 全体を俯瞰する
    2. 切り口を選択する
    3. 分類する
    4. 因数分解する
    5. 再度俯瞰してボトルネックを見つける
  • 仮設思考力(結論から考える)
    • ベクトルの逆転
    • 前提条件を決める
    • 「タイムボックス」アプローチ
    1. 仮説を立てる
    2. 立てた仮説を検証する
    3. 必要に応じて仮説を修正する


戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則


戦略PRに関する最新作です。
最近は日経クロストレンドにも寄稿している本田さんの書籍でした。

https://xtrend.nikkei.com/authors/19/00068/


  • 「買う理由」を創出しなければならない時代
  • 属性順位転換を起こすこと=「いいXX」を際定義すること

PRの役割とは、Publicity>Perception change>Behavior change


「関心テーマ」とは、以下の三つを繋ぐ、「架け橋」のようなものである。
  1. 商品やサービスが提供する機能、既存品や競合との差別化ポイント(Product benefit)
  2. 世の中の第三者が気になっていること、世間の話題(世の中の関心事)
  3. 商品やサービスを使う人が抱えている問題、その解決(生活者の関心事とメリット)

社会関心は顕在度と関与度の二軸で分解する

戦略PRの6つの構成要素
  • 社会性の担保(=social grid): 「社会インサイトの見極め」と「ソリューションの有限実行」
  • 偶然性の演出:
  • 信頼性の確保:
  • 普遍性の視座:
  • 当事者性の醸成:
  • 機知性の発揮:


2021年2月15日月曜日

データ・ドリブンマーケティング マーク・ジェフリー

本書はノースウェスタン大学院教授のマーク・ジェフリーが書いた書籍です。Amazon社内でも使用されていることから注目が集まった書籍です。デジマ最前線にいる方の戦術的な話ではなく、大企業においてどうやってデータドリブンなマーケティング戦略を立案して実行するかに焦点が置かれています。

マーケティングは態度変容モデルや購買ファネルなど名前は変われども、購買にまで至る認識や行動に影響を与える事象に過ぎない。それゆえ、ファネルに沿って計測可能な指標を適切に設定することが、経営を行う上で重要である。補足をすると、筆者はキャプランとノートンによるバランス・スコアカード経営が背景にあり、なんの指標を計測することがマーケティング活動の効果を示すかを考え抜くべき主張になる。この背後には、バランススコアカード経営(キャプランとノートンによる経営管理手法の一つ)の考え方がある。さらに、思想としては「クリエイティビティはコモデティ化しており、多くの企業が同レベルのクリエイティビティへのアクセスが可能であり、社外に外注している点からも、クリエイティビティは持続可能な競争優位にはなり得ない。組織プロセス、そのプロセスをサポートするテクノロジーの活用の仕方がマーケティング組織の差を生み出し、それこそが企業の競走優位になり得るのだ」といった思想です。


マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)の組織能力とは、以下で決まります。

  1. キャンペーンの選択
  2. ポートフォリオ最適化
  3. モニタリング
  4. 適応学習

そして、それを実現するする為に、

戦略的指標=将来/戦術的指標=過去/運用上指標=内部プロセス管理

といった指標を適切に管理することが求められています。


筆者はマーケテイング予算配分に着目し、以下に分類しました。

  1. 市場形成
  2. ブランディング
  3. カスタマー・リレーション・マネジメント(カスタマー・エクイティ)
  4. 需要創出
  5. ITインフラ・組織能力


「不況期の企業が取る戦略において、マーケティング投資を増加した企業は業績が良く、かつ、マグロウヒル・リサーチ社によると上位企業群のマーケティングはBrandingやCustomer equity(CMR)、インフラ投資の予算が厚く、受容喚起への投資割合は少ない事実が産業に関わらず観測されている。ゆえに、優れた事業戦略及びマーケティングとは、事業モデルにあった業務プロセスのことである。」というのが主な主張になります。そして以下の15の指標は、マーケテイングに関わる人にとって必須の指標だと提示していきます。

  1. 認知指標
    • ブランド認知=商品やサービスの想起
    • Ajile marketingにすることによって、効果を計測できる
  2. 比較検討・評価指標
    • お試し(試乗)=購入前の顧客による商品のお試し使用
    • 商品やサービスの顧客提供価値を明確に伝え、商品のメリットとコスト(価格)のトレードオフを提示する
      • よって、欠点は比較検討プロセスと実際の購買に時間差がある点と実際の購買と紐づけることが難しい点
      • それゆえ、将来の売上につながる先行指標を測定するべきである
    • 比較評価マーケティイングにおける必須の指標
  3. ロイヤルティ指標
    • ロイヤルティ指標=解約率(離反率)
    • 既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合
  4. 顧客満足度(Customer satisfaction; CSAT)
    • 顧客満足度=「知人にこのサービスを勧めたいと思いますか?(Net promoter score)」「あなたは満足していますか?」という質問を通じて測定される指標
      • 学術的に論争があり、どちらの問いで計測すべきかの結論は出ていない
    • Brandingと顧客ロイヤルティを結びつける
    • NPS(net promoter score)はBainが一時期推していた経営指標
  5. 運用効率指標
    • オファー応諾率=マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率
    • 戦術レベル(How)の観点で評価する指標
      • それゆえ、需要喚起型マーケティングで使用されることが多い
      • 業務運用上において、非常に重要
  6. 利益=売上高ー費用
  7. NPV=正味現在価値
    • PV-Cost
  8. IRR=内部収益率
    • キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り(複利)
    • この時のRは同業の類似企業
  9. 投資回収期間
  10. 顧客価値指標(Customer life time value)
    • CLTV= - AC + Σ(Mn-Cn)*Pn/(1+R)n (ここでのPnは当該顧客がその年に取引を継続する確率。Cを継続率とおくと、P=1-c)
    • 当該顧客の正味現在価値(NPV)を示していることになる
  11. CPC (cost per click) vs. COM (cost per impression)
    • 行動ベースで課金するモデルの開発が、Googleの広告ビジネスにおけるゲームチェンジになった
  12. TCR (transaction conversion rate)
    • 広告をクリックして、ウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
  13. ROAS
    • 広告費用対効果=収益/費用
  14. 直帰率
    • 滞在時間5秒未満で離脱してしまうUserの割合
    • ウェブサイトの効果を計測する
  15. WOM (word of mouth)

データマイニングの三種の神器
  • 決定木分析
  • クラスター分析
  • ニュートラルネットワーク


需要喚起型マーケティングは、販売金額と数量の両方を向上させることで、売上に寄与する。それゆえ、トライアル段階においては、リード・コンバーージョン(見込み客の顧客化)に注力するのが現場レベルでは正しい解になる。
 
ROMI(Return on marketing investment)と呼ばれる指標は、以下の施策を行う際に非常に重要である。
  • トライアルマーケティング
  • 受容喚起型マーケティング
  • 新製品マーケティング



2021年1月28日木曜日

マーケティングをつくった人々

 

「マーケティングをつくった人々」は、マーケティングという学問/実務の確立に貢献した方を取り上げている書籍です。最近だと、行動経済学がマーケティングに多大な影響を与えていますねぇ。科学によって「それっぽい人文学」領域の真偽が明らかになってしまう時代です。

  1. フィリップ・コトラー
    • 対象にしたい市場と市場セグメントを細心の注意を払って選定し、そこに高品質な価値を提供しなければならない
    • 自分たちのブランドをもとにした約束を果たすことで、顧客のロイヤリティと信頼を獲得すること=マーケターの仕事
    • 需要とブランドを創造すること=マーケターの仕事
  2. デービット・アーカー
    • これはブランディング領域を把握するのに必須な印象です。実は、会社で唯一推薦図書リストに入っています。
    • ブランド・エクイティ=企業からのオファー(提供されるもの)に価値を足したり引いたりし、ブランドロイヤリティ、ブランド認知、知覚品質、ブランド連想という4つのカテゴリーに分類されうる、そのブランド名やシンボルと結びつけられた一連の資産と負債のこと
    • ブランド優位の戦略モデルではなく、ブランドリーダーシップ
    • 「妥当性と差別化」が、活力と差別化の意義を生み出すことにつながる=課題
      • ブランド・アイデンティティとその位置付けを決定する際に、ブランド・パーソナリティや企業イメージをもとに製品属性や顧客便益を増大させたり、切り替えたりすること(なぜなら、製品そのものより差別化しやすいから)
      • 意欲的にコントロールされたブランドの特徴や成分、サービスやプログラムなどのブランド化された差別要素を取り入れること
    • こういった差別化の鍵はイノベーションになり、イノベーションを生み出すには顧客や顧客のトレンドを真に理解する必要がある
  3. レジス・マッケンナ
    • 技術イノベーションの市場導入
    • マーケティング=イベントではなく、一連のプロセスのこと
      • 製品と顧客の途切れることのない会話であって、それをもとに両者が学習したり、考えを変えたりすること
      • マーケティングとイノベーションは同時に進行すべき
  4. ドン・ペパーズ/マーサ・ロジャーズ
    • One to oneによる顧客対応→後のCRMになる
  5. アル・リース
    • ポジショニング
    • フォーカス
    • ブランディング22の法則
    • 広告の役割と機能は心を変えることなく、人々のブランドに対する弱い意見を揺るぎない意見に変える
  6. ドン・シュルツ
    • 統合型マーケティング
  7. パトリシア・シーボルド
    • 顧客体験を中心に置く組織デザイン
  8. ジャック・トラウト
    • 結局のところ、ポジショニング戦略は「競争を避けるために集中する」資源配分の考え方から来ている


2021年1月24日日曜日

Microsoft Application Skillを伸ばすために読んだ本一覧

 MicrosoftのExcelを素早く使いこなせるかどうかは、日々の生産性に影響します。その事実を知りつつも、これまで自己流(会社による体系的なトレーニングはなく)で伸ばしてきた(?)ため、基本姿勢を学ぼうと思います。現在、メーカー勤務なんですが、別にExcelができなくてもこの会社では生きていけるんですよね。わからない時にググって解決する方式でもいいのですが、基礎スキルの差で処理能力(=Capacity)が変わるので、ちょくちょく埋めていきたいなぁと思っています。

読んだ本とそのメモは以下になります(適宜更新します)。

  1. 外資系投資銀行がやっている最速のExcel
    • Financial modelingではなく、頻出で使用するショートカットを中心にどういう場面で使用するかを解説している
    • 関数に関しての解説は少ないが、作業効率を早くする関数に関しては網羅している
    • 日本語は左からにそろえる
    • 数字は右からにそろえる
      • 青色数字=Inputした数字
      • 黒色数字=計算した数字
    • 他ファイルの直接参照は基本的にNG
      • 参照元のファイル名、ファイル保存場所が変わると参照できないから
      • 参照元の数字が変わっても気がつかないから
    • ショートカット
      • Shift+Ctrl+5=ALt+H+P (%表記)
      • Shift+Ctrl+1 (桁区切り)
      • Alt+H+H (背景色をそろえる)
      • Alt+W+F+F (ウィンドウ枠の固定)
      • Ctrl+Alt+V (コピペの方法選択)
      • Alt+N+N(グラフの挿入)
  2. 外資系金融のExcel作成術
    • 本書も同様にどうやってFinancial modelingを素早くやるかを明記している書籍になっている
    • 人間の脳の構造上
      • 論理は上から下に
      • 比較は右から左に
    • 背景色は白色(Alt+H+H)、あるいは、枠線の非表示(Alt+W+VG)
    • 英数字はArialを使用する(Alt+F+F)
    • 文字サイズは10pts(Alt+H+FS)
    • 小項目はIndentを利用する(Alt+H+6)
    • 表を作成する際に、縦の罫線は不使用
      • タイトルは左揃え
      • それ以外は右揃え
    • 投資銀行業界の決まり事といえるルールに関しても言及
      • ベタ打ちした数字=青色数字
      • 数式して出した数字=黒色数字
      • 別シート、別セクションから引用した数字=緑色数字
    • 関数の置換(Alt+A)をうまく利用する
      • ワイルドカード("*"/"?"/"??")を利用して変換していく
      • 1000をコピペしてAlt+Ctrl+Vで貼り付け(値と除算を選択)することで、M表示がすぐ可能
      • REPT関数を使いこなす
    • Ctrlでいくか、Altでいくか(両方が自由自在に使用できるように意識していく)
      • Ctrl+O ファイルを開く
      • Ctrl+N 新規作成
      • Ctrl+B 太字にする
      • Ctrl+I 斜体字にする
      • Ctrl+U 下線を引く
  3. Excel最高の学び方
  4. 超効率Excel仕事術
  5. 超速Excel仕事術
  6. エクセルずるい裏技
  7. 一瞬で仕事が片づく人のExcelのキホン










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