筆者は、ハーバード大MBAとロースクールを卒業後そのままマーサー・コンサルティングに買収されるCDIを創立した、コンサルタント。「量的成長(市場シェア)の経営ではなく、価値成長の経営が大事」、そして、「そうした価値成長を果たす企業に変革するための経営戦略は何か」を解説する書籍です。この書籍は当時のファイナンス部門の方が絶賛していたのですが、まさにこれを参考にしながらPLの改善を一歩一歩を行なっていたんだと懐かしく思いました。会社でよくあるのが、事業戦略という名の下、業績目標と連動していない戦略が立てられることが挙げられます。実態はそんなもんです。故に、Forecastはアートか科学かの議論が起きがち。だいたい業績が悪い事業部は負のスパイラルに入っているので、How to winよりもWhere to playを再定義することが大事だが、そこにリーダーの焦点が向かわないと再定義の議論にならない。この書籍は超良書。
(絶版に近いのはビジネス書あるあるで、良書を出すとそれを理解できる読者が一定数しかいないため売上が取れずに結果的に消えていくんですよね)
ビジネス・デザインの再定義
- 顧客の選択:企業による顧客集合の選択
- 価値の獲得:顧客に向けた価値によって、企業が如何にして報酬を得るか
- 戦略的コントロール:利益の流れを守る力
- 事業領域:企業の活動および提供する製品やサービス
長きに渡って高収益を上げている企業は、顧客からはわかりにくいかもしれないが、企業変革を行っている。
利益中心のビジネス・デザイン
- 顧客開発・顧客ソリューション利益(=購入と利用プロセスのうち、顧客にとって厄介で、費用がかかり、時間を消費する問題への支援方法を発見することが方法論になっていく):GE、CBI,サンドズ
- 製品ピラミッド利益:自動車業界(ホンダ、トヨタ、ニッサン、フォード、GM)、バービー人形を発売しているマテル
- マルチ・コンポーネント利益:P&G、ネスレ、ゼネラルフーズ
- スイッチボード利益:
- 時間利益:インテル
- ブロックバスター利益:製薬会社
- 利益増殖モデル:ディズニー、サンリオ
- 起業家利益:
- 専門家利益:エレクトロニック・データ・システム、ABB
- インストール・ベース利益:マイクロソフト
- デファクト・スタンダード利益:オラクル、愛黒ソフト
- ブランド利益
- 専門品利益:メルク、ヘラクレス、3M
- ローカル・リーダーシップ利益:小売りチェーン、食品スーパー、スター・バックス
- 取引規模経済:投資銀行、不動産、長距離空輸
- 価値連鎖ポジション利益:PC業界だとマイクロプロセッサとソフトウェア、化学業界だと製造、雑貨品業界だと流通、自動車業界だと金融サービスや各種保証
- 景気循環利益:産業設備が必要な業界に多い
- 販売後利益
- 新製品利益:自動車、コピー機、産業設備、楽器
- 相対的市場シェア利益
- 経験曲線利益
- 低コスト・ビジネス・デザイン利益:サウスウェスト航空、デル
Playing-to-win how strategy really worksにも書かれているんですけど、「営業利益をどうするか?」がPLをマネージするビジネスマンの基本姿勢なんですよね。
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