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2022年10月8日土曜日

Playing to Win: How Strategy Really Works A. G. Lafley

This book was written by A.G. Lafley, a former CEO in P&G.

  1. One final consideration for where to play is the competitive set. Just as it does when it defines winning aspirations, a company should make its where-to-play choices with the competition firmly in mind. Choosing a playing field identical to a strong competitor's can be a less attractive proposition than tacking away to compete in a different way, for different customers, or in different product lines. But strategy isn't simply a matter of finding a distinctive path. A company may choose to play in a crowded field or in one with a dominant competitor if the company can bring new and distinctive value. In such a case, winning may mean targeting the lead competitor right away or going after weaker competitors first.
  2. Where to play and how to win are not independent variables. The best strategies have mutually reinforcing choices at their heart. As a result, it is not a matter of choosing where to play and then how to win and them moving on. These two choices are intertwined and should be considered together.
    • マイケルポーターの戦略論だと差別化戦略とコストリーダーシップ戦略がsustainable competitive advantageを形成するとなっている。Both cost leadership and differentiation require the pursuit of distinctiveness. ~ To succeed in the long run, you must make thoughtful, creative decisions about how to win. In doing so, you enable your organization to sustainably provide a better value equation for customers than competitors do and create competitive advantage.
    • この理由は、Appendix Bでマクロ経済学から解説されている。いずれも高マージンをどうやって生み出すかの論点に集約されるからである。To be a nutshell, due to the fundamental microeconomics of business, there are tow ways to win: higher margin through lower cost or higher margin through differentiation.
大企業の戦略とは、半分以上が資源配分の「選択」であることを教えてくれる戦略論の書籍でした。



2021年6月6日日曜日

プロフィット・ゾーン経営戦略 エイドリアン・J・スライ ウォツキー/デイビッド・J・モリソン/(訳)恩蔵直人


筆者は、ハーバード大MBAとロースクールを卒業後そのままマーサー・コンサルティングに買収されるCDIを創立した、コンサルタント。「量的成長(市場シェア)の経営ではなく、価値成長の経営が大事」、そして、「そうした価値成長を果たす企業に変革するための経営戦略は何か」を解説する書籍です。この書籍は当時のファイナンス部門の方が絶賛していたのですが、まさにこれを参考にしながらPLの改善を一歩一歩を行なっていたんだと懐かしく思いました。会社でよくあるのが、事業戦略という名の下、業績目標と連動していない戦略が立てられることが挙げられます。実態はそんなもんです。故に、Forecastはアートか科学かの議論が起きがち。だいたい業績が悪い事業部は負のスパイラルに入っているので、How to winよりもWhere to playを再定義することが大事だが、そこにリーダーの焦点が向かわないと再定義の議論にならない。この書籍は超良書。

(絶版に近いのはビジネス書あるあるで、良書を出すとそれを理解できる読者が一定数しかいないため売上が取れずに結果的に消えていくんですよね)




ビジネス・デザインの再定義
  1. 顧客の選択:企業による顧客集合の選択
  2. 価値の獲得:顧客に向けた価値によって、企業が如何にして報酬を得るか
  3. 戦略的コントロール:利益の流れを守る力
  4. 事業領域:企業の活動および提供する製品やサービス

長きに渡って高収益を上げている企業は、顧客からはわかりにくいかもしれないが、企業変革を行っている。

利益中心のビジネス・デザイン
  • 顧客開発・顧客ソリューション利益(=購入と利用プロセスのうち、顧客にとって厄介で、費用がかかり、時間を消費する問題への支援方法を発見することが方法論になっていく):GE、CBI,サンドズ
  • 製品ピラミッド利益:自動車業界(ホンダ、トヨタ、ニッサン、フォード、GM)、バービー人形を発売しているマテル
  • マルチ・コンポーネント利益:P&G、ネスレ、ゼネラルフーズ
  • スイッチボード利益:
  • 時間利益:インテル
  • ブロックバスター利益:製薬会社
  • 利益増殖モデル:ディズニー、サンリオ
  • 起業家利益:
  • 専門家利益:エレクトロニック・データ・システム、ABB
  • インストール・ベース利益:マイクロソフト
  • デファクト・スタンダード利益:オラクル、愛黒ソフト
  • ブランド利益
  • 専門品利益:メルク、ヘラクレス、3M
  • ローカル・リーダーシップ利益:小売りチェーン、食品スーパー、スター・バックス
  • 取引規模経済:投資銀行、不動産、長距離空輸
  • 価値連鎖ポジション利益:PC業界だとマイクロプロセッサとソフトウェア、化学業界だと製造、雑貨品業界だと流通、自動車業界だと金融サービスや各種保証
  • 景気循環利益:産業設備が必要な業界に多い
  • 販売後利益
  • 新製品利益:自動車、コピー機、産業設備、楽器
  • 相対的市場シェア利益
  • 経験曲線利益
  • 低コスト・ビジネス・デザイン利益:サウスウェスト航空、デル

Playing-to-win how strategy really worksにも書かれているんですけど、「営業利益をどうするか?」がPLをマネージするビジネスマンの基本姿勢なんですよね。




2020年9月30日水曜日

戦略「脳」を鍛える 御立尚資


転職エージェントのおススメ書籍に入っていました(笑)

こう考えると、今の会社で「ブランドストラテジー」と称されるのは厳密な事業戦略ではないという。「資源ベースからある程度変数が絞り込まれた状態で、会社のFinancial Operation modelの中でどう満たす戦略」を考えている、と。ま、若手なのでそんなもんですね。



Formula
  1. ユニークな戦略=定石+インサイト
  2. ユニークな戦略=定石+(Speed x レンズ)
  3. ユニークな戦略=戦略のエッセンス+〔{(Pattern認識+グラフ発想) x Shadow boxing}×(拡散レンズ+フォーカスレンズ+ヒネリレンズ)〕
レンズの使い方
  • 拡散:ホワイトスペースの活用、Value chainの拡大、進化論で考える
  • フォーカス:ユーザーになりきる、テコを効かせる、ツボを押さえる
  • ヒネリ:逆張りする、特異点を探す、アナロジーで考える
戦略論必須コンセプトワード
  • コスト系:スケールカーブ、Experience カーブ、コストビヘイビア、固定費・変動費、スケール・スコープ
  • 顧客系:Segmentation、スイッチングコスト、Loyalty Brand
  • 構造系:V字カーブ、アドバンテージ・マトリクス、Deconstruction(事業モデルをValue chainから見直す)
    • 収益性と規模
    • アドバンテージ・マトリクス:戦略変数の数 x 優位性構築の可能性
  • 競争パターン系:ファーストムーバーアドバンテージ(先行利得)、プリエンプティブ・アタック先制攻撃
  • 組織能力系:タイムベース競争、組織学習、ナレッジマネジメント

グラフ発想することで思考のショートカットが可能になる
定石パターン認識=コンセプトワード+実例+グラフイメージ


なお、これまでの経験上、マーケティング戦略だけでBusiness turn aroundを成し遂げたケースは見たことがないです。やはり事業戦略をどう構築するかが結果を出すためには必須スキルだと痛感します。

グローバルでCotyがKKRにWellaを売却していますが(2016年にP&GからCotyに売却)、どう再建していくのか気になります。

FA&Pのトップが元PでAnalystを募集中とのことです。


2019年8月12日月曜日

マッキンゼー式最強の成長戦略 パトリック・ヴィギュエリ、スヴェン・スミット、メルダット・バグハイ

久しぶりに戦略に関わる本を読みました。ちょっとだけ、今の会社のCEOの意思決定の凄さが理解できました。が、APAC部門のあいつは許さん(笑)

まあなんというか、マーケティングやっていると売上とシェア至上主義になりがちなんですけど、そろそろ他のことも理解していかないといけない年齢ですわー。例えば、スコアカードに資本回転率が入っているのか、ぶっちゃけピンときてませんでした。TSRの中で、基本的にオペレーティング・パフォーマンスの変化を最大化するのは理解できていたものの、それ以外の領域の話がすっと理解できません。



マッキンゼーが定義した成長マップ。こういう大局的な目線でたった上で、今起きている組織変化が何かに敏感にならないといけませんな。



あとは、いつものようにメモでーす。

大企業が成長の創出と持続において直面する挑戦の分析を通じて、「成長はどか ら 生 ま れ る の か 」という 問 い に 答 え る こ と で あ る 。その挑戦の第 一の部分は、基本的な数字の問題である。会社の規模が大きくなればなるほど、次なる成長は困難の度を増していく。フオーチュン・グローバル500社の中央値で売上高は約 二五〇億ドルに及ぶ。世界全体のGDP (国内総生産)成長率と同じペース (約六 。二%)で成 長を持続するためには、毎年 一六億ドルの増収を重ねていく必要がある。プロクター ・アンド ・ ギャンブル (P&G)のCEOが最近語っているように、同社にとっての成長とは、イギリスで の事業規模あるいは 「タイド」(アメリカ市場でトップシエアの洗剤)の事業規模に相当する拡 大を毎年続けていくことなのである。大企業が直面する第二の挑戦は、いわば寿命に関わる問題である。年数を重ねて会社の規模が 大きくなればなるほど、事業が成熟化しやすくなる。そうなると、加齢にともなう問題に突き当 た る こ と は ほ ぼ 避 け ら れ な い。 イ ノ ベ ー シ ョ ン の ペ ー ス が 鈍 り 、 リ タ ー ン が 次 第 に 低 下 し て いく ようになる。さらに加えて、成熟化した組織の規模そのものが惰性を生み出すおそれも生じる。 組織全体が内部的なオペレーションの尺度に染まりきってしまい、進化する顧客ニーズ、新たな 競 争 相 手 、 新 し い ビ ジ ネ ス モ デ ル に 対 応 す る こ と が ま す ま す 困 難 に な っ て いく。..............企業経営者に次の二つの必要性を説明することである。まず 一つは、自社の 成長がどこから生まれるのかに関して、全体と細部を併せ見る視点をも つこと。そしてもう 一つ は、自社が競争する市場の構成を反映した戦略と組織を確立することである。........すなわち中核事業の内外両面において、有機的または買収を通じて得られる売上の増加を意味する。



売上とその増加の軌線は、その企業の市場における役割、影響力、リーダーシップ、地位を示す格好の指標 (完 璧 な 指 標 で は な い が ) となる。長期的に見ると、持 続 的 な 売 上 成 長 は、より高水準の利益および価値創出と高い相関をもつ。


多 く の企 業 が ビ ジ ネ ス チ ャ ン スを 大 雑 把 に捉 え て お り 、 そ こに一つの問題があることを確信するに至った。特に大企業は 「平均的な」見方にとらわれてい る 。 「今 は 中 国 が 熱 い 」 「医 薬 品 は 高 成 長 産 業 だ 」 「高 齢 化 が ヘ ル ス ケ ア の 需 要 拡 大 を も た ら す 」――などなど。この種の一般化が幅を利かせているのだが、それは成長のチャンスを求める企業 経 営 者 にと って、実はほとんど何 の役にも立たない。私 た ち は 本 書 に お い て 、 真 の 勝 利 の 方 程 式 は 、 市 場 の セ グ メ ン ト と そ の ニー ズ 、 そ し て そ れ を 満たすのに必要な能力をつぶさに理解することからしか生まれえない、ということを伝えたい。 成長のポケットを見出すには、事業と組織をより深いレベルまで掘り下げる必要がある。


大企業の成長格差のうちのほぼ八〇%は、「競争の場」の選択に関係しているのである。どの市場セグメントに参入し、どれだけ のM&A (合併 ・買収)を行うか。市場がグラニュラーなものであるのと同じく、潜在的成長の ポケットもまたグラニュラーなものなのである。これはすなわち、あなたが 「成長の場」の選択 を グ ラ ニ ュラーな レ ベ ルで行う 必要 があ る ことを意味 し て いる。その選択に際しては、コストやエグゼキューションの比較分析と同等の精度で、自社の成長パ フォーマンスを同業他社のそれと比較するベンチマーキングの手法がある。すなわち売上成長の パフォーマンスを三つの要素に分解する手法で、その三要素とはポートフオリオ・モメンタム、非有機的活動、有機的なシェア獲得である。 .............つまり、パフォーマンスの次段階に入るために前線を突破するというやり方ではなく、成長に必要な資源をそれぞれの事業ユニ ツトに与えること、あるいは成長が見込める ユニットに資源を重点配分することである。日標 の 未達や進捗の遅れ、努力不足などをあげつらつて社員の尻を叩くのではない。あなたに必要なのは 、 事 業 ユ ニ ット に さ ら な る 人 材 、 資 本 、 資 源 を 与 え る た め の ス ケ ー ル ア ップ か 、 勝 算 の な い事業から引き揚げるスケールダウンのどちらかなのである。売上成長に対するM&Aの寄与度の高さがある。 平均的な大企業において、M&Aは売上成長のうちの三〇%を生み出している。



ポートフォリオ・モメンタムを高める方法は三つある。高成長ポケットへの資源再配分、ポートフォリオのシフト、市場の拡大である。






2019年5月6日月曜日

情報経済の鉄則 ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド カール・シャピロ/ハルR・バリアン

情報経済の鉄則というのを1999年とかに見通しており、それに関連する知識をまとめて再編成した本です。著者はGoogleチーフ・エコノミストになったハル・ヴァリアンです(2002年からコンサルタントとしてGoogleに入社)。主に使われている知見は、不完全競争=寡占に関するもの(ゲーム理論、競争政策)、ピグーの価格差別、ネットワーク効果、正のフィードバックなど。数式モデルによる解説はほとんどないので、文系人間でも読めまーす。650pにもわたる重い書籍ですw

 



これで、「ソフトバンクショップの客引きガールがなぜかわいいのか?」や「iPhoneの機種を買う際にキャリア会社を替えるとなぜ安く購入できるのか?」、「Amexのクレジットカードをタイミング良くつくると、30,000円相当のポイントが受けられるのはなぜか?」、「Paypayがなぜ100億円還元キャンペーンを実施できたのか?」みたいな問いにみーんな答えられるようになります。あとは、IT業界への転職意欲が上がります(笑)

1) 情報経済

  • インフォメーション製品の生産には高額の固定費と定額の限界費用がかかる。つまり、インフォメーション製品の価格付けは消費者が認める価値に対応したものでなければならず、生産コストが基準ではない。製品というものは、消費者がその価値を判断するのに経験が必要な場合に「経験製品」となる。インフォメーションはそれが消費されるたびに、経験製品になる。今日のほとんどのメディア制作者はこの経験製品の問題を「ブランドづけ」と「評判」によって克服している。

2) 情報に値段を付ける
  • 支配的企業のモデルでは"最良の"製品を作っているかどうかは別にして、規模の経済のおかげで小さな競合企業に対してコストの面での有利さを十分に生かしている
  • 差別化される製品の市場では同じ「種類」ではるが、他社とは異なるインフォメーションを生産している企業が数多くある。これがもっとも一般的なインフォメーション製品の市場構造だ。
  • よって、市場競争における基本的な戦略は次の二つの戦略を応用することになる。
  • 製品の差別化を図ること
  • コストの主導権を握ること

経済学者のA・C・ピグーが1920年に"第一段階の価格差別化"というダサい名前で提唱したが、要は現在でいうOne-to-One marketingのことを情報産業では当たり前のように価格で行っている。パターンは三つ、a)個別化した価格づけb)バージョン化c)グループ向けの価格づけ。もう一つ、情報産業に顕著な特徴は、ネットワーク効果である。ネットワーク効果が生まれるのは、ユーザーが製品に対して認める価値が、その製品をどれだけ多くの他の人が使用するかによって左右されるという。

  • インフォメーションの政策と販売にどれだけ投資しているのか、分析し理解する
  • 日用品市場で闘わざるを得ないなら、積極果敢に攻める。しかし、欲張らないこと。
  • インフォメーションとその価格の個別化によって製品の個別化を図る。
  • 市場に関するデータの収集と分析に投資する。利用するのは、フォーカスグループ、統計分析、販売プロモーション、そしてその他のマーケティングテクニックだ。
  • 顧客に関するインフォメーションを利用して、その顧客に個別化した製品を個別化した価格で販売する
  • グループ向け販売の収益性を分析する
2) バージョン化
  • インフォメーション製品の特徴を調整して顧客ごとに異なっている価値観を浮き彫りにすること
  • 製品のバージョン化は様々な特色から工夫できる - ディレイ、ユーザーインターフェイス、画像の解像度、操作のスピード、フォーマット、性能、機能、わかりやすさ、複雑さ、そして、サポート
  • オンラインのインフォメーションに付加価値をつけて、ハードコピーとの違いを明確にする
  • 自分の市場を無理なくセグメント化できていれば、インフォメーション製品のラインアップをそれに合わせるように作ること(もし市場を無理なくセグメント化できないなら、バージョンは3種類作ること)
  • ブラウザのコントロール
  • バンドル化には意味がある。ただしそれは購買意欲のさまざまな違いを集約できる場合である
  • 非直線的な価格づけをすると、消費者がsれを自分専用のバンドル作りに応用することもできる=ボリュームディスカウントはその製品の使用機会と売り上げとを同時に増加させることができる
  • プロモーション価格はそれが市場のセグメント化に結びつく場合に意味がある
3) 知的財産権の運用管理

  • デジタルテクノロジーは権利管理に関して二つの課題を生み出している>量産できる生産コストを大幅に下げ、かつ、流通にかかるコストを下げ、スピードを早める
  • 流通コストの低下がサンプルの無料配布のコスト負担を減らし、その製品の宣伝を後押してくれる
  • 契約条件を決定しようとするときは、基本的なトレードオフをよく理解すること。契約条件を緩やかにすれば、消費者が認めてくれる製品の価値は上がるだろうが、販売数量は減少する可能性がある。
4) ロックインを理解する
  • スイッチングコストと売上の比較は一人あたりのベースで行うこと
  • 転換のための総コスト=顧客の負担するコスト+新規の供給者が負担するコスト
  • 現在の顧客からの利益=総スイッチングコスト+品質とコストの優位性
  • スイッチングコストはインフォメーション経済では日常的に発生する。顧客はスイッチングコストをよく理解していないと供給者に思い通りの行動を取らせてしまうことになる。供給者にとって、スイッチングコストは設置ベースを評価するための鍵だ。つまり、顧客をライバル企業から乗り換えさせるための最初のコストを克服できない限り、顧客の設置ベースの確率はおぼつかない。このコストを埋め合わせるためには、顧客のロックインのサイクルを予見しなければならない。
  • 新しい業界が生まれるたびに次々に現れるロックインには典型的なサイクルがある。ロックインのサイクル:ブランド選択ポイント>サンプリングの段階>塹壕の段階>ロックイン
  • ロックインの本質は今日の投資が将来の選択肢を規定してしまう、という点である。この因果関係はテクノロジーごと違ってはいるが、予測は可能である。基本的経済パターンは7種類あり、契約上の権利義務、耐久財とそのアフターマーケット、ブランドに特化したトレーニング、インフォメーションおよびデータベース、特殊な供給者、調査のためのコスト、そして、優待プログラムである。


5) ロックインを管理する
  • ロックインされないうちに脆弱な立場になることを引き換えに、相手の"譲歩"を引き出すために厳しい取引をすること
  • 第二の供給源やオープンシステムのような戦略を追求し、ロックインの程度を最小限にとどめること
  • ベンダーを選択する次の機会を見据えること。そして最初の段階からそのときの交渉の立場を強化するような積み上げをすること
  • プロモーションを通じて、あるいは最初の段階でディスカウントを提供することによる、設置ベース構築のための投資に備えること
  • 影響力のある買い手とスイッチングコストの高い買い手を味方につけること。なぜなら、もっとも利益の上がる顧客だからだ
  • 製品とその価格をうまく設計し、顧客をこちらのテクノロジーに投資するように仕向け、それによってそのスイッチングコストを上昇させる
  • 顧客に保管製品を販売し、設置ベースを利用する権利を得ることによって設置ベースの価値の最大化を図る

6) ネットワークとプラスのフィードバック
  • 産業経済の原動力は「規模の経済」であったが、情報経済は「ネットワークの経済」が基本原理になっている。なお、ネットワーク外部性は「メトカーフの法則」の背景になっている(ネットワークの価値はそのユーザーの数に二条に比例して増加する[n(n-1)])。
  • 手に入る報酬=業界全体の付加価値*(total value added to the industry) X 業界の価値に対するシェア(your share of industry value)
  • プラスのフィードバックが存在すると、一般的なS型(ロジスティック曲線)の成長軌道をとる。
  • 消費者の期待は成長をかそうさせるために必要な絶対多数を獲得する上で非常に重要である
  • 新しい製品とテクノロジーを導入する企業は「性能」対「互換性」のトレードオフを解決しなければならない。進化の戦略には高度の下位互換性も入っているが、性能の向上には限度がある。
  • 新しい製品とテクノロジーを導入する企業は「開放化」対「コントロール」のトレードオフにも直面する

  • ネットワーク市場の基本戦略は、性能追求、コントロールされた移行、開放的な移行、そして非連続性の4種類である。

Control
Openness
互換性
コントロールされた移行
開放的な移行
(=生産能力に依存するケース)
性能
性能追求
(>新テクノロジーによって自分の優位をしっかり確立できるケース)
非連続性(Hard disk>Efficient production, Software>付加価値のあるサービス)


7) 標準化戦争

  • 戦っている標準化戦争のタイプを理解すること。もっとも重要な要因は、戦争を仕掛けている新しいテクノロジーと市場を抑えている製品との間の互換性だ。標準化戦争は三つの形態に分かれる。進化の競合、革命の競合、進化対革命である。
  • 標準化戦争での強さは、七種の中核的な資産を持っているかどうかできまる。中核的な資産とは、a) 設置ベースのコントロール、b)知的財産権、c)革命を起こす力、d)創業者利益、e)製造能力、f) 補完製品分野での影響力、g) ブランド名と名声。
  • 標準化戦争は先制攻撃が有効である。短い設計サイクル、中心的な顧客との早い段階での取引、そして戦略価格が先制攻撃の要素である。






2018年9月16日日曜日

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか 三枝匡


Turnaround artistとして有名な三枝さんの本。

V字回復の経営―2年で会社を変えられますかを読みました。

小説のように進みながら、会社改革のポイントが挿入形式で解説されていく書体です。メーカー勤務なので、イメージが湧きやすい。

組織構造に変化を起こす際には、コミュニケーション経路と責任の所在(role and responsibility)を整理しないと現場が着いてこないのはありがちな現象です。その意味で人、組織を通じてトップラインを伸ばす、つまり、財務諸表に売上増として結果を残すのは、本当に難しいことなんだと実感。





2018年7月15日日曜日

戦略策定概論―企業戦略立案の理論と実際 波頭亮


久しぶりに読み返した。就活時に、某コンサル勤務の人に勧められて読んだ本。




戦略策定概論―企業戦略立案の理論と実際

当時は知識として読んだ程度でしたけど、やはりコンサルファーム出身だけあって、定義付けがシャープ。

戦略の歴史的経緯を軽く踏まえた上で解説しているから、戦略立案の時に、結局「何の観点から考えればいいんだっけ?」という問いにも対応できる。

戦略の条件は、以下である。
必要条件
十分条件
Objective
Actions
Competitive
Integrated
Advantageous
Sustainable
そして、戦略を策定する際には以下の思考プロセスを踏めばよい。

  1. 分析=収斂
  2. 発想=創造
  3. 具体化=制御
また、戦略論の相違は以下。
M.ポーター:競争相手に対する自社の競合優位性をいかに形成し得るかという観点から事業展開活動のパターンを集約したもの(競合優位性)
P.コトラー: 自社の市場におけるPositionという切り口とそのPositionに応じた合理的な戦略類型を整理(市場内のポジション)

Product life cycle: 事業の成長段階という時間の流れに着目し、成長段階毎に一般的に適合的な戦略のタイプを分類(事業の成長段階)

戦略代替案の評価も以下の観点に気をつける。

  1. 効果の大きさ
  2. 必要な経営資源
  3. 有効性の期間
  4. ダウンサイドリスク
上司によく言われるけれども、「戦略のフレームワークを知っているのと使いこなせるには明確な差がある」というのは本当にそう。簡単だからこそ、呼吸できるかのように使いこなせるところまで引き上げる。

2018年1月5日金曜日

なぜ「戦略」で差がつくのか。 音部大輔



経営学で言う戦略論をまとめた本。一応、学部時代は経営学専攻だったので、少し馴染みのある話でした。




なぜ「戦略」で差がつくのか。


この著書の定義によると、
戦略とは、「目的」達成のための「資源」利用の指針である。
そして、戦略で差がつくポイントは以下の3点。

  1. 目的の解釈の仕方
  2. 資源の解釈の仕方
  3. 相対的に資源の数的有利をもたらす分母の区切り方


個人的に重要な点は以下かなぁと。

  • 戦略立案=知的な思考プロセス:再定義された目的とそれぞれの局面に対して補完と相乗を考慮しつつ、リスト化された資源をあてていく
  • 実行計画と資源の連鎖:得た知見は次回の戦略立案時において資源になる
  • 経験の概念化:BusinessやMarketingといった概念作業の中では、経験の概念化が複雑な現象であるビジネスを簡潔に見通す視点を提供する
  • 仕組みの理解による再現性の向上:固有の状況に根ざした特定の知見は、汎用性をもって一般化され、再利用可能になる


ちなみに、最後のほうに、戦略計画学派(アルフレッド・チャンドラー)、創発戦略学派(ヘンリー・ミンツ・バーグ)、ポジショニング・レビュー(マイケル・ポーターなど)、リソース・ベースト・レビュー(ゲイリー・ハメル/C.K.プラハード)、ゲーム理論学派との関連性も述べてありました。

いやー「戦略を立案する」って結果としてはシンンプルだけど、プロセスとしては奥が深いなぁとつくづく思います。

Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...