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2021年1月17日日曜日

ウェブを包括的に学ぶには、ウェブ解析士認定試験公式テキストが良さげ


ウェブ解析士認定試験というものがあることを知りました。一般社団法人ウェブ解析士協会が主催しており、資格試験になっています。(しかし、受験料が高すぎて自分から受験する気にはなりませんw)

Webに関しての基礎的な知識とノウハウは毎年進化しており(それもそのはず。それぞれのPlatformがアルゴリズムを改定して消費者の滞在時間を延ばすことに工夫を凝らしているから)、包括的に知識を確認できる書籍はなかなかないのが実情です。多くの広告代理店も、それぞれのPlatformが開催する勉強会に参加して、知見を集めます。それを事業会社に説明する、あるいは、Platformが直接説明してくれるため、最新のトレンドやサービス内容は理解できています。しかしながら、その一歩引いた視座から全体像がどうなっているかを整理して把握することは大事だと思い、メルカリで買いました(笑) 正直、4,400円の値段は、一般消費者にとって高すぎますねぇ(おそらく企業の研修で使用することを想定しているので、値段が高いんでしょう.....執筆者のほとんどがWeb解析サービスを提供している会社の創業者か、事業会社側の管理職に就いている人でした)。


内容は、ちょうど痒い所に手が届くレベル感です。こういう質問に正確に答えられて、初めてある程度Webを理解できた人材ですから、私が如何にWeb素人かがわかりますww

  • アクセスログに記録される情報
  • ヒット数とページビュー数の違い
  • ログフォーマットの違い
  • ステータスコードとは



今の業界にいると、未だに所詮Web()の認識になってしまいがちです。。。Web老害と若い世代からバカにされないように、今年はテクニカルの部分にも踏み込んでいきます。

2020年9月5日土曜日

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 弘子 ラザヴィ


デジタル系のコンサルを長年やってきた弘子 ラザヴィさんの本。CSってやつですね。内容はPMっぽいことを説明しています。従来のユニットエコノミクスという考え方(規模の経済)とは別の世界でデジタルのビジネスが回っているため、「顧客のLTVを伸ばす考え方になるため、CMの重要性が叫ばれるようになっている」のが、時代背景的に正しい気がしました。


本文中で紹介されていたHBRの記事からの引用なんですが、これはかなり大事なことだと思いました。

  • 期待値を上回るサービスで顧客を感動・満足させてもロイヤルティの向上のインパクトは低い
  • Effortlessを追求することで、ロイヤルティ消滅を防止する方がインパクトは高い

これって要は、Flictionを解消するサービスのほうが競争優位性を構築できるという話になります。となると、結局のところ日常用品のマーケティングと本質はほぼ変わらない気がしますよね。そうすると、「ファンベースマーケティング」とか「顧客のファン化」は幻想(というか広告代理店の謡い文句)なんじゃないかなぁと。

コトラーの言う5A(Affinity)の部分の構築がDigitalの台頭によって重要視されるのはわかるんですが、競争優位が「感情・イメージ」になるビジネスモデルってかなり脆弱なのではないかと。つまり、大手の会社がイメージ向上(?)に広告宣伝費をある程度流すのは妥当だけれども、そこに時間を割くのは筋が悪いのではないかと思ってしまいました。

いくつかのカテゴリーで結果が見れるといいんだけどなー。

2019年10月27日日曜日

クリエイティブの前にストックをつくる


マーケティングの要素の一つに、「質の高いクリエイティブを製作する」というモジュールがあります。戦略を反映した上で、消費者から見て「イケてる!」と思われる作品のことです。

意外とセンスがいい/悪いはマーケティングに関わる限り無視できない要素です。たとえ興味がなかったとしても、広告代理店に適切に指示できるだけのスキルがないと務まりません。じゃあそれってどうやって身につくのでしょうか。

ここの書籍は存在しません。そりゃ芸術分野が言語だけで表現できるわけないから当然という。ということで、グローバルブランドのAdでいいのストックしていきますw

  1. Armani exchange
みんなが知っているアルマーニのSub brandですね。ジョルジオ、エンポリオとありますが、Exchangeは主に若者向けの洋服ブランド。このBehind sceneビデオかなり好き。圧倒的に2011~2012がいい。バーバラパルビンだからという贔屓抜きにしても、音楽とかシーンの描き方が好き。



















2019年7月7日日曜日

Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital Philip Kotler, Hermawan Kartajaya and Iwan Setiawan


Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital をついに読破しました。著者は、超有名なビジネススクールKellogのPhilip Kotler氏の書籍です。デジタルの時代変化に応じてマーケティングのフレームワークを刷新した書籍になります。今後は、このマーケティング4.0が共通の言語としてビジネスコンテクスで語られることになるんでしょう。



なお、マーケティング4.0の日本語版の書籍はこちら。朝日新聞出版から翻訳が出てます。
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則


いつものように要約しますと、

By going though "Marketing 4.0#, you can gain below points.

1) how digital technology changed the customer landscape
2) how marketers can handle three consumer paradoxes
3) why traditional marketing techniques no longer work
4) how to market your brand in the digital age

Making the transition from Marketing 3.0 to Marketing 4.0
As the Internet leads business to become more global and inclusive, parallel technological advances make consumer items more affordable to people in emerging mass market. The reverse is also true. Companies are changing their product's path from vertical to horizontal.

The generation of "digital natives", those who grew up with digital technology, is referring current trends, such as where and when people shop. These new consumers are young, urban, middle-class, mobile and connected; they make purchases on their store own schedule and in their own way. They research items online, even when shopping at a physical location, and they value interaction and engagement. They trust their social networks. People now trust the "f-factor" - "friends, families, Facebook fans" and "Twitter followers" - more than they trust marketing messages.

Long-standing industries face disruption from lowered barriers to entry and three kinds of technology-enabled connectivity- Mobile connectivity, Experiential connectivity, and Social connectivity.

Three Paradoxes that marketers must deal with in the age of connectivity.
a) Online interaction versus offline interaction
b) Informed customer versus distracted customer
c) Negative advocacy versus positive advocacy

From selling the Four P's to Commercializing the Four C's
The digital economy toppled traditional tenets of marketing. Business once enjoyed vertical relationships with  their customers, and marketers could divide the market into segments that they could target with specific brand messages. In the digital age, communities have replaced segments. Brands now must ask permission to participate in ongoing conversations. Those who speak for brands must understand their brand's character and stay true to its values.
Marketing's four P's - "product, price, place and promotion" - have evolved into the four C's: "co-creation, currency, communal activation and conversation."

From Selling the Four P's to Commercializing the Four C's

The marketing mix is a classic tool to help plan what to offer and how to offer to the customers. Essentially, there are four P's: product, price, place, and promotion. Product is often developed based on customers' needs and wants, captured through market research. Companies control the majority of product decisions from conception to production. To establish a selling price for the product, companies use a combination of cost-based, competition-based, and customer value– based pricing methods. Customers' willingness to pay, estimated in consumer value–based pricing, is the most important input that customers have in connection with pricing.
Once companies decide what to offer (product and price), they need to decide how to offer (place and promotion). Companies need to determine where to distribute the product with the objective of making it conveniently available and accessible to customers. Companies also need to communicate the information about the product to the target audience through various methods such as advertising, public relations, and sales promotions. When the four P's of the marketing mix are optimally designed and aligned, selling becomes less challenging as customers are attracted to the value propositions. In a connected world, the concept of marketing mix has evolved to accommodate more customer participation. Marketing mix (the four P's) should be redefined as the four C's (co-creation, currency, communal activation, and conversation).

Understanding how people buy
Importantly, when we think about customer journey, 5A(5A - Aware/Appeal/Ask/Act/Advocate) model is more reliable than AIDMA. The fiveA's don't always progress in a linear way. Customers may go back and forth among stages and revisit previous stops. Marketers must leverage three overlapping spheres of influence - called ”O zone(O3)"; outer influences/other influences/own influences.




コトラー曰く、5Aのフレームワークにおいて進捗度を判断するための指標は2つあります。ちょっと詳しく書きます。

1. PAR(Purchase Action Ratio)=ブランドの認知からどれだけ購入の行動まで至ったかを判断するための指標=Act/Aware
2. BAR(Brand Advocacy Ratio)=ブランドの認知からどれだけブランドの推奨まで持っていくことができたかを判断するための指標=Act/Advocate

e.g. 100人いる市場で90人ブランドをしっている人(Aware)がいれば、18人が購入(Act)し、そのうち9人が推奨(Advocate)すれば、PARおよびBARはいくつになるか?
PAR=18/90=0.2, BAR=9/90=0.1

理想はPARが1であること(想起した人のうち全員が購入するケース)だが、現実はそこに至ることはほぼない。PARの指標が1以下のときは(つまりほとんどのケースにおいては)、Actまでのどのステップで顧客を失っているのかを考察する必要があります。BARも同様に指標が1であることが望ましいです。なお、PARは「マーケットシェア/ブランド想起率」でも表すことができます。e.g. PARが0.5で、ブランド想起率が1%のとき、マーケットシェア=PAR×ブランド想起率より、マーケットシェア=0.5%とわかります。

PAR/BARの算出する目的とは、現状のパフォーマンスを可視化させ、マーケティングの生産性を向上させること、および、不要なマーケティング費用の浪費を減少させることです。



まあ、後は産業別のArchitecture、コンテンツマーケティング、オムニチャネルの重要性です。産業別のArchitectureは必見のフレームワーク。



個人的に印象に残ったのは、このあたり。
"Instead of delivering value-proposition messages, marketers should be distributing content that is useful and valuable for the customers"
"More touch points and higher volume in messages do not necessarily translate into increased influence"
"If brands want to influence the minds of mainstream customers, convincing youth is the important first step"
"Instead, a company can be more competitive if it can connect with communities of customers and partners for co-creation and with competitors for cooperation."
"Connectivity accelerates market dynamics to the point where it virtually impossible for a company to stand alone and rely on internal resources to win. ..... social media enable customers to show and share their customer experience, which further inspires other customer from the same or cover class to emulate and pursue a similar experience."




2019年7月6日土曜日

顧客起点マーケティング 西口一希


最近偉大なるOBに直接お会いしました。その著作がこちら顧客起点マーケティング



N1分析と定量分析/プロダクトアイディアとコミュニケーションアイディ/オンオフ統合マーケティング/TVCMのPDCA/5セグマップと9セグマップ/キャズム理論/ゼロフリクションワールド/破壊的イノベーション/シンギュラリティ

マーケティングの世界では、以下のような相反した考え方がぶつかることが多々あるが、それらはすべてHOWの話であって、本質的な話ではない。つまり、視座を一段階上げることが必須。その助けになるのが、シンギュラリティです。

  • マス vs. デジタル
  • 販売促進 vs. ブランディング
  • 短期投資 vs. 長期投資
要は、「パラレル」から「フリクション」Worldへというのがキーワードです。Google所属の未来学者Raymond Kurzweilが提唱している、シンギュラリティという変化の臨界点に我々はそもそもいるのです。
  • 行動と状態のすべてが可視化される世界 - つまりは、データ化
  • 物理的世界と人間すべてがデジタル連結を行う世界
  • 摩擦(時間、物理、心理、無理無駄)がゼロに向かう世界

それが実は前段の部分で、それを踏まえてマーケティングを語ると、「メディア、販路、手法起点で話を進めるのは二流であって、一流は「顧客起点」という視座から話をスタートさせるよ!」というお話です。売上というトップラインを伸ばすには、以下の打ち手に集約されます。これにブランディグという軸を入れ込んだのが西口さんの著作です。これによって、販促活動とブランディングのベクトル軸が明確になり、プロダクトサイクルとともに打ち手の選定に使えます。
  1. ロイヤル顧客→スーパーロイヤル顧客
  2. 一般顧客→ロイヤル顧客
  3. 離反顧客の再顧客化
  4. 見込み顧客(認知・未購買顧客)の再顧客化
  5. 未認知顧客の再顧客化

ちなみに、ありがちな消費者セグメンテーションの基本はそれぞれのセグメンテーションでの打ち手は二軸のデータを基に設計されるべきです。もし提案に「ペルソナ」を使っている広告代理店とか三流なんで信頼しちゃダメですw

  • 行動データ
  • 心理データ

実態として、データの中にも使えるデータとクソデータがあるので、それを見分ける選球眼を身につける必要があります。消費者リサーチ系だと、「次にどのブランドを買いたいですか」という質問とシェアの相関性は高い一方で、他人に勧める系の質問は本音と建て前が全面に出てしまい、本当の定量データは採用できないのは有名な話です。


追記:この書籍を再度読み返したのですが、かなり実務家に役立つ情報が詰まっていると思います。実際に戦略を構築する、あるいは、短期的な打ち手を提案することを想定すると、本書が世の中のマーケティング本の中で有効なんじゃないかと思いました。

9 Segmentationはコンサルの方もMECEに分解して提案しそうな内容なので、新しさはないのですが、ここの図式化の美学は「マーケティング投資対効果を同時に可視化」する点にあります。

アイデアの定義、そして、その勝ちパターンを体系化した点が秀逸です。
  • アイデア=便益かつ独自性(Only-one uniqueness)。これは「注目に値するか」で有無がわかる。
  • 独自性は、Mポーターの戦略論で語られる比較優位性の意味ではない
    • アイディアには二種類あり、Product ideaとCommunication ideaがある
      • Product ideaの独自性=便益になるのが理想形
      • Product ideaの確固たる独自性が便益を支えるのがRTB型
    • Communication ideaは、PIを対象顧客に伝え購買行動を起こしてもらうためのコミュニケーション自体のアイデア
      • Communication ideaの独自性:広告、リアルイベント、キャンペーンの仕組みにおけるクリエイティブの独自性
      • Communication ideaの便益:広告を受け止める顧客が具体的な便益を受け取ること
    • Communication ideaは独自性で注目を集めても、その便益がプロダクト自体の便益に結びついていないと機能しない
  • アプリのマーケティングは、長期、かつ、継続的な利益最大化を目的として、総顧客の増加とロイヤル化を達成するために、新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤル化、離反顧客数の減少、離反顧客の復帰に関して短中期で優先順位を設定して活動する。その実行モデルとして、AARRRモデルが存在している。







2019年6月1日土曜日

マーケティングの基本 安原智樹


マーケティングの基本を読み返しました。マーケティング業務の難しさは概念的な理解と実践的な実務がリンクしにくいことなんでしょうなぁ。

人に教えるというのは難しいですね。実際にやってみないと肌感覚で腑に落ちない部分はいろいろあります。

いつもの通り、以下はメモ。

商品ブランド価値
  1. 具体的な効果や効用を提供する基本価値
  2. 商品が持っているメッセージや美学が提供する情報価値
  3. 商品との接触場面がはじまってから終わるまでの体験が提供するプロセス価値

3Cの環境分析を通じて、要は以下の二点を抑える
  • どのフィールドで商品開発をするのが魅力的か
  • どういった自社資産を活用するのが望ましいか
消費者視点のミクロ分析=GCS(Genre, Category, Segmentation)

2019年5月4日土曜日

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 森岡毅

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方の要点を記録しておきますw

これは就活生とかマーケティングの根幹の考え方を掴むにはちょうどいいです。戦略的思考の部分に関しては、個人的にやっぱりコンサルタントが書いた本のほうがきっちり定義されていていいです。戦略・戦術、目標・目的などの概念的な部分を理解させるためだけならいいのかもしれませんが。読者層を考えたら、ああいう小難しい定義とかよりも、文体として緩やかなほうが適切なのかもしれません。



  • ハーバード大学教授のセオドア・レビットが顧客視点という発想を持ち込んだ(Harvard Business reviewでも記事があります)
  • WhoのCore targetを見つける際に役立つ切り口
  1. Penetration
  2. Loyalty (share of requirement)
  3. Consumption
  4. System(# of SKU)
  5. Purchase frequency
  6. Brand switch group


戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則 本田哲也


PRとしては2冊目です。


要は、マーケティングの広い観点から見た際に、戦略PRの役割は「属性順位転換」を行う手助けをすること。だから、「戦略PR=空気づくり」となる。

基準となるKGIは以下の順番に難易度が高いが、市場への影響度だと行動を変えることに尽きる。
Publicity<Perception change<Behavior change


戦略PRとしての難しさは、関心テーマの選定である。経験則から以下の3つを繋げる「架け橋」=「関心テーマ」と認定するのが良い。
  1. 商品便益:商品やサービスが提供する機能、既存品や競合との差別化ポイント
  2. 世の中の関心事:世の中や第三者が気になっていること、世間の話題
  3. 生活者の関心事とメリット:商品やサービスを使う人が抱えている問題、その解決

戦略PRの成功に欠かせない要素は以下の6つ。
  1. おおやけ=社会性の担保
  2. ばったり=偶然性の演出
  3. そもそも=普遍性の視座
  4. しみじみ=当事者性の醸成
  5. かけてとく=機知性の発揮

2019年4月25日木曜日

最新戦略PR 入門編 本田哲也



読了。PR業界の第一人者である本田さんの書籍。実務家なので、文体が読みやすい。


  • 「空気」とは人々が暗黙のうちに共有する情報の集合である。
  • 「カジュアル世論」形成によって、消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出す。e.g. ハイボール(09)
  • 戦略PRには、以下の要素が必要。おおやけ「公共性」/ばったり「偶然性」/おすみつき「信頼性を生むお墨付き・権威」
  • 戦略PRは、単なるパブリシティではない(Public relations)>戦略PRでは、戦略的なテーマ設定を行う>戦略PRでは、戦略的なチャネル設計を行う

カジュアル世論が消費者に与えるもの
商品の戦略的ポジショニング
新たな「トレンド」への気づき
そのトレンドの中心としての商品
新たな「価値観」への気づき
その価値観のシンボルとしての商品
新たな「問題」への気づき
その問題の解決策としての商品

テーマ設定においては
1) 商品の便益に関連しそうな、世の中の関心事を調べる
2)商品の便益を世の中や消費者の関心に合わせて翻訳する
3) そのふたつを結びつけ、テーマを設定する
4) テーマを「ニュース」にするための材料を用意する
5) テーマを広げるための具体的なPRプランを策定する

実際はこれを行き来したりして、コンセプトを設定する。


2018年12月8日土曜日

ブランディング22の法則 アル・ライズ


はい、ブランディング22の法則です。
アル・ライズさんの名著です。必読書ですね。
(マーケティング22の法則を読んでない人は読みましょう)



最近思うのが、こういう基本的な知識がない中でブランディングの意見をあーだこーだ述べてももはや無価値ですね。。。この領域は本当難しい(尤も業務担当者になれる機会がそもそも少ないわけで)し、奥深いです。

ということで、個人的なメモは以下になります。

ブランディング(ブランド構築)のプロセスこそが、広範囲に及ぶマーケティング機能を結合させる接着剤、すなわち、マーケティング・プロセスにおいて最も重要な目的である。

つまり、マーケティングとブランディングの違いは以下になります。
マーケティング=見込み客のマインド(頭の中)にブランドを築き上げること
ブランディング=商品を販売するための効率的な方法

1. The law of contraction (2)
いい結果はビジネスを拡張するよりも収縮させる時に生まれる。小売業のほとんどのカテゴリーキラーは一様に次の五段階のパターンに従っている。
(a) 焦点を絞り込む。強力なブランディング・プログラムは常にカテゴリーを拡張させることではなく、収縮させることから始まる。
(b) 商品を豊富にストックする。
(c) 安く仕入れる。
(d) 安く売る。
(e) 当該カテゴリーを支配する。ブランディング・プログラムの究極の目的は、カテゴリーを支配することである。

2. The law of publicity (3)
今日、ブランドは生まれ出るものであって、作られるものではない。新しいブランドにはメディアでの好意的なパブリシティを生み出す力がなくてはならない(=新しいカテゴリーにおいて一番手brand)。ブランドを構築するのは、広告ではない。広告はブランドを維持するために必要なだけであって、パブリシティによって構築される。

3. The law of the word (5)
ブランドを築きたいと思うなら、見込み客の頭の中に1つの言葉を所有することに努力を集中するべき。焦点を絞ってカテゴリーをOwnすることが全てである。

4. The law of Sub-brands (14)
ブランド=顧客の頭の中に刻まれたアイディア、特徴、典型的顧客像
サブ・ブランディングは当該ブランドをその反対の方向に導く考え方であり、市場を追いかけている、ブランド構築をしていない

5. The law of siblings (15)
新しい兄弟ブランドは新しいカテゴリーを創る場合のみ市場に出すべき。(製品ラインの穴埋め、既存ライバルと張り合うためだけに出すのは間違い)

6. The law of consistency
市場は変化するかもしれないが、ブランドは変えるべきではない。あなたは、ブランドの境界を限定するべきである。

7. The law of change (20)
A) ブランドが弱体であるか、消費者の頭の中に存在しない場合
B) ブランドの価格帯を下げて利益を確保したい場合
C) ブランドの旨みが乏しい市場にあって、いずれは変化が起こりそうな場合


2018年11月25日日曜日

ネット広告&スマホSNS広告がよーくわかる本 佐藤和明


読了。さすがに、法律(消費者基本法、民法の消費者契約法、不正競争防止法)のところぐらいしか学ぶことがなかった(笑)





とはいえ、思ったことは
1. ある世界を包括的に把握するのは重要。そして、多くの場合は書籍で学べる。
2. DisruptiveなDigitalはDigitalで学ぶしかない。そして、多くの場合はTechnologyへの理解が鍵となる。
3. その上で細かいHowを学ぶことが大事。Howから入るとタダのノウハウ屋になってしまう。

2018年11月11日日曜日

マーケティングの仕事と年収のリアル 山口義宏



自分の職種の市場構造を理解しようと思い、マーケティングの仕事と年収のリアルを読みました。マーケティングの職種に興味ある人は一度は読んでみるといいかと。文体が難しくないから、3時間もかからず読めます(笑)



内容に関しての感想は、
  • 筆者の経歴的に、事業会社と広告代理店を行き来しているからなのか、広く基本的な情報は網羅されている。
  • 経営ゾーン、スペシャリストゾーン、起業ゾーンのどこを目指すかで、問われるスキルセットも変わってくる点は100%同意する。
  • マーケティングがふわっとしているのは、マーケティング施策に関する情報ばかりが世の中に溢れているからだと納得した。
  • 就活生や一般の人にとってのマーケティグがHow/アイディアの話に思える原因が何かがようやく理解できた。
  • 広告代理店ではなく、事業会社からマーケティングに関わるほうが、包括的に全体像をつかめるようになるのはそうだと思う。

ちなみに、この内容にガチレスをしてみると
  • 経営管理業務を行いながら、マーケティング施策を打てるマーケターなだけで、希少性がある。これは事業会社側を経験しない限りなれない。
  • ブランディングができるマーケターは、超希少種になれる。
  • 広告代理店の勝ちパターンはスペシャリストになること意外なさげ。
  • マーケティングを体系的に学べるキャリアは日本だと転職をしながら構築しないと事実上なさげ。
  • 筆者の経歴と携わっている案件が原因だからか、21世紀の最大のトレンドであるグローバリゼーションとDigitalの観点が欠けている。こっちの世界を目指したい人はやはりそれ相応の知識や経歴を積んでいく必要あり。


2018年10月21日日曜日

アイデアのつくり方 ジェームス W.ヤング



最近、仕事でちょっとうまくいった土台となった名著を紹介しましょう。読破して半年ぐらい経ちますが、改めて古典の威力を思い知ってます。

アイデアのつくり方

広告代理店のストプラとかマーケティングを含む経営企画関係職の人は読んでないとアウトです。そもそも広告業界の人でこういった名著を読まずにいるのもヤバいです。この本はAmazonのコメント欄にもあるとおり、米国最大広告代理店のトップが描いた名作です。
アメリカの最大の広告代理店・トンプソン社の最高顧問であった、著者が書いた本ですね。広告代理店協会の会長も務めたことがあるようです。まず、驚いたのは増版の回数。1988年に初版が発行されたようですが、2017年までに70回も増版されています。
内容は、「アイディアってそもそもどうやって生み出すのか?」という問いに対する解があります。資格業じゃない職種(クリエイティブとか企画)は、先天的なセンス有無で決まりそうに見えますが、実は「圧倒的な情報量とその解釈で質が決まる」わけです。



クリエイティブ系の職種って他の資格で守られている職種よりも勉強がいらないように見えますが、ホワイトカラーである以上、そんなことないです。というのも、「アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ」であって、その再現性を高めるために知識を仕入れるのは十分条件ということです。。優秀な広告代理店とかマーケターになるために、先輩から「よく遊べ!」とか、「合コンいけ!経験をしろ!」とか言われる背景は、実はこういった考え方があったわけです(と私は解釈しています)。

結局、21世紀の職業は基本的に、米国のロバート・ライシュが提唱するように「シンボリックアナリスト」を目指して勉強するのが一個の正解なのかもしれません。



2018年9月9日日曜日

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則 アル・ライズ



マーケティングの名著です。アル・ライズはポジショニング戦略などマーケティング界隈で超有名な人です。広告業界とかマーケティング部署の人は読んでないと話のスタートに立てません。(本当それぐらい、重要な法則が並んでます)

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

一応3回読み直しましたが、毎回読むたびに気づきがあります。


何回も反復しようと思います。Line extensionなんてまさに議論しどころなトピックですw



1. 一番手の法則:最初に顧客の心に入り込むことが、市場をリードするブランドになる。最初に市場に参入したブランド名が商品の総称になることが過去の事例として多い(例:飲料/PC/)ミニバン/雑誌/レーザープリンタなど)。


2. カテゴリーの法則:最初に市場参入できなかった場合は、一番手になれるカテゴリーを見つける。新製品はどのカテゴリーで一番手かを思案すべき。


4. 知覚の法則:マーケティングは商品の戦いではなく、知覚の戦いである。あらゆる事実は相対的であるため、「事実を把握すること」は成り立たない。顧客や見込み客の心の中にある知覚こそが現実である。「周知の事実の法則」消費者は間接的な知覚を頼りに購買決定をする事実により、マーケティングは複雑になっている。


5. 集中の法則:見込み客の心の中にただ一つの言葉を植えつけることである。簡潔で利点を伝える言葉が望ましいが、利点に関連、サービスに関連、顧客関連、セールス関連した言葉が用いられる。マーケティングの基本は、焦点を絞り込むこと。


6. 独占の法則:二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない。ありうるミスは、競争相手の商品コンセプトの重要度を高めることにより、相手の立場をさらに強固にしてしまうこと。


7. 弟子の法則:採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかで決まる。顧客の心の中には、購買決定をするにあたって用いる序列尺度が存在する。マーケットシェアと顧客の心の中にある梯子段上のあなたの位置との間には相関関係があり、上から4:2:1の割合。


9. 対立の法則:ナンバーツーの座を狙う際の戦略は、ナンバーワンのあり方によって決まる。ナンバーワンのエッセンスを把握し、相手との差別化を図る。マーケティングとは、多くの場合正当性をめぐる戦いであり、最初に本物なりのコンセプトをつかんだブランドが、多くは強豪相手を偽物呼ばわりできる。


10. 分割の法則:時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、二つ以上のカテゴリーに分かれていく。分割することはあるが、統合することはない。


13. 犠牲の法則:何かを得るにためには、何かを犠牲にしなければならない。製品ライン、ターゲット市場、絶えざる変更のいずれかが犠牲になる。マーケティングとはある種の心理戦争である。


16. 成功の法則:うぬぼれてはいけない。ブランドが成功したから製品ライン拡張に飛びつく事例は数多。


21. 成長促進の法則:成功するマーケティングとは、一時的流行現象(ファッド)の上に築かれるのではない。長期に渡るトレンドの上に築かれるのだ。

2018年8月26日日曜日

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? 森岡 毅


USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?を読了しました。





「必要条件の絞り方でアイディアの質が変わる」点は、納得。ブレインストーミングとかしてもたいして意味ないですしねぇ。その前に「大量の情報をinputする」というのが凡人にとって正しいアドバイスだと思う。


2018年2月12日月曜日

シェア〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略 レイチェル・ボツマン/ルー・ロジャーズ


結構長かったけれども、なんとか読了!

本書では、コラボ消費について解説していく。これは結構読んでて面白かった。著作は2010年12月と少し古いけど、日本でもようやくコラボ消費が台頭しつつあるので、全然色褪せない内容。




シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

米国の余波が5年ぐらい経って流行るのが日本だから、タイミング的には外れていない。

本書は、共有による価値創出が行われている消費行動を「コラボ消費」と呼び、このトレンドが世界中の数多のサービスに関して分析した上で、次世代の影響力を持つ社会経済変化だと結論づける。

Youtube, eBay, CouchSurfing, SharedEarth, Airbnb, Netflix, Zipcar, Swap.com, Freecycle, OurSwaps, ReUseIt, Zilok, Zopa, thredUP, U-Exchange, Prosper, SolarCity, Gettaround, RelayRiders, MyBo, Skype, Jumo, Meraki, Kickstarter, WordPress, Meetup, Myspace, Kiva, Rentoid, Steelcase, Freecycle, Kashless, Around Again, BarterQuest, UISwap, SCoodle, Toyswap, MakeupAlley, Swap.com, Citizen Space, Hub Culture, Urban Gardenshare, Ithaca Hours, Brooklyn Skilshare, ParkatMyHouse, Roomorama, SmartBike, B-cycle, OYBike, BIXI, Zimride, NuRide, Foursquare, EveryBlock, HearPlanet, Flicker, OpenStreetMap, Citizendium, Bepress, Slashdot, NeuroCommons, Spotify, BabyPlays, Toy Rental Club, erento, iLetYou, LiveWork, .......


そして、「コラボ消費」のシステムに関して以下の3つに分類して、一つ一つ説明していく。
1. プロダクト=サービス・システム(PSS):利用した分だけお金を払うという「所有より利用」のコンセプトを持つサービス、「活用型」と「寿命延長型」の二種類が存在
2. 再配分市場:ソーシャルネットワークをとおして、中古品や私有物を必要とされていない場所から必要とされるところ、また必要とする人に再配分するサービス
3. コラボ的ライフスタイル:同じような目的を持つ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金といった目に見えにくい資産を共有するサービス

これらの成功モデルに共通する四つの原則は以下になる。
a) クリティカル・マス*:システムを自律的に維持するために十分なモメンタムがそこにある(*社会学の用語)
b) 余剰キャパシティ
c) 共有資源の尊重
d) 他者への信頼

基本的に上記内容を歴史的系譜をたどりながら解説していく超面白い本です。
以下が個人的メモ。もはや膨大にありすぎるw


歴史的背景
1889年 ノルウェーの経済社会学者ソースティン・ヴィブレンが「衒示的消費**」という概念を提示(**新興階級が富と権力を見せびらかせるために、消費すること)した。
1920~1950年代 ハイパー消費主義(=自閉的資本主義)の台頭。これによって、所有のスタイルには統一感(持ち物の色、スタイル、流行感など)が必要だと思い込まされる。
1950年代 ハイパー消費主義の時代には、集団やコミュニティの価値観よりも、消費者としての自立や「何においてもまず私」という心理が先になる。「自分のものは自分のもの」として完全に自己完結することが究極のゴールという誤ったコンセプトが、あたかも個性と自立の尊重に唱えられたからだ。
1960年代 ハーバード大学公共政策を研究するロバート・D・パットナム教授は、社会資本を強調的な行動を促して社会の効率を上げる信頼、規律、ネットワークと定義した。彼によると、1980年から1993年の間に、社会資本の大幅な減少により、幸福感が著しく現象したことが実証されている。


  • カーロッタ・ペレスの研究:経済の基盤や社会が拠って立つ規範-家庭、仕事、教育システム、政治の仕組み、自由時間の使い方、を一変する破壊的なテクノロジが70年ごとに一度生まれる。
  • オハイオ州立大学の社会心理学者のマリリン・ブリューワーの言葉を借りれば、コラボ消費は「社会的な自分 - つまり、つながりや帰属を求める自分自身の一部」を満たす。コラボ消費は、シェアと交換という本能的で自然な行為がベースになっているのだ。
  • スタンフォード大学の社会学のマーク・グラノヴェッターによると、「弱い紐帯の強み」知らない人同士の社会的関係が個人の生き方を豊かにする。
  • エドワード・バーネイズは、「感情の訴求力」に科学的根拠があると発見した。彼は、フロイトの「精神分析入門」を読破し、人間の深い潜在意識のレベル、とりわけ攻撃性や性的欲求に働きかけることで、消費者の行動を操ることができる、ことに確信したのだ。物を欲しがらせるには、人間の原始的行動パターンー何を崇拝し、何を忌み嫌い、何を愛し、憎しみ、恐るかーと欲求を結びつけなければならない」。
  • 消費心理学教授で消費行動経済学の第一人者である、リチャード・ファインバーグはクレジットカードが消費行動に与える影響を長年研究してきた。「クレジットカードは支払いの感覚を購入の現実から切り離す」ーこの現象をデカップリングと呼ぶ。カーネギーメロン大学の神経学者、ジョージ・ローウェンスタインは指摘する、「クレジットカードが、脳の支払いの苦痛に対して麻痺させるんです」。つまり、依存症や否定的な感情と関係がある島皮質の活動が、クレジットカードの支払いだと見られない。
  • ミシガン大学の政治学教授のロバート・アクセルロッドは続ける。「人は、友情や信頼から助け合うのではなく、関係を続けることが将来自分のためになると信じるからこそ助け合う」ーこれを「未来の影」と呼ぼう。
  • 「トランシューマリズム(=消費者の浮気心」とは、チョイスの多すぎる現代の消費社会の産物として、的を得た表現である。
  • コラボ的サービスシステムと呼ぶものを四つの重要なデザインの要素に分ける。それは、利用の円滑さ、サービスの複製可能性、アクセスの多様性、コミュニケーションの強化。
  • コミュニティのために役立つことをすれば、それによって自分の社会的な価値が高まることを知っている。そして、ネットワーク効果はインターネットの発展によって加速された。インターネットを含むSNSの台頭によって、仲介者不在の世界になりつつある。「親しみがわき信頼が築かれるような適切なツールと環境をつくり、ビジネスとコミュニティが出会う場所を提供すること」が仲介者の役割だったが、これをサービス受益者同士が監視できるシステムにすることによって、不必要になるわけだ。
  • 社会的承認を求めるには、わけがある。それは原始的な本能であり、他人の行動やふるまいを真似て決断することで、認知に要するコストを節約できるからだ。
  • 実は、デザイン的思考とコラボ消費は似ている。デザイナーは、消費者や企業のニーズと社会全体の利益の間の健全なバランスを見つけるという役目を担うようになりつつあるのだ。なぜなら、デザインは「創造」から「思考」へと大きく飛躍した。デザイン的思考とは、人為的な創造のプロセスをシステムや経験を使うことで、一つひとつ別々の製品についてではなく、もっと大きな問題の解決に応用するという意味になっている。
  • ニール・ローソンが著作、"All Consuming"で「消費づけることで、ますます消費者以外の何ものにもなれなくなる」と指摘したように、人生でものを溜め込むことに時間と空間を使えば、その分だけ他者のために使う余裕がなくなる。物質的豊かさの追求は、人間のもっとも基本的な社会的欲求、つまり家族や地域の絆、個人の情熱、社会的責任と本質的に相反する。
  • もの(それ自体)よりも、それによって満たされるニーズや経験を求めている。オンライン上の自分のブランドが自分が誰か、何が好きかを定義するようになると、実際に所有するよりも、利用していることやつながりがあることを見せる方が大切になる。その動向の一つが、「サービス・エンヴィー」と呼ばれるサービスだ。それを利用することがステータスとなるようなサービスのことを指す。利用しているサービスをとおして自分がどんな人間かを相手に表現できるようなサービスであるがゆえに、自己表現欲求を満たせるのだ。
  • 人々が協力をしてプロジェクトや特定のニーズにあたれるような適切なツールを持ち、お互いを監視し合う権利を上手に管理できれば、コモナー(共有者)は共有資源を自己管理できる。これにて、共有地の悲劇を避けることができるのだ。人間関係と社会資本がもう一度取引の中心になったことで、他者との信頼を築いたり維持するのがより簡単で、ほとんどの場合において、信頼が逆に強化される。



なお、著者のHPは以下にあります。
Rachel Botsman HP
https://rachelbotsman.com

2017年12月30日土曜日

フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略 クリス・アンダーソン


全米で昔大ベストセラーになった一冊。著者は、ロングテール*を発見したことで有名な、クリス・アンダーソン。2009年出版なの9年近く経つが、現在のフリーを体系的にできる良書です。フリーを説明するために、行動経済学、心理学、マズローの欲求段階説、歴史、とあらゆる分野のアイデアを動員しています。





フリー[ペーパーバック版] 〈無料〉からお金を生みだす新戦略


  • フリーのお話に入る前に、前提の説明

まず、21世紀はビット経済である。20世紀はアトム(原子)世界であったが、21世紀はビット(Bit)世界になるわけです。
アトム経済においては、私たちのまわりにあるたいていのものは、時間とともに価格が高くなる。一方、オンラインの世界であるビット経済においては、ものは安くなりつづける。アトム経済はインフレ状態だが、ビット経済においては、デフレ状態なのだ。
つまり、以下のことが21世紀のデジタルの世界の特徴とも言えます。

  • 競争市場では、価格は限界費用まで落ちる
  • テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用は年々0に近づいている
  • アイディアからつくられるデジタル商材の開発コストも過激なまでに下がっている
ゆえに、「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、限界費用の高い情報は効果になりたがる」法則は避けらない。光ファイバーで拡大する帯域と「ムーアの法則」をもとに、より高性能かつ低康になるサーバが形成するネットワーク社会(=21世紀)は、これまで稀少だったものが豊富性を生み出し、新たな豊富性が次の時代を規定する稀少性を生むわけだ。
もう、これが本書の要旨といってもいいでしょう。もはや、20世紀とはゲームが変わっているんですよね〜。いやー企業のみならず、ゆとり世代も混沌とした時代を生き抜かなければならないんです(笑)

20世紀、企業のあらゆる製品はコモディティ化されて、安くなっていき、企業は儲けを求めて、新しい稀少性を探した。潤沢にあるモノのコストが底値にまで下がるとき、その商品に隣接した別のモノの価値を押し上げることがある。クレイトン・クリステンセンによると、「魅力的利益保存の法則」と呼んだ。
確かにちょっと考えるだけでも、スマホのケース、インスタグラムの加工アプリ、などいろいろありますね。。。
頭脳によって付加価値がつけられたものが最高収益を上げる時代になった。今日、稀少になったのは、「シンボリック・アナリスト」と元米国労働長官のロバート・ライシュが呼んだ、知能と技能と抽象思考をあわせ持つ有能な知的労働者だ。
これは衝撃的一文ですね(笑)
はい、勉強頑張りますw


  • フリーのビジネスモデル
著作では、フリーに関するビジネスモデルを4つにまとめてる。(といっても、フリーの本質は、商品から商品への、人から人へのお金の移動、現在と将来のあいだでのお金の移動、あるいは、非貨幣経済の市場に入ってまた出ていくこと。つまり、内部相互補助である。)
  1. 直接的内部相互補助;無料サンプル等で何かを購入することを期待している
  2. 三者間市場・市場の"二面性";広告収入によって賄う/ある顧客グループが別の顧客グループの費用を賄う
  3. フリーミアム;一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する(1, 時間制限/2, 機能制限/3, 人数制限/4, 顧客タイプによる制限)
  4. 非貨幣経済:贈与経済、無償の労働、不正コピー
行動経済学は、フリーに対する私たちの複雑な反応の多くを、「社会領域」における意思決定と「金銭領域」における意思決定に分けて説明する。しかし、現実の消費者は、金銭コストを計算できても、複雑すぎるが故に社会的コストを計算することは諦めて、サービスをそもそも教授しないのだ。
要は、人間って頭良くないからそんないちいち理論的に考えられない、と。「あーなんか、めんどくさいなぁ」って思って、思考そのものを諦めるわけです。

フリーは最初から料金を請求していないため、価格という知覚を消費者に意識させない。金額はいくらでもかまわないが、お金を払うという行為が決断を示す行動である。値段がつくことで、我々は決断を迫られるからだ。それだけで、行動をやめさせる力を持つ。経済学者ニック・サボに言わせると「心理的取引コスト」と呼ぶ。ロナルド・コースの取引コストを購買決定行動まで拡大した理論だ。
価格における「心理的取引コスト」という考え方、とても面白いです。

例えば、マッチングアプリなんか、デートへの心理的コストを減らすサービスを装備することが成功の鍵なのかもしれません。世界中で広がったマッチングアプリの代名詞、Tinderは「気軽にスワイプ」をテーマにしています。婚活市場にありがちな鼻息荒く異性を探す、つまりは、男がどの女の子がいいかの決断を真剣に迫られる、心理的取引コストを「第一印象のみで/ノリで決断する」ことに変換することで低くしているわけですね。





*ロングテール:売れ筋商品の棚からではなく、無限に続く商品棚からなんでも選べるようになったことで生まれた消費者の新しい需要

2017年10月28日土曜日

本当のブランド理念について語ろう ジム・ステンゲル



現在、UCLAのビジネススクール教授を務めているジム・ステンゲル。
元P&GのCMOを務めた経験から、ブランド経営を行う企業のうち、より高次な成長を遂げたブランドの共通点を抽出した本。





本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50


なんと調べると、ちゃっかりTED talkにも出演している(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=pNzIiMrkktU


「企業理念とかって宗教チック」と懐疑していた時代もあったが、最近は企業理念が企業の全社戦略に与える影響力を少しは理解できるようになってきた。

やはり企業が(将来の運命を懸けた)選択をしなければならない際に、理念に立ち返って意思決定を行うことはよくあることで、意思決定の軸としては巨大な影響力を持つ。それもそのはずで、企業の存在意義を示すのが理念だから。これはブランドも同様。

ちなみに、この著者、5つの基本的価値に関してはすごく良いことを言っている。彼に言わせると、この価値が人間にとって大切な5つの基本的価値になる、と。

1. 喜びを感じさせる
2. 結びつくことを助ける
3. 探究心を刺激する
4. 誇りを掻き立てる
5. 社会に影響を及ぼす


ブランド理念の木はちょっと複雑なゆえ、一言だけ述べるとすると、ブランド理念の木の一部である「差別化のポイント:情緒的・合理的恩恵の提供」に関しては、マーケティングの施策精度で差が出るところだと思う。

そして、この情緒的な恩恵の提供の度合いを生み出すために、仮にマスの価格帯の製品であっても、消費者の情緒を揺さぶるクリエイティブと消費者に対して適切なメディアチョイスの組み合わせが必須かと。そうでないと、価格競争に巻き込まれて消耗戦になってしまうわけで。。。価格もマーケティングの一要素なわけですが、この価格の正当性を付与することがマーケティングが果たすべき役割の一つ。


やはり何事も奥が深いですな〜
頑張ります。

Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...