2019年7月6日土曜日

顧客起点マーケティング 西口一希


最近偉大なるOBに直接お会いしました。その著作がこちら顧客起点マーケティング



N1分析と定量分析/プロダクトアイディアとコミュニケーションアイディ/オンオフ統合マーケティング/TVCMのPDCA/5セグマップと9セグマップ/キャズム理論/ゼロフリクションワールド/破壊的イノベーション/シンギュラリティ

マーケティングの世界では、以下のような相反した考え方がぶつかることが多々あるが、それらはすべてHOWの話であって、本質的な話ではない。つまり、視座を一段階上げることが必須。その助けになるのが、シンギュラリティです。

  • マス vs. デジタル
  • 販売促進 vs. ブランディング
  • 短期投資 vs. 長期投資
要は、「パラレル」から「フリクション」Worldへというのがキーワードです。Google所属の未来学者Raymond Kurzweilが提唱している、シンギュラリティという変化の臨界点に我々はそもそもいるのです。
  • 行動と状態のすべてが可視化される世界 - つまりは、データ化
  • 物理的世界と人間すべてがデジタル連結を行う世界
  • 摩擦(時間、物理、心理、無理無駄)がゼロに向かう世界

それが実は前段の部分で、それを踏まえてマーケティングを語ると、「メディア、販路、手法起点で話を進めるのは二流であって、一流は「顧客起点」という視座から話をスタートさせるよ!」というお話です。売上というトップラインを伸ばすには、以下の打ち手に集約されます。これにブランディグという軸を入れ込んだのが西口さんの著作です。これによって、販促活動とブランディングのベクトル軸が明確になり、プロダクトサイクルとともに打ち手の選定に使えます。
  1. ロイヤル顧客→スーパーロイヤル顧客
  2. 一般顧客→ロイヤル顧客
  3. 離反顧客の再顧客化
  4. 見込み顧客(認知・未購買顧客)の再顧客化
  5. 未認知顧客の再顧客化

ちなみに、ありがちな消費者セグメンテーションの基本はそれぞれのセグメンテーションでの打ち手は二軸のデータを基に設計されるべきです。もし提案に「ペルソナ」を使っている広告代理店とか三流なんで信頼しちゃダメですw

  • 行動データ
  • 心理データ

実態として、データの中にも使えるデータとクソデータがあるので、それを見分ける選球眼を身につける必要があります。消費者リサーチ系だと、「次にどのブランドを買いたいですか」という質問とシェアの相関性は高い一方で、他人に勧める系の質問は本音と建て前が全面に出てしまい、本当の定量データは採用できないのは有名な話です。


追記:この書籍を再度読み返したのですが、かなり実務家に役立つ情報が詰まっていると思います。実際に戦略を構築する、あるいは、短期的な打ち手を提案することを想定すると、本書が世の中のマーケティング本の中で有効なんじゃないかと思いました。

9 Segmentationはコンサルの方もMECEに分解して提案しそうな内容なので、新しさはないのですが、ここの図式化の美学は「マーケティング投資対効果を同時に可視化」する点にあります。

アイデアの定義、そして、その勝ちパターンを体系化した点が秀逸です。
  • アイデア=便益かつ独自性(Only-one uniqueness)。これは「注目に値するか」で有無がわかる。
  • 独自性は、Mポーターの戦略論で語られる比較優位性の意味ではない
    • アイディアには二種類あり、Product ideaとCommunication ideaがある
      • Product ideaの独自性=便益になるのが理想形
      • Product ideaの確固たる独自性が便益を支えるのがRTB型
    • Communication ideaは、PIを対象顧客に伝え購買行動を起こしてもらうためのコミュニケーション自体のアイデア
      • Communication ideaの独自性:広告、リアルイベント、キャンペーンの仕組みにおけるクリエイティブの独自性
      • Communication ideaの便益:広告を受け止める顧客が具体的な便益を受け取ること
    • Communication ideaは独自性で注目を集めても、その便益がプロダクト自体の便益に結びついていないと機能しない
  • アプリのマーケティングは、長期、かつ、継続的な利益最大化を目的として、総顧客の増加とロイヤル化を達成するために、新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤル化、離反顧客数の減少、離反顧客の復帰に関して短中期で優先順位を設定して活動する。その実行モデルとして、AARRRモデルが存在している。







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