これで、「ソフトバンクショップの客引きガールがなぜかわいいのか?」や「iPhoneの機種を買う際にキャリア会社を替えるとなぜ安く購入できるのか?」、「Amexのクレジットカードをタイミング良くつくると、30,000円相当のポイントが受けられるのはなぜか?」、「Paypayがなぜ100億円還元キャンペーンを実施できたのか?」みたいな問いにみーんな答えられるようになります。あとは、IT業界への転職意欲が上がります(笑)
1) 情報経済
- インフォメーション製品の生産には高額の固定費と定額の限界費用がかかる。つまり、インフォメーション製品の価格付けは消費者が認める価値に対応したものでなければならず、生産コストが基準ではない。製品というものは、消費者がその価値を判断するのに経験が必要な場合に「経験製品」となる。インフォメーションはそれが消費されるたびに、経験製品になる。今日のほとんどのメディア制作者はこの経験製品の問題を「ブランドづけ」と「評判」によって克服している。
2) 情報に値段を付ける
- 支配的企業のモデルでは"最良の"製品を作っているかどうかは別にして、規模の経済のおかげで小さな競合企業に対してコストの面での有利さを十分に生かしている
- 差別化される製品の市場では同じ「種類」ではるが、他社とは異なるインフォメーションを生産している企業が数多くある。これがもっとも一般的なインフォメーション製品の市場構造だ。
- よって、市場競争における基本的な戦略は次の二つの戦略を応用することになる。
- 製品の差別化を図ること
- コストの主導権を握ること
経済学者のA・C・ピグーが1920年に"第一段階の価格差別化"というダサい名前で提唱したが、要は現在でいうOne-to-One marketingのことを情報産業では当たり前のように価格で行っている。パターンは三つ、a)個別化した価格づけb)バージョン化c)グループ向けの価格づけ。もう一つ、情報産業に顕著な特徴は、ネットワーク効果である。ネットワーク効果が生まれるのは、ユーザーが製品に対して認める価値が、その製品をどれだけ多くの他の人が使用するかによって左右されるという。
- インフォメーションの政策と販売にどれだけ投資しているのか、分析し理解する
- 日用品市場で闘わざるを得ないなら、積極果敢に攻める。しかし、欲張らないこと。
- インフォメーションとその価格の個別化によって製品の個別化を図る。
- 市場に関するデータの収集と分析に投資する。利用するのは、フォーカスグループ、統計分析、販売プロモーション、そしてその他のマーケティングテクニックだ。
- 顧客に関するインフォメーションを利用して、その顧客に個別化した製品を個別化した価格で販売する
- グループ向け販売の収益性を分析する
2) バージョン化
- インフォメーション製品の特徴を調整して顧客ごとに異なっている価値観を浮き彫りにすること
- 製品のバージョン化は様々な特色から工夫できる - ディレイ、ユーザーインターフェイス、画像の解像度、操作のスピード、フォーマット、性能、機能、わかりやすさ、複雑さ、そして、サポート
- オンラインのインフォメーションに付加価値をつけて、ハードコピーとの違いを明確にする
- 自分の市場を無理なくセグメント化できていれば、インフォメーション製品のラインアップをそれに合わせるように作ること(もし市場を無理なくセグメント化できないなら、バージョンは3種類作ること)
- ブラウザのコントロール
- バンドル化には意味がある。ただしそれは購買意欲のさまざまな違いを集約できる場合である
- 非直線的な価格づけをすると、消費者がsれを自分専用のバンドル作りに応用することもできる=ボリュームディスカウントはその製品の使用機会と売り上げとを同時に増加させることができる
- プロモーション価格はそれが市場のセグメント化に結びつく場合に意味がある
3) 知的財産権の運用管理
- デジタルテクノロジーは権利管理に関して二つの課題を生み出している>量産できる生産コストを大幅に下げ、かつ、流通にかかるコストを下げ、スピードを早める
- 流通コストの低下がサンプルの無料配布のコスト負担を減らし、その製品の宣伝を後押してくれる
- 契約条件を決定しようとするときは、基本的なトレードオフをよく理解すること。契約条件を緩やかにすれば、消費者が認めてくれる製品の価値は上がるだろうが、販売数量は減少する可能性がある。
4) ロックインを理解する
- スイッチングコストと売上の比較は一人あたりのベースで行うこと
- 転換のための総コスト=顧客の負担するコスト+新規の供給者が負担するコスト
- 現在の顧客からの利益=総スイッチングコスト+品質とコストの優位性
- スイッチングコストはインフォメーション経済では日常的に発生する。顧客はスイッチングコストをよく理解していないと供給者に思い通りの行動を取らせてしまうことになる。供給者にとって、スイッチングコストは設置ベースを評価するための鍵だ。つまり、顧客をライバル企業から乗り換えさせるための最初のコストを克服できない限り、顧客の設置ベースの確率はおぼつかない。このコストを埋め合わせるためには、顧客のロックインのサイクルを予見しなければならない。
- 新しい業界が生まれるたびに次々に現れるロックインには典型的なサイクルがある。ロックインのサイクル:ブランド選択ポイント>サンプリングの段階>塹壕の段階>ロックイン
- ロックインの本質は今日の投資が将来の選択肢を規定してしまう、という点である。この因果関係はテクノロジーごと違ってはいるが、予測は可能である。基本的経済パターンは7種類あり、契約上の権利義務、耐久財とそのアフターマーケット、ブランドに特化したトレーニング、インフォメーションおよびデータベース、特殊な供給者、調査のためのコスト、そして、優待プログラムである。
5) ロックインを管理する
- ロックインされないうちに脆弱な立場になることを引き換えに、相手の"譲歩"を引き出すために厳しい取引をすること
- 第二の供給源やオープンシステムのような戦略を追求し、ロックインの程度を最小限にとどめること
- ベンダーを選択する次の機会を見据えること。そして最初の段階からそのときの交渉の立場を強化するような積み上げをすること
- プロモーションを通じて、あるいは最初の段階でディスカウントを提供することによる、設置ベース構築のための投資に備えること
- 影響力のある買い手とスイッチングコストの高い買い手を味方につけること。なぜなら、もっとも利益の上がる顧客だからだ
- 製品とその価格をうまく設計し、顧客をこちらのテクノロジーに投資するように仕向け、それによってそのスイッチングコストを上昇させる
- 顧客に保管製品を販売し、設置ベースを利用する権利を得ることによって設置ベースの価値の最大化を図る
6) ネットワークとプラスのフィードバック
- 産業経済の原動力は「規模の経済」であったが、情報経済は「ネットワークの経済」が基本原理になっている。なお、ネットワーク外部性は「メトカーフの法則」の背景になっている(ネットワークの価値はそのユーザーの数に二条に比例して増加する[n(n-1)])。
- 手に入る報酬=業界全体の付加価値*(total value added to the industry) X 業界の価値に対するシェア(your share of industry value)
- プラスのフィードバックが存在すると、一般的なS型(ロジスティック曲線)の成長軌道をとる。
- 消費者の期待は成長をかそうさせるために必要な絶対多数を獲得する上で非常に重要である
- 新しい製品とテクノロジーを導入する企業は「性能」対「互換性」のトレードオフを解決しなければならない。進化の戦略には高度の下位互換性も入っているが、性能の向上には限度がある。
- 新しい製品とテクノロジーを導入する企業は「開放化」対「コントロール」のトレードオフにも直面する
- ネットワーク市場の基本戦略は、性能追求、コントロールされた移行、開放的な移行、そして非連続性の4種類である。
Control
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Openness
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互換性
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コントロールされた移行
|
開放的な移行
(=生産能力に依存するケース)
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性能
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性能追求
(>新テクノロジーによって自分の優位をしっかり確立できるケース)
|
非連続性(Hard disk>Efficient production, Software>付加価値のあるサービス)
|
7) 標準化戦争
- 戦っている標準化戦争のタイプを理解すること。もっとも重要な要因は、戦争を仕掛けている新しいテクノロジーと市場を抑えている製品との間の互換性だ。標準化戦争は三つの形態に分かれる。進化の競合、革命の競合、進化対革命である。
- 標準化戦争での強さは、七種の中核的な資産を持っているかどうかできまる。中核的な資産とは、a) 設置ベースのコントロール、b)知的財産権、c)革命を起こす力、d)創業者利益、e)製造能力、f) 補完製品分野での影響力、g) ブランド名と名声。
- 標準化戦争は先制攻撃が有効である。短い設計サイクル、中心的な顧客との早い段階での取引、そして戦略価格が先制攻撃の要素である。
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