2018年2月18日日曜日

史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか グレゴリー・ザッカーマン


金融業界の友達に勧められて読んでた本。
ようやく読了。




史上最大のボロ儲け ジョン・ポールソンはいかにしてウォール街を出し抜いたか

ポールソンは、CDSの取引で莫大な財産を築いた、本書の主人公。ペレグレーニと共に、不動産市場の状況を的確に見抜き、不動産ローンを返済できずに自己破産する低所得者が溢れることに確信を持って、取引を執行しする。ヘッジファンドが何を行っていたのかがわかる。

また、基本的に大損をした投資銀行のトレーダーの中でも、ドイチェバンクのリップマンが如何にして社内の軋轢を超えて、収益を上げる点が刻々と描写されている。サラリーマンならではの境遇が想像できる。

金融知識がなくても包括的にリーマンショックを理解できる、良書。



2018年2月12日月曜日

シェア〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略 レイチェル・ボツマン/ルー・ロジャーズ


結構長かったけれども、なんとか読了!

本書では、コラボ消費について解説していく。これは結構読んでて面白かった。著作は2010年12月と少し古いけど、日本でもようやくコラボ消費が台頭しつつあるので、全然色褪せない内容。




シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

米国の余波が5年ぐらい経って流行るのが日本だから、タイミング的には外れていない。

本書は、共有による価値創出が行われている消費行動を「コラボ消費」と呼び、このトレンドが世界中の数多のサービスに関して分析した上で、次世代の影響力を持つ社会経済変化だと結論づける。

Youtube, eBay, CouchSurfing, SharedEarth, Airbnb, Netflix, Zipcar, Swap.com, Freecycle, OurSwaps, ReUseIt, Zilok, Zopa, thredUP, U-Exchange, Prosper, SolarCity, Gettaround, RelayRiders, MyBo, Skype, Jumo, Meraki, Kickstarter, WordPress, Meetup, Myspace, Kiva, Rentoid, Steelcase, Freecycle, Kashless, Around Again, BarterQuest, UISwap, SCoodle, Toyswap, MakeupAlley, Swap.com, Citizen Space, Hub Culture, Urban Gardenshare, Ithaca Hours, Brooklyn Skilshare, ParkatMyHouse, Roomorama, SmartBike, B-cycle, OYBike, BIXI, Zimride, NuRide, Foursquare, EveryBlock, HearPlanet, Flicker, OpenStreetMap, Citizendium, Bepress, Slashdot, NeuroCommons, Spotify, BabyPlays, Toy Rental Club, erento, iLetYou, LiveWork, .......


そして、「コラボ消費」のシステムに関して以下の3つに分類して、一つ一つ説明していく。
1. プロダクト=サービス・システム(PSS):利用した分だけお金を払うという「所有より利用」のコンセプトを持つサービス、「活用型」と「寿命延長型」の二種類が存在
2. 再配分市場:ソーシャルネットワークをとおして、中古品や私有物を必要とされていない場所から必要とされるところ、また必要とする人に再配分するサービス
3. コラボ的ライフスタイル:同じような目的を持つ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金といった目に見えにくい資産を共有するサービス

これらの成功モデルに共通する四つの原則は以下になる。
a) クリティカル・マス*:システムを自律的に維持するために十分なモメンタムがそこにある(*社会学の用語)
b) 余剰キャパシティ
c) 共有資源の尊重
d) 他者への信頼

基本的に上記内容を歴史的系譜をたどりながら解説していく超面白い本です。
以下が個人的メモ。もはや膨大にありすぎるw


歴史的背景
1889年 ノルウェーの経済社会学者ソースティン・ヴィブレンが「衒示的消費**」という概念を提示(**新興階級が富と権力を見せびらかせるために、消費すること)した。
1920~1950年代 ハイパー消費主義(=自閉的資本主義)の台頭。これによって、所有のスタイルには統一感(持ち物の色、スタイル、流行感など)が必要だと思い込まされる。
1950年代 ハイパー消費主義の時代には、集団やコミュニティの価値観よりも、消費者としての自立や「何においてもまず私」という心理が先になる。「自分のものは自分のもの」として完全に自己完結することが究極のゴールという誤ったコンセプトが、あたかも個性と自立の尊重に唱えられたからだ。
1960年代 ハーバード大学公共政策を研究するロバート・D・パットナム教授は、社会資本を強調的な行動を促して社会の効率を上げる信頼、規律、ネットワークと定義した。彼によると、1980年から1993年の間に、社会資本の大幅な減少により、幸福感が著しく現象したことが実証されている。


  • カーロッタ・ペレスの研究:経済の基盤や社会が拠って立つ規範-家庭、仕事、教育システム、政治の仕組み、自由時間の使い方、を一変する破壊的なテクノロジが70年ごとに一度生まれる。
  • オハイオ州立大学の社会心理学者のマリリン・ブリューワーの言葉を借りれば、コラボ消費は「社会的な自分 - つまり、つながりや帰属を求める自分自身の一部」を満たす。コラボ消費は、シェアと交換という本能的で自然な行為がベースになっているのだ。
  • スタンフォード大学の社会学のマーク・グラノヴェッターによると、「弱い紐帯の強み」知らない人同士の社会的関係が個人の生き方を豊かにする。
  • エドワード・バーネイズは、「感情の訴求力」に科学的根拠があると発見した。彼は、フロイトの「精神分析入門」を読破し、人間の深い潜在意識のレベル、とりわけ攻撃性や性的欲求に働きかけることで、消費者の行動を操ることができる、ことに確信したのだ。物を欲しがらせるには、人間の原始的行動パターンー何を崇拝し、何を忌み嫌い、何を愛し、憎しみ、恐るかーと欲求を結びつけなければならない」。
  • 消費心理学教授で消費行動経済学の第一人者である、リチャード・ファインバーグはクレジットカードが消費行動に与える影響を長年研究してきた。「クレジットカードは支払いの感覚を購入の現実から切り離す」ーこの現象をデカップリングと呼ぶ。カーネギーメロン大学の神経学者、ジョージ・ローウェンスタインは指摘する、「クレジットカードが、脳の支払いの苦痛に対して麻痺させるんです」。つまり、依存症や否定的な感情と関係がある島皮質の活動が、クレジットカードの支払いだと見られない。
  • ミシガン大学の政治学教授のロバート・アクセルロッドは続ける。「人は、友情や信頼から助け合うのではなく、関係を続けることが将来自分のためになると信じるからこそ助け合う」ーこれを「未来の影」と呼ぼう。
  • 「トランシューマリズム(=消費者の浮気心」とは、チョイスの多すぎる現代の消費社会の産物として、的を得た表現である。
  • コラボ的サービスシステムと呼ぶものを四つの重要なデザインの要素に分ける。それは、利用の円滑さ、サービスの複製可能性、アクセスの多様性、コミュニケーションの強化。
  • コミュニティのために役立つことをすれば、それによって自分の社会的な価値が高まることを知っている。そして、ネットワーク効果はインターネットの発展によって加速された。インターネットを含むSNSの台頭によって、仲介者不在の世界になりつつある。「親しみがわき信頼が築かれるような適切なツールと環境をつくり、ビジネスとコミュニティが出会う場所を提供すること」が仲介者の役割だったが、これをサービス受益者同士が監視できるシステムにすることによって、不必要になるわけだ。
  • 社会的承認を求めるには、わけがある。それは原始的な本能であり、他人の行動やふるまいを真似て決断することで、認知に要するコストを節約できるからだ。
  • 実は、デザイン的思考とコラボ消費は似ている。デザイナーは、消費者や企業のニーズと社会全体の利益の間の健全なバランスを見つけるという役目を担うようになりつつあるのだ。なぜなら、デザインは「創造」から「思考」へと大きく飛躍した。デザイン的思考とは、人為的な創造のプロセスをシステムや経験を使うことで、一つひとつ別々の製品についてではなく、もっと大きな問題の解決に応用するという意味になっている。
  • ニール・ローソンが著作、"All Consuming"で「消費づけることで、ますます消費者以外の何ものにもなれなくなる」と指摘したように、人生でものを溜め込むことに時間と空間を使えば、その分だけ他者のために使う余裕がなくなる。物質的豊かさの追求は、人間のもっとも基本的な社会的欲求、つまり家族や地域の絆、個人の情熱、社会的責任と本質的に相反する。
  • もの(それ自体)よりも、それによって満たされるニーズや経験を求めている。オンライン上の自分のブランドが自分が誰か、何が好きかを定義するようになると、実際に所有するよりも、利用していることやつながりがあることを見せる方が大切になる。その動向の一つが、「サービス・エンヴィー」と呼ばれるサービスだ。それを利用することがステータスとなるようなサービスのことを指す。利用しているサービスをとおして自分がどんな人間かを相手に表現できるようなサービスであるがゆえに、自己表現欲求を満たせるのだ。
  • 人々が協力をしてプロジェクトや特定のニーズにあたれるような適切なツールを持ち、お互いを監視し合う権利を上手に管理できれば、コモナー(共有者)は共有資源を自己管理できる。これにて、共有地の悲劇を避けることができるのだ。人間関係と社会資本がもう一度取引の中心になったことで、他者との信頼を築いたり維持するのがより簡単で、ほとんどの場合において、信頼が逆に強化される。



なお、著者のHPは以下にあります。
Rachel Botsman HP
https://rachelbotsman.com

2018年2月10日土曜日

不幸になる生き方 勝間和代


読了。

昔、「カツマー」と呼ばれる女性層を生み出したぐらい有名な勝間和代著作。

文体は読み易い。
本書を要約すると、以下になる。

日本社会は他責の人を生み出す教育システム、宗教観、社会構造になっているから、なかなか幸せになりにくい。しかし、世の中には幸福になるための要素は明らかになっている。その中で、幸福と相関関係のある「裁量権の自由(人生のコントロール権)*」と呼ばれる要素が日本は弱い。ゆえに、以下の法則に注意して、人生を過ごすべし。

  1. 有責の法則
  2. 双曲の法則
  3. 分散の法則
  4. 応報の法則
  5. 稼働の法則
  6. 内発の法則
  7. 利他の法則



「根拠に基づく自己肯定感を持っているか」が幸福か不幸を分ける境目らしく、子育てにおいては、それを育めるよう教育するのが一つの方向性になるかもしれません。日本人は「労働一神教の下で生きている」という表現は的を得ていると思いました。


*詳しくは、大阪大学経済学教授による論文「なぜあなたは不幸なのか」を参照。
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/rcbe/gyoseki/fukou.pdf




ちなみに、本書の「幸福のペンタゴンモデル」に関して詳細説明があるのは、以下の書籍。社会学の山田教授と電通チームハピネスとの共同本。


2018年1月20日土曜日

専業主婦は2億円損をする 橘玲


橘さんの新作です。


これは、「幸福の資本論」の女性バージョンですね。
タイトルがかなり衝撃的ですが。。。





専業主婦は2億円損をする


個人的に面白かったのは、「"プライスレス"なものを"プライサブル"にすると幸福度が下がる」主張です。「価値がつけられないほど貴重な存在」がそうでなくなる理由は、価値を意識せざるを得ない状況に陥るからなんでしょう。

労働市場が残酷な理由も、「本来ならかけがいのない、代替不可能な存在であるあなた」が労働市場の需給によって金銭価値に置き換えられるから、残酷なわけです。

ゆとり世代として、ここに幸福の秘訣があるんではないかと個人的には思うのです。

「自由競争を前提にすると、流動性や代替可能性が激しくなる市場において、どれだけ自分固有の価値を再定義できるか」と同時に、「資源を考えた際に、外部へアウトソースする」ことが21世紀の生き方なのかもしれません。





ちなみに、本書のカテゴライズとは異なりますが、プロフェッショナル妻という属性も存在することを最近知りました(笑)


2018年1月14日日曜日

図解 脳に悪い7つの習慣 林成之



読了!結構知らなかったことがありましたw





図解 脳に悪い7つの習慣


最近、英語がちっとも上達しない理由も脳の働き上、理解できました。。。
今年は脳の働きに沿った生活を送るようにします!(笑)

2018年1月5日金曜日

なぜ「戦略」で差がつくのか。 音部大輔



経営学で言う戦略論をまとめた本。一応、学部時代は経営学専攻だったので、少し馴染みのある話でした。




なぜ「戦略」で差がつくのか。


この著書の定義によると、
戦略とは、「目的」達成のための「資源」利用の指針である。
そして、戦略で差がつくポイントは以下の3点。

  1. 目的の解釈の仕方
  2. 資源の解釈の仕方
  3. 相対的に資源の数的有利をもたらす分母の区切り方


個人的に重要な点は以下かなぁと。

  • 戦略立案=知的な思考プロセス:再定義された目的とそれぞれの局面に対して補完と相乗を考慮しつつ、リスト化された資源をあてていく
  • 実行計画と資源の連鎖:得た知見は次回の戦略立案時において資源になる
  • 経験の概念化:BusinessやMarketingといった概念作業の中では、経験の概念化が複雑な現象であるビジネスを簡潔に見通す視点を提供する
  • 仕組みの理解による再現性の向上:固有の状況に根ざした特定の知見は、汎用性をもって一般化され、再利用可能になる


ちなみに、最後のほうに、戦略計画学派(アルフレッド・チャンドラー)、創発戦略学派(ヘンリー・ミンツ・バーグ)、ポジショニング・レビュー(マイケル・ポーターなど)、リソース・ベースト・レビュー(ゲイリー・ハメル/C.K.プラハード)、ゲーム理論学派との関連性も述べてありました。

いやー「戦略を立案する」って結果としてはシンンプルだけど、プロセスとしては奥が深いなぁとつくづく思います。

2017年12月30日土曜日

【2017年】QOL向上委員会が選ぶBest 5


2017年のお買い物でBest 5を勝手に選んで紹介する。

1. LilySilk パジャマ

はい。もはや時代はジェラピケじゃなくてリリーシルク一択。
寝心地が違う。涼しいし、暖かいし、万能な高級素材。毎日使うことを考えると、コスパはいい。




2. 氷嚢(ひょうのう)

ついに到達しました。視神経の疲労回復には、氷嚢でアイシングが一番。
ブルーライト遮断メガネやシートを使用しても、長時間PCギ業務する人にとっては、どうしても疲労が蓄積しがち。そんな時は、寝る前に氷をぶち込んで目に当てて寝る。

これだけで、全然違う。





3. 冷氷器

氷を冷凍庫で製造しても間に合わないから、もはや冷氷器を買った。
これで氷ができないストレスから解消された。




4. たまねぎ茶

これ毎日飲んでます。麦茶みたいにすっきりした味なので、飽きない。





5. 国立薬膳カレー チキン200g

このカレーはレトルトと違って、美味しい。チキンのタンパク質もとれるので、まとめ買いした。忙しい時とか、このレトルトに助けられた日々でした。




これが2017年でした。
来年もQOL向上に向けて研究を進めます(笑)

フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略 クリス・アンダーソン


全米で昔大ベストセラーになった一冊。著者は、ロングテール*を発見したことで有名な、クリス・アンダーソン。2009年出版なの9年近く経つが、現在のフリーを体系的にできる良書です。フリーを説明するために、行動経済学、心理学、マズローの欲求段階説、歴史、とあらゆる分野のアイデアを動員しています。





フリー[ペーパーバック版] 〈無料〉からお金を生みだす新戦略


  • フリーのお話に入る前に、前提の説明

まず、21世紀はビット経済である。20世紀はアトム(原子)世界であったが、21世紀はビット(Bit)世界になるわけです。
アトム経済においては、私たちのまわりにあるたいていのものは、時間とともに価格が高くなる。一方、オンラインの世界であるビット経済においては、ものは安くなりつづける。アトム経済はインフレ状態だが、ビット経済においては、デフレ状態なのだ。
つまり、以下のことが21世紀のデジタルの世界の特徴とも言えます。

  • 競争市場では、価格は限界費用まで落ちる
  • テクノロジー(情報処理能力、記憶容量、通信帯域幅)の限界費用は年々0に近づいている
  • アイディアからつくられるデジタル商材の開発コストも過激なまでに下がっている
ゆえに、「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、限界費用の高い情報は効果になりたがる」法則は避けらない。光ファイバーで拡大する帯域と「ムーアの法則」をもとに、より高性能かつ低康になるサーバが形成するネットワーク社会(=21世紀)は、これまで稀少だったものが豊富性を生み出し、新たな豊富性が次の時代を規定する稀少性を生むわけだ。
もう、これが本書の要旨といってもいいでしょう。もはや、20世紀とはゲームが変わっているんですよね〜。いやー企業のみならず、ゆとり世代も混沌とした時代を生き抜かなければならないんです(笑)

20世紀、企業のあらゆる製品はコモディティ化されて、安くなっていき、企業は儲けを求めて、新しい稀少性を探した。潤沢にあるモノのコストが底値にまで下がるとき、その商品に隣接した別のモノの価値を押し上げることがある。クレイトン・クリステンセンによると、「魅力的利益保存の法則」と呼んだ。
確かにちょっと考えるだけでも、スマホのケース、インスタグラムの加工アプリ、などいろいろありますね。。。
頭脳によって付加価値がつけられたものが最高収益を上げる時代になった。今日、稀少になったのは、「シンボリック・アナリスト」と元米国労働長官のロバート・ライシュが呼んだ、知能と技能と抽象思考をあわせ持つ有能な知的労働者だ。
これは衝撃的一文ですね(笑)
はい、勉強頑張りますw


  • フリーのビジネスモデル
著作では、フリーに関するビジネスモデルを4つにまとめてる。(といっても、フリーの本質は、商品から商品への、人から人へのお金の移動、現在と将来のあいだでのお金の移動、あるいは、非貨幣経済の市場に入ってまた出ていくこと。つまり、内部相互補助である。)
  1. 直接的内部相互補助;無料サンプル等で何かを購入することを期待している
  2. 三者間市場・市場の"二面性";広告収入によって賄う/ある顧客グループが別の顧客グループの費用を賄う
  3. フリーミアム;一部の有料顧客が他の顧客の無料分を負担する(1, 時間制限/2, 機能制限/3, 人数制限/4, 顧客タイプによる制限)
  4. 非貨幣経済:贈与経済、無償の労働、不正コピー
行動経済学は、フリーに対する私たちの複雑な反応の多くを、「社会領域」における意思決定と「金銭領域」における意思決定に分けて説明する。しかし、現実の消費者は、金銭コストを計算できても、複雑すぎるが故に社会的コストを計算することは諦めて、サービスをそもそも教授しないのだ。
要は、人間って頭良くないからそんないちいち理論的に考えられない、と。「あーなんか、めんどくさいなぁ」って思って、思考そのものを諦めるわけです。

フリーは最初から料金を請求していないため、価格という知覚を消費者に意識させない。金額はいくらでもかまわないが、お金を払うという行為が決断を示す行動である。値段がつくことで、我々は決断を迫られるからだ。それだけで、行動をやめさせる力を持つ。経済学者ニック・サボに言わせると「心理的取引コスト」と呼ぶ。ロナルド・コースの取引コストを購買決定行動まで拡大した理論だ。
価格における「心理的取引コスト」という考え方、とても面白いです。

例えば、マッチングアプリなんか、デートへの心理的コストを減らすサービスを装備することが成功の鍵なのかもしれません。世界中で広がったマッチングアプリの代名詞、Tinderは「気軽にスワイプ」をテーマにしています。婚活市場にありがちな鼻息荒く異性を探す、つまりは、男がどの女の子がいいかの決断を真剣に迫られる、心理的取引コストを「第一印象のみで/ノリで決断する」ことに変換することで低くしているわけですね。





*ロングテール:売れ筋商品の棚からではなく、無限に続く商品棚からなんでも選べるようになったことで生まれた消費者の新しい需要

2017年10月29日日曜日

レジリエンスの鍛え方 久世浩司


読了!

「レジリエンス」という新しい概念ですが、要は精神的に「竹のようにしなやかに強くなれ」ということです。どんなに肉体的に健康でも、精神的に追い詰められると、人間は案外簡単に潰れてしまう儚い生物なんですよね。

メンタルの強さが実はサラリーマンとして生き抜く鍵なんじゃないかと。この資質はあんまり注目されないですけどねw





世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方

2017年10月28日土曜日

本当のブランド理念について語ろう ジム・ステンゲル



現在、UCLAのビジネススクール教授を務めているジム・ステンゲル。
元P&GのCMOを務めた経験から、ブランド経営を行う企業のうち、より高次な成長を遂げたブランドの共通点を抽出した本。





本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えた世界のトップ企業50


なんと調べると、ちゃっかりTED talkにも出演している(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=pNzIiMrkktU


「企業理念とかって宗教チック」と懐疑していた時代もあったが、最近は企業理念が企業の全社戦略に与える影響力を少しは理解できるようになってきた。

やはり企業が(将来の運命を懸けた)選択をしなければならない際に、理念に立ち返って意思決定を行うことはよくあることで、意思決定の軸としては巨大な影響力を持つ。それもそのはずで、企業の存在意義を示すのが理念だから。これはブランドも同様。

ちなみに、この著者、5つの基本的価値に関してはすごく良いことを言っている。彼に言わせると、この価値が人間にとって大切な5つの基本的価値になる、と。

1. 喜びを感じさせる
2. 結びつくことを助ける
3. 探究心を刺激する
4. 誇りを掻き立てる
5. 社会に影響を及ぼす


ブランド理念の木はちょっと複雑なゆえ、一言だけ述べるとすると、ブランド理念の木の一部である「差別化のポイント:情緒的・合理的恩恵の提供」に関しては、マーケティングの施策精度で差が出るところだと思う。

そして、この情緒的な恩恵の提供の度合いを生み出すために、仮にマスの価格帯の製品であっても、消費者の情緒を揺さぶるクリエイティブと消費者に対して適切なメディアチョイスの組み合わせが必須かと。そうでないと、価格競争に巻き込まれて消耗戦になってしまうわけで。。。価格もマーケティングの一要素なわけですが、この価格の正当性を付与することがマーケティングが果たすべき役割の一つ。


やはり何事も奥が深いですな〜
頑張ります。

2017年10月1日日曜日

さあ、才能に目覚めよう トム・ラス


はい。もはや有名すぎる書籍、ストレングス・ファインダーです。





さあ、才能に目覚めよう


「企業に勤める20%しか自分の強みを生かせていると感じていない」

幸か不幸か、この事態を変えるためには(少なくとも20%の中に自分が
入りたいならば)、自分の強みを知る必要があります。その発見ツールとして参考になるのが本書。

強み(=常に完璧に近い成果を生み出す能力と定義して)を34項目に分類しています。自分の強みを把握するために、以下の3ステップを踏みます。

  1. 「才能」と「経験によって身についた能力」を区別する
  2. 才能を特定する
  3. 才能を言葉で表す


この背景にあるのは、成人になってから何かを自然に習得するには、

  • シナプス結合を鍛える(=適切な技術と知識によって才能に磨きをかける)
  • 活かせない脳内回路を捨てる(=才能に重きを置き、関係ない結合は衰えることに任せる)
  • さらに、シナプス結合を増やす

のプロセスしかないという事実。そして、シナプス結合を増やすというのは、血管やアルファインテグリン、プロテインなどの基礎構造が必須で、体内の多大なエネルギーを消耗する活動なのです。

はい、だから大人になってから英語はなかなか上達しにくいんですね。。。

近い将来、自分の強みが完全に活きる職につけるよう頑張ります。


2017年9月3日日曜日

幸福の資本論 橘玲



社会学の概念を用いて日本社会の構造的特徴を描写した書籍。社会学者でいうと、ナン・リンのソーシャルキャピタルの概念に近い点もあり。




幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」



自分なりに要約すると、以下になる感じ。


  • 人生は「金融資産」「人的資本」「社会資本」の三つで構成されており、この配分ゲームが人生と言える
  • なぜなら、幸福の条件である「自由」「自己実現」「共同体=絆」は、それぞれの資本のインフラに依存しているからである
  • この三つを同時に満たす「超充」になることは不可能である。それは、「お金=貨幣空間」と「共同体=政治空間」の道徳(=支配構造の基礎)が対立するからである。



それ以外にも含蓄のある指摘が数多く並びます。
  • 自己実現が大事」という共同幻想が流布している世の中では、まず、知識社会化に対応することが優先
  • 伽藍(がらん=ネガティブ評価の空間)は閉鎖系、それゆえ、ゲームのデフォルトが「できるだけ目立たず、匿名性の鎧を身にまとって悪評を避けること」が生き延びる最適戦略になる。メンバーシップ型の組織である日系の企業は、新卒一括採用と年功序列・終身雇用によってこれを成立させている。
  • バザール(=ポジティブ評価の空間)は開放系、それゆえ、「できるだけ目立って、たくさんのよい評判を獲得すること」が生き延びる最適戦略になる。これは、同年代の男や女のライバルと自分を「差別化」する、グループ内での「キャラづくり」をする本能的行動と適合している。
  • 政治空間(=権力ゲーム/武士道)と貨幣空間(=お金儲けゲーム/商人道)は根本的な倫理が異なる。統治の倫理と市場の倫理は異質な世界である。
  • 日本の社会は、ムラ的な間人主義に最適化され、そこから「やりがい」を生み出すようになっているが、「間人の幸福=伽藍のなかでのやりがい」よりも自己決定権を持つ「個人の幸福」の価値観が重視される時代になっている。c.f.間人=共同体の中の自分/個人=かけがいのない自分


    いやー彼の日本社会に対する洞察とその適切な表現にはいつも感銘を受けます。我々ゆとり世代が抱える社会への心理的閉塞感や停滞感の50%ぐらいがこれで説明可能なんじゃないでしょうか。


    2017年9月2日土曜日

    無病法 ルイジ・コロナ


    読了!最近はもっぱら健康関連の知識しか掻き集めていない(笑)






    食欲とどう向き合うかの姿勢は勉強になった。断食しても死なないわけだし、この変の方向性は探る価値ありそうです。というか、蛋白質中心の食生活(肉)はここ数百年間で広がった食生活だけれども、それは根本的に人間の食生活を合っていないわけです。やはり、菜食中心でいくべきだと確信。

    以下抜粋
    人間の真の食性は草食性。
    遺伝子構成が98.7% まで人間と同じ、すなわちある進化の過程までわれわれの仲間であったチンパンジーやゴリラの食性が、そのことを物語っている。彼らの食べ物は、約95%までが果実や木の実や芋などの植物性で、残りの5%が昆虫などである。
    現代の「生活習慣病」の多くはこのような動物性タンパク質の過剰な摂取から生じている。動物性蛋白質は、例えば、植物性蛋白質より8倍も発ガン性が高い。また、蛋白質の総量が10%増えると、発ガン率は約10倍も高くなる。この驚異的な発ガン率の高まりは、アメリカ、イギリス、中国の三ヶ国が共同して行った健康調査(通称:チャイナスタディ)によって明らかになった。逆に、「全蛋白質の摂取量を、食事全体の10%以下におさえると、免疫力が大幅に上がり、大半の病気を防ぐことができる」。
    砂糖が胃に入ると、胃の働きがとまる「糖反射」と呼ばれる現象がある。..........「結論から先にいうと、砂糖は毒です」ーこれは全米で100万部以上も売れた、ある実業家と三人の医学者による共著"Suger Buster!"の第1章に出てくる行である。................被爆直後の秋月医師の生死をかけた言葉には臓腑を衝くものがあるので、左に掲げておく。「爆弾を受けた人には、塩がいい、玄米飯にうんと塩をつけてにぎるんだ。塩辛い味噌汁を作って食べさせろ。そして、甘いものは避けろ。砂糖は絶対にいかんぞ」
    史上最大規模の「食事と健康に関する調査」と謳われた「米国上院栄養問題特別委員会報告」(通称:マクガバンレポート1997年)が、米政府の公式見解として、それまで理想的な食事と考えられていた動物性蛋白質中心の高カロリー食が全くの誤りであったことを明らかにしたにもかかわらず、どの国においても食事上の流れは少しも変わらない。文明そのものの方向性でもある。むしろ、この歴史的な調査報告書(全5000ページ余)には、生産量の大幅な低減を恐れた食品業界や農業団体それに医療業界などから猛反発の声があがった。当初は注目していたマスコミも、スポンサーからの配慮からすぐに沈黙した。その後、英米中三ヶ国による共同プロジェクトとして同じような趣旨の報告(通称:チャイナスタディ)がなされたが、これも右のレポートと同じような運命を辿っている。.........ちなみに、「マクガンレポート」が理想的な食事として挙げたのは、なんとにほんの伝統食であった。 



    2017年8月13日日曜日

    インベスターZ 三田紀房


    お盆だし、漫画をまとめ買いしてしまった(笑)




    インベスターZ コミック


    最近流行っている(!?)インベスターZです。
    「投資」をテーマに描く漫画。

    ドラゴン桜、エンゼルバンクといい、三田さんはテーマ設定が秀逸!
    とにかく、読者のSegmentationがうまい。よくよく見ると、Lifestage別でカバーしているからねw

    2017年8月11日金曜日

    リスクを取らないリスク 掘古英司


    読了。




    リスクを取らないリスク

    当たり前だけど、リスクを取った人しか成果は得られないのが世の常というものです。
    日本経済含めてリスクをとることがどういうことかを平易な文章で解説してます。

    とりあえず、筆者曰く、米国株投資が最適のようです。

    Hooked: How to Build Habit-Forming Products

    This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...