AmazonのProduct Managerになる本です。典型的な「行動についての質問」と「仮説についての質問」を構造化することに尽きます。
2021年4月3日土曜日
2021年4月2日金曜日
マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか? アル・ライズ/ローラ・ライズ
世界的に有名なアル・ライズ(英語読みだとアル・リース)の著作になります。経営幹部の議論において、CEOとCMOによる思考の違いを章立てにして解説していく書籍です。
- マネジメントは「現実」に取り組む。マーケティングは「認識」に取り組む。
- クリスタルペプシは、食料品部門の年間最優秀新商品に選ばれたが、12ヶ月後、市場から姿を消した
- マネジメントは商品に力を注ぐ。マーケティングはブランドに力を注ぐ。
- 「よりよいXX」ではブランドは構築できない
- ブランドの何らかのより良いところを見つけて、「違うもの」にすること
- 同一カテゴリー内の商品は、たいてい次第に似たり寄ったりになってくる
- マネジメントはブランドを持とうとする。マーケティングはカテゴリーを持とうとする。
- 消費者の頭の中には、高い品質と価値を備えた魅力的な商品という氷山はない
- カテゴリーを支配すること
- 重要なのは、新カテゴリーの名前を決めるとき、真面目に考えすぎる。重要なのは、新カテゴリーの利点を伝えることではなく、新カテゴリーの本質的特徴をできるだけシンプルな言葉で表現すること
- マネジメントはよりよい「商品」を求める。マーケティングは他とは「違う」商品を求める。
- 「より良い商品」や「より良いサービス」によって業界のトップの座を奪い取ろうとしているが、うまく行った事例がない
- バーガーキング vs. マクドナルド
- エナジャイザー vs. デュラセル
- ペプシ vs. コカ・コーラ
- Newsweek vs. Time
- マスターカード vs. VISA
- 戦略を変えない限り、No.2の座に甘んじ続ける
- マネジメントはフルラインナップを好む。マーケティングはラインナップを絞る。
- マネジメントはブランドの拡大を図る。マーケティングはブランドの縮小を図る。
- ほとんどの消費者はトップブランド、一番安いブランド、特徴のあるブランドしか覚えていない
- 過度に混み合ったカテゴリーの場合は、成功する戦略は一つしかない。それは消費者のメッセージを極端に単純化するという戦略である
- マネジメントは「ファースト・ムーバー」を目指す。マーケティングは「ファースト・マインダー」を目指す。
- マネジメントは「ビッグバン」を期待する。マーケティングは「スロースタート」を予想する。
- アイディアが革新的であればあるほど、消費者に受け入れられるには長い時間がかかる
- PRにおいては、狭いターゲットに絞った方が良い。初期からの愛用者は、自分たちがその商品を流行らせたと思いたがる
- マネジメントは市場の中央を狙う。マーケティングは両極のどちらかを狙う。
- High endとLow endに市場は分割される
- 中間層を狙うと失敗する
- マネジメントは全てを詰め込もうとする。マーケティングは一語で表現しようとする。
- その体験を要約した一語を提供しようとする
- そうしないと、消費者がそのブランドを分類し、覚えておくことができない
- USP=Unique selling point
- 全てが揃っているというのは、結局何もないのと同じ
- マネジメントは抽象的な言葉を使う。マーケティングは視覚的な表現を使う。
- 視覚イメージは釘とハンマー
- 釘=言葉
- イメージ=視覚イメージ=具体的、極力シンプル
- 例外は新カテゴリーの最初のブランド
- 消費者は広い一般的な言葉より、意味の狭い具体的な言葉を好む
- マネジメントはブランドをひとつにしようとする。マーケティングはブランドの数を増やそうとする。
- マネジメントは才気を重視。マーケティングは実績を重視。
- 経営者はしばしば原因と結果を混同している。もちろん、消費者に愛されるブランドを築きたいと、全ての企業が思っている。どの企業も、ブランドが贔屓にされるとか、愛着を持たれるとか、そのほか色々なそういう感傷的な願いを持っている。しかし、それらは会社の望んでいる結果だ。それをもたらす原因は何か?
- それはブランドの実績だ
- 優れたテレビコマーシャルも、意味のない大半のぶぶんとブランドの実績を示すことに凝縮されたアピール部分とからできている
- 実績を示して、はじめてブランドは築かれる。ブランドのマーケティングにおいては、常に実績を中心に置かなくてはならない
- 成功したブランドには、何らかの実績があることがほとんどだ
- マネジメントはダブルブランド派。マーケティングはシングルブランド派。
- マネジメントは永遠の成長を目指す。マーケティングは市場の成熟に備える。
- マネジメントは新しいカテゴリーを潰す。マーケティングは新しいカテゴリーを生み出す。
- 右脳タイプのマーケターは新しいカテゴリーの発展につながる方針をとる。新しいカテゴリーは何によって生まれるのか?
- 事実から生まれるのではない。消費者の認識によって生まれるのだ。消費者が新しいカテゴリーと認識すれば、それは新しいカテゴリーとなる
- マネジメントは情報を伝えようとする。マーケティングはポジションを獲得しようとする。
- マーケティングにおいて、コミュニケーションとは何か?それは会社が媒体を通じて、見込み客にメッセージを伝えることだ
- 広告の役割は情報を伝えることではない。商品の位置付け(Positioning)をすることだ。最も優れた広告は商品についてわずかの情報しか伝えない。
- マネジメントは顧客を一生、手放すまいとする。マーケティングは顧客を短期間で手放すことはいとわない。
- 私たちがブランドを選ぶとき、それが自分にとってどういう位置付けのブランドであるか、自己イメージに合うブランドであるかどうかを考える
- 自分に相応しい何かを表現してくれるブランド出ないなら、もう用はない
- マネジメントは割引券とセールが大好き。マーケティングはそれらが大嫌い。
- マネジメントはライバルのまねをする。マーケティングはライバルの反対を狙う。
- 「より良いもの」で勝とうとする戦略はまず成功しない
- マネジメントは名称の変更を嫌う。マーケティングは名称の変更をいとわない。
- マネジメントは絶えざるイノベーションに必死。マーケティングはひとつのイノベーションで満足。
- 成功した会社のマーケティング戦略には、イノベーションを含むものと含まないものがある
- 企業の基本的な機能とは、カテゴリーを支配できるブランドを築くことである。イノベーションは戦略ではない。それは、あくまでマーケティング戦略のもとで使われる戦術の一つである
- マネジメントはマルチメディアを絶賛。マーケティングはマルティメディアに懐疑的。
- マネジメントは短期的にものごとを見る。マーケティングは長期的にものごとを見る。
- マネジメントは常識を拠り所にする。マーケティングはマーケティングの感覚を拠り所にする。
- そもそも戦略が良ければ、実行は容易になる
- というより、実行の質や一貫性を高められるのがよい戦略だと言える
2021年3月28日日曜日
IPO投資のきほんと儲け方ズバリ! 西堀敬
IPO投資です。投資家の片山さんがモリダスの株式をロックアップ期間に売却したことで炎上してますねw
- IPOは初値が公開価格を上回るかどうかが全て
- 大型株
- 小型株
- IPO discount=20~30% x 適正株価=公開価格
- 日本の上場小型株に投資できる機関投資家は、投資信託・年金の一部
- 時価総額100億以上が望ましい
- IPOの多い時期は3月と秋から年末にかけて
2021年3月20日土曜日
資産運用実践編1/資産運用実践編2 山崎元
- 双曲割引
- 将来の異時点の価値判断に合って近い時点を過剰に重視するような人間の価値判断の歪みのこと
- Income gainとCapital gainを区別する必要はあるのか?
- 課税タイミングによる有利・不利の大きさは、分配金にかかる税金の税率と分配金の水準に影響される
- Income gainとCapital gainを区別したくなる心理はMental accouting (心の会計)と呼ばれる現象の一つ
- 個人型確定拠出年金
- 自営業者
- 企業年金のないサラリーマン向け
- メリット:月18,000円(掛け金が金額所得控除、運用益の課税が繰延べの対象になる)
- デメリット:60歳まで引き出せない。加入手数料や年間の管理費がかかる。
- 一般の投資のPrinciple
- 投資家自身が仕組みを完全に理解できない
- リスクの大きさと内容をよく理解する
- 実質的な手数料を軽視しない
- 個別銘柄
- 標準偏差で見たリスク
- β=25~30% (average)
- β=40% (max)
- 投資家がどれだけ財務的な余裕があるか
- リスク拒否度=k/リスク許容度
- ポートフォリオリスク(γ:リターンの年率標準偏差)と期待リターン(R)が分かっている場合、リスク拒否度(λ)を推定する
- U(効用=投資の満足度)=R-λ*σ2=I*σ-λ*σ*2の最大化する条件
- (R(リターン)=I*σだから)
- Cash flow法
- 資金使途と運用内容には本来関係ない
- 財務状況の概要の把握
- リスクの内容と大きさ
- コスト
- オプション性の有無
- 信用と流動性のリスク
- 期待リターン
- ベンチマークの期待リターン
- 投資家の期待リターンを観測して、これを参考にする=判断する方法がない(対ベンチマークでの運用の良し悪し=アクティブリターン)
- 株式は株主にとっての企業の価値を原資産とするコール・オプション(買いの権利)と考えることができ、オプション価値として株式価値を考えると、企業の価値の変動リスクが大きい場合、理論株価は高く評価される傾向がある。これは原資産の価格のボラリティーと捉えても問題ない。
- 業種の異なる複数銘柄に投資するのが基本;一般化はできないが、三銘柄ぐらいからスタートするもの。
- 「株価はよく見よ、しかし、売買はコストを考えて慎重に」
- 「① 「成長株の長期投資がいい 」というのは事後的に見た場合に言えることだが現実には理想論であるということ 、 ②成長株が他の銘柄よりも高いリタ ーンを上げるのは主として市場参加者の予想を上回る利益成長が示唆された時に株価が上昇するから 、つまり 「例外的な追加リタ ーン 」の源泉は 「予想を上回る新しい状況 (情報 )の登場 」であること 、の 2点に纏めることができます 。」
- 「割安株投資は 、 ①投資銘柄選択の基準が比較的明確であること 、 ②大まかな傾向として割安な株式のリスクが大きくない (相対的に値動きが安定している )こと 、 ③売買回転率が小さくて済む傾向があること 、 ④株価が一時的に下がっても 「割安度合いが改善した 」と考えられることが多く個人投資家がその状況を我慢しやすいこと 、などの特色から 、個人投資家に向いた投資戦略といっていいでしょう 。インデックス連動ファンドへの投資なども個人投資家に向いた戦略といえますが 、個別株に投資したいという個人投資家にとって 、割安株投資は一貫した投資戦略の中では実行しやすいものの一つといえるでしょう 。もちろん 、割安株投資でも 、集中投資をするとリスクが大きくなるので 、なるべく初めのうちから分散投資を心掛けることが必要です 。」
興味がある方は長期投資の基本書を読んでみるのもオススメです。
2021年2月28日日曜日
こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる 魚谷雅彦
今は資生堂の社長の魚谷さんがコカコーラ日本法人社長になった時に書いた書籍(ちなみに、P&G先輩が好む書籍にもランクインしてくる)。
ブランドマーケティングの話がメインだが、個人的にはクラフト・ハインツの日本法人を経験したのがキャリアの転機な気がして経緯が気になる。ライオンを辞めた転職先がCiti銀行(たぶん投資銀行部門)だった点は知らなかった。Wikipediaでも明記されていないが、自叙伝では上手くいかなかった旨(根本的な思考が合わなかった点)が数行で語られていた。そこから、クラフト・ハインツの転職オファーを頂いたという巡り合わせ。うまくいかなった時に、阪急グループ創設者である小林さんの言葉に奮起した話も印象深かった。
マーケティングの内容に触れておくと、コカ・コーラのブランディングは、機能であるExtrinsic valueを変えていけないから、時代に応じて如何にIntrinsic valueと称される感情的便益をどう伸ばしていくかがマーケティングの課題となり、それを実行していくことが求められる。
2021年2月26日金曜日
図解実践マーケティング戦略 佐藤義典
なぜか戦略コンサルタントがお勧めする書籍として取り上げられる本書。スモールビジネスをする人にとっては確かに実用性が高いのかもしれない。筆者はWharton MBA取ってから外資系でマーケテイングに従事した後、独立している。
- Segmentationを絞ってNo.1を取る
- あなたのSegmentationを評価する顧客
- Selling message
- Strategic
- Impressive
- 具体的な方法は、広告の製品名を他社製品と入れ替えてみる。その際に、言い換え可能な場合は、独自性がないため良いSelling messageとは言えない。
- 差別化=顧客の頭の中で決めること
- コトラーによると以下の理由から、Simplicity/Impressiveness/Relevencyの3点を網羅した情報でなければならない
- 選択注意
- 選択的歪曲
- 選択的記憶
- Benefit=Function+Emotion
- マインドフロー=客から見て、あなたのIssueがどこにあるのか。客がどこで立ち止まっているかを体型的に考えていく手法。
- 結局、本書の売りであるマーケティングノウハウは以下に集約される。
- Strategic BASiCS
- Product flow
- The depth/width of needs (ニーズの構造を捉える)
- Mind flow
- 売上5原則
- ニーズを広げる時のSelling Lineは地獄型、かつ、不安訴求の方がうまくいくケースが多い
- Fear:こんなにまずいことになりますよ?
- Uncertainty:よくわからない将来に備えませんか?
- Doubt:それ本当に効果ありますか?
- ニーズを広げる時のSelling Lineが天国型、かつ、バラ色の世界を見せる方が浸透までに時間がかかる
2021年2月21日日曜日
もっと言ってはいけない 橘玲
現代の遺伝学が明らかにしつつあるのは、「どんなに努力してもどうしようもないことがある」という現実である。そして、リベラルな社会になればなるほど、それが剥き出しに現れる。それを様々なFactを用いながら、現代の大衆メディアに支配されている言論に一石を投じる内容になっている。個人的には、肌感覚と合っている。日本の労働社会がグローバル化しない本質は、グローバル化が進むことで多くの人(労働者)が不幸になることを直感的にわかっている点と自己社畜されることで幸福を感じる遺伝子によって不合理を受け入れる民族である点が絡まっているからだろう。複雑怪奇な労働環境もほぼこれで説明ができる。
行動遺伝学によると、一般知能(IQ)の遺伝率は77%で極めて高い。
リベラルな社会では、「個人の努力ではどうしようもないもの(運命)」を理由にした差別は許されない。これは人種だけでなく、民族・国籍・身分・出自・性別・性的嗜好・障害なども同じである。
アイデンティティは「社会的な私」の核心にあるものd、徹底的に社会的な動物であるヒトにとって、それを否定されることは身体的な攻撃と同じ恐怖や痛みをもたらす。人類が進化の大半を過ごした旧石器時代の狩猟採集生活では、集団(仲間)から排除されることは直ちに「死」を意味した。自己は社会=共同体に埋め込まれているのだ。〜中略〜世界を「俺たち(善)」と「奴ら(悪)」に分割し、善悪二元論で理解しようとするのは、それが一番わかりやすいからだ。
世界を複雑なものとして受け入れることや、自分が「悪」で相手が「善」かもしれない可能性を疑うことは、この単純な世界観を激しく同様させる。それは、陳腐で平板な世界でしか生きられない人たちにとってものすごく不安なことなのだろう。現代社会を蝕む病は、脆弱なアイデンティティしかもてなくなった人たちがますます増えていることだ。彼らは名目上はマジョリティだが実体は「社会的弱者」で、だからこそ自分より弱いマイノリティに激しい憎悪を向ける。
知識社会とは、その定義上、高い知能をもつ物が社会的・経済的に成功する社会のことだ。そう考えれば、知識社会における経済格差とは「知能の格差」の別の名前でしかない。「知能」の問題から目を背けて、私たちがどのような世界に生きているのかを理解することはできない。
ヒトの脳は、直感的には因果律しか理解できないように作られているため、あらゆる出来事に無意識のうちに原因と結果の関係を探す。これが、自分にとって不愉快な統計的事実を定義と混同死、それを否定するために経験的事実を「ブラックスワン」として持ち出すいちばんの理由である。
私(人格)=遺伝+環境(共有環境-非共有環境[友達関係])
ノルウェーの双子データによると、環境で47%が決まり、遺伝的理由で41%が決まってしまう。
ヘックマンが明らかにしたのは、「0~5歳までの教育投資が重要である」ということであり、認知的スキルは11歳ごろに基盤が決まる点であった。なぜなら、年齢が上がるほど遺伝子による差異が目立つため、どれだけ教育に投資しても効果は薄れてしまうからである。
米国社会におけるアジア系移民の成功を、トマス・ソ・ウェルという黒人経済学者は「日系米国人の経済的成功は、"特別扱い"されなかったからだ」と述べた。
Quiet(ものしずか)の中で、スーザン・ケインはこう述べている。内向性の時代において、50%は遺伝率で決まり、残りの半分は非共有環境(=友達関係)で決まる。
他人の道徳的不正を罰することで快感を覚えるように脳をプログラムしておけば、共同体の全員が「道徳警察」になって相互監視することで秩序維持に必要なコストは劇的にさがる
狩猟採取生活は、人口密度の高い集団生活を余儀なくされた。つまりは、感染症のリスクが高まり、結果として免疫機能の発達につながった。炭水化物を大量摂取しても糖尿病になりにくい体質へと進化した。
ラクトース(乳糖)は元々人間が摂取する成分ではなかった。これは、西アフリカ、ヨーロッパでの牧畜文化から摂取するようになった。それによって、わずか数千年で乳糖不耐性タイプでない人も生まれたのだ。
遺伝が極めて複雑な相互作用で、自然環境ではなく、社会環境との相互作用も含まれるため、現代人とは、遺伝と文化の「共進化」の産物である。
Race Differences in Inteligence(リチャード・リン)によると、PIAAC/PISAでの試験で計測される知能は北東アジアがスコアが高く、SG>香港>中国>韓国>日本>台湾の順位である。
シリコンバレーのベンチャー企業の創業者・経営幹部にアシュケナージが多い。次に目立つのが、インドのバラモン出身(インドの中で極めて知能の高い集団)である。
ネオフォリア(新奇好み)は、リベラルになりやすい。ネオフォビア(新奇嫌い)は、保守派になりやすい。
日本人の下戸は23.9%であり、本州中部に多い。
環境の影響が大くなれば遺伝率は下がり、逆に環境の影響が小さくなれば遺伝立は上がる。つまり、「リベラルな社会ほど遺伝立が上がる」という単純な事実である。だとすれば、「リベラル」な人たちこどが、環境のちがいで人生が決まることのない遺伝率100%の理想世界を目指さなくてはならない。
産業革命以降、私たちは「知識社会」という人類がこれまで体験したことのない全く新しい世界を生きることになった。そこでは、「知能」と言う、狩猟採集時代にはもちろん中世ですらたいして重視されてこなかった能力によって人生の成功と失敗が大きく左右される。なぜなら、知識社会とはその定義上、知能の高い者がもっとも有利になる社会だからだ。差別の根源は、一般知能(言語運用能力と数学・論理能力)を端的に重視する現代社会そのものなのだ。これは、知能の格差を論じることを「差別」と言い立てる人たちこそが、知能に深く囚われていることを示している。
2021年2月20日土曜日
地頭力を鍛える 細谷功
フェルミ推定の第一人者である、細谷さんの書籍。非常に論理的かつ包括的にまとまっている良書でした。結局、フェルミ推定を通じて、以下の能力が鍛えられるから非常に頭脳の訓練には有効だという主張を述べています。
- フレームワークを用いてモレなくダブりなく考える力
- 対象とする課題の全体像を高所から俯瞰する全体俯瞰能力
- 捉えた全体像を最適な切り口で切断し、断面をさらに分解する分解能力
- 全体→部分への視点移動
- 切断の「切り口」の選択
- 分類
- 因数分解
- ボトルネック思考
- 地理的アプローチ=1m2あたりの電柱本数
- 供給視点アプローチ=世帯あたりの電柱本数(供給側・需要側から考えるアプローチは訓練しないと意外と身につかない)
- モデル化
- 枝葉の切り捨て
- アナロジー
- X:考える力「地頭がいい」
- Y:対人感性力「機転が利く」
- Z:知識・記憶力「物知り」
- 知的好奇心:これが全てのベースとなる
- 論理的思考力:左脳による積み上げる思考のことを言う
- 直感力:右脳による閃きとも言われる
- 抽象化思考力(単純に考える)
- 具体⇄抽象の往復
- モデル化
- アナロジー(類推)
- 抽象化する
- モデルを解く
- 再び具体化する
- 枝葉の切り捨て
- フレームワーク力(全体から考える)
- 絶対座標と相対座標
- 座標系=視座・視点(+視野)
- ズームインの観点移動
- MECE
- 適切な切り口(軸)の設定
- 全体を俯瞰する
- 切り口を選択する
- 分類する
- 因数分解する
- 再度俯瞰してボトルネックを見つける
- 仮設思考力(結論から考える)
- ベクトルの逆転
- 前提条件を決める
- 「タイムボックス」アプローチ
- 仮説を立てる
- 立てた仮説を検証する
- 必要に応じて仮説を修正する
戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則
戦略PRに関する最新作です。
https://xtrend.nikkei.com/authors/19/00068/
- 「買う理由」を創出しなければならない時代
- 属性順位転換を起こすこと=「いいXX」を際定義すること
- 商品やサービスが提供する機能、既存品や競合との差別化ポイント(Product benefit)
- 世の中の第三者が気になっていること、世間の話題(世の中の関心事)
- 商品やサービスを使う人が抱えている問題、その解決(生活者の関心事とメリット)
- 社会性の担保(=social grid): 「社会インサイトの見極め」と「ソリューションの有限実行」
- 偶然性の演出:
- 信頼性の確保:
- 普遍性の視座:
- 当事者性の醸成:
- 機知性の発揮:
2021年2月15日月曜日
データ・ドリブンマーケティング マーク・ジェフリー
本書はノースウェスタン大学院教授のマーク・ジェフリーが書いた書籍です。Amazon社内でも使用されていることから注目が集まった書籍です。デジマ最前線にいる方の戦術的な話ではなく、大企業においてどうやってデータドリブンなマーケティング戦略を立案して実行するかに焦点が置かれています。
マーケティングは態度変容モデルや購買ファネルなど名前は変われども、購買にまで至る認識や行動に影響を与える事象に過ぎない。それゆえ、ファネルに沿って計測可能な指標を適切に設定することが、経営を行う上で重要である。補足をすると、筆者はキャプランとノートンによるバランス・スコアカード経営が背景にあり、なんの指標を計測することがマーケティング活動の効果を示すかを考え抜くべき主張になる。この背後には、バランススコアカード経営(キャプランとノートンによる経営管理手法の一つ)の考え方がある。さらに、思想としては「クリエイティビティはコモデティ化しており、多くの企業が同レベルのクリエイティビティへのアクセスが可能であり、社外に外注している点からも、クリエイティビティは持続可能な競争優位にはなり得ない。組織プロセス、そのプロセスをサポートするテクノロジーの活用の仕方がマーケティング組織の差を生み出し、それこそが企業の競走優位になり得るのだ」といった思想です。
マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)の組織能力とは、以下で決まります。
- キャンペーンの選択
- ポートフォリオ最適化
- モニタリング
- 適応学習
そして、それを実現するする為に、
戦略的指標=将来/戦術的指標=過去/運用上指標=内部プロセス管理
といった指標を適切に管理することが求められています。
筆者はマーケテイング予算配分に着目し、以下に分類しました。
- 市場形成
- ブランディング
- カスタマー・リレーション・マネジメント(カスタマー・エクイティ)
- 需要創出
- ITインフラ・組織能力
- 認知指標
- ブランド認知=商品やサービスの想起
- Ajile marketingにすることによって、効果を計測できる
- 比較検討・評価指標
- お試し(試乗)=購入前の顧客による商品のお試し使用
- 商品やサービスの顧客提供価値を明確に伝え、商品のメリットとコスト(価格)のトレードオフを提示する
- よって、欠点は比較検討プロセスと実際の購買に時間差がある点と実際の購買と紐づけることが難しい点
- それゆえ、将来の売上につながる先行指標を測定するべきである
- 比較評価マーケティイングにおける必須の指標
- ロイヤルティ指標
- ロイヤルティ指標=解約率(離反率)
- 既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合
- 顧客満足度(Customer satisfaction; CSAT)
- 顧客満足度=「知人にこのサービスを勧めたいと思いますか?(Net promoter score)」「あなたは満足していますか?」という質問を通じて測定される指標
- 学術的に論争があり、どちらの問いで計測すべきかの結論は出ていない
- Brandingと顧客ロイヤルティを結びつける
- NPS(net promoter score)はBainが一時期推していた経営指標
- 運用効率指標
- オファー応諾率=マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率
- 戦術レベル(How)の観点で評価する指標
- それゆえ、需要喚起型マーケティングで使用されることが多い
- 業務運用上において、非常に重要
- 利益=売上高ー費用
- NPV=正味現在価値
- PV-Cost
- IRR=内部収益率
- キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り(複利)
- この時のRは同業の類似企業
- 投資回収期間
- 顧客価値指標(Customer life time value)
- CLTV= - AC + Σ(Mn-Cn)*Pn/(1+R)n (ここでのPnは当該顧客がその年に取引を継続する確率。Cを継続率とおくと、P=1-c)
- 当該顧客の正味現在価値(NPV)を示していることになる
- CPC (cost per click) vs. COM (cost per impression)
- 行動ベースで課金するモデルの開発が、Googleの広告ビジネスにおけるゲームチェンジになった
- TCR (transaction conversion rate)
- 広告をクリックして、ウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
- ROAS
- 広告費用対効果=収益/費用
- 直帰率
- 滞在時間5秒未満で離脱してしまうUserの割合
- ウェブサイトの効果を計測する
- WOM (word of mouth)
- 決定木分析
- クラスター分析
- ニュートラルネットワーク
- トライアルマーケティング
- 受容喚起型マーケティング
- 新製品マーケティング
2021年1月28日木曜日
マーケティングをつくった人々
「マーケティングをつくった人々」は、マーケティングという学問/実務の確立に貢献した方を取り上げている書籍です。最近だと、行動経済学がマーケティングに多大な影響を与えていますねぇ。科学によって「それっぽい人文学」領域の真偽が明らかになってしまう時代です。
- フィリップ・コトラー
- 対象にしたい市場と市場セグメントを細心の注意を払って選定し、そこに高品質な価値を提供しなければならない
- 自分たちのブランドをもとにした約束を果たすことで、顧客のロイヤリティと信頼を獲得すること=マーケターの仕事
- 需要とブランドを創造すること=マーケターの仕事
- デービット・アーカー
- これはブランディング領域を把握するのに必須な印象です。実は、会社で唯一推薦図書リストに入っています。
- ブランド・エクイティ=企業からのオファー(提供されるもの)に価値を足したり引いたりし、ブランドロイヤリティ、ブランド認知、知覚品質、ブランド連想という4つのカテゴリーに分類されうる、そのブランド名やシンボルと結びつけられた一連の資産と負債のこと
- ブランド優位の戦略モデルではなく、ブランドリーダーシップ
- 「妥当性と差別化」が、活力と差別化の意義を生み出すことにつながる=課題
- ブランド・アイデンティティとその位置付けを決定する際に、ブランド・パーソナリティや企業イメージをもとに製品属性や顧客便益を増大させたり、切り替えたりすること(なぜなら、製品そのものより差別化しやすいから)
- 意欲的にコントロールされたブランドの特徴や成分、サービスやプログラムなどのブランド化された差別要素を取り入れること
- こういった差別化の鍵はイノベーションになり、イノベーションを生み出すには顧客や顧客のトレンドを真に理解する必要がある
- レジス・マッケンナ
- 技術イノベーションの市場導入
- マーケティング=イベントではなく、一連のプロセスのこと
- 製品と顧客の途切れることのない会話であって、それをもとに両者が学習したり、考えを変えたりすること
- マーケティングとイノベーションは同時に進行すべき
- ドン・ペパーズ/マーサ・ロジャーズ
- One to oneによる顧客対応→後のCRMになる
- アル・リース
- ポジショニング
- フォーカス
- ブランディング22の法則
- 広告の役割と機能は心を変えることなく、人々のブランドに対する弱い意見を揺るぎない意見に変える
- ドン・シュルツ
- 統合型マーケティング
- パトリシア・シーボルド
- 顧客体験を中心に置く組織デザイン
- ジャック・トラウト
- 結局のところ、ポジショニング戦略は「競争を避けるために集中する」資源配分の考え方から来ている
2021年1月24日日曜日
Microsoft Application Skillを伸ばすために読んだ本一覧
MicrosoftのExcelを素早く使いこなせるかどうかは、日々の生産性に影響します。その事実を知りつつも、これまで自己流(会社による体系的なトレーニングはなく)で伸ばしてきた(?)ため、基本姿勢を学ぼうと思います。現在、メーカー勤務なんですが、別にExcelができなくてもこの会社では生きていけるんですよね。わからない時にググって解決する方式でもいいのですが、基礎スキルの差で処理能力(=Capacity)が変わるので、ちょくちょく埋めていきたいなぁと思っています。
読んだ本とそのメモは以下になります(適宜更新します)。
- 外資系投資銀行がやっている最速のExcel
- Financial modelingではなく、頻出で使用するショートカットを中心にどういう場面で使用するかを解説している
- 関数に関しての解説は少ないが、作業効率を早くする関数に関しては網羅している
- 日本語は左からにそろえる
- 数字は右からにそろえる
- 青色数字=Inputした数字
- 黒色数字=計算した数字
- 他ファイルの直接参照は基本的にNG
- 参照元のファイル名、ファイル保存場所が変わると参照できないから
- 参照元の数字が変わっても気がつかないから
- ショートカット
- Shift+Ctrl+5=ALt+H+P (%表記)
- Shift+Ctrl+1 (桁区切り)
- Alt+H+H (背景色をそろえる)
- Alt+W+F+F (ウィンドウ枠の固定)
- Ctrl+Alt+V (コピペの方法選択)
- Alt+N+N(グラフの挿入)
- 外資系金融のExcel作成術
- 本書も同様にどうやってFinancial modelingを素早くやるかを明記している書籍になっている
- 人間の脳の構造上
- 論理は上から下に
- 比較は右から左に
- 背景色は白色(Alt+H+H)、あるいは、枠線の非表示(Alt+W+VG)
- 英数字はArialを使用する(Alt+F+F)
- 文字サイズは10pts(Alt+H+FS)
- 小項目はIndentを利用する(Alt+H+6)
- 表を作成する際に、縦の罫線は不使用
- タイトルは左揃え
- それ以外は右揃え
- 投資銀行業界の決まり事といえるルールに関しても言及
- ベタ打ちした数字=青色数字
- 数式して出した数字=黒色数字
- 別シート、別セクションから引用した数字=緑色数字
- 関数の置換(Alt+A)をうまく利用する
- ワイルドカード("*"/"?"/"??")を利用して変換していく
- 1000をコピペしてAlt+Ctrl+Vで貼り付け(値と除算を選択)することで、M表示がすぐ可能
- REPT関数を使いこなす
- Ctrlでいくか、Altでいくか(両方が自由自在に使用できるように意識していく)
- Ctrl+O ファイルを開く
- Ctrl+N 新規作成
- Ctrl+B 太字にする
- Ctrl+I 斜体字にする
- Ctrl+U 下線を引く
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2021年1月23日土曜日
圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術 足立光
2021年1月17日日曜日
ウェブを包括的に学ぶには、ウェブ解析士認定試験公式テキストが良さげ
ウェブ解析士認定試験というものがあることを知りました。一般社団法人ウェブ解析士協会が主催しており、資格試験になっています。(しかし、受験料が高すぎて自分から受験する気にはなりませんw)
Webに関しての基礎的な知識とノウハウは毎年進化しており(それもそのはず。それぞれのPlatformがアルゴリズムを改定して消費者の滞在時間を延ばすことに工夫を凝らしているから)、包括的に知識を確認できる書籍はなかなかないのが実情です。多くの広告代理店も、それぞれのPlatformが開催する勉強会に参加して、知見を集めます。それを事業会社に説明する、あるいは、Platformが直接説明してくれるため、最新のトレンドやサービス内容は理解できています。しかしながら、その一歩引いた視座から全体像がどうなっているかを整理して把握することは大事だと思い、メルカリで買いました(笑) 正直、4,400円の値段は、一般消費者にとって高すぎますねぇ(おそらく企業の研修で使用することを想定しているので、値段が高いんでしょう.....執筆者のほとんどがWeb解析サービスを提供している会社の創業者か、事業会社側の管理職に就いている人でした)。
内容は、ちょうど痒い所に手が届くレベル感です。こういう質問に正確に答えられて、初めてある程度Webを理解できた人材ですから、私が如何にWeb素人かがわかりますww
- アクセスログに記録される情報
- ヒット数とページビュー数の違い
- ログフォーマットの違い
- ステータスコードとは
2021年1月3日日曜日
東大式 スゴい[決算書の読み方] 大熊将八
東大生が出版した書籍。瀧本ゼミ在籍だったみたい。2020年の未来予想を結構的確に描いているあたり、リテラシーがかなり高い印象を受ける。
特に、不祥事を予言できる分析力を学生時代ながらも、2015年~2016年秋に有しているのは見事。たしか当時のTGC権利を売却したファンドはDIだったはず。
証券取引等監視委員会は13日、アニメ「秘密結社 鷹の爪」を制作する東証1部上場の「ディー・エル・イー」(東京都千代田区)が、架空取引などで売り上げを過大に計上し決算を粉飾したとして、金融商品取引法に基づき同社に課徴金1億3540万円を納付させるよう金融庁に勧告した。監視委によると、同社は、劇場用アニメの制作委員会の出資者らと、映像制作業務の架空取引を行うなどし、2014年3月期~18年3月期に計約23億円の売り上げを過大計上し、純利益を計約6億円水増しした。同社は14年3月に東証マザーズに上場し、16年4月に1部へ市場変更した。監視委は、直近2年間の利益総額が5億円以上という東証1部への変更条件を達成するため、同社の経営陣が主導し粉飾決算したとみている。
現在は、DDのサービスとメディアへの出向コンテンツの会社を経営しているっぽい。https://questhub.co.jp/
Hooked: How to Build Habit-Forming Products
This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...
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わかりやすい説明で書かれていて、構造をシンプルにしてるから頭に残りやすかった。 株はいろいろあるけれど、バリュー株とはつまるところ以下の特徴を有する。 価値と価格に差が存在する 修正されるStoryの有無 企業価値の算定のプロセス 企業は丸ごと評価する 企業の価値はその「企業の...
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書籍の内容をまとめると ホームズのオーナー向けサイト「ホームズ 不動産投資見える!賃貸経営」 不動産投資を投資として捉える場合は、SnapshotとVideoの両方の観点から投資判断をする必要がある FCRとK% 金利が低い/高い→出口時の残債 ここでFCRを詳しく説明すると G...
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世間では、マーケティングに関して様々な言説があります。それは、立場や業界や役職への期待値の違いによって定義が異なります。学者や経営者に近いレイヤーは、「マーケティング=経営」に近い内容を主張しますし、現場レベルのレイヤーは、「マーケティング=専門性のあるスキル」に近い内容を主張し...