2017年上半期の中でよかったのは、確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力。マーケティングに携わる人のバイブル本と称される一冊なんでしょう。
「ビジネスの要素を因数分解してモデルを組む」のが基本的な考え方。ただ、その考え方に統計学と数学を駆使して厳密なモデルにしていく過程が丁寧に説明されています。「市場構造からKey Business Driverを見つけ出し、その変数をどう動かして、最適化するか」といった数学的な思考でビジネスの意思決定をするプロセスが明らかにされています。
例えば、基本的な考え方のおさらい。
- 年間購入者の全世帯に対する割合=認知率×配下率×過去購入率×エポーク・セット率×年間購入率
- 売上=総世帯×一年間に買う人×平均購入回数×平均購入金額
- トライアル率=ある係数×(テスト製品の必ず購入%/今までの新製品の必ず購入の平均)×(計画の配下率/今までの新製品の配下率の平均)×√計画前のmarket cost
- 市場構造=F(浸透率,購入回数,カテゴリーに対する消費者preference{brand equity, price, product performance})
他には、そもそも購買行動とは、数学の確率と同様に考えてモデリングする方法など。
1. 消費者一人一人が独自に購買決定している
2. 購入行動はランダムに発生する
3. それぞれのカテゴリーに対して、ほぼ一定のプリファレンスを持っている
4. プリファレンスの高いものは、より高頻度で販売される(M分布)
と想定すると、デシュリーNBD modelによって求めることができる。
売上を規定する7要素
| Control | 1 | 2 | 3 |
Awareness rate | ◎ | 認知ドライバー(TVCM/Web Ad) | 広告量 | 店頭活動 |
Distribution rate | ○ | Preference | 店頭状況 | 取引条件 |
Past purchase rate (延べTrial率) | ○ | Preference | カテゴリー購入回数 | Distribution |
一年間に購入する率 | × | カテゴリー購入回数 | Preference | Distribution |
エポークト・セットに入る率 | ○ | Preference | ポートフォリオ内の銘柄数 | Distribution |
年間購入回数 | × | カテゴリー購入回数 | Preference | Distribution |
平均購入金額 | ◎ | サイズ選択肢・値段 | サイズの好み | サイズ別配荷率 |
こういう知識なしにBusiness analysisとかやってもレベルの低いImplicationしか出てこないわけですね。。。
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