2021年10月23日土曜日

History in Crisis? Recent Directions in Historiography written byNorman Wilson

 

読んだ。160ページぐらいあった。マルクス主義歴史論とか哲学者カールポパーの反証主義が出たりと、学術的に「歴史」とは何なのかを解説した本。要は、歴史学以外の分野にいて様々な手法や見解が進歩したからそれを取り入れることこそが、歴史だよーっていう本です。間違った要約だったらぜひ指摘してください。



History cures us of provincialism by showing that change is the only constant.
History is to time what anthropology is to space in that differences occur over time.
The otherness of the past is a product of these changes over time.
The historical perspective of this otherness cures us of our provincialism by revealing the uncanniness of our own world.
This memory of the past is necessary because our collective memory defines us.
Therefore we need ambitious and passionate historical who are willing to create new questions and answers. The pursuit of new questions and new histories should prevent history as a field of study from becoming stagnant.

Postmodernism, postcolonialism and the rise in literary criticism of self-defined New historicists all contribute to a new type of history and a new role for history. Postmodernism reveals the fallacies of the literary from that historic as have embraced without questioning for thoousands of years. Moreover, the rejection of the very possibility of universal standards means that standards are historically contingent. Kuhn’s theory of paradigms in science is superseded by the notion that all knowledge is merely linguistic convention. History offers the opportunity for exploring the factors that created the expressions, the range of recipients’ receptions, and the general contingency of knowledge. Knowledge exists within a historical context, so history subsumed all other disciplines: the Archimedean point for evaluating the respective merits of any form of discourse becomes a historical problem. Recent developments in theory do not singnal an end to the pursuit of truths; they instead require analysis of the historical contingency of those truths.

2021年10月10日日曜日

買い物ゼロ秒時代の未来地図 望月智之


株式会社いつもの社長の著作。ECの出店周りの支援業務がメイン。この領域では、知り合いが起業しているしキャッシュを稼ぎやすい事業なんだろう。2021年10月10日で見ると、株価は2296円、上場ゴールみたいな会社になってるなぁ。


内容は小売業界と関わりのある私からすると既知の内容。知らなかった情報は、3万人フォローワーをファンビジネスしたいなら目指すべきらしい。ライブコマース盛り上がっているもんねぇ。ただ、この領域って昔でいう、口コミ>紙チラシ>Blogger>Twitter>Instagram>ライブコマースへの遷移にすぎないからなぁ。競争優位の文脈で語られる、差別化戦略がそのままマーケティング戦略になるパターン。

What>Why, Howがこれまでの時代だったが、Why, How>Whatの時代になると言及している。これには半分同意だけど、半分は多分そんなことにならない。会社としてDTC事業にも関わってきているからこそのポジショントークだと推察。


2021年10月9日土曜日

Why Software Is Eating The Worldを読んで改めて近未来を考えてみた

マーク・アンドリーセンは伝説のVCです。公式なプロフィールは以下になりますが、ビジネスマンなら知っているでしょう。(私は最近知りましたw)

Marc Andreessen is a cofounder and general partner at the venture capital firm Andreessen Horowitz. He is an innovator and creator, one of the few to pioneer a software category used by more than a billion people and one of the few to establish multiple billion-dollar companies.

Marc co-created the highly influential Mosaic internet browser and co-founded Netscape, which later sold to AOL for $4.2 billion. He also co-founded Loudcloud, which as Opsware, sold to Hewlett-Packard for $1.6 billion. He later served on the board of Hewlett-Packard from 2008 to 2018.

Why Software Is Eating The World 


今月のウォールストリートジャーナル紙に、ブラウザNetscape開発したことでも有名なソフトウェアエンジニアで投資家でもあるマークアンドリーセン氏(Marc Andreessen)の寄稿文掲載されました。
”Why Software Is Eating The World“(ソフトウェア世界飲み込む理由と題された手記には、古いビジネスモデルに基づいた産業ソフトウェアの登場によってビジネス転換余儀なくされ、その「ソフトウェア化」の波に乗れない企業は廃業に追い込まれている構図鮮明に描いています。これは以前このブログの「バリュー・チェーンで見えてくる各社の市場参入戦略」でも紹介した、企業の経済活動によって生み出される価値(バリュー)とその連鎖(バリューチェーン)理解することで、各企業の今後の戦略見えていくることと深く関わっています。ソフトウェア産業がこれまで無縁であったような産業まで飲み込んでいるという経済構造の変革期にあって、「あちら側」(古い経済構造)から「こちら側」(新しい経済構造)に企業レベルでも個人レベルでも軸足を移すことの重要性など、アンドリーセン氏の寄稿文はとても深い洞察に満ちています。 

5年後にどうなったかの考察になります。

Software is still eating the world


ようやくマーク・アンドリーセンが2011年にWSJに寄稿された伝説のエッセイを読みました。感想としては、「大学生の時に知りたかったw」です。2016年から社会に出たわけですが、ここまで日本社会までもがソフトウェアに飲み込まれているとは思いもよりませんでした。経営学の人的資本論では、個人のキャリアはピボット可能として語られますが、現実的にスキルセットに互換性があることはほぼなくて、多くは転職に苦しむ世界になるんでしょう。CourseraのIPOを含めたEd tech業界や新薬開発でのHealth careが盛り上がりを見せているタイミングまでもを、ドンピシャで当てるマーク。天才すぎますw


国内の産業へのValuationを見て見ましょう。米国同様な現象は起きつつあります。旧式のコンサルティング会社であるDIの株価が全然伸びないのに対して、ベイカレントやAccenture(米国)の株価は爆上がりです。国内事業をほぼ捨ててIndeedに集中しているリクルートの株価は上昇中です。VC業界も高学歴エリートが行きたい人気転職先になっています。事業承継領域のM&Aもクラウドなり仲介サイトに高いValuationがついています。日々の生活レベルで考えてみましょう。2018年だとまだ電子決済のPaypayもそこまで店側で浸透おらず、Uber eatsもメニューが貧弱でした。しかし、2021年にもなれば電子決済が当たり前で東南アジアで展開しているGrabやGojeckとほぼ同じような世界線になってきました。例えば、マーケティング領域ではMarketing Automationサービスが浸透しつつあり、Data integrationがレガシー領域で進歩しています。同様に、Digital Ad領域では広告代理店の仕事を奪うことを念頭に置いているGoogle marketing platform、Accentureが広告代理店領域にグローバルでは踏み込んでいたり、案の定広告代理店のProfit zoneは消えつつあります。同様なことが、事業会社のマーケティング部でも起きつつあります。つまり、本当に一部の価値貢献業務以外の領域で人が不要になっていくわけです。なお、典型的なPR業務はこの5年で消えました。厳密には椅子の数が減ってアウトソースされたのが正しい説明になりますが。


もはや目先の仕事では関係なくても、たぶんこの10年のうちに、労働市場の大改革が起きるのは確実なんでしょう(労働法が変わるかはわからないけれども)。仕事論を飲み会で語っていた大先輩の仕事が消えて、リストラ対象になるかもしれません。年下に細かいオペレーション作業を振っていたら、自分だけがDigital worldから取り残されてしまうかもしれません。


答え合わせは10年後。


こちらで原文が読めます。

https://a16z.com/2011/08/20/why-software-is-eating-the-world/


2021年9月25日土曜日

Origins of the modern Japanese state: Selected writings of E. H. Norman (The Pantheon Asia library : new approaches to the new Asia)

 

明治時代の近代化から戦後にかけての日本の記録が、米国本土でどのように扱われていたか、が書かれている。米国が戦後の日本がマルクス主義に傾聴しないように、"Pysicological program"があったりと、結構衝撃的な内容もある。政治が財界と軍事のバランスを統制できなくなってから、軍国主義へ突入した分析も江戸時代の身分制度の解放(士農工商)まで結びつけて分析されていたりする。英単語は難易度高かったw

The art of history is essentially a selection of the relevant facts and an assessment of their interrelationship.




2021年9月20日月曜日

Global Inequality Branko Milanovic



It is now clear that capitalism and globalization wouldn't ultimately benefit everyone. He warns that growing inequality poses a real threat to democracy. While he presents the scientific data on inequality at great length, he gives only brief consideration to solutions on how the dynamics that drive inequality might be reserved. His case for open borders, however, leaves a lot to think about. Milancovics authoritative book makes for a technical  but compelling read for those who want to understand the forces driving inequality.

Globalization has changed the world dramatically with the promise of growing prosperity for all. But the reality is different: Globalization also has its losers. 

いやー2021年ですけど、これ今後10年のトレンドですね。自民党総裁選挙に出馬している岸田さんも格差是正のポジションとっているし、多分アメリカに追随して日本もアンチグローバリゼーションの流れになり、国内での再分配が加速するのでは。マクロな視点で見ると、2000年から20年間ぐらい「資本主義とグローバリゼーションはみんなにとっていいよね!」と盲信していた先進諸国の中間階層が経済的恩恵の犠牲者(=敗者)になったということです。米国だけかと思っていたら、日本でもサラリーマンの厚生年金負担割合が上がったりと、さりげなく、しかし、確実に中間階層が割に合わない時代に突入です。

近年になって、トマ・ピケティがr>gという事実を明らかにしたりと、要は、中間階層が高等教育にお金を払って(それこそ大学院とか英語学習とかプログラミング学習とか)、賃金上昇を期待して頑張ってきたけれども、実態はほぼ多くの人が報われない結果が突きつけられたということです。労働市場って残酷ですよね.....

米国株式市場を見ても、2000~2010年まではグローバルカンパニーの時代、それこそ、P&GとかGEとかエクソンモービルとか製造業拡大の時代でした。2010年から流れが完全に変わって、GAFAMといったソフトウェアの時代になってしまった。それに応じて、日本も昔は外資系企業の日本支店に入れば、その賃金メリットにありつけていたのが、今はほぼ完全にありつけなくなってしまった(それもそのはずで、会社レベルでグローバリゼーションが進めば現地人を現地の賃金水準と比較して少し高いオファーを出すことで雇用が可能になるから)。

民主主義による政治に支持された価値観が、必ずしも幸福に繋がらないあたりが、まさに不合理な人間の集合体って感じですよね。まさに解答がないテーマでした。


2021年8月14日土曜日

時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」 ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著)

 

Google Venturesで勤務していた著者二人による、時間効率管理術の書籍。読もうと思った背景がいくつかある。

  • 会議中にChatする文化があるチームにいた時、正直言ってChatを引き起こす階層以下の意思決定の質が著しく低かった。
  • 仕事に慣れてきたおかげでマルチタスクをこなせる一方で、集中力が落ちてきていると日々実感していた。
  • 複数のニュースソースを日々チェックするようになってから、情報の海におぼれている感覚があった。
そういう問題意識から読んだ時間術のノウハウ本。すでに80%ぐらいはすでに実行できているが、20%ぐらいがまだ日々組み込める領域な感じがした。

  • 「デフォルト」で時間配分の9割が決まるという思想からスタートしている。まさにテック企業的な発想。気合や根性論ではなく、システムでアプローチするスタイル。個人的にはこういう手法がすごくしっくりくる。
  • ハイライトは、緊急性・満足感・喜びの三次元で判別していく。特に3つ目の喜びに結びつけられたほうがストレスを感じることがないため、効率がいいんだろうと推察する。
  • 一度作業を中断すると、再度集中して作業ができるようになるには平均して23分15秒かかると言われている。(by グロリア・マーク教授/UC Irvine professor)
  • ワーキングメモリを起動させるには時間がかかる。隙間時間でできることは、所詮たかがしれている些細なことでしかない。
  • アプリを消せ。特にTwitter/Instagram/Snapchat/Facebook/Tiktok、どれもなくたって人生困らない。
  • アナログタイマーを用いてタイムプレッシャーをかけるといい。
  • 毎日運動すること。20分でいいから、本当に毎日。無理なら二足歩行をしろ。
  • 加工食品と糖分とは距離をおくべく、野菜・ナッツ・果物中心の菜食主義でいこう。
  • 森林浴をしなさい。自然と触れることの効果は計り知れない。
  • 瞑想しろ。呼吸に意識を向けるだけでもいい。
  • ヘッドホンと距離を置く。音楽を聴いてリラックスにはならない。脳に付加をかけないように。



アラサー間際だからこそ、貴重な時間配分を間違えないようにしていきたい。

2021年7月31日土曜日

Why 1 in 2 extensions fail and how to beat the odds Taylor David

 Benefit of brand architecture 

  • Identity coherence (company)
  • Communication strategy (company)
  • Boost ROI (company)
  • Add consumer navigation (consumer)
  • Master brand concept (consumer)

  1. Brand architecture helps structure and organize the product range to maximize efficiency for the company and ease consumer choice
  2. Product platforms should group products together, help stimulate innovation and show how each one helps build the master brand vision
  3. Where possible, strategies and executional consistency with the master brand should be maintained, with changes made only when the degree of stretch is substantial

ブランド拡張する時にやりがちなミス
  1. Strength the core:neglecting the core brand/product range>Protect and grow the core
  2. Vision:forgetting what made you famous in the first place>Clear vision to ensure extensions have added value
  3. Ideas:extensions are company not market driven>Use market and consumer insight as a catalyst for ideas
  4. Focus:scatter-gun stretching leads to dwarf extensions>fewer, bigger, ideas that build brand and business
  5. Delivery:execution fails to deliver against promises>excellence in execution as a key source of differentiation
  6. Brand architecture:confusing range for both consumer and company>structure that aids consumer choice and company efficiency

2021年7月25日日曜日

働き方2.0 vs. 4.0 橘玲

 

令和の働き方の指南書です。すでに働き方3.0のコミュニティってあるから、あと10年ぐらいするとフリーエージェント社会が到来する感じ。2015年とかでは考えられなかったけど、既に今の会社も、「無駄な仕事で残業するぐらいなら副業します」みたいな価値観の新入社員が一定数いるしなぁ。



  • 働き方1.0 年功序列、終身雇用の日本的雇用慣行
  • 働き方2.0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード
  • 働き方3.0 プロジェクト単位でスペシャリストが融合集散するシリコンバレー型
  • 働き方4.0 フリーエージェント
  • 働き方5.0 機械が全ての仕事を行うユートピア/ディストピア

  • アベノミクスは働き方1.0を2.0にしようとした。その結果、非正規雇用のシワ寄せが正社員の長時間労働になった
  • ムーアの法則(集積回路)、ギルダーの法則(通信網)は2020年になっても当てはまっており、この流れは誰も止められない
  • 日本はそもそも「家」単位構成社会である。年金制度もそのまま家単位で負担する仕組みであり、個人単位になっていない。他国では個人単位での年金制度が当たり前である。
  • 未婚率は毎年上昇傾向にあり、男性だと1990年に5%が2000年に12.6%、2015年には23.4%が未婚という世界。つまり、40人クラスだと10人が結婚できない世界観
  • 世銀の主任エコノミストであるブランコ・ミラノヴィッチによる「エレファントカーブ」で明らかにされたのは、先進国の中産階級がグローバリゼーションの割を食った階層という事実である。所得も資産もべき乗分布するのであり、正規分布ではない。
  • 日本は身分社会であるため、労働集約型の製造業、小売業じゃないとグローバルで競争優位を保てない。知識集約型産業の金融やITはボロ負け状態。外国人労働者受け入れ問題は、市民権プレミアムをめぐる移動問題と同値である。(実際外国人受け入れ労働者問題が国際社会でついに指摘されましたね。。。)
  • 日本は20世帯に1世帯が資産額1億円世帯であり、2人以上の世帯のうち上位10%超の平均年収が1441万円(2017年)である。意外にも格差は少なく、富裕層が依然として多い国である。
  • ドナルド・コースの「コースの定理」によれば、取引費用がゼロになると会社は不要になる。しかし、現実はグローバルカンパニーへの集中が起きている。これは、経済がシュンペーター型になり、テクノロジー競争を勝ち抜いた企業が独占するゲームに変化しているからだ。不完備契約理論と残余コントロール権を用いて、取引費用がゼロになっても中間管理職なり、会社が存在する理由をサンフォード・グロスマンとオソバー・ハートは説明している。
  • 知能によって差別をしてはいけないリベラルな社会では、「やる気」がない人間は糾弾される。やってもできない人間は生涯学習の社会契約に違反したとみなされ、自己責任で社会の最底辺に突き落とされる未来がやってくるかもしれないのだ。リカレント教育が叫ばれる背後には、理由があるのだ。
  • 本郷バレーと呼ばれる、東京大学本郷キャンパスでExitする起業家グループがいる。彼らからすると、わざわざシリコンバレーを目指すのはコスパが悪いのだ。日本語という参入障壁に守られて、経歴のおかげで資金調達が容易にでき、それなりの金額での売却先があるなら、とっとと富を稼ぎきってしまおうという発想である。
  • Giveしても減らないものは、知識とネットワークなのである。

2021年7月22日木曜日

ZMOT by Jim Lecinski

 ZMOT

超有名な原典を読んだ。約10年前に出版されたけれども、見事に予想した世界線になっている。産業構造が崩れると、それに付随する組織能力の変化が求められ、結果的に、個人レベルにおいては、スキル受給バランスに歪みが生じた。まさにそんな2015~2021年だったと振り返る。

Mental model of marketing historically

  • Stimulus
  • Shelf=FMOT
  • Experience=SMOT

The data revealed that the average shopper used 10.4 sources of information to make a decision in 2011.

People like to talk most about the products they love the most.

2021年7月17日土曜日

Japan at War: An Oral History

 

Japan at Warということで、英語ながらも日本の視点に立って描かれた戦争回顧録になります。米国の大学教授が数多の日本人のインタビューを時系列(cronological)にまとめた書籍です。NY times book of the yearにも選出されました。英語のレベルはそこまで難しくないので、サクサク読めます。

2021年6月20日日曜日

公式テキスト財務モデリング 日本CFO協会

 

Amazonでも探してなかったんですけど、日本CFO協会が出している財務モデリングの書籍は名著です。(特に、仕事で自分で財務モデリングを作った経験が浅い方は◎)

世間のExcel本は、「なんでそのショートカットを使用するのか」まで書かれていないケースが多いです。それは、Excelを使用する目的がそれぞれなので、踏み込んで解説できないからでしょう。この書籍の美学はそういった実務レベルで熟達するために、何をどこまで考えて手を動かすべきかを解説しているところです。

  • モデルの基本方針を以下の観点から評価
    • 操作性
    • 再現性
    • 読解性
  • プロセスの基本方針を以下の観点から評価
    • 作成スピード
    • 作成効率
    • マネジメント

財務モデリングのPL表は、財務部に任せずに自分できっちり作れるようになるべきだと思っている派です。個人の資産運用計画表にせよ、不動産投資の収益計算書にせよ、事業内容の収益予測表にせよ、使用用途がかなり広いです。




2021年6月6日日曜日

プロフィット・ゾーン経営戦略 エイドリアン・J・スライ ウォツキー/デイビッド・J・モリソン/(訳)恩蔵直人


筆者は、ハーバード大MBAとロースクールを卒業後そのままマーサー・コンサルティングに買収されるCDIを創立した、コンサルタント。「量的成長(市場シェア)の経営ではなく、価値成長の経営が大事」、そして、「そうした価値成長を果たす企業に変革するための経営戦略は何か」を解説する書籍です。この書籍は当時のファイナンス部門の方が絶賛していたのですが、まさにこれを参考にしながらPLの改善を一歩一歩を行なっていたんだと懐かしく思いました。会社でよくあるのが、事業戦略という名の下、業績目標と連動していない戦略が立てられることが挙げられます。実態はそんなもんです。故に、Forecastはアートか科学かの議論が起きがち。だいたい業績が悪い事業部は負のスパイラルに入っているので、How to winよりもWhere to playを再定義することが大事だが、そこにリーダーの焦点が向かわないと再定義の議論にならない。この書籍は超良書。

(絶版に近いのはビジネス書あるあるで、良書を出すとそれを理解できる読者が一定数しかいないため売上が取れずに結果的に消えていくんですよね)




ビジネス・デザインの再定義
  1. 顧客の選択:企業による顧客集合の選択
  2. 価値の獲得:顧客に向けた価値によって、企業が如何にして報酬を得るか
  3. 戦略的コントロール:利益の流れを守る力
  4. 事業領域:企業の活動および提供する製品やサービス

長きに渡って高収益を上げている企業は、顧客からはわかりにくいかもしれないが、企業変革を行っている。

利益中心のビジネス・デザイン
  • 顧客開発・顧客ソリューション利益(=購入と利用プロセスのうち、顧客にとって厄介で、費用がかかり、時間を消費する問題への支援方法を発見することが方法論になっていく):GE、CBI,サンドズ
  • 製品ピラミッド利益:自動車業界(ホンダ、トヨタ、ニッサン、フォード、GM)、バービー人形を発売しているマテル
  • マルチ・コンポーネント利益:P&G、ネスレ、ゼネラルフーズ
  • スイッチボード利益:
  • 時間利益:インテル
  • ブロックバスター利益:製薬会社
  • 利益増殖モデル:ディズニー、サンリオ
  • 起業家利益:
  • 専門家利益:エレクトロニック・データ・システム、ABB
  • インストール・ベース利益:マイクロソフト
  • デファクト・スタンダード利益:オラクル、愛黒ソフト
  • ブランド利益
  • 専門品利益:メルク、ヘラクレス、3M
  • ローカル・リーダーシップ利益:小売りチェーン、食品スーパー、スター・バックス
  • 取引規模経済:投資銀行、不動産、長距離空輸
  • 価値連鎖ポジション利益:PC業界だとマイクロプロセッサとソフトウェア、化学業界だと製造、雑貨品業界だと流通、自動車業界だと金融サービスや各種保証
  • 景気循環利益:産業設備が必要な業界に多い
  • 販売後利益
  • 新製品利益:自動車、コピー機、産業設備、楽器
  • 相対的市場シェア利益
  • 経験曲線利益
  • 低コスト・ビジネス・デザイン利益:サウスウェスト航空、デル

Playing-to-win how strategy really worksにも書かれているんですけど、「営業利益をどうするか?」がPLをマネージするビジネスマンの基本姿勢なんですよね。




2021年6月5日土曜日

Liar's Poker: From the author of the Big Short Michael Lewis (著)


Michael Lewis (著) による、ライアーズ・ポーカー。1980年代のソロモン・ブラザースのmortage trading floorの様子が刻々と描かれています。NYのトレーニングで日本人のことも描写されていました。金融の知識がなくても読めますが、単語の使い方が慣れないものが多かった印象。

This very nearly was the final straw. (否定語と合わせて、ほとんど無価値な存在)





2021年5月29日土曜日

SEOについて

 

Search engine organic=SEO


実は知っているようで全然知らない領域。エンジニアでない文系卒の人間には、魔界です。


What is quality score?

Quality score is an estimate of the quality of ads, keywords and landing pages. It scores 1 to 10.

Quality score is determined by Expected CTR(=the likelihood that your ad will be clicked), Ad relevance(=how closely your ad matches the intent behind a user's search) and Landing page experience(=how relevant, transparent and easy-to-navigate your page is for users).


How to win in search

  1. Know where you stand today with your "share of search" today
  2. Be accountable to your consumer: Are you aligned to your search and content strategy?
  3. Winning in Organic search is comparable to gaining earned media
  4. Transforming your brand website to be a content leader is critical to winning in search
  5. Avoid going dark
  6. Notify your regions search hub/agency when you are making any website changes or updates
  7. If your region has a search hub, fully engage in your quarterly business reviews


日本語の記事だと、これになるのかなぁ。プログラミング知識が必須の時代になってきている。

https://www.sem-r.com


2021年5月20日木曜日

ゲームの変革者 A.G.ラフリー/ラム・チャン

 

2010年代以降は完全にIT業界の時代に変遷してしまったが、製造業が華の時代だった2000年代にイノベーションを中心に企業変革を行った伝説の経営者の自書伝になる。勝手な見解だけれども、米国企業を中心とした株式市場から優良企業と見なされる会社は、システムが圧倒的に優れている。もちろん社長は従業員に対しては「我が社は人財が大事だ」と他の会社と同じようにメッセージを発するが、この組織形態の実態はO-TSR(事業総株主利益(O-TSR))と呼ばれる指標を基に組織が構成され、それに相応しい人材を各役職に当てはめるのが正しい認識だと思っている。こうした組織編制をイノベーションを中心に置いて、会社の業績をどう改善したかを実例と共に解説したのが本書になっている。なお、A.G.ラフリーの名著はPlaying to Win: How Strategy Really worksなので、こちらも併せてどうぞ。

A.G.ラフリーがP&Gで行った実績は以下である。

  • すべての中心に消費者を置く
  • 外に開かれたオープンな開発モデルにする(Connect & Development)
  • M&Aに依存せずに持続可能な内部成長を遂げることを優先する
  • 持続可能な内部成長を遂げるためにイノベーション中心の組織をつくる
  • イノベーションを新たな視線で考える
彼に言わせると、イノベーションは統合された経営プロセスである

  1. 目的と価値観の動機付け
  2. 背伸びすれば手の届く目標
  3. 選択肢のある戦略
  4. 他社にはない強み
  5. 実現する組織
  6. 一貫性のある信頼できるシステム
  7. 勇気にあふれる人とつながりのある文化
  8. 人を奮い立たせるリーダーシップ

消費者がボス:成功するイノベーションの基盤
  • 潜在的ニーズと顕在的ニーズ
  • 偉大なイノベーションは未対応のニーズやウォンツを理解することから生まれる
    •  消費者が今手に入れているもの(競争相手の商品、サービス・あるいは自社の商品、サービス)と彼らが望むものとのあいだにはどれくらいのGapがあるのか?
    • 低所得者市場は、価格そのものより、値ごろ感がはるかに大事である
    • 未対応の消費者ニーズに応えるべき。なぜなら、本当に欲しいものは消費者はひょうげんできないから。
  • whoのセグメンテーションが正確なイノベーションをもらたす
    • 誰のセグメンテーションはイノベーションに不可欠。しかし、それに基づく何らかの行動が取れて初めて価値を持つ。
      1. 市場のダイナミックス
      2. 消費者トレンド
      3. 会社として付加価値を加えられる分野
    • 広義の誰の中で、あなたのイノベーションをもっとも評価しれくれ、主要ターゲットとなるサブグループは誰かを特定し、サブグループ管で優先順位をつけられるか?
    • 一度しか購入したことのないユーザー、あるいは、ときどき購入するユーザーを、もっと頻繁に購入し利用する愛用者に変えることができるか?
      • なぜある消費者はあなたの商品やサービスを一度使ったきり、二度と買わないのか?
      • もっと消費者志向の事業にするには何が必要か?
  • どこで戦い、どのように勝つか?:イノベーション達成に目的と戦略が果たす役割
    • 当時のP&Gが実施したこと
      • P&Gの主力事業を伸ばすことに集中する
      • より速い成長、より高い利益、より資産効率のよいポートフォリオに変える
      • 急成長を遂げる新興市場で低所得の消費者を獲得する
        • 破壊的イノベーションと持続的イノベーション
        • まったく新しい消費者の形をつくりだし、既存市場を変えてしまう
        • 消費者の価値を高める(新たな機能、新たなバージョン、新たなサイズ)
        • これは通常の戦略ポートフォリオアプローチでは事業ポートフォリオのなかで魅力ある領域とその期待成長率を分析する。これでは、事業領域そのものを持続的イノベーションが変えられるという点を考慮していないから
    • もっと得意とするところを十分に活用する:強みをイノベーションで再活性化する
      • 持続可能な競合優位性をもたらす強みをだらだらと長いリストで書くのではなく、いくつか選び出す毅然とした態度をとれるか?
      • 現状の強みを組み合わせて、成長の新たな機会を作り出したり、競争相手を出し抜いたり、市場のゲームを変えることができるのか?

·       イノベーションを実現する

  • イノベーションのための組織をつくる:イノベーションを可能にする枠組みをつくる
  • 組織形態をデザインし、選択するときに考慮すべきポイント
    • イノベーションの機会は、主力事業にあるのか、主力事業の周辺にあるのか、あるいはまったく新規の事業なのか
    • リスク、チャンスのレベルと投資のレベル
    • イノベーションの機会が会社の強みをテコに利用する度合い、あるいは、新たな能力や強みをつくり、育てる必要があるのかどうか
    • イノベーション開発の時間軸
    • イノベーション開発チームに必要とされる経験と専門性の種類
    • イノベーションの開発段階はコンセプトや試作品をつくる段階、開発、検証、商品化のいずれの段階にあるのか
  • イノベーションを日常業務に取り込む:アイディアの創出から市場展開まで
  • イノベーションレビューの要素
    • イノベーションポートフォリオはどれくらいしっかりしているか
    • 主要な競争相手と比べてイノベーション計画はどれだけ強固か?
    • イノベーション・プログラムは損益、収益率にどの程度プラスとなるか?
    • 事業戦略・計画を定期的に減価国行っているか?イノベーション戦略は事業戦略と連動しているか?
    • ニーズは詳細に、明確に定義されているか?その結果、焦点を絞って内外からアイディアを探せるしくみができているか?ニーズに優先順位がつけられているか?
  • イノベーションのリスクを管理する
    • 顧客を知る
    • 試作品をつくる
    • 厳格な消費者テストをする
    • イノベーション・プロジェクトのポートフォリオを管理する
      • 事業計画や業績目標を達成するのに十分な数のプロジェクトがあるか?あるいは不足しているか?
      • ポートフォリオにあるプロジェクトは短期、長期、リスクの高低のバランスが取れているか
        • コントロールできない外部要因
        • ブレイックスルーがうまくいかない(言い換えれば、会社が勝利を収めるのは、新たな技術開発とコスト効率の良い生産工程が同時に実現した時だけ)
        • 競争相手がアイディアを盗む
      • 広く浅くの過ちを犯していないか。
        • 実験にあたって偏見をもたない
        • 致命的な問題を早期に発見する
        • 過去から学ぶ
        • 評価指標をつかってイノベーションを評価する
イノベーションマスタープランに関して述べると、これは製造過程を含めて年次営業目標を到達するのに必要十分なイノベーションを作ることが求められている。が、実態は結構ずさんで虚構のwhoセグメンテーション、アイディアの欠如、技術による優位性の欠如が、組織構造上起き得るケースが多々ある。こういったプロセスのPitfallを把握していないと、収益責任を問われた場合、イノベーションではなく、Execution側が悪いとされるケースがある。それゆえ、「評価指標が本当に正しいか」どうかは丁寧に把握しておかなければならない。

イノベーション文化

  • イノベーションは団体競技だ
    • Courageous
    • Connect
    • Corporative
    •  Curious
    • Open
    •  P&G asia文化方針は当時評価されていた
      • Inclusive:ゲームを変えるイノベーションを育てるのに必要な多様な考え方やアイデアの恩恵を享受する
      • Decisive:組織のしがらみ、議論、過度の分析を排し、イノベーションの開発、認定、商品化をはやめる
      • External:社外に目を向け、消費者、顧客、サプライヤーとの接触を密にする。競合相手と比較する、率直で客観的な評価基準が必要とされる
      • Agile:消費者や市場環境の変化に迅速に反応し、先をみて考え、予測可能なリスクを躊躇なくとれるようにする
      • Simple:イノベーションにもっと時間をつかえるように、仕事の枠組み、手順を合理化し、簡素化する努力を継続する
    • リーダーの新たな仕事
    • イノベーションリーダーに必須なスキル
      • ひるまぬ勇気、統合嗜好、IQEQのバランス

Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...