2021年5月8日土曜日

不動産の価格がわかる本 日経BP社


大和不動産鑑定株式会社が出している書籍。これは結構勉強になった。あとは、モデリングを自分で組めるようになれば、一通りの計算は完結できるようになりそう。 

  1. 不動産市場サイクル
    • 不動産市場のサイクルは、同じ価格水準や市況のまま安定して5年間続いたことがない。不動産投資は市場のサイクルにうまく乗るかどうかにかかっている。
  2. 不動産価格評価手法
    • 費用性:原価法
      • 同じ不動産をつくるのにいくらかかるかを算出し、そこから時の経過にともなって発生する減価額を控除することによって不動産の価格を求める。
      • 積算価格=再調達額-減価額
      • 土地の場合は、一般に取引される造成済みの既成市街地の土地に原価法を適用することは通常なく、取引事例法を使用することが多い
      • 原価修正に関しては
        • 耐用年数に基づく方法:会計処理の減価償却の計算方法と似ている。経過した年数に応じて機械的に減価額を把握する
        • 観察減価法:不動産を実際に見て、修繕更新の状況や管理の状況を踏まえて適切に減価する
    • 市場性:取引事例比較法
      • 事情補正
      • 時点修正
      • 地域要因の比較
      • 個別的要因の比較
      • 比準価格=取引価格X事情補正X時点修正X地域要因の比較X個別要因の比較
      • 床単価を算出して他の手法で算出した価格の妥当性を県書することは実務的に実施されている
    • 収益性:収益還元法
      • 直接還元法:不動産を永久に保有した場合に、将来にわたって生み出されるであろう毎年の純収益を現在価値に割引、合計額を算出して不動産の価格を求める手法
      • DCF法:一定期間の純収益および復帰価格の現在価値の総和を求める手法(このメリットは直接還元法よりも計算過程が詳細であり、現時点から数年間は毎年の純収益を分析できる)
      • 還元利回りに関しては、想定した純収益とセットで考えないと数字だけが独り歩きする。マーケットが過熱しているときは、高い賃料水準と低い還元利回りで評価されるが、賃貸市場サイクルで賃料が下落局面になることも想定しなければいけない。
        • 主な収入
          • 貸室賃料収入
          • 共益費収入
          • 水道光熱費
          • 駐車場収入
          • その他収入(看板、アンテナの設置によって得られる収入、住宅系の礼金や更新料、店舗の権利金など)
        • 主な費用
          • 維持管理費
          • 水道光熱費
          • 修繕費
          • プロパティマネジメントフィー(建物を管理するにあたり、管理会社に払う費用)
          • テナント募集費用(新規テナントの募集に必要な仲介手数料や既存テナント更新に当たって必要となる費用)
          • 公租公課(土地、建物および償却資産の所有者などに課される固定資産税、都市計画税)
          • 損害保険料
          • その他費用(借地で必要となる地代、看板などが道路に突出した場合に行政に支払う道路占用使用料)
        • その他
          • 一時金の運用(敷金、保証金などの預り金から得られる運用益)
          • 資本的支出(建物の価値や耐用年数を延ばすような大規模な修繕に対応する支出)
  3. オフィスビル
    • オフィスビルの収入は、貸室賃料収入、共益費収入、水道光熱費収入、駐車場収入、その他収入
    • そのうち、賃室賃料収入の見積=ビルの賃料設定が評価額に大きな影響を与える
  4. 住宅
    • 住宅の種類は戸建て住宅、分譲マンション、賃貸マンションなど多様に渡る。サラリーマン向けの投資用マンションはほぼ中古の区分所有マンションになるケースが多い
    • 賃貸マンションの収益価格を算出するに当たっては、収支の査定と共に礼金、敷金、更新料などの一時金の性質と評価上の取り扱いを理解する必要がある
    • 投資対象としては、人口の増加が見込まれるエリア、ワンルームの賃貸需要が多いエリア、インフラ西部が進むエリア、機関投資家が好むエリアにある物件が望ましい
    • 住宅の評価
      • 戸建て住宅:費用性を重視した積算価格と市場性を重視した比準価格を主に用いる
        • 国土交通省の「既存戸建て住宅の評価に関する留意事項」を参照しつつ、リフォームされた部分や維持管理の程度を念入りに観察すること
      • 分譲マンション:費用性を重視した積算価格と市場性を重視した比準価格を主に用いるが、築年数が古いマンションだと積算価格法は不適切である
      • 賃貸マンション:キャッシュフローがどれくらいか、投資期間が終わったときの転売価格はどれくらいかを重視して決める。
      • 賃貸マンションの収入
        • レントロール(賃料一覧表)、プロパティマネジメントレポート、賃貸借契約書などに基づいて稼働率と各部屋の賃料や単価を確認する
        • 入居者の属性や直近の成約賃料、敷金、礼金といった一時金の収受状況やフリーレントの有無に関しても確認
        • 共済費収入が区別されているか、確認する
        • 水道光熱費収入
        • 駐車場収入
        • 空室等損失:空室期間は2~3カ月程度は発生するもの
        • 貸した倒れ損失:入居者の家賃滞納で、賃料回収が困難になった場合の損失を見積もる
        • 一時金運用益:これは敷金の運用方法によって決まる
      • 賃貸マンションの費用
        • 維持管理費:共有部の清掃やエレベーターの維持管理、法定消防点検、受水槽の点検など建物管理にかかる費用。目安は共益費込み貸室賃料収入の3~5%、賃貸可能床面積1坪当たり月額300~500円
        • 水道光熱費:共益費込み賃室賃料収入の1~3%、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~300円
        • 修繕費:通常の維持管理に必要な修繕費と賃借人の退去時に必要となる原状回復費に分けられる。
          • 修繕費は、会計上費用として計上が可能。共益費込み賃室賃料収入の1~3%程度、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~300円。
          • 原状回復費は、クロスの張替えや床の張替え、エアコンクリーニング費用など。賃貸可能床面積1坪当たり15,000円が目安。このうち、オーナーの負担割合は50~60%程度になることが多い。
        • プロパティマネジメントフィー:賃料の集金、滞納の最速、入退去手続、募集、騎乗の受付、リフォームの手配など、入居者の管理にかかる費用
          • 賃料の回収や設備管理、保守点検を行う管理会社の管理・監督に関わる費用を計上し、ビルメンテナンスは維持管理費、コンストラクションマネジメントは資本的支出、リーシングマネジメントはテナント募集費用として計上するのが一般的である
          • だいたい賃料収入の3~5%が目安である
        • テナント募集費用:新規テナント募集の仲介業務や広告宣伝、契約更新時の更新事務にかかる費用。成約賃料の2~3カ月分が目安。内訳は仲介手数料が賃料の1カ月、宣伝広告費が賃料の1~2カ月分。更新事務手数料の目安は更新賃料の50%。
        • 公租公課:固定資産税と都市計画税がある。固定資産税は償却資産も対象になる。(何もてがかりがない場合は各法務局が公表している「新知己建物課税標準価格認定基準表」を基に査定した価格に、総務省が公表している「経年減点補正率基準表」に基づき、経年による補正を行い課税標準を想定して算出する)
        • 損害保険料:火災保険、利益保険、施設賠償保険など。再調達価格の0.015~0.030%が目安
        • その他の費用:借地の場合の支払い地代、袖看板などの道路占有使用料、区分所有の場合は組合管理費、敷地外駐車場を借りている場合は使用料、町内会費などがある
        • 資本的支出:共益費込み賃室賃料収入の1~5%、賃貸可能床面積1坪当たり月額100~500円が目安になる。CMフィーの目安は工事価格の1~3%程度になる。全体的な経費率の目安は15~25%になる。
        • 還元利回りの査定:これまで算出した純収益を還元利回りで割り戻したものが直接還元法による収益価格になる
          • だいたい東京都心部で4~5%が目安になる。このエリアの利回りに、築年スプレッド(0~10年は0.1%、10~20年は0.2~0.3%が目安)、借地(流動性が劣ることを考慮し、+0.1%以上)などの要因を考慮して決める
        • 一時金の評価上の取り扱い
          • 敷金・保証金:実際には敷金の一部を返還しない特約(敷引特約)を結ぶ場合がある
          • 収益還元法での運用益を含める場合は、(あ)全額を返還準備金として預託することを想定して運用益を発生時に計上する方法、(い)全額を受け渡し時の収入または支出として計上する方法がある。実際は(あ)が実務上では広く採用されている。
          • 礼金・権利金
          • 更新料:通常は新規賃料の1~2カ月分として設定することが多く、賃貸借契約書において更新料条項が記載されている
  5. 商業施設
    • 商業施設の賃料形態:固定賃料、歩合賃料、最低保証料+超過歩合賃料
    • 賃料負担率=粗利利益率X不動産特有経費率
  6. ホテル
    • 労働集約型事業である
    • 重要な指標
      • ADR(average daily rate):稼働客室数当たりの平均客単価
      • OCC (occupancy rate):客室の稼働状況を表す指標
      • Dbl-OOC(double occupancy rate):客室数当たりの平均宿泊客数、「総宿泊客数÷販売可能客室数」
      • Rev PAR(Revenue per available room):販売可能客室数当たりの平均客単価、「総客室売上高÷販売可能客室数」=「平均稼働客室単価(ADR)X客室稼働率(OCC)」
      • GOP(gross operating profit):売上高から売上原価や営業経費を控除した償却前営業利益。営業総利益。運営の成果を示す重要な経営指標。
  7. ヘルスケアアセット
  8. 物流施設
  9. インフラ
  10. ゴルフ場
    • ゴルフ場は一般の建物と異なり、建築年数が経つにつれて、価値が高くなるのが通常である
    • ゴルフ場の評価:オペレーショナルアセットであり、他のアセットと異なり家賃相場もないので、ゴルフ事業収入に基づくインカムアプローチが基本である
    • 一般的にメンバーの来場者割合が30%を超えるとプレー収入に影響が出始めて経営が苦しくなり、プレー収入の落ち込み分をカバーできるだけの年会費収入が得られないと経営が成り立たなくなる
    • 費用に関して、割合が大きいのが人件費、次に巨額な固定資産税になる。また、地代があるかないかでゴルフ場運営収支に大きく影響を与える
    • 還元利回り:オフィスや住宅、商業施設は総収益に対する経費率が30%程度に収まっているのに対して、ゴルフ場の経費は固定的要素が強く、経費率が70%以上と高いことがほとんど。

  • レントロール
  • プロパティマネジメントレポート
  • 賃貸借契約書

稼働率や各部屋の賃料の単価

敷金・礼金といった一時金の収受状況の把握
共済費加入
空室等損失:だいたい二か月は発生する

維持管理費:エントランス、ゴミ置き場の清掃、エレベーターの維持管理、法定消防点検

貸室賃料の3~5%
一坪当たり300~500円

海外不動産における定義は都度確認すべき
ネット面積:実際に使用する面積
グロス面積:トイレや廊下といった共有部を含む面積
壁の内側、中心、外側のどれで計測するかによっても変わってくる

マンション購入時の注意:広告やパンフレットに記載されている面積と法務局に登記されている登記面積と異なるケースがある

住宅ローン控除の基準となる建物面積は壁の内側から測る登記面積

固定資産税の推定方法(固定資産税に関する資料が入手できない場合)

公的な土地評価の決まり事として、地価公示価格を100とすると相続税路線価は80、固定資産評価額は70の関係になっている。しかしながら、固定資産評価額ではなく、課税標準額に税率をかけて出すほうがより正確に算出可能である。その年の新しい評価額に対する前年の課税標準額の割合を負担水準という。これの負担上限は通常70%とされているが、都内は条例によって65%となっている。

e.g. 商業地の地価公示価格が100だとする。固定資産評価額が70、負担水準の上限が70%なので、70*0.7=49が課税標準になる。

一般的な住宅地の場合は、地価公示価格を100として、評価額が70であるため、結果的に課税標準が1/6の12ぐらいになる。

新築建物の固定資産評価額は、再調達原価の50~60%の水準に落ち着くことがおおい

2021年5月2日日曜日

ゴミ投資家のための人生設計入門

 

20年以上も前に出版された後、絶版になっている本なんですが、将来予測がほぼほぼ当たっていますw

ただ、コロナになってPTになれる生き方にリスクが顕在化したのが5年前と異なる点です。いつの時代も危機が終われば、グローバリゼーションが加速化し、次の時代が始まります。

 

2021年4月29日木曜日

マーケティングプロフェッショナルの視点 音部大輔

 

音部さんの書籍です。音部さんの書籍は言葉の定義がしっかりしています。



  • 市場創造とは
    • 製品属性の順位の転換「いいXX」の定義を変えることになる
  • マーケティングとブランディング
    • 共通点:消費者の認識に作用して、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動である
    • 相違点
      • マーケティングは「属性の順位を転換して市場を創造する」を目指す。
      • 結果的に、ニーズを作り出すことにつながる。
      • ブランディングは「ブランドの意味の確立」を目指す。
      • 結果的に、ベネフィットを作り出すことにつながる。
    • 両方がうまく機能することで、消費者の満足に基づいた持続的な売上と利益の成長を期待しやすくなる
    • マーケティングファネルはエレベーター型で考える
    • ファネル型の上から考えても結局は、購買のタイミングに「便益」で絞り込まれてしまうから
    • 逆に「購買」から逆算してどこまでリーチするかを考えた方が効果的になる
  • マーケティングは結局のところ、ターゲット消費者・競合・ベネフィットに行き着く
  • リピートに繋がらないトライアルは結局意味ない


2021年4月18日日曜日

リブラの正体 GAFAは通貨を支配するのか?

 

リブラに関して2019年にまとめた書籍。経済、法律、技術、思想からどういった問題点を抱えているのかを包括的に述べている。仮想通貨は次世代産業になるのは間違いない。知識のキャッチアップスピードを上げていきたい。

2021年4月10日土曜日

財務3表実践活用法 会計でビジネスの全体像をつかむ (朝日新書) 國貞 克則

 

國貞さんの書籍を読んでみた。わかりやすい。「本質を徹底的に抽象化する」作業がされた上での説明なので、記憶に残りやすい。


そういや、弊社の税務部の方も神戸鉄鋼から転職した方。弊社だけかもしれないが、事業会社の外資系法人に勤めていると、会社法や税務周りの知見が全然身に付かない。

部署でも知識レベルが統一されていないから、社内のプロセス知識は身につくけれども、会社法として/税法として/財務会計としての知見が身につくかは本人次第なんだよねぇ。

2021年4月3日土曜日

Amazon Product Management Interview

AmazonのProduct Managerになる本です。典型的な「行動についての質問」と「仮説についての質問」を構造化することに尽きます。





2021年4月2日金曜日

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか? アル・ライズ/ローラ・ライズ

 

世界的に有名なアル・ライズ(英語読みだとアル・リース)の著作になります。経営幹部の議論において、CEOとCMOによる思考の違いを章立てにして解説していく書籍です。




  1. マネジメントは「現実」に取り組む。マーケティングは「認識」に取り組む。
    • クリスタルペプシは、食料品部門の年間最優秀新商品に選ばれたが、12ヶ月後、市場から姿を消した
  2. マネジメントは商品に力を注ぐ。マーケティングはブランドに力を注ぐ。
    • 「よりよいXX」ではブランドは構築できない
    • ブランドの何らかのより良いところを見つけて、「違うもの」にすること
    • 同一カテゴリー内の商品は、たいてい次第に似たり寄ったりになってくる
  3. マネジメントはブランドを持とうとする。マーケティングはカテゴリーを持とうとする。
    • 消費者の頭の中には、高い品質と価値を備えた魅力的な商品という氷山はない
    • カテゴリーを支配すること
    • 重要なのは、新カテゴリーの名前を決めるとき、真面目に考えすぎる。重要なのは、新カテゴリーの利点を伝えることではなく、新カテゴリーの本質的特徴をできるだけシンプルな言葉で表現すること
  4. マネジメントはよりよい「商品」を求める。マーケティングは他とは「違う」商品を求める。
    • 「より良い商品」や「より良いサービス」によって業界のトップの座を奪い取ろうとしているが、うまく行った事例がない
      • バーガーキング vs. マクドナルド
      • エナジャイザー vs. デュラセル
      • ペプシ vs. コカ・コーラ
      • Newsweek vs. Time
      • マスターカード vs. VISA
    • 戦略を変えない限り、No.2の座に甘んじ続ける
  5. マネジメントはフルラインナップを好む。マーケティングはラインナップを絞る。
  6. マネジメントはブランドの拡大を図る。マーケティングはブランドの縮小を図る。
    • ほとんどの消費者はトップブランド、一番安いブランド、特徴のあるブランドしか覚えていない
    • 過度に混み合ったカテゴリーの場合は、成功する戦略は一つしかない。それは消費者のメッセージを極端に単純化するという戦略である
  7. マネジメントは「ファースト・ムーバー」を目指す。マーケティングは「ファースト・マインダー」を目指す。
  8. マネジメントは「ビッグバン」を期待する。マーケティングは「スロースタート」を予想する。
    • アイディアが革新的であればあるほど、消費者に受け入れられるには長い時間がかかる
    • PRにおいては、狭いターゲットに絞った方が良い。初期からの愛用者は、自分たちがその商品を流行らせたと思いたがる
  9. マネジメントは市場の中央を狙う。マーケティングは両極のどちらかを狙う。
    • High endとLow endに市場は分割される
    • 中間層を狙うと失敗する
  10. マネジメントは全てを詰め込もうとする。マーケティングは一語で表現しようとする。
    • その体験を要約した一語を提供しようとする
    • そうしないと、消費者がそのブランドを分類し、覚えておくことができない
    • USP=Unique selling point
    • 全てが揃っているというのは、結局何もないのと同じ
  11. マネジメントは抽象的な言葉を使う。マーケティングは視覚的な表現を使う。
    • 視覚イメージは釘とハンマー
      • 釘=言葉
      • イメージ=視覚イメージ=具体的、極力シンプル
    • 例外は新カテゴリーの最初のブランド
    • 消費者は広い一般的な言葉より、意味の狭い具体的な言葉を好む
  12. マネジメントはブランドをひとつにしようとする。マーケティングはブランドの数を増やそうとする。
  13. マネジメントは才気を重視。マーケティングは実績を重視。
    • 経営者はしばしば原因と結果を混同している。もちろん、消費者に愛されるブランドを築きたいと、全ての企業が思っている。どの企業も、ブランドが贔屓にされるとか、愛着を持たれるとか、そのほか色々なそういう感傷的な願いを持っている。しかし、それらは会社の望んでいる結果だ。それをもたらす原因は何か?
    • それはブランドの実績
    • 優れたテレビコマーシャルも、意味のない大半のぶぶんとブランドの実績を示すことに凝縮されたアピール部分とからできている
    • 実績を示して、はじめてブランドは築かれる。ブランドのマーケティングにおいては、常に実績を中心に置かなくてはならない
    • 成功したブランドには、何らかの実績があることがほとんどだ
  14. マネジメントはダブルブランド派。マーケティングはシングルブランド派。
  15. マネジメントは永遠の成長を目指す。マーケティングは市場の成熟に備える。
  16. マネジメントは新しいカテゴリーを潰す。マーケティングは新しいカテゴリーを生み出す。
    • 右脳タイプのマーケターは新しいカテゴリーの発展につながる方針をとる。新しいカテゴリーは何によって生まれるのか?
    • 事実から生まれるのではない。消費者の認識によって生まれるのだ。消費者が新しいカテゴリーと認識すれば、それは新しいカテゴリーとなる
  17. マネジメントは情報を伝えようとする。マーケティングはポジションを獲得しようとする。
    • マーケティングにおいて、コミュニケーションとは何か?それは会社が媒体を通じて、見込み客にメッセージを伝えることだ
    • 広告の役割は情報を伝えることではない。商品の位置付け(Positioning)をすることだ。最も優れた広告は商品についてわずかの情報しか伝えない。
  18. マネジメントは顧客を一生、手放すまいとする。マーケティングは顧客を短期間で手放すことはいとわない。
    • 私たちがブランドを選ぶとき、それが自分にとってどういう位置付けのブランドであるか、自己イメージに合うブランドであるかどうかを考える
    • 自分に相応しい何かを表現してくれるブランド出ないなら、もう用はない
  19. マネジメントは割引券とセールが大好き。マーケティングはそれらが大嫌い。
  20. マネジメントはライバルのまねをする。マーケティングはライバルの反対を狙う。
    • 「より良いもの」で勝とうとする戦略はまず成功しない
  21. マネジメントは名称の変更を嫌う。マーケティングは名称の変更をいとわない。
  22. マネジメントは絶えざるイノベーションに必死。マーケティングはひとつのイノベーションで満足。
    • 成功した会社のマーケティング戦略には、イノベーションを含むものと含まないものがある
    • 企業の基本的な機能とは、カテゴリーを支配できるブランドを築くことである。イノベーションは戦略ではない。それは、あくまでマーケティング戦略のもとで使われる戦術の一つである
  23. マネジメントはマルチメディアを絶賛。マーケティングはマルティメディアに懐疑的。
  24. マネジメントは短期的にものごとを見る。マーケティングは長期的にものごとを見る。
  25. マネジメントは常識を拠り所にする。マーケティングはマーケティングの感覚を拠り所にする。
    • そもそも戦略が良ければ、実行は容易になる
    • というより、実行の質や一貫性を高められるのがよい戦略だと言える


消費者に親近感を覚えてもらうことに主眼を置き、ブランドへの愛着を育もうとする。心温まる情景を描くのが典型的なTVCMだ。消費者にブランドを好きになってもらおうとする意図が、そこにはある。~中略~そういう手法は間違ってはいない。ただし、ひとつ条件がある。それは実績を示すという要素が入っているということだ。~中略~30秒のCMを流しても、消費者に真剣に受け止めてもらえる実績がそこに含まれていなかったら、消費者のハートは射止められない。経営者はしばしば原因と結果を混同している。もちろん、消費者に愛されるブランドを築きたいとすべての起業が思っている。どの企業もブランドが贔屓にされるとか、愛着を持たれるとか、そのほか色々なそういう感傷的な願いを持っている。しかし、それは会社の望んでいる結果だ。それをもたらす原因は何か?それは、ブランドの実績だ。成功をしたブランドにはなんらかの実績がある場合がほとんどだ。実績を示して、初めてブランドは築かれる。ブランドのマーケティングにおいては、常に実績を中心に置かなくてはならない。

2021年3月28日日曜日

IPO投資のきほんと儲け方ズバリ! 西堀敬

 

IPO投資です。投資家の片山さんがモリダスの株式をロックアップ期間に売却したことで炎上してますねw


  • IPOは初値が公開価格を上回るかどうかが全て
    • 大型株
    • 小型株
  • IPO discount=20~30% x 適正株価=公開価格
  • 日本の上場小型株に投資できる機関投資家は、投資信託・年金の一部
  • 時価総額100億以上が望ましい
  • IPOの多い時期は3月と秋から年末にかけて

IPO投資はまだしたことないんですよね。もうちょっと勉強していきたいです。

2021年3月20日土曜日

資産運用実践編1/資産運用実践編2 山崎元


山崎さんの書籍です。かなり本格的ですが、投資に関して包括的な知識を身につけるには必須でしょう。この内容が分かって、自分で計算できれば、FPは不要です。あと、非常に評価できる点は参考文献をしっかり記載している点ですね。


  • 双曲割引
    • 将来の異時点の価値判断に合って近い時点を過剰に重視するような人間の価値判断の歪みのこと
  • Income gainとCapital gainを区別する必要はあるのか?
    • 課税タイミングによる有利・不利の大きさは、分配金にかかる税金の税率と分配金の水準に影響される 
  • Income gainとCapital gainを区別したくなる心理はMental accouting (心の会計)と呼ばれる現象の一つ
  • 個人型確定拠出年金
    • 自営業者
    • 企業年金のないサラリーマン向け
      • メリット:月18,000円(掛け金が金額所得控除、運用益の課税が繰延べの対象になる)
      • デメリット:60歳まで引き出せない。加入手数料や年間の管理費がかかる。
  • 一般の投資のPrinciple
    • 投資家自身が仕組みを完全に理解できない
    • リスクの大きさと内容をよく理解する
    • 実質的な手数料を軽視しない
  • 個別銘柄
    • 標準偏差で見たリスク
      • β=25~30% (average)
      • β=40% (max)
    • 投資家がどれだけ財務的な余裕があるか
    • リスク拒否度=k/リスク許容度
      • ポートフォリオリスク(γ:リターンの年率標準偏差)と期待リターン(R)が分かっている場合、リスク拒否度(λ)を推定する
      • U(効用=投資の満足度)=R-λ*σ2=I*σ-λ*σ*2の最大化する条件
      • (R(リターン)=I*σだから)
  • Cash flow法
    • 資金使途と運用内容には本来関係ない
    • 財務状況の概要の把握
      • リスクの内容と大きさ
      • コスト
      • オプション性の有無
      • 信用と流動性のリスク
      • 期待リターン
        • ベンチマークの期待リターン
        • 投資家の期待リターンを観測して、これを参考にする=判断する方法がない(対ベンチマークでの運用の良し悪し=アクティブリターン)


  • 株式は株主にとっての企業の価値を原資産とするコール・オプション(買いの権利)と考えることができ、オプション価値として株式価値を考えると、企業の価値の変動リスクが大きい場合、理論株価は高く評価される傾向がある。これは原資産の価格のボラリティーと捉えても問題ない。
  • 業種の異なる複数銘柄に投資するのが基本;一般化はできないが、三銘柄ぐらいからスタートするもの。
  • 「株価はよく見よ、しかし、売買はコストを考えて慎重に」
  • 「① 「成長株の長期投資がいい 」というのは事後的に見た場合に言えることだが現実には理想論であるということ 、 ②成長株が他の銘柄よりも高いリタ ーンを上げるのは主として市場参加者の予想を上回る利益成長が示唆された時に株価が上昇するから 、つまり 「例外的な追加リタ ーン 」の源泉は 「予想を上回る新しい状況 (情報 )の登場 」であること 、の 2点に纏めることができます 。」
  • 「割安株投資は 、 ①投資銘柄選択の基準が比較的明確であること 、 ②大まかな傾向として割安な株式のリスクが大きくない (相対的に値動きが安定している )こと 、 ③売買回転率が小さくて済む傾向があること 、 ④株価が一時的に下がっても 「割安度合いが改善した 」と考えられることが多く個人投資家がその状況を我慢しやすいこと 、などの特色から 、個人投資家に向いた投資戦略といっていいでしょう 。インデックス連動ファンドへの投資なども個人投資家に向いた戦略といえますが 、個別株に投資したいという個人投資家にとって 、割安株投資は一貫した投資戦略の中では実行しやすいものの一つといえるでしょう 。もちろん 、割安株投資でも 、集中投資をするとリスクが大きくなるので 、なるべく初めのうちから分散投資を心掛けることが必要です 。」


興味がある方は長期投資の基本書を読んでみるのもオススメです。

株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす ジェレミー・シーゲル

2021年2月28日日曜日

こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる 魚谷雅彦


今は資生堂の社長の魚谷さんがコカコーラ日本法人社長になった時に書いた書籍(ちなみに、P&G先輩が好む書籍にもランクインしてくる)。

ブランドマーケティングの話がメインだが、個人的にはクラフト・ハインツの日本法人を経験したのがキャリアの転機な気がして経緯が気になる。ライオンを辞めた転職先がCiti銀行(たぶん投資銀行部門)だった点は知らなかった。Wikipediaでも明記されていないが、自叙伝では上手くいかなかった旨(根本的な思考が合わなかった点)が数行で語られていた。そこから、クラフト・ハインツの転職オファーを頂いたという巡り合わせ。うまくいかなった時に、阪急グループ創設者である小林さんの言葉に奮起した話も印象深かった。


マーケティングの内容に触れておくと、コカ・コーラのブランディングは、機能であるExtrinsic valueを変えていけないから、時代に応じて如何にIntrinsic valueと称される感情的便益をどう伸ばしていくかがマーケティングの課題となり、それを実行していくことが求められる。


2021年2月26日金曜日

図解実践マーケティング戦略 佐藤義典


なぜか戦略コンサルタントがお勧めする書籍として取り上げられる本書。スモールビジネスをする人にとっては確かに実用性が高いのかもしれない。筆者はWharton MBA取ってから外資系でマーケテイングに従事した後、独立している。




  • Segmentationを絞ってNo.1を取る
  • あなたのSegmentationを評価する顧客
  • Selling message
    • Strategic
    • Impressive
  • 具体的な方法は、広告の製品名を他社製品と入れ替えてみる。その際に、言い換え可能な場合は、独自性がないため良いSelling messageとは言えない。
  • 差別化=顧客の頭の中で決めること
  • コトラーによると以下の理由から、Simplicity/Impressiveness/Relevencyの3点を網羅した情報でなければならない
    • 選択注意
    • 選択的歪曲
    • 選択的記憶
  • Benefit=Function+Emotion
  • マインドフロー=客から見て、あなたのIssueがどこにあるのか。客がどこで立ち止まっているかを体型的に考えていく手法。
  • 結局、本書の売りであるマーケティングノウハウは以下に集約される。
    • Strategic BASiCS
    • Product flow
    • The depth/width of needs (ニーズの構造を捉える)
    • Mind flow
    • 売上5原則
  • ニーズを広げる時のSelling Lineは地獄型、かつ、不安訴求の方がうまくいくケースが多い
    • Fear:こんなにまずいことになりますよ?
    • Uncertainty:よくわからない将来に備えませんか?
    • Doubt:それ本当に効果ありますか?
  • ニーズを広げる時のSelling Lineが天国型、かつ、バラ色の世界を見せる方が浸透までに時間がかかる

2021年2月21日日曜日

もっと言ってはいけない 橘玲

現代の遺伝学が明らかにしつつあるのは、「どんなに努力してもどうしようもないことがある」という現実である。そして、リベラルな社会になればなるほど、それが剥き出しに現れる。それを様々なFactを用いながら、現代の大衆メディアに支配されている言論に一石を投じる内容になっている。個人的には、肌感覚と合っている。日本の労働社会がグローバル化しない本質は、グローバル化が進むことで多くの人(労働者)が不幸になることを直感的にわかっている点と自己社畜されることで幸福を感じる遺伝子によって不合理を受け入れる民族である点が絡まっているからだろう。複雑怪奇な労働環境もほぼこれで説明ができる。



行動遺伝学によると、一般知能(IQ)の遺伝率は77%で極めて高い。

リベラルな社会では、「個人の努力ではどうしようもないもの(運命)」を理由にした差別は許されない。これは人種だけでなく、民族・国籍・身分・出自・性別・性的嗜好・障害なども同じである。

アイデンティティは「社会的な私」の核心にあるものd、徹底的に社会的な動物であるヒトにとって、それを否定されることは身体的な攻撃と同じ恐怖や痛みをもたらす。人類が進化の大半を過ごした旧石器時代の狩猟採集生活では、集団(仲間)から排除されることは直ちに「死」を意味した。自己は社会=共同体に埋め込まれているのだ。〜中略〜世界を「俺たち(善)」と「奴ら(悪)」に分割し、善悪二元論で理解しようとするのは、それが一番わかりやすいからだ。

世界を複雑なものとして受け入れることや、自分が「悪」で相手が「善」かもしれない可能性を疑うことは、この単純な世界観を激しく同様させる。それは、陳腐で平板な世界でしか生きられない人たちにとってものすごく不安なことなのだろう。現代社会を蝕む病は、脆弱なアイデンティティしかもてなくなった人たちがますます増えていることだ。彼らは名目上はマジョリティだが実体は「社会的弱者」で、だからこそ自分より弱いマイノリティに激しい憎悪を向ける。

知識社会とは、その定義上、高い知能をもつ物が社会的・経済的に成功する社会のことだ。そう考えれば、知識社会における経済格差とは「知能の格差」の別の名前でしかない。「知能」の問題から目を背けて、私たちがどのような世界に生きているのかを理解することはできない。

ヒトの脳は、直感的には因果律しか理解できないように作られているため、あらゆる出来事に無意識のうちに原因と結果の関係を探す。これが、自分にとって不愉快な統計的事実を定義と混同死、それを否定するために経験的事実を「ブラックスワン」として持ち出すいちばんの理由である。

私(人格)=遺伝+環境(共有環境-非共有環境[友達関係])

ノルウェーの双子データによると、環境で47%が決まり、遺伝的理由で41%が決まってしまう。


ヘックマンが明らかにしたのは、「0~5歳までの教育投資が重要である」ということであり、認知的スキルは11歳ごろに基盤が決まる点であった。なぜなら、年齢が上がるほど遺伝子による差異が目立つため、どれだけ教育に投資しても効果は薄れてしまうからである。

米国社会におけるアジア系移民の成功を、トマス・ソ・ウェルという黒人経済学者は「日系米国人の経済的成功は、"特別扱い"されなかったからだ」と述べた。

Quiet(ものしずか)の中で、スーザン・ケインはこう述べている。内向性の時代において、50%は遺伝率で決まり、残りの半分は非共有環境(=友達関係)で決まる。

他人の道徳的不正を罰することで快感を覚えるように脳をプログラムしておけば、共同体の全員が「道徳警察」になって相互監視することで秩序維持に必要なコストは劇的にさがる

狩猟採取生活は、人口密度の高い集団生活を余儀なくされた。つまりは、感染症のリスクが高まり、結果として免疫機能の発達につながった。炭水化物を大量摂取しても糖尿病になりにくい体質へと進化した。

ラクトース(乳糖)は元々人間が摂取する成分ではなかった。これは、西アフリカ、ヨーロッパでの牧畜文化から摂取するようになった。それによって、わずか数千年で乳糖不耐性タイプでない人も生まれたのだ。

遺伝が極めて複雑な相互作用で、自然環境ではなく、社会環境との相互作用も含まれるため、現代人とは、遺伝と文化の「共進化」の産物である。

Race Differences in Inteligence(リチャード・リン)によると、PIAAC/PISAでの試験で計測される知能は北東アジアがスコアが高く、SG>香港>中国>韓国>日本>台湾の順位である。

シリコンバレーのベンチャー企業の創業者・経営幹部にアシュケナージが多い。次に目立つのが、インドのバラモン出身(インドの中で極めて知能の高い集団)である。

ネオフォリア(新奇好み)は、リベラルになりやすい。ネオフォビア(新奇嫌い)は、保守派になりやすい。

日本人の下戸は23.9%であり、本州中部に多い。

環境の影響が大くなれば遺伝率は下がり、逆に環境の影響が小さくなれば遺伝立は上がる。つまり、「リベラルな社会ほど遺伝立が上がる」という単純な事実である。だとすれば、「リベラル」な人たちこどが、環境のちがいで人生が決まることのない遺伝率100%の理想世界を目指さなくてはならない。

産業革命以降、私たちは「知識社会」という人類がこれまで体験したことのない全く新しい世界を生きることになった。そこでは、「知能」と言う、狩猟採集時代にはもちろん中世ですらたいして重視されてこなかった能力によって人生の成功と失敗が大きく左右される。なぜなら、知識社会とはその定義上、知能の高い者がもっとも有利になる社会だからだ。差別の根源は、一般知能(言語運用能力と数学・論理能力)を端的に重視する現代社会そのものなのだ。これは、知能の格差を論じることを「差別」と言い立てる人たちこそが、知能に深く囚われていることを示している。

2021年2月20日土曜日

地頭力を鍛える 細谷功

 

フェルミ推定の第一人者である、細谷さんの書籍。非常に論理的かつ包括的にまとまっている良書でした。結局、フェルミ推定を通じて、以下の能力が鍛えられるから非常に頭脳の訓練には有効だという主張を述べています。

  • フレームワークを用いてモレなくダブりなく考える力
  • 対象とする課題の全体像を高所から俯瞰する全体俯瞰能力
  • 捉えた全体像を最適な切り口で切断し、断面をさらに分解する分解能力


フェルミ推定自体のフローは以下の流れになる。

  1. 全体→部分への視点移動
  2. 切断の「切り口」の選択
  3. 分類
  4. 因数分解
  5. ボトルネック思考

その際のアプローチ方法でこそ、地頭の差が如実にわかる点になる。
  • 地理的アプローチ=1m2あたりの電柱本数
  • 供給視点アプローチ=世帯あたりの電柱本数(供給側・需要側から考えるアプローチは訓練しないと意外と身につかない)

フェルミ推定を活用して抽象化思考力を鍛えられるか?>Yes
  • モデル化
  • 枝葉の切り捨て
  • アナロジー
仕事における能力を分解すると、以下の三次元に分解でき、Xの考える力は今後重要度が増していく。
  • X:考える力「地頭がいい」
  • Y:対人感性力「機転が利く」
  • Z:知識・記憶力「物知り」

では、その地頭力を定義して、分解するとどういった能力の集合体なのか?
  • 知的好奇心:これが全てのベースとなる
  • 論理的思考力:左脳による積み上げる思考のことを言う
  • 直感力:右脳による閃きとも言われる
  • 抽象化思考力(単純に考える)
    • 具体⇄抽象の往復
    • モデル化
    • アナロジー(類推)
      1. 抽象化する
      2. モデルを解く
      3. 再び具体化する
    • 枝葉の切り捨て
  • フレームワーク力(全体から考える)
    • 絶対座標と相対座標
      • 座標系=視座・視点(+視野)
    • ズームインの観点移動
    • MECE
    • 適切な切り口(軸)の設定
    1. 全体を俯瞰する
    2. 切り口を選択する
    3. 分類する
    4. 因数分解する
    5. 再度俯瞰してボトルネックを見つける
  • 仮設思考力(結論から考える)
    • ベクトルの逆転
    • 前提条件を決める
    • 「タイムボックス」アプローチ
    1. 仮説を立てる
    2. 立てた仮説を検証する
    3. 必要に応じて仮説を修正する


戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則


戦略PRに関する最新作です。
最近は日経クロストレンドにも寄稿している本田さんの書籍でした。

https://xtrend.nikkei.com/authors/19/00068/


  • 「買う理由」を創出しなければならない時代
  • 属性順位転換を起こすこと=「いいXX」を際定義すること

PRの役割とは、Publicity>Perception change>Behavior change


「関心テーマ」とは、以下の三つを繋ぐ、「架け橋」のようなものである。
  1. 商品やサービスが提供する機能、既存品や競合との差別化ポイント(Product benefit)
  2. 世の中の第三者が気になっていること、世間の話題(世の中の関心事)
  3. 商品やサービスを使う人が抱えている問題、その解決(生活者の関心事とメリット)

社会関心は顕在度と関与度の二軸で分解する

戦略PRの6つの構成要素
  • 社会性の担保(=social grid): 「社会インサイトの見極め」と「ソリューションの有限実行」
  • 偶然性の演出:
  • 信頼性の確保:
  • 普遍性の視座:
  • 当事者性の醸成:
  • 機知性の発揮:


2021年2月15日月曜日

データ・ドリブンマーケティング マーク・ジェフリー

本書はノースウェスタン大学院教授のマーク・ジェフリーが書いた書籍です。Amazon社内でも使用されていることから注目が集まった書籍です。デジマ最前線にいる方の戦術的な話ではなく、大企業においてどうやってデータドリブンなマーケティング戦略を立案して実行するかに焦点が置かれています。

マーケティングは態度変容モデルや購買ファネルなど名前は変われども、購買にまで至る認識や行動に影響を与える事象に過ぎない。それゆえ、ファネルに沿って計測可能な指標を適切に設定することが、経営を行う上で重要である。補足をすると、筆者はキャプランとノートンによるバランス・スコアカード経営が背景にあり、なんの指標を計測することがマーケティング活動の効果を示すかを考え抜くべき主張になる。この背後には、バランススコアカード経営(キャプランとノートンによる経営管理手法の一つ)の考え方がある。さらに、思想としては「クリエイティビティはコモデティ化しており、多くの企業が同レベルのクリエイティビティへのアクセスが可能であり、社外に外注している点からも、クリエイティビティは持続可能な競争優位にはなり得ない。組織プロセス、そのプロセスをサポートするテクノロジーの活用の仕方がマーケティング組織の差を生み出し、それこそが企業の競走優位になり得るのだ」といった思想です。


マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)の組織能力とは、以下で決まります。

  1. キャンペーンの選択
  2. ポートフォリオ最適化
  3. モニタリング
  4. 適応学習

そして、それを実現するする為に、

戦略的指標=将来/戦術的指標=過去/運用上指標=内部プロセス管理

といった指標を適切に管理することが求められています。


筆者はマーケテイング予算配分に着目し、以下に分類しました。

  1. 市場形成
  2. ブランディング
  3. カスタマー・リレーション・マネジメント(カスタマー・エクイティ)
  4. 需要創出
  5. ITインフラ・組織能力


「不況期の企業が取る戦略において、マーケティング投資を増加した企業は業績が良く、かつ、マグロウヒル・リサーチ社によると上位企業群のマーケティングはBrandingやCustomer equity(CMR)、インフラ投資の予算が厚く、受容喚起への投資割合は少ない事実が産業に関わらず観測されている。ゆえに、優れた事業戦略及びマーケティングとは、事業モデルにあった業務プロセスのことである。」というのが主な主張になります。そして以下の15の指標は、マーケテイングに関わる人にとって必須の指標だと提示していきます。

  1. 認知指標
    • ブランド認知=商品やサービスの想起
    • Ajile marketingにすることによって、効果を計測できる
  2. 比較検討・評価指標
    • お試し(試乗)=購入前の顧客による商品のお試し使用
    • 商品やサービスの顧客提供価値を明確に伝え、商品のメリットとコスト(価格)のトレードオフを提示する
      • よって、欠点は比較検討プロセスと実際の購買に時間差がある点と実際の購買と紐づけることが難しい点
      • それゆえ、将来の売上につながる先行指標を測定するべきである
    • 比較評価マーケティイングにおける必須の指標
  3. ロイヤルティ指標
    • ロイヤルティ指標=解約率(離反率)
    • 既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合
  4. 顧客満足度(Customer satisfaction; CSAT)
    • 顧客満足度=「知人にこのサービスを勧めたいと思いますか?(Net promoter score)」「あなたは満足していますか?」という質問を通じて測定される指標
      • 学術的に論争があり、どちらの問いで計測すべきかの結論は出ていない
    • Brandingと顧客ロイヤルティを結びつける
    • NPS(net promoter score)はBainが一時期推していた経営指標
  5. 運用効率指標
    • オファー応諾率=マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率
    • 戦術レベル(How)の観点で評価する指標
      • それゆえ、需要喚起型マーケティングで使用されることが多い
      • 業務運用上において、非常に重要
  6. 利益=売上高ー費用
  7. NPV=正味現在価値
    • PV-Cost
  8. IRR=内部収益率
    • キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り(複利)
    • この時のRは同業の類似企業
  9. 投資回収期間
  10. 顧客価値指標(Customer life time value)
    • CLTV= - AC + Σ(Mn-Cn)*Pn/(1+R)n (ここでのPnは当該顧客がその年に取引を継続する確率。Cを継続率とおくと、P=1-c)
    • 当該顧客の正味現在価値(NPV)を示していることになる
  11. CPC (cost per click) vs. COM (cost per impression)
    • 行動ベースで課金するモデルの開発が、Googleの広告ビジネスにおけるゲームチェンジになった
  12. TCR (transaction conversion rate)
    • 広告をクリックして、ウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
  13. ROAS
    • 広告費用対効果=収益/費用
  14. 直帰率
    • 滞在時間5秒未満で離脱してしまうUserの割合
    • ウェブサイトの効果を計測する
  15. WOM (word of mouth)

データマイニングの三種の神器
  • 決定木分析
  • クラスター分析
  • ニュートラルネットワーク


需要喚起型マーケティングは、販売金額と数量の両方を向上させることで、売上に寄与する。それゆえ、トライアル段階においては、リード・コンバーージョン(見込み客の顧客化)に注力するのが現場レベルでは正しい解になる。
 
ROMI(Return on marketing investment)と呼ばれる指標は、以下の施策を行う際に非常に重要である。
  • トライアルマーケティング
  • 受容喚起型マーケティング
  • 新製品マーケティング



Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...