2018年12月31日月曜日

【2018年】QOL向上委員会が選ぶBest 5

 

2018年に買ったBest5を紹介します。電子機器が多めです。

  1. ソニー ワイヤレスポータブルスピーカー SRS-XB32
  2. エコバックス ECOVACS DEEBOT 901 ロボット掃除
  3. DJI OSMO POCKET mini
  1. iPad 
  2. URBAN ARMOR GEAR iPhone XS
    • 本製品は米国URBAN ARMOR GEAR(UAG)社製のiPhone X用耐衝撃ケースです。UAGは南カリフォルニア沿岸で設立され、現地特有の雄大な自然にインスパイアされたプロダクト開発を行っています。優れた耐衝撃性・洗練されたデザイン・使いやすさを兼ね備えたUAGのプロダクトは、アドベンチャーシーカーの本質をとらえたアドベンチャーシーカーによる、アドベンチャーシーカーのためのプロダクトとして、世界各国で販売されています。



2018年12月30日日曜日

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティール



2018年の年末にしてようやく、ピーター・ティールの名著を読み終えました(笑)




ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるかはもともとスタンフォード大学の起業家を志望する人のための公開講座でティールが話した内容を再編集した本です。Paypalの起業家であり、Facebook、Linkdin、Youtube、Yalpなど世界的に成功したと言える数多くのスタートアップの投資家でもあります。



これ若い時に読んでおけばよかったと思わせる内容です。が、20代なら今すぐ読みましょう。というか、ピーター・ティールかっこよすぎw
  1. 少しずつ段階的に前進すること⇄小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい
  2. 無駄なく柔軟であること⇄出来の悪い計画でもないよりはいい
  3. ライバルのものを改良すること⇄競争の激しい市場では収益が消失する
  4. 販売ではなくプロダクトに集中すること⇄販売はプロダクトと同じくらい大切だ

そもそも今の世界は「technology」と「globalization」の垂直展開と水平展開で成り立っています。企業価値を「将来生み出すキャッシュフローの総和」と定義すると、成功する企業の特徴は以下の4点に集約すると解説していきます。
  1. プロプライエタリ・テクノロジー
  2. ネットワーク効果
  3. 規模の経済
  4. ブランド


こっからは勝手に心に残った引用部分をコメントとともにメモ。
ルネサンスから啓蒙時代、20世紀半ばにいたるまで、幸運とは自ら引き寄せ、支配し、操るものとされていたー自分ができることを行い、できないことに目を向けるべきではないと考えるのが当たり前だった。ラルフ・ウォルド・エアーマンはその精神(ēthos)を「浅はかな人間は運を信じ、流れを信じる。強い人間は因果関係を信じる」と言った。1912年、人類で史上初めて南極点に到達したロアーム。アムンゼンはこう書き残している「完璧な準備のあるところに勝利は訪れる。人はそれを幸福と呼ぶ。」
この部分はどういうことかというと、人間が「幸運」に関しての思想的見解の変遷を説明し、「すべての価値は相対的である」というポストモダン思考の必要性を説いていると理解しました。
....大学になる頃には多様な経験をあれこれ寄せ集め、まったく先の見えない未来に備えているというわけだ。「何が起きても大丈夫」といいながら具体的な備えはないのだ。
ここは、イデオロギーとしての競争を埋め込まれている米国民(スタンフォードの大学生)に対して、違う考えをしなければいけないことを説いています。"空気を読めない人間は周囲の人と同じことをしようと思わない"点、こそが、学校や社会では評価されないけれども、世界を変える立場にいる場合は評価されるわけです。実はこれを知っていると知らないだと、社会に出てからの「成功」確率が結構違うんじゃないかと肌感覚で感じています。逆を言えば、成功する人間は「空気を読めないこと」を知っていて「敢えて空気を読んであげている」ことができるのかもしれません。

でも人生はポートフォリオじゃない。......スタートアップの創業者であろうと、誰であろうと。.......もっと言えば、等しく可能性のあるキャリアをいくつも同時に進めて、人生を分散させることもできない。..............重要なのは「何をするか」だ。自分の得意なことにあくまでも集中すべきだし、その前に、それが将来価値を持つかどうかを真剣に考えた方がいい。
いやーこれかっこいいですね。金融商品と異なり、我々の人生はそんなリスク分散していたら人生が終わってしまうわけです。要は、 Where to playの話です。
ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る。.......べき乗則を否定して正しい判断を下すことはできないし、いちばん大切なことはたいてい目の前にない。それが隠れていることもある。べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかなくなる。 

これはタイミングの話ですね。個人的な見解だと、「人生努力でどうにかなる」という努力信仰はとっとと棄てたほうが幸せになれます。

例えば、栄養学はみんなにとって大事だ。しかし、ハーバード大学に栄養学の専攻はない。.....低脂肪と大量の穀物中心の食事が推奨されてきたのは、科学の裏付けからではなく、大手食品団体のロビー活動の結果と考えるのが妥当ではないか。...
そうなんです。このヘルスケア・ビューティー・フードにはまだまだ消費者中心の製品になっていない歪みがあります。社会人1年目の時に、精神的にも肉体的にもだいぶ追い詰められて、自分なりに健康に関しての書籍を15冊ぐらい読み込んだ結果、世間に出回るヘルスケア関係のほとんどの情報はクソです。(そして本当に価値ある情報は事実上マスマーケットにまで出回らないという悲しき事実があるのです)それゆえ、この分野で自分が思う最高のサービスを作りたいなぁと思ってます(スケールとかはしなくてよくて、持続可能性のみを追求したCSRちっくな経営が理想です)。

2018年12月27日木曜日

外資系キャリアの出世術 シンシア・シャピロ


絶版になっているけれども、超名著です。
これは某読書リストに入っていました。が、内容が濃すぎるので要約できませんw




とりあえず、昇進したらもう一回読みます(笑)

2018年12月8日土曜日

ブランディング22の法則 アル・ライズ


はい、ブランディング22の法則です。
アル・ライズさんの名著です。必読書ですね。
(マーケティング22の法則を読んでない人は読みましょう)



最近思うのが、こういう基本的な知識がない中でブランディングの意見をあーだこーだ述べてももはや無価値ですね。。。この領域は本当難しい(尤も業務担当者になれる機会がそもそも少ないわけで)し、奥深いです。

ということで、個人的なメモは以下になります。

ブランディング(ブランド構築)のプロセスこそが、広範囲に及ぶマーケティング機能を結合させる接着剤、すなわち、マーケティング・プロセスにおいて最も重要な目的である。

つまり、マーケティングとブランディングの違いは以下になります。
マーケティング=見込み客のマインド(頭の中)にブランドを築き上げること
ブランディング=商品を販売するための効率的な方法

1. The law of contraction (2)
いい結果はビジネスを拡張するよりも収縮させる時に生まれる。小売業のほとんどのカテゴリーキラーは一様に次の五段階のパターンに従っている。
(a) 焦点を絞り込む。強力なブランディング・プログラムは常にカテゴリーを拡張させることではなく、収縮させることから始まる。
(b) 商品を豊富にストックする。
(c) 安く仕入れる。
(d) 安く売る。
(e) 当該カテゴリーを支配する。ブランディング・プログラムの究極の目的は、カテゴリーを支配することである。

2. The law of publicity (3)
今日、ブランドは生まれ出るものであって、作られるものではない。新しいブランドにはメディアでの好意的なパブリシティを生み出す力がなくてはならない(=新しいカテゴリーにおいて一番手brand)。ブランドを構築するのは、広告ではない。広告はブランドを維持するために必要なだけであって、パブリシティによって構築される。

3. The law of the word (5)
ブランドを築きたいと思うなら、見込み客の頭の中に1つの言葉を所有することに努力を集中するべき。焦点を絞ってカテゴリーをOwnすることが全てである。

4. The law of Sub-brands (14)
ブランド=顧客の頭の中に刻まれたアイディア、特徴、典型的顧客像
サブ・ブランディングは当該ブランドをその反対の方向に導く考え方であり、市場を追いかけている、ブランド構築をしていない

5. The law of siblings (15)
新しい兄弟ブランドは新しいカテゴリーを創る場合のみ市場に出すべき。(製品ラインの穴埋め、既存ライバルと張り合うためだけに出すのは間違い)

6. The law of consistency
市場は変化するかもしれないが、ブランドは変えるべきではない。あなたは、ブランドの境界を限定するべきである。

7. The law of change (20)
A) ブランドが弱体であるか、消費者の頭の中に存在しない場合
B) ブランドの価格帯を下げて利益を確保したい場合
C) ブランドの旨みが乏しい市場にあって、いずれは変化が起こりそうな場合


2018年12月2日日曜日

意思決定のための分析の技術 後正武


意思決定のための分析の技術を読みました。分析に関してまとめた本です。たまに、こうやって分析の本を読むと、日ごろの仕事で使用する思考パターンが如何に偏っているかを実感します。MCKの人が書いた書籍なのでMECEに分析を分析しています(笑)

事業会社にいる以上、絵に描いたモチにならにようにするために、個人的に意識していきたい点は「マネジメント・インプリケーションを考えて分ける」点と「総資源の配分」という観点です。

現職だと、あんまり「分ける」ことに意識をしないのですが、売上高ひとつにとってもどう分解するのが一番適切かを訓練しないとダメですわ。日々の業務でそういう頭の使い方をあんまりしていない。

「渋谷駅のアイスクリーム屋の売上高を伸ばすには?」
「ヤマダ電機の売上高を1.2倍にするには?」

やっぱりサラリーマンこそ、こういう思考の基本をおろそかにしてはいけないですね。



いつものようにまとめです。

1) 大きさを考える
- Order of magnitude(大きさの程度)を考える
- 総資源の配分を考える

2) 分けて考える
- MECEに分ける
- 四則演算のうち、足し算、引き算、掛け算をしっかり意識する・切り口の軸を明確に意識する
- マネジメント・インプリケーションを考えて分ける
- 全体を把握して、検討対象を正しく位置づける
- 多元の要素を考える

軸が二つ以上の多元になるとき
a) 一分野を絞り込み、その中で二元の要素を考える
b)二元分析の上に三元目の指標を載せる
c)割り算をする
d)多数の要素をより大きな二軸に集約して考える
e)多元回帰などの数学的処理法を用いる

3) 比較して考える
a)できるだけ同じものを比較すること
b) 異なるものを比較するときは、意味がありかつ比較できる指標を探すこと
c)似たもの同士を比較する場合も、同じ要素と異なる要素を正しく見分け、異なる部分の影響を勘案しつつ合理的な比較を心かける
- 比較のための枠組みを工夫する

4) 時系列で考える大きな流れ・変化を読む
- 変曲点に着目し、兆候を読み取る
5) バラツキを考える
6) プロセスを考える
7) ツリーで考える
8) 不確実・ファンタジーな課題に積極的に取り組む
9) 人間の課題に積極的に取り組む 

2018年11月25日日曜日

ネット広告&スマホSNS広告がよーくわかる本 佐藤和明


読了。さすがに、法律(消費者基本法、民法の消費者契約法、不正競争防止法)のところぐらいしか学ぶことがなかった(笑)





とはいえ、思ったことは
1. ある世界を包括的に把握するのは重要。そして、多くの場合は書籍で学べる。
2. DisruptiveなDigitalはDigitalで学ぶしかない。そして、多くの場合はTechnologyへの理解が鍵となる。
3. その上で細かいHowを学ぶことが大事。Howから入るとタダのノウハウ屋になってしまう。

2018年11月18日日曜日

転職の思考法 北野唯我



最近テレビにも出た、北野さんの処女作です。
転職の思考法 という人材業界ならではの目線で、転職についての考え方を展開してます。



言っていることは真っ当だけど、こんな平易な文章で噛み砕かなくていいのではw



ちなみに、キャリア系は以下の書籍が私の中では王道ルートです。経営学の組織論の中にもキャリア関係を研究している分野があり、そこの知見を借りると、ほとんどのキャリアの悩みは消えます。

1. ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略ロードマップ (GSの副会長からHBSで教鞭をとったロバート・スティーブン・カプラン教授の本)
2. 働くひとのためのキャリア・デザイン  (MIT教授エドガー・シャインの弟子である金井教授の本)
3. 自分らしいキャリアのつくり方 (日本国鉄→MCK→ワトソンと人事系のキャリアを歩まれた高橋教授の本)

それでも、もやもやする人は以下の書籍を読みましょう。多くの人が勇気づけられ、世界中で読まれた書籍です。

2018年11月11日日曜日

マーケティングの仕事と年収のリアル 山口義宏



自分の職種の市場構造を理解しようと思い、マーケティングの仕事と年収のリアルを読みました。マーケティングの職種に興味ある人は一度は読んでみるといいかと。文体が難しくないから、3時間もかからず読めます(笑)



内容に関しての感想は、
  • 筆者の経歴的に、事業会社と広告代理店を行き来しているからなのか、広く基本的な情報は網羅されている。
  • 経営ゾーン、スペシャリストゾーン、起業ゾーンのどこを目指すかで、問われるスキルセットも変わってくる点は100%同意する。
  • マーケティングがふわっとしているのは、マーケティング施策に関する情報ばかりが世の中に溢れているからだと納得した。
  • 就活生や一般の人にとってのマーケティグがHow/アイディアの話に思える原因が何かがようやく理解できた。
  • 広告代理店ではなく、事業会社からマーケティングに関わるほうが、包括的に全体像をつかめるようになるのはそうだと思う。

ちなみに、この内容にガチレスをしてみると
  • 経営管理業務を行いながら、マーケティング施策を打てるマーケターなだけで、希少性がある。これは事業会社側を経験しない限りなれない。
  • ブランディングができるマーケターは、超希少種になれる。
  • 広告代理店の勝ちパターンはスペシャリストになること意外なさげ。
  • マーケティングを体系的に学べるキャリアは日本だと転職をしながら構築しないと事実上なさげ。
  • 筆者の経歴と携わっている案件が原因だからか、21世紀の最大のトレンドであるグローバリゼーションとDigitalの観点が欠けている。こっちの世界を目指したい人はやはりそれ相応の知識や経歴を積んでいく必要あり。


2018年11月4日日曜日

リーダーシップの本質 堀紘一


読売新聞→三菱商事→ハーバードMBA→BCG→DIを創業とサラリーマンの鏡である堀さん。リーダーシップの本質 改訂3版を読了しました。




社会人3年目も後半に入ってきて、こういうソフトスキルの重要性を再実感しています。新卒の時はスキルセットと知識がなかったので、そっちばかり磨くことに専念してました。そろそろこういったソフトスキルを見直して、日々意識していかないとダメです。反省。


いつものように要約です。


リーダーの定義
  • 「リーダーの存在=組織の強さ」中間管理職と決定的に異なる理由は、挑戦する、リスクをとる点
  • リーダーに求められていること:(1)社員に方向を示し、組織の方向性を与える(2)構成員の迷いを取り除く(3)下位概念の人に責任を押し付けない
  • リーダーが正しい判断をするためには:知識・方法・先人の経験を学ぶ+密度の濃い実経験をつむことで、判断力と方法論を獲得
  • リーダーの5つの役割/用件:(1)ビジョンを示す(2)戦略を選択し判断する(3)組織体制を確立する(4)人事を行う(5)カルチャーを形成する

リーダーの仕事
  • 5つの仕事:(1)目的設定(2)現在地の認識(3)環境変化の読み(4)戦略の策定(5)実行
  • 真のリーダーシップを発揮するための行動:(1)夢を語る(2)自ら手本を示す(3)チャンスを与える(4)考えさせる(5)人を叱り、誉める(6)明日を語る(7)常に勝つ

リーダーに必要な能力:(1)観察力(2)状況判断力(3)意思決定力(4)行動力(2と3で差がつく)



2018年10月21日日曜日

アイデアのつくり方 ジェームス W.ヤング



最近、仕事でちょっとうまくいった土台となった名著を紹介しましょう。読破して半年ぐらい経ちますが、改めて古典の威力を思い知ってます。

アイデアのつくり方

広告代理店のストプラとかマーケティングを含む経営企画関係職の人は読んでないとアウトです。そもそも広告業界の人でこういった名著を読まずにいるのもヤバいです。この本はAmazonのコメント欄にもあるとおり、米国最大広告代理店のトップが描いた名作です。
アメリカの最大の広告代理店・トンプソン社の最高顧問であった、著者が書いた本ですね。広告代理店協会の会長も務めたことがあるようです。まず、驚いたのは増版の回数。1988年に初版が発行されたようですが、2017年までに70回も増版されています。
内容は、「アイディアってそもそもどうやって生み出すのか?」という問いに対する解があります。資格業じゃない職種(クリエイティブとか企画)は、先天的なセンス有無で決まりそうに見えますが、実は「圧倒的な情報量とその解釈で質が決まる」わけです。



クリエイティブ系の職種って他の資格で守られている職種よりも勉強がいらないように見えますが、ホワイトカラーである以上、そんなことないです。というのも、「アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ」であって、その再現性を高めるために知識を仕入れるのは十分条件ということです。。優秀な広告代理店とかマーケターになるために、先輩から「よく遊べ!」とか、「合コンいけ!経験をしろ!」とか言われる背景は、実はこういった考え方があったわけです(と私は解釈しています)。

結局、21世紀の職業は基本的に、米国のロバート・ライシュが提唱するように「シンボリックアナリスト」を目指して勉強するのが一個の正解なのかもしれません。



2018年10月14日日曜日

格差社会という不幸① 宮台真司


これは骨太の書籍だったけれども、ポストモダンの時代を把握するには非常によかったです。2005~2010年あたりの日本社会における論点が揃っていて、日本が当時どういう方向性にいたのかが把握できます。と同時に、今の時代にも通用する/役立つ点もあるので、複数回に分けて紹介していこうかと。そして、最近思うのが、こういった表面上の変化に惑わされたり怯えるのではなく、じっくり自分の軸と社会・産業の構造変化を見極めて生きていくことが、幸せになる第一歩なんじゃないかなぁと思いました。(尤も筆者は、社会学者ではないので、論の飛躍や浅い論考には暖かい目で読んでください。)




個人的な読後だとリーマンショック前とリーマンショック後で、日本社会の論調が劇的に変化していることが肌で感じられました。もはや2018年時点では、ほとんどの大衆メディアも日本の構造的問題(停滞する経済成長、社会保障制度)の深刻さに気づくものの、抜本的解決策が見えていないことに諦め、一個人としてどう生き抜くかの論で終わる記事が多い印象です。「日本すごい!」と手放しで言えるのは一部の地方の視聴者向けのテレビ番組だけという。まだ、2000年後半は(小泉政権の構造改革から民主党に政権が渡ったぐらい)、日本国内の諸問題に目を向けていればよかった時代でしたが、2010年後半はグローバリゼーションに取り残された日本社会とともに沈没していくのか、脱出していくかの生き方を問われている時代になりつつ気がします。まさに格差社会になってしましました。ちなみに、平均賃金は10年前より下がっているのに、社会保障料は右肩上がり、つまりは、手取りが少なくなりつつある時代に突入です。

  • ハイパー・メリトクラシー社会の到来
メリトクラシーとハイパー・メリトクラシーの違いは、「メリトクラシー」においては学校教育で学ぶことができ、ある程度客観的に計測することができるような「業績」や「能力」ーいわば認知的な「頭のよさ」のようなものーが基準になっていたのに対して、「ハイパー・メリトクラシー」の特徴は「コミュニケーション能力」とか「個性」「創造性」「意欲」「問題発見・問題解決」など、非常に曖昧で、抽象的で、いったいどうやって身につけるのか、どうやって測ったり証明したりできるのかわからないものが重視される。つまり、メリトクラシー社会は教育の平等があって評価も公平だった。成績が優秀であれば、上にいける努力のしようがいがある社会だった。

近代型能力
ポスト近代化能力
標準性
多様性・新奇性
知識量
意欲・創造性
比較可能
個別性・個性
順応性
能動性
協調性・同質性
ネットワーク形成力・交渉力


この近代型能力とポスト近代化能力の比較表を見て何か気づきません?

まず、近代型能力が求められた昭和の時代は「頑張れば報われる神話」が成り立っていた世界でした。でも、ポスト近代化能力である平成の時代は、「多様性、創造性、個性、能動性」って何をしたら測定できる・育成できる能力なんでしょうか。そう、日本はシステムとして遅れているわけです。そして、システムとして遅れていることが深刻になるほど日本社会の豊かさは消え失せてしまったわけです。(そりゃバブルの時とかだったらJapan as No.1なので無視できたかもしれませんが、人口が減る以上市場の魅力は失くなる一方です)

もう一つ、ポスト近代化能力で求められる要件は、まさに新卒一括採用の就活で求められる能力そのものです。つまり、企業が求める人材の要件は当然ですが、時代に応じて変わるってことです。(逆にいえば、こういう背景がわかっていると就職活動などのゲームも簡単に攻略しやすくなるわけです)


実はこの流れに応じて、2000年代後半に私大での推薦入試、AO入試などの一般入試以外の選抜システムが構築されたわけです。18歳そこいらで、小論文+自己推薦+面接なんていうミニ就職活動とも言える選抜方式に参加し、合格を勝ち取るわけです。高校生ながら将来のVisionを示し、それに向かうための課外活動を高校時代から(!)重ねて、アピールするなんて、まさに「新卒の就職活動」そのものです。では、そういった推薦/AO入試で入ってくる人が22歳時点でも俗に言う「(企業から内定を多くとれる)優秀な学生」かといえば、まあそんなこともなく、18歳ぐらいでミニ就職活動をやっている割には結構普通だったりするわけです。それもそのはずで、同じポスト近代化能力が問われるゲームであっても18歳の時のと22~24歳の時では、競争の倍率が違うからです。つまり、先天的にポスト近代化能力が高い学生であっても普通に勉強して学力のみで選抜される旧式の大学入試を突破してくる層は相当数ということです。これが世間でいう「要領がよく、かつ、頭のいい人」のことなんでしょう。感覚的には、私立の有名中高一貫からストレートで大学受験も大学生活も就職活動も勝ち抜いてくる一部の人たちです(それ以外は浪人とか留学で一年遅らせるとか単に時間をかけているだけ)。


この話には続きがあります。


ただ、実はこのハイパー・メリトクラシー社会の到来の背後には、産業構造の変化があります。フランスのマルクス系経済学の一つである、レギュラシオン学派と似通っています。彼は、産業構造が変わると、起業の労務管理や人事管理が「フォード主義」から「ポストフォード主義」へと変わるという学説を唱えました。

フォード主義は製造業中心で大量生産型の近代過渡期の社会に適合し、「構想と実行の分離」ー頭を使う人と体を使う人を分けるーことを特徴に持ちます。一方で、ポストフォード主義はサービスや情報通信産業中心で多品種少量生産型の近代成熟期に適合し、「構想と実行の一致」ー道具的より自足的な高付加価値が重要化する多品種少量生産社会=サービス&情報産業社会では、トップから末端まで均質さよりも創意工夫が求められるーことを特徴に持ちます。

つまり、「誰も考えつかなかったアイディアで、すばらしい製品やサービスを生み出し人を幸せにする喜び」を競うようになります。これによって、「労働を通じた自己実現」を追求しやすくなると、ミシェル・アグリエッタは肯定します。一方、批判理論家ヨアヒム・ヒルシュは、経済における「ケインズ主義」から「グローバル化」へ、政治における「コーポラティズム」から「ネオリベ」へという連携的変化に適応すべく「消費者主義パラダイム(自己実現主義)」が蔓延すると批判します。


スティーブ・ジョブスがiPhoneでヒットを出した頃から、ビジネス雑誌などでよく取り上げられる言葉、「イノベーション」、そして、最近のバズワード、「働きがい」です。つまり、基本的にこういったビジネス界隈でのバズワードには全て社会的構造と経済的状況によって、「大衆を啓蒙せざるをえない」理由があるわけです。以下の引用文が象徴的です。


具体的には、「労働での自己実現」をめぐる本田由紀の言葉を借りると”ハイパー・メリトクラティックな”競争で人材が選別され、その敗者を「消費での自己実現」をめぐる競争に邁進させて経済を回すわけです。明らかにそこには「構想と実行の一致」を「構想」するものによる「構想と実行の一致」を真に受けて「実行」する者からの搾取があるわけです。レギュラシオン学派の研究によれば、日本型ポストフォード主義は、いま述べた事情に加え、70年代における低成長時代の訪れに対応して、資本と労働運動の関係が労使協調路線をとった上での労働環境改善へと舵を切らざるを得なかったことにも結びついてます。


これ恐怖すら感じません??

だって、日本は高度経済成長期はサラリーマンとして「モーレツに」働いた対価として、「賃金の上昇」を経営者含む株主に求めていたわけです(で、メインバンクや株式持合の経営の名残で従業員重視の経営が成り立っていた)。年金をもらって生きている年配の時代はそれこそ「頑張って働いた分だけ、お金がもらえた」というなんともメリトクラシーな社会だったわけです。つまり、努力したら報われる平等な社会ってことです。

今は、そんなこと言ったら「そんなお金ほしいなら、転職/副業すれば?」とか言われる時代です。これは完全に「自由主義経済/小さな政府推奨によって、最後は自己選択と自己責任に転化される」の流れを受けています。つまり、「その職場を選んだアナタが悪いんじゃない?」と自己責任に摩り替えられるわけです。悲しいことに頑張った対価として金銭的報酬を企業/属しているコミュニティ求めることが憚れるのです。(もっとも企業側がそういう要求に応えられない経営状況なのが真の問題なのですが、ここでは一労働者の目線で考えると)そりゃ、企業への忠誠心なんてなくなります。。。「最近の若者は根性なくてすぐやめがち」などの文句は実態が全くわかっていないわけです。

そしてもっと恐怖な点は、「その敗者を『消費での自己実現』をめぐる競争に邁進させて経済を回す」部分です。要は、ハイパー・メリトクラティックな選抜方法だと、どうしても不平等な社会になります(だって、面接の良し悪しなんてわからないし、相対評価だから常に正解がないゲーム)。でも、学校教育は平等社会が続く神話に支えられています(本当は機会の平等が担保されているだけで十分恵まれているんだけど)。

こうして、自分の道が閉ざされた(それこそ、「有名企業に内定を取れなかったから人生オワッタ。。。」)と感じる若者をエサにビジネスがまかり通るわけです。典型的なのが、就職活動を支援するという名の学生側からお金を搾取するビジネスですね。冷静に考えたら、入社した会社だけで、人生決まることはないわけで、入社以降の努力である程度の欲望はどうにでもなるはずなのに、そういった差異を競い合わせる(象徴的なのは、多分「三菱商事と三井物産内定しましたが、伊藤忠に行きます!」、とか「一応、マッキンゼーとBCGから内定もらいました(すまし顔)」)ことで、他者承認をベースに搾取するゲームが行われているわけです。。。尤も、「合コンでモテるんだからいいんです!」という短期的なincentiveを享受することにゴールを置いているなら全く問題ないです。

幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 でもこう語られています。

「他者の承認を得るもっとも簡単で確実な方法は、自分の価値観を他者と同じにすることだ。女子高生の間で流行したルーズソックスのように、成熟した大衆社会では、人々が他人の望むものを手に入れようと行動する。不恰好な靴下は、マイホームやマイカーや学歴や肩書きなど、私たちの社会で価値があるとされるどんなものにも置き換えられる。そこでの個性とは、傍から見ればどうでもいいような微細な差異を競うことだ」



幸せの第一歩は、そういった微細な差異を競う世界と距離を置いて、自分にとって生き心地がいい世界を見つけることなんだと思います。


東京に帰ってきて感じるのは、「幸せそうに生きているけれども、正直なところ、結構満たされていない」人が意外と多い。これは都市に住む宿命である「自己の代替可能性」と折り合いをつけなければいけないわけですが、それを支えるコミュニティが実はSNSによって本来ならば閉じるべきが、開かれてしまうことによって連帯が分裂していることが原因だと思っています。


追伸:働き方4.0 はまさに令和時代におけるバイブルになるでしょう。橘玲は、15年も前から終身雇用の終焉、新卒一括採用の幻想、年功序列の賃金制度の崩壊、といった徐々に訪れる日本社会の制度の歪みに対して、「個人」レベルでできることを整理した建設的な解を提示しています。

2018年10月6日土曜日

外資のオキテ どこが違って、どこが同じか トム・マーカート



外資のオキテ どこが違って、どこが同じかをついに読了しました。上司から「読むべし」と勧められたものの買ってから4ヶ月ぐらい放置していました。。。


本書は、シティコープ、P&G、ACニールセンの経営陣にまで上り詰めた経験から、知っておくべきオキテをまとめた書籍。結構、シビれる言葉が並びますw

本書のオキテに従えば、昇進の条件は満たされる。だが、オキテを無視すれば、昇進の道をはずれ、同僚の後塵を拝することになるだろう。 
 お金がほしければ、まず働くことだ。大金持ちになりたければ、さらにハードにそしてスマートに働くしかない。
出世レースに将来の保証などありえない。ビジネスとは結果を出すことであり、結果を出す限り報酬はついてくる。 
きみがどんな仕事をしていようと、他の社員よりも少しでも多く、そして少しでも懸命に働きたまえ。
目標達成のために、あらゆる合法的手段を探せということだ。  

個人的には、以下が改めて大事にしたい点。

  1. 誠実かつチャーミングであれ
  2. プレゼンの準備には充分な時間をかけよ
  3. Eメールに怒りを込めるな
  4. 発言は常に慎重であれ
  5. 身だしなみを大切にせよ
  6. 「ありがとう」を忘れるな
  7. 常に謙虚であれ
  8. 評価は自分から依頼せよ
こう見ると、やはり「簡単なことを確実に」やりきれるかが大事。今年も残り3ヶ月だけど、追い込もう。

2018年9月29日土曜日

2018年9月16日日曜日

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか 三枝匡


Turnaround artistとして有名な三枝さんの本。

V字回復の経営―2年で会社を変えられますかを読みました。

小説のように進みながら、会社改革のポイントが挿入形式で解説されていく書体です。メーカー勤務なので、イメージが湧きやすい。

組織構造に変化を起こす際には、コミュニケーション経路と責任の所在(role and responsibility)を整理しないと現場が着いてこないのはありがちな現象です。その意味で人、組織を通じてトップラインを伸ばす、つまり、財務諸表に売上増として結果を残すのは、本当に難しいことなんだと実感。





2018年9月9日日曜日

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則 アル・ライズ



マーケティングの名著です。アル・ライズはポジショニング戦略などマーケティング界隈で超有名な人です。広告業界とかマーケティング部署の人は読んでないと話のスタートに立てません。(本当それぐらい、重要な法則が並んでます)

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

一応3回読み直しましたが、毎回読むたびに気づきがあります。


何回も反復しようと思います。Line extensionなんてまさに議論しどころなトピックですw



1. 一番手の法則:最初に顧客の心に入り込むことが、市場をリードするブランドになる。最初に市場に参入したブランド名が商品の総称になることが過去の事例として多い(例:飲料/PC/)ミニバン/雑誌/レーザープリンタなど)。


2. カテゴリーの法則:最初に市場参入できなかった場合は、一番手になれるカテゴリーを見つける。新製品はどのカテゴリーで一番手かを思案すべき。


4. 知覚の法則:マーケティングは商品の戦いではなく、知覚の戦いである。あらゆる事実は相対的であるため、「事実を把握すること」は成り立たない。顧客や見込み客の心の中にある知覚こそが現実である。「周知の事実の法則」消費者は間接的な知覚を頼りに購買決定をする事実により、マーケティングは複雑になっている。


5. 集中の法則:見込み客の心の中にただ一つの言葉を植えつけることである。簡潔で利点を伝える言葉が望ましいが、利点に関連、サービスに関連、顧客関連、セールス関連した言葉が用いられる。マーケティングの基本は、焦点を絞り込むこと。


6. 独占の法則:二つの会社が顧客の心の中に同じ言葉を植えつけることはできない。ありうるミスは、競争相手の商品コンセプトの重要度を高めることにより、相手の立場をさらに強固にしてしまうこと。


7. 弟子の法則:採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの段にいるかで決まる。顧客の心の中には、購買決定をするにあたって用いる序列尺度が存在する。マーケットシェアと顧客の心の中にある梯子段上のあなたの位置との間には相関関係があり、上から4:2:1の割合。


9. 対立の法則:ナンバーツーの座を狙う際の戦略は、ナンバーワンのあり方によって決まる。ナンバーワンのエッセンスを把握し、相手との差別化を図る。マーケティングとは、多くの場合正当性をめぐる戦いであり、最初に本物なりのコンセプトをつかんだブランドが、多くは強豪相手を偽物呼ばわりできる。


10. 分割の法則:時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、二つ以上のカテゴリーに分かれていく。分割することはあるが、統合することはない。


13. 犠牲の法則:何かを得るにためには、何かを犠牲にしなければならない。製品ライン、ターゲット市場、絶えざる変更のいずれかが犠牲になる。マーケティングとはある種の心理戦争である。


16. 成功の法則:うぬぼれてはいけない。ブランドが成功したから製品ライン拡張に飛びつく事例は数多。


21. 成長促進の法則:成功するマーケティングとは、一時的流行現象(ファッド)の上に築かれるのではない。長期に渡るトレンドの上に築かれるのだ。

Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...