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2019年1月6日日曜日

ビジネスモデルYOU Tim Clark


ビジネスモデルYOUというちょっと変わった本を読み返しました。

この本は要するに、「人生をどうデザインするか?」という問いに対して、様々なアプローチがある中、企業戦略と同様なフレームワークを駆使しながら、個別解を見出すことを手助けしてくれる書籍です。

なぜ、この本を久しぶりに取ったのかというと
  1. 大学四年の最後の春休みに、当時思いつく範囲で5年後ぐらいまでの人生計画をざっくり立てていた
  2. 社会人3年目になると大学生だった頃に見えていた世界と今見えている世界にGapが出てきた
  3. アラサーまであと4年と思うと、ここで軌道修正かける計画を立てた方が良いと思った
という、要は、人生計画の再考を行いました。最近思うのは、細かいKPIの達成はなかなか難しいけれども、大きな人生の方向性というのはなんだかんだ思った方に進むということです。ナポレオン・ヒルがいう「思考は現実化する」意味が少しは体感できてきたのかもしれません。だから、小さくてもいいから「願う」ことが重要なんだと思います。

あとは、ぶっちゃけ「君は何したいの?」って言われた時に、薄い解答しかできない自分に失望したってのもあります(笑)





2018年10月14日日曜日

格差社会という不幸① 宮台真司


これは骨太の書籍だったけれども、ポストモダンの時代を把握するには非常によかったです。2005~2010年あたりの日本社会における論点が揃っていて、日本が当時どういう方向性にいたのかが把握できます。と同時に、今の時代にも通用する/役立つ点もあるので、複数回に分けて紹介していこうかと。そして、最近思うのが、こういった表面上の変化に惑わされたり怯えるのではなく、じっくり自分の軸と社会・産業の構造変化を見極めて生きていくことが、幸せになる第一歩なんじゃないかなぁと思いました。(尤も筆者は、社会学者ではないので、論の飛躍や浅い論考には暖かい目で読んでください。)




個人的な読後だとリーマンショック前とリーマンショック後で、日本社会の論調が劇的に変化していることが肌で感じられました。もはや2018年時点では、ほとんどの大衆メディアも日本の構造的問題(停滞する経済成長、社会保障制度)の深刻さに気づくものの、抜本的解決策が見えていないことに諦め、一個人としてどう生き抜くかの論で終わる記事が多い印象です。「日本すごい!」と手放しで言えるのは一部の地方の視聴者向けのテレビ番組だけという。まだ、2000年後半は(小泉政権の構造改革から民主党に政権が渡ったぐらい)、日本国内の諸問題に目を向けていればよかった時代でしたが、2010年後半はグローバリゼーションに取り残された日本社会とともに沈没していくのか、脱出していくかの生き方を問われている時代になりつつ気がします。まさに格差社会になってしましました。ちなみに、平均賃金は10年前より下がっているのに、社会保障料は右肩上がり、つまりは、手取りが少なくなりつつある時代に突入です。

  • ハイパー・メリトクラシー社会の到来
メリトクラシーとハイパー・メリトクラシーの違いは、「メリトクラシー」においては学校教育で学ぶことができ、ある程度客観的に計測することができるような「業績」や「能力」ーいわば認知的な「頭のよさ」のようなものーが基準になっていたのに対して、「ハイパー・メリトクラシー」の特徴は「コミュニケーション能力」とか「個性」「創造性」「意欲」「問題発見・問題解決」など、非常に曖昧で、抽象的で、いったいどうやって身につけるのか、どうやって測ったり証明したりできるのかわからないものが重視される。つまり、メリトクラシー社会は教育の平等があって評価も公平だった。成績が優秀であれば、上にいける努力のしようがいがある社会だった。

近代型能力
ポスト近代化能力
標準性
多様性・新奇性
知識量
意欲・創造性
比較可能
個別性・個性
順応性
能動性
協調性・同質性
ネットワーク形成力・交渉力


この近代型能力とポスト近代化能力の比較表を見て何か気づきません?

まず、近代型能力が求められた昭和の時代は「頑張れば報われる神話」が成り立っていた世界でした。でも、ポスト近代化能力である平成の時代は、「多様性、創造性、個性、能動性」って何をしたら測定できる・育成できる能力なんでしょうか。そう、日本はシステムとして遅れているわけです。そして、システムとして遅れていることが深刻になるほど日本社会の豊かさは消え失せてしまったわけです。(そりゃバブルの時とかだったらJapan as No.1なので無視できたかもしれませんが、人口が減る以上市場の魅力は失くなる一方です)

もう一つ、ポスト近代化能力で求められる要件は、まさに新卒一括採用の就活で求められる能力そのものです。つまり、企業が求める人材の要件は当然ですが、時代に応じて変わるってことです。(逆にいえば、こういう背景がわかっていると就職活動などのゲームも簡単に攻略しやすくなるわけです)


実はこの流れに応じて、2000年代後半に私大での推薦入試、AO入試などの一般入試以外の選抜システムが構築されたわけです。18歳そこいらで、小論文+自己推薦+面接なんていうミニ就職活動とも言える選抜方式に参加し、合格を勝ち取るわけです。高校生ながら将来のVisionを示し、それに向かうための課外活動を高校時代から(!)重ねて、アピールするなんて、まさに「新卒の就職活動」そのものです。では、そういった推薦/AO入試で入ってくる人が22歳時点でも俗に言う「(企業から内定を多くとれる)優秀な学生」かといえば、まあそんなこともなく、18歳ぐらいでミニ就職活動をやっている割には結構普通だったりするわけです。それもそのはずで、同じポスト近代化能力が問われるゲームであっても18歳の時のと22~24歳の時では、競争の倍率が違うからです。つまり、先天的にポスト近代化能力が高い学生であっても普通に勉強して学力のみで選抜される旧式の大学入試を突破してくる層は相当数ということです。これが世間でいう「要領がよく、かつ、頭のいい人」のことなんでしょう。感覚的には、私立の有名中高一貫からストレートで大学受験も大学生活も就職活動も勝ち抜いてくる一部の人たちです(それ以外は浪人とか留学で一年遅らせるとか単に時間をかけているだけ)。


この話には続きがあります。


ただ、実はこのハイパー・メリトクラシー社会の到来の背後には、産業構造の変化があります。フランスのマルクス系経済学の一つである、レギュラシオン学派と似通っています。彼は、産業構造が変わると、起業の労務管理や人事管理が「フォード主義」から「ポストフォード主義」へと変わるという学説を唱えました。

フォード主義は製造業中心で大量生産型の近代過渡期の社会に適合し、「構想と実行の分離」ー頭を使う人と体を使う人を分けるーことを特徴に持ちます。一方で、ポストフォード主義はサービスや情報通信産業中心で多品種少量生産型の近代成熟期に適合し、「構想と実行の一致」ー道具的より自足的な高付加価値が重要化する多品種少量生産社会=サービス&情報産業社会では、トップから末端まで均質さよりも創意工夫が求められるーことを特徴に持ちます。

つまり、「誰も考えつかなかったアイディアで、すばらしい製品やサービスを生み出し人を幸せにする喜び」を競うようになります。これによって、「労働を通じた自己実現」を追求しやすくなると、ミシェル・アグリエッタは肯定します。一方、批判理論家ヨアヒム・ヒルシュは、経済における「ケインズ主義」から「グローバル化」へ、政治における「コーポラティズム」から「ネオリベ」へという連携的変化に適応すべく「消費者主義パラダイム(自己実現主義)」が蔓延すると批判します。


スティーブ・ジョブスがiPhoneでヒットを出した頃から、ビジネス雑誌などでよく取り上げられる言葉、「イノベーション」、そして、最近のバズワード、「働きがい」です。つまり、基本的にこういったビジネス界隈でのバズワードには全て社会的構造と経済的状況によって、「大衆を啓蒙せざるをえない」理由があるわけです。以下の引用文が象徴的です。


具体的には、「労働での自己実現」をめぐる本田由紀の言葉を借りると”ハイパー・メリトクラティックな”競争で人材が選別され、その敗者を「消費での自己実現」をめぐる競争に邁進させて経済を回すわけです。明らかにそこには「構想と実行の一致」を「構想」するものによる「構想と実行の一致」を真に受けて「実行」する者からの搾取があるわけです。レギュラシオン学派の研究によれば、日本型ポストフォード主義は、いま述べた事情に加え、70年代における低成長時代の訪れに対応して、資本と労働運動の関係が労使協調路線をとった上での労働環境改善へと舵を切らざるを得なかったことにも結びついてます。


これ恐怖すら感じません??

だって、日本は高度経済成長期はサラリーマンとして「モーレツに」働いた対価として、「賃金の上昇」を経営者含む株主に求めていたわけです(で、メインバンクや株式持合の経営の名残で従業員重視の経営が成り立っていた)。年金をもらって生きている年配の時代はそれこそ「頑張って働いた分だけ、お金がもらえた」というなんともメリトクラシーな社会だったわけです。つまり、努力したら報われる平等な社会ってことです。

今は、そんなこと言ったら「そんなお金ほしいなら、転職/副業すれば?」とか言われる時代です。これは完全に「自由主義経済/小さな政府推奨によって、最後は自己選択と自己責任に転化される」の流れを受けています。つまり、「その職場を選んだアナタが悪いんじゃない?」と自己責任に摩り替えられるわけです。悲しいことに頑張った対価として金銭的報酬を企業/属しているコミュニティ求めることが憚れるのです。(もっとも企業側がそういう要求に応えられない経営状況なのが真の問題なのですが、ここでは一労働者の目線で考えると)そりゃ、企業への忠誠心なんてなくなります。。。「最近の若者は根性なくてすぐやめがち」などの文句は実態が全くわかっていないわけです。

そしてもっと恐怖な点は、「その敗者を『消費での自己実現』をめぐる競争に邁進させて経済を回す」部分です。要は、ハイパー・メリトクラティックな選抜方法だと、どうしても不平等な社会になります(だって、面接の良し悪しなんてわからないし、相対評価だから常に正解がないゲーム)。でも、学校教育は平等社会が続く神話に支えられています(本当は機会の平等が担保されているだけで十分恵まれているんだけど)。

こうして、自分の道が閉ざされた(それこそ、「有名企業に内定を取れなかったから人生オワッタ。。。」)と感じる若者をエサにビジネスがまかり通るわけです。典型的なのが、就職活動を支援するという名の学生側からお金を搾取するビジネスですね。冷静に考えたら、入社した会社だけで、人生決まることはないわけで、入社以降の努力である程度の欲望はどうにでもなるはずなのに、そういった差異を競い合わせる(象徴的なのは、多分「三菱商事と三井物産内定しましたが、伊藤忠に行きます!」、とか「一応、マッキンゼーとBCGから内定もらいました(すまし顔)」)ことで、他者承認をベースに搾取するゲームが行われているわけです。。。尤も、「合コンでモテるんだからいいんです!」という短期的なincentiveを享受することにゴールを置いているなら全く問題ないです。

幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 でもこう語られています。

「他者の承認を得るもっとも簡単で確実な方法は、自分の価値観を他者と同じにすることだ。女子高生の間で流行したルーズソックスのように、成熟した大衆社会では、人々が他人の望むものを手に入れようと行動する。不恰好な靴下は、マイホームやマイカーや学歴や肩書きなど、私たちの社会で価値があるとされるどんなものにも置き換えられる。そこでの個性とは、傍から見ればどうでもいいような微細な差異を競うことだ」



幸せの第一歩は、そういった微細な差異を競う世界と距離を置いて、自分にとって生き心地がいい世界を見つけることなんだと思います。


東京に帰ってきて感じるのは、「幸せそうに生きているけれども、正直なところ、結構満たされていない」人が意外と多い。これは都市に住む宿命である「自己の代替可能性」と折り合いをつけなければいけないわけですが、それを支えるコミュニティが実はSNSによって本来ならば閉じるべきが、開かれてしまうことによって連帯が分裂していることが原因だと思っています。


追伸:働き方4.0 はまさに令和時代におけるバイブルになるでしょう。橘玲は、15年も前から終身雇用の終焉、新卒一括採用の幻想、年功序列の賃金制度の崩壊、といった徐々に訪れる日本社会の制度の歪みに対して、「個人」レベルでできることを整理した建設的な解を提示しています。

2018年7月30日月曜日

富を築く技術 P.T.バーナム


バーナム効果でおなじみの、バーナムさんの名著。興行師としてキャリアをスタートさせ、大成功したおっちゃんです。

いいことが買いてありました。特に1と12!

  1. 職業選択を誤るな
  2. 正しい場所を選べ
  3. 借金をするな
  4. けっしてあきらめるな
  5. 何をするにも全力であたれ
  6. 運に頼るな、自ら努力せよ
  7. 道具は最高のものを使え
  8. ないものねだりをするな
  9. 何か有効なことを学べ
  10. 希望は持て、ただし夢は見すぎるな
  11. 一度にたったひとつのことだけに集中せよ
  12. 何事もシステマティックにせよ
  13. 新聞を読もう
  14. 本業以外に用心せよ
  15. うかつに保証人になるな
  16. 宣伝せよ
  17. 客は丁重に扱え
  18. 客には気前よくせよ
  19. おしゃべりを慎め
  20. 常に誠実であれ

2018年5月19日土曜日

What I wish I knew when I was 20 Tina Seelig


I have just finished reading for the first time in 2018. (though this book may be a little bit old haha)



What I Wish I Knew When I Was 20


Reading this book, I can get some tips to effectively manage my life by using a conventional wisdom. Also, it made me realize the importance of giving others something without hesitation as someone may know the rule of reciprocity. Reflecting my past two years experience as a business person, there were enormous challenges or difficulties for me to overcome at that time. However, I was lucky to get so many precious experiences which changed my view on life and to somehow find my own way out of mentally and physically stressful environment behind many helps. Since this is my third year in the first company, it is the right time to start thinking how I can help others who are in trouble.

The below paragraphs are what I like.

 Essentially, the goal of this book is to provide a new lens through which to view the obstacles you encounter every day while charting your course into the future. It is designed to give you permission to question conventional wisdom and to revisit the rules around you. There is always be uncertainty at each turn, but armed with the confidence that comes from seeing how others have coped with similar ambiguities, the stress will morph into excitement, and the challenges you face will become opportunities.

 One of the biggest things that people do to get in their own way is to take on way too many responsibilities. This eventually leads to frustration all the way around. Life is a huge buffet of enticing platters of possibilities, but putting too much on your plate just to indigestion. Just like a real buffet, in life you can do it all, just not at the same time. One approach is to pick three proprieties at any one time, knowing that these will change as your life changes.


Hope this review will help you to take it:)



2018年5月5日土曜日

いま生きる階級論 佐藤優



マルクスの資本論を読み解く書籍。古典の威力を思い知らされた。



いま生きる「資本論」 (新潮文庫)

ざっくりまとめると以下な感じ。


資本主義社会は自由と平等を原則に、労働力という商品を自由に売買することで成り立っている。しかし、国家と国民の関係は、自由と平等の原則がイデオロギーによって隠蔽されている(なぜなら、国民には納税の義務がある)。よって、社会という範囲において、資本主義社会は成立している。そして、マルクスによれば、社会は三つの階級に収斂される。(社会のみではなく、国家をも想定した場合は4つの階級)
  • 資本家 (=余剰価値を独占) - 実体資本、擬制資本を抱えている
  • 労働者
  • 地主
  • 《官僚(=国家) 》
マルクスの三位一体の定式とは、資本-利潤/土地-地代/労働-賃金。ここで、労働者に着目すると、(労働者が人的資本を労働市場に投入して生み出す)労働力商品は、消費によってしか生産できない。つまり、労働力商品は欲望と結びついている(イスラムの世界などは宗教と結びついている)。そして、労働力商品の対価として得られる賃金は、消費財、家族を養う費用、イノベーションに伴う自己教育費用(専門教育ではなく基礎教育)が賄える程度に設定されている。こうした商品経済の論理を現在のグローバリゼーションと結びつけると、グローバリゼーションの本質は国家対資本(グローバル)であって、搾取した労働力によって得た富をグローバル(Google,Facebookなどのグローバル企業)が蓄積するのか、国家が奪うのか、といった問題に収斂していく。資本主義社会とは、悲しいかな、労働を搾取しない限り、豊かにはならない世界なのだ。 

 まず、労働者商品。これは、なんとなくピンときますね。だって、PRADAのバッグも、ルブタンの靴も、オーディマ・ピケの腕時計といったブランド品、嗜好品は、欲望を駆り立てずには売れません。広告みても、美人なモデルがお金のかかった綺麗な景色を背景にポーズを決めています。だれかが消費してくれないと、ブランド品の生産側の労働力も不要になる構造なわけです。これは、食品も、住居も、衣服も同様。だから、みんな高級品を買ってドヤれるように企業が協力して仕向けるわけです。そうして、消費のラットレースに組み込まれていきます。
 次に、サラリーマンの賃金。会社の株主総会資料や決算書を読めばわかる通り、多くの場合、負債の返済、株主への還元、将来の収益に向けた設備投資などを経て、最後に従業員に賃金を上げる順番になっています。ほら、「弊社は東京だと、家賃手当が8万あるから福利厚生がいい」とか、「途上国の海外駐在になれば、物価補正の補助金があるから貯金が貯まる」とかいった発言の背景には、結局、最低限の衣食住のお金+多少の嗜好品消費ができる程後の(日本の労働市場を反映した)賃金体系に組み込まれているからにすぎないわけです。そして、多くのサラリーマンはここから抜け出せないからこそ、上記のような少しでも福利厚生にしがみつこうといった発想になるわけです。本書で、佐藤はヘッジファンドのトレーダーやPEファンド勤務のサラリーマンが高給な理由を「賃金ではなく、利潤の一部を得られる職種/ポジションだから」と説明しています。やはりリスクを取った人にはリターンがある資本主義社会の恩恵を受けるならば、サラリーマンであっても、プロフェッショナルサラリーマンでなければならないわけです。


そんな時代の中で、ゆとり世代はしぶとく生きて行く必要があるわけです。
いやー人生考えさせられますね~。


2018年3月21日水曜日

埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意 佐藤優/杉山剛士


読了。母校のOBとして買った。


埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意


印象に残った部分は二箇所。
"困難な状況を乗り越える「タフさ」と他者の痛みに共感できる「優しさ」を兼ね備えた人間にならねばならない" 
"世界のどこかを支える人になろう"  

高校に関して残っている印象は、「泥臭く」「地道に」「諦めない」って感じかな。公立男子高っぽい(笑)ただ、他者との比較ではなく、自分の人生を全うするように促す組織風土は良かった。そして、多感な青年期の時期に、挑戦から逃げる/簡単に諦める/正々堂々勝負しない男はダサいといった価値観に触れられたことは貴重な気がする。

いつか講演に呼ばれる器の人を目指して、精進していこ。


2018年3月11日日曜日

知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語 橘玲


橘本です。

労働、年金、保険、医療、教育、資産運用などのテーマを40のエッセイにして書き下ろした本。



知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語

相変わらず破綻した日本の社会制度に対して辛口なコメントがならぶけれども、人生設計を利己的な個人に立って考えた時に、どのように生きていけばいいのか、一つの解を読者目線で展開してくれる。


印象的な部分を幾ばくか引用すると、

「企業年金の解散が相次ぎ、公的年金は際限のない保険料引上げと給付削減を繰り返している。給与は減り、退職金は廃止され、終身雇用は能力主義と容赦ないリストラにとって代わられた。だが、今も多くの人が時代遅れの設計図にしがみついたままだ。」

「人的資本論を唱えたゲーリー・ベッカーによれば、健康や人間関係も含めた広い意味での人的資本が社会の富の大半を占めている。それに比べたら、貯金の多寡やマイホームの有無にはなんの意味もない。
 裕福な資産家は別として、ほとんどの人は人的資本を上回る実物資産をもつことはない。ならばわずかな貯金を殖やそうと苦心惨憺するよりも大きな富を生む人的資本にこそ投資をすべきだと、このノーベル経済学者は言う。
 大学院や専門学校で資格を取得したり、語学学校に通うおとが流行している。これを『自分への投資』という。大衆社会では経済理論も大衆化する。
 だが、こうした投資は往々にして無駄に終わることが多い。資格や能力に価値があるのはそれが稀少だからだ。片言の英語が話せるからといって収入が増えるわけではない。弁護士が高給を得られるのは需要に対して人数が少ないからだ。少数の人間が大きな利益を手にする以上、ゲームの参加者の大半は損をしている。」

 「リカードのユートピアでは、国家に限らず、企業でも個人でも誰もが自分の得意分野で、頑張れば全員が幸福になれる。社会は弱肉強食の世界ではなく、人々は自分の得意技を交換しあって豊かになっていく。これはとても美しい理論だ。
 個人の優位を『エッジ』という。誰もが自分のエッジを持っている。人的資本への投資とは、試験でよい点数を取ったり資格の数を増やしたりすることではない。自分だけの刃を研ぎ澄ますことだ。」

「儲かる商売に参入者が少ないのは、それが他者の承認を得られない汚れ仕事とみなされているからだ。欲望という底なしの需要に対して供給が限られれば、当然そこに超過剰利潤が生まれる。違法だから儲かるわけではなく、その背後には経済的な必然がある。」

「他者の承認を得るもっとも簡単で確実な方法は、自分の価値観を他者と同じにすることだ。女子高生の間で流行したルーズソックスのように、成熟した大衆社会では、人々が他人の望むものを手に入れようと行動する。不恰好な靴下は、マイホームやマイカーや学歴や肩書きなど、私たちの社会で価値があるとされるどんなものにも置き換えられる。そこでの個性とは、傍から見ればどうでもいいような微細な差異を競うことだ」

「ところで、あなたの欲望が他人の欲望であり、あなたの幸福が他人の幸福だとすれば、あなたはいったいどこにいるのだろう?豊かな社会では『自分探し』の旅が流行するが、たいていの場合、探すべき自分は最初から存在しない。
 人は誰からも承認されない人生に耐えることはできない。一方で、他人の欲望を生きる人生は破綻を免れないだろう。大衆の欲望は無際限で、渇きは永遠に癒されない。」

「ヘーゲルは、国家という共同体から承認を得ることで人は幸福になれると説いた。ブランドの魅力は価値観を共有する世界規模の消費者共同体に参加できることにある。携帯電話の出会い系サイトが人気を博すのは、実生活では望み得ない承認を仮想空間の共同体が与えてくれるからだろう。忠誠の対象は違っても、誰かに認められたいという人間の行動は変わらない。」


相変わらず、面白い考察だなぁと感心w



2018年2月10日土曜日

不幸になる生き方 勝間和代


読了。

昔、「カツマー」と呼ばれる女性層を生み出したぐらい有名な勝間和代著作。

文体は読み易い。
本書を要約すると、以下になる。

日本社会は他責の人を生み出す教育システム、宗教観、社会構造になっているから、なかなか幸せになりにくい。しかし、世の中には幸福になるための要素は明らかになっている。その中で、幸福と相関関係のある「裁量権の自由(人生のコントロール権)*」と呼ばれる要素が日本は弱い。ゆえに、以下の法則に注意して、人生を過ごすべし。

  1. 有責の法則
  2. 双曲の法則
  3. 分散の法則
  4. 応報の法則
  5. 稼働の法則
  6. 内発の法則
  7. 利他の法則



「根拠に基づく自己肯定感を持っているか」が幸福か不幸を分ける境目らしく、子育てにおいては、それを育めるよう教育するのが一つの方向性になるかもしれません。日本人は「労働一神教の下で生きている」という表現は的を得ていると思いました。


*詳しくは、大阪大学経済学教授による論文「なぜあなたは不幸なのか」を参照。
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/rcbe/gyoseki/fukou.pdf




ちなみに、本書の「幸福のペンタゴンモデル」に関して詳細説明があるのは、以下の書籍。社会学の山田教授と電通チームハピネスとの共同本。


2018年1月20日土曜日

専業主婦は2億円損をする 橘玲


橘さんの新作です。


これは、「幸福の資本論」の女性バージョンですね。
タイトルがかなり衝撃的ですが。。。





専業主婦は2億円損をする


個人的に面白かったのは、「"プライスレス"なものを"プライサブル"にすると幸福度が下がる」主張です。「価値がつけられないほど貴重な存在」がそうでなくなる理由は、価値を意識せざるを得ない状況に陥るからなんでしょう。

労働市場が残酷な理由も、「本来ならかけがいのない、代替不可能な存在であるあなた」が労働市場の需給によって金銭価値に置き換えられるから、残酷なわけです。

ゆとり世代として、ここに幸福の秘訣があるんではないかと個人的には思うのです。

「自由競争を前提にすると、流動性や代替可能性が激しくなる市場において、どれだけ自分固有の価値を再定義できるか」と同時に、「資源を考えた際に、外部へアウトソースする」ことが21世紀の生き方なのかもしれません。





ちなみに、本書のカテゴライズとは異なりますが、プロフェッショナル妻という属性も存在することを最近知りました(笑)


2017年9月3日日曜日

幸福の資本論 橘玲



社会学の概念を用いて日本社会の構造的特徴を描写した書籍。社会学者でいうと、ナン・リンのソーシャルキャピタルの概念に近い点もあり。




幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」



自分なりに要約すると、以下になる感じ。


  • 人生は「金融資産」「人的資本」「社会資本」の三つで構成されており、この配分ゲームが人生と言える
  • なぜなら、幸福の条件である「自由」「自己実現」「共同体=絆」は、それぞれの資本のインフラに依存しているからである
  • この三つを同時に満たす「超充」になることは不可能である。それは、「お金=貨幣空間」と「共同体=政治空間」の道徳(=支配構造の基礎)が対立するからである。



それ以外にも含蓄のある指摘が数多く並びます。
  • 自己実現が大事」という共同幻想が流布している世の中では、まず、知識社会化に対応することが優先
  • 伽藍(がらん=ネガティブ評価の空間)は閉鎖系、それゆえ、ゲームのデフォルトが「できるだけ目立たず、匿名性の鎧を身にまとって悪評を避けること」が生き延びる最適戦略になる。メンバーシップ型の組織である日系の企業は、新卒一括採用と年功序列・終身雇用によってこれを成立させている。
  • バザール(=ポジティブ評価の空間)は開放系、それゆえ、「できるだけ目立って、たくさんのよい評判を獲得すること」が生き延びる最適戦略になる。これは、同年代の男や女のライバルと自分を「差別化」する、グループ内での「キャラづくり」をする本能的行動と適合している。
  • 政治空間(=権力ゲーム/武士道)と貨幣空間(=お金儲けゲーム/商人道)は根本的な倫理が異なる。統治の倫理と市場の倫理は異質な世界である。
  • 日本の社会は、ムラ的な間人主義に最適化され、そこから「やりがい」を生み出すようになっているが、「間人の幸福=伽藍のなかでのやりがい」よりも自己決定権を持つ「個人の幸福」の価値観が重視される時代になっている。c.f.間人=共同体の中の自分/個人=かけがいのない自分


    いやー彼の日本社会に対する洞察とその適切な表現にはいつも感銘を受けます。我々ゆとり世代が抱える社会への心理的閉塞感や停滞感の50%ぐらいがこれで説明可能なんじゃないでしょうか。


    2017年4月29日土曜日

    残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 橘玲


    橘さんの新書。

    橘さんの主張は、ミレニアム世代に刺さる点が多々ある。
    本書は、基本的に行動経済学、進化心理学、動物行動学、社会学などの科学を元に、「今の社会が変わらないとして、自分が幸福になるためには?」という問いに解を示していく。






    残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法


    「伽藍からバザールへ移動する」点と「恐竜の尻尾の中に頭を探す」点は、一見すると何の主張か掴みにくいが、これは比喩。
    つまり、フリーエージェント(個人事業主/起業家/投資家として生きる)社会の到来とロングテールの中で金脈を見つける生き方が21世紀の正解だということ。



    2016年10月22日土曜日

    お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ 橘玲


    読了!




    お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ


    資産運用に関して、税金、年金、保険、不動産とカバーしながらサクサク読める書籍。
    これは、人生を設計するにあたって必読の書なんじゃないでしょうか。

    2014年10月21日火曜日

    吾人の任務―MBAに学び、MBAを創る 堀義人

    新版 吾人の任務―MBAに学び、MBAを創る

    グロービズの創設者の堀さんの自叙伝みたいな本。

    G1カレッジとかいうイベントで貰った。
    GDのグループは違ったけど、すでにサマーで外資系コンサルに内定貰っていた子とかいて、普通に頭いい就活生多い印象だった。あとは、なんか学生時代に他人と変わったことをしていた人が多かった。就活の面接受けが良さげなパターン。

    いやーしかし、堀さん生で見ているとイケメン起業家ですわ。ダボス会議に行くレベルのグローバルマッチョのオーラを生で拝めました(笑)

    同じぐらいの年齢でも、堀さんの言う"Resolve"を持っている学生もいたりして、すごいなぁと。まぁ自分は自分なりに頑張ろうと思います。


    2014年3月17日月曜日

    希望格差社会 -『負け組』の絶望感が日本を引き裂く 山田昌弘


    たしか高校時代の課題図書だった「希望格差社会 『負け組』の絶望感が日本を引き裂く」を読み直しました。

    あれから5年が経つけど、確実に希望格差社会になりつつあるなぁと実感してます。



    希望格差社会 -『負け組』の絶望感が日本を引き裂く

    本書を通じてマクロな視点で考えてみると、以下のようになるわけです。
    「社会構造の変化に伴い社会制度の歪みが出現してきているが、日本社会にその歪みを吸収する社会の弾力性はもはやない。それゆえ、個人に対して「自己責任」が求められる世の中に突入している。」

    まさに、ちきちんが言うように、「自分のアタマで考える」ことから逃げて敷かれたレールだけを歩んでいると、仮にそのレールの先に希望がなかった場合、最後は自己責任の壁が押し寄せてくる世の中になりつつあるわけです。

    いやー本当生きずらい時代です(泣)



    Hooked: How to Build Habit-Forming Products

    This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...