2019年7月30日火曜日

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する エリック・パーカー


この本(残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する)はめっちゃ面白い!成功法則に関して論文を引用しながらEvidenceベースで解説していく書籍です。

 



白黒つけがたい論に対して、Evidence based dataを用いて回答を導きます。これは、筆者の観測によって導かれた推論ではなく、統計学、教育学、心理学、社会学、行動経済学などの学問をベースに導かれた回答です。いろいろトピックがあるので、詳しくは自分で読んで欲しいけれども、20代サラリーマンが気になるトピックは以下でしょう。


  • どんな成功法則よりも役に立つ!「面白いゲームの四つの条件」
  • 「時は金なり」は間違っている
  • 「理想の結婚相手」を見つける理論
  • 引き寄せの法則が脳におよぼす悪影響と現実を本当に変える方法 "WOOP"
  • 外交的なリーダーと内向的なリーダー
  • 成功において自信よりも大切な概念「セルフ・コンパッション」
  • 「退屈な仕事」はあなたを殺すー文字通りの意味で
  • 「リラックス」と「睡眠」の最新科学
  • 休暇の注意点ー旅行の前後に働きすぎては意味がない
  • あわれな「最大化人間」になってはいけない


ということで、序章の一部を引用します。「幸福」を追求して生きていきたい私のような人にはきっと示唆に富んだ学びを得られると思ってます。

巷には、成功の一面だけを取りあげた本、あるいは実践的アドバイスなしに昨今の成功理論だけ紹介した本が溢れている。本書では、まず実際に使える理論を見きわめ、次に、あなたが目指すところに行くための具体的な方策を学ぶ。何をもって成功と定義するかはあなた次第だ。それはすなわち、あなたが仕事や家庭で幸せになるために個人的に必要とするものだ。だからといって、成功の法則はまったくの気まぐれで決まるものでもない。あなたはすでに、成功するための戦略として最も効果がありそうなもの(着実な努力)と、まったく効果がなさそうなもの(毎日昼まで寝ている)を知っている。しかし、問題はこの二つのあいだに位置する膨大な選択肢だ。すでにあなたは、これまでの実体験や知り合いの話、書籍、ウェブ記事で、成功を目指すうえで役に立つ資質や戦術について多くを学んできたかもしれない。ところが、真に確証が得られたものは一つもない。逆に、役立たないとして除外すべきものはたくさんある。私が本書で探究したいのはまさにそのあたりだ。過去八年にわたり、私は自分のブログBarkingUpTheWrongTreeで、人生で成功する秘訣に関するさまざまな調査や研究結果を分析し、専門家へのインタビューを重ねてきた。そして数々の答えを見いだしてきた。その多くは驚くべきもので、なかには世間の常識を真っ向から覆すものもあった。だがそのすべてが、仕事や個人的目標で抜きんでるためにすべきことについて、貴重な洞察を与えてくれた。目標達成のために不可欠な要素として世間一般で広く信じられてきたことの多くは、手堅くて正論だが、今や完全に間違っている。この本ではそうした定説の誤りをあばき、大成功する人と一般の人を分けている科学的背景を探り、私たちがもっと成功者に近づくためにできることは何かを、最新のエビデンスから探る。場合によっては、成功者を真似しないほうが賢明であると学ぶことになるだろう。世の中で信じられてきた成功法則のどれが真実で、どれが空論なのだろうか。
エリック・バーカー,橘玲. 残酷すぎる成功法則 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.209-225). Kindle 版. 

もう一つ、人の能力値に努力量以上のインパクトを与える遺伝子のお話。こういうのを読むと、凡人は努力しても意味なさそうに思えるけれども、幸福の本質は努力する・しない論ではなくて、他者と比較しても意味ないよっていう点に尽きます。どうでもいい差異を追いかけるのではなく、意味ある差異を追いかけることが幸福への第一法則になります。

ニュースでよく聞くのは、遺伝子が原因でああなる、こうなるという話だ。それで私たちはすぐに、「良い遺伝子」「悪い遺伝子」とレッテルを貼る。これは心理学者が「脆弱性ストレスモデル」と呼んでいるもので、悪い遺伝子を持つ者が何か問題に遭遇すると、うつ病や不安神経症などの精神疾患を発症しやすいという。だが一つ問題がある。この説が間違っている可能性がじょじょに強まってきたのだ。遺伝学の最近研究では、「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、増強装置概念に近い説が導入されつつある。心理学者が差次感受性仮説(感受性差次仮説)と呼ぶもので、問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりうるという考え方だ。一本のナイフで人も刺せれば、家族の食事も作れる。それと同じで、遺伝子の良し悪しも状況次第で変わるという考え方だ。もっと具体的に話そう。たとえば大多数の人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4‐7Rを持つ。これは、ADHD、アルコール依存症、暴力性と関連がある悪い遺伝子とされている。しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に行った実験では、別の可能性が示された。クナフォは、どちらの遺伝子の子どもが、自分から進んでほかの子とキャンディを分け合うかを調査した。通常三歳児は、必要に迫られなければお菓子を諦めたりしない。ところが、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは、なんと7R遺伝子を持つ子たちだったのだ。「悪い遺伝子」を持つ子どもたちは、頼まれもしないのに、なぜほかの子にキャンディをあげたいと思ったのだろうか?なぜなら7Rは、「悪い遺伝子」ではないからだ。ナイフと同様に、7Rの良し悪しは状況次第で決まる。7Rを持つ子が虐待や育児放棄など、過酷な環境で育つとアルコール依存症やいじめっ子になる。しかし良い環境で育った7R遺伝子の子たちは、通常のDRD4遺伝子を持つ子たち以上に親切になる。つまり同一の遺伝子が、状況次第でその特性を変えるというわけだ。行動に関連するほかの遺伝子の多くにも同様の結果が見られた。ある種のCHRM2遺伝子を持つ十代の子が、粗悪な環境で育つと非行に走りやすい。
エリック・バーカー,橘玲. 残酷すぎる成功法則 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.425-446). Kindle 版. 

こっからは、いつものようにメモでーす。
  • "Self compassion" (=自尊心の+の面が含まれる概念)が幸福感、楽天主義、個人の主体性、他者のつながりによる充足感などをもたらす。
  • プライスの法則は無我夢中で働くことがいかに大切かを如実に示している
  • 「目覚ましい貢献をした人々にあって膨大な生産力はむしろ標準的なことであり、例外的なことではない」 (カルフォルニア大学サンタクルーズ校名誉教授のフランク・バロンから引用)
  • 確実なゲームに参加しよう。WNGF:Winnable(Whiny) Novel(Neatered) Goals(Goats) Feedback(Fly)
  • 引き寄せの法則が脳に及ぼす悪影響と現実を本当に変える方法=WOOPS(心理対比):Wish/Outcome/Obstacle/Plan

  • HDEC2遺伝子の突然変異により1~3%がショートスリーパーでいられる
  • 睡眠時間が6~8hを下回った被験者は絶対的に同じ睡眠時間を保った者に比べ、心臓血管疾患およびすべての原因による死亡率が高くなった。しかも問題はそれだけではない。今日の世の中では「すべては私たちのせい」になる。または、少なくともそう感じさせられる。人は選ぶのが好きで、特に21世紀は私たちにほとんど無限に近い選択肢を与えている。テクノロジーの進歩により、1日のどの時間にも仕事をするという選択肢を持っている。職場の扉はもう5時で閉まったりはしない。子供と遊んだりする時間もすべて働こうと思えば、働ける時間になった。つまり、一瞬一瞬をどう過ごすかという決断が自分自身に委ねられている。この決断は過去にはなかったものだ。そして、絶えず頭の奥でこの決断を迫られていることは、もの凄いストレスになる。
  • HBSクレイトン・クリステン、ローラ・ナッシュ、ハワード。スティーブンソンによる幸福のmeasurementによれば、以下の四つに注意する。

1.       幸福感=楽しむ:人生から喜びと満足感を得ていること
2.       達成感=目標を達成する:何らかの業績で他に抜きん出ていること
3.       存在意義=他者の役に立つ:身近な人々にPositiveな影響を及ぼしていること
4.       育成=伝える:自分の価値観や業績によって、誰かの未来を助けていること

  • 「もし二つの事柄がトレード・オフの関係にあるなら、双方を最大化することは不可能」by ナッシュ/スティーブンソン
  • 「人が一生のあいだに行うことはすべてトレードオフだ」byスペンサー・グレンドン

  • 心理学者のロバート・エプスティンによれば、ストレスを減少させる効果的な方法は計画を立てることに尽きる。前もってどんな障害があるのか予想し、克服法を考えておくと状況をコントロールできていると(脳神経科学によれば)感じる。ストレス下にさらされると、理性的思考を司る前頭前皮質がお手上げの状態になっているのだ。つまり、辺線系の爬虫類脳と同じ状態である。
1.       時間の使い方を追跡調査してみる
2.       to doリストではなく、予定表にすること(固定スケジュールによる生産性)
3.       上司と話す
4.       自分がおかれた状況をコントロールする
5.       1日を首尾よく予定した時間に終える

Wish/Outcome/Obstacle/Plan:WOOPS

Western/Educated/Industrialized/Rich/Democratic:文化のもとに暮らす特殊な階層

2019年7月20日土曜日

ペンタゴン式 目標達成の技術 一生へこたれない自分をつくる カイゾン・コーテ


ペンタゴンで勤務経験のある著者の作品。以下の章で構成されている。
  1. Breathing: Proper breathing promotes exceptional life.
  2. Meditation: A better world shall emerge based on faith and understanding
  3. Awareness: Never send to know for whom the bell tolls. It tolls for thee.
  4. Knowledge: The truth of the matter is that you always know the right thing to do. The hard part is doing it.
  5. Excercise: Physical fitness is not only one of the most important keys to a healthy body it is the basis of dynamic and creative intellectual activity.
  6. Discipline: Discipline is the sole of an army. It makes small numbers of formidable; procures success to the weak, and esteem to all.
  7. Last will: Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

2020年は、「呼吸と姿勢」と「自律と瞑想」が次の関心領域。

身体機能の健全化のために、呼吸法を制する。現代人は呼吸が浅く、成人男女の1分間あたりの平均呼吸数は12~16回であり、肺容量全体のわずか18%~20%しか使用していないが、理想は8~10回で50%の肺容量を使用することである。
呼吸法は古代文明を遡り、西暦400~500年ごろにインドで誕生したと言われている。呼吸法が生理機能の自動調節を司る自律神経を意識的にコントロールできるため、生命維持の基本である呼吸を制することは、人生を制することである。適切な、心拍数を115~145である。また、やる気がない怠惰なときは、心拍数を意図的にあげることで、パフォーマンスに適した状態に変えられる。


1980年、「ジェダイの騎士団」と呼ばれる陸軍の特殊部隊が行った瞑想トレーニングがペンタゴンの歴史の中で最初の瞑想トレーニングである。心身・特殊技術の両側面において、他の特殊部隊兵士より結果が出たため、瞑想の研究が始まった。
「マインドフルネス瞑想」を元陸軍大尉で、ジョージタウン大学の准教授になったエリザベス・スタンレーが開発した。瞑想はうつ病を緩和することが研究で判明している。睡眠の質の向上、健康状態の改善、記憶力、免疫システムの向上、恐怖心の制御などに効果が認められている。脳をしっかり休ませ、自分と静かに向き合う時間をつくる。すべての雑音や情報を一度シャットアウトし、心の余裕をつくる時間を持つ。

HBSのカリキュラムはビジネスのシュミレーションする事例が200~250個こなす。そうすると、実際の現場で必要な意思決定が何かをわかってくる。要は、大量のシュミレーションによって鍛えるメソッド。そして、勉強とは以下の三分野を満遍なく満たさない限り、飛躍はない。
  • Motivation
  • how-to
  • Skill

  • 必要以上の量を食べることをは避ける
  • バランスの良い食事を心がけ、糖分や塩分のとりすぎには注意する
  • 食べるときにはよく噛むように心がける
  • 添加物を可能な限り避けるようにする
  • 食べたら歯を磨く
  • 適度な運動を生活に取り入れる
  • 睡眠は十分とるようにする
  • 喫煙はしない
  • お酒はたしなむ程度にする

軍隊の筋トレは、週3回必要不可欠な筋肉に絞ってそれぞれ1hを自重トレーニング中心で行う。それと、同時に姿勢を意識して良くするように訓練づけされる。
自律は自分の中の不可能を可能にする原動力となる。

神経学者のダニエル・レヴィティンが述べている1万時間理論とは、「どんな才能や能力を持っていたとしても、プロフェッショナルになるためには、1万時間の訓練をし続ける必要がある」というもの。

2019年7月7日日曜日

寝てもとれない疲れをとる本 中根一


東洋医学をベースにした本です。

五臓(肝・心・脾・肺・腎)と「木・火・土・金・水」の性質、「五味帰経=酸味、苦味、甘味、辛味、塩絡味」を扱った書籍。

生活習慣的にあとは、食事をどうにか改善していきたい。こっちの食事は野菜も油炒めが多くて、外食だと身体に悪い。茹でる、無添加、薄味が大事なので、このあたりの料理の研究を進めていきたい。





MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣 シバタナオキ


著者は東大博士を出て、楽天で取締役、そのまま、シリコンバレーでアントレプレナーをしているシバタさん。シリコンバレーでTech企業を創業している著者だけあって、Tech業界のビジネスモデルを一通り抑えながら、決算書の読み方というより、頭の使い方をそのまま放送している本です。分析といっても基本的に因数分解を行い、財務諸表に現れている数字から逆算して変数を当てに行く感じですね。知識を詰め込む本ではなくて、他人の思考回路を追随する本です。



知らなかった指標は
収益性を計測するTake rate =営業収益/取扱高(Fin tech) or 売上/取引高 (EC)




Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital Philip Kotler, Hermawan Kartajaya and Iwan Setiawan


Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital をついに読破しました。著者は、超有名なビジネススクールKellogのPhilip Kotler氏の書籍です。デジタルの時代変化に応じてマーケティングのフレームワークを刷新した書籍になります。今後は、このマーケティング4.0が共通の言語としてビジネスコンテクスで語られることになるんでしょう。



なお、マーケティング4.0の日本語版の書籍はこちら。朝日新聞出版から翻訳が出てます。
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則


いつものように要約しますと、

By going though "Marketing 4.0#, you can gain below points.

1) how digital technology changed the customer landscape
2) how marketers can handle three consumer paradoxes
3) why traditional marketing techniques no longer work
4) how to market your brand in the digital age

Making the transition from Marketing 3.0 to Marketing 4.0
As the Internet leads business to become more global and inclusive, parallel technological advances make consumer items more affordable to people in emerging mass market. The reverse is also true. Companies are changing their product's path from vertical to horizontal.

The generation of "digital natives", those who grew up with digital technology, is referring current trends, such as where and when people shop. These new consumers are young, urban, middle-class, mobile and connected; they make purchases on their store own schedule and in their own way. They research items online, even when shopping at a physical location, and they value interaction and engagement. They trust their social networks. People now trust the "f-factor" - "friends, families, Facebook fans" and "Twitter followers" - more than they trust marketing messages.

Long-standing industries face disruption from lowered barriers to entry and three kinds of technology-enabled connectivity- Mobile connectivity, Experiential connectivity, and Social connectivity.

Three Paradoxes that marketers must deal with in the age of connectivity.
a) Online interaction versus offline interaction
b) Informed customer versus distracted customer
c) Negative advocacy versus positive advocacy

From selling the Four P's to Commercializing the Four C's
The digital economy toppled traditional tenets of marketing. Business once enjoyed vertical relationships with  their customers, and marketers could divide the market into segments that they could target with specific brand messages. In the digital age, communities have replaced segments. Brands now must ask permission to participate in ongoing conversations. Those who speak for brands must understand their brand's character and stay true to its values.
Marketing's four P's - "product, price, place and promotion" - have evolved into the four C's: "co-creation, currency, communal activation and conversation."

From Selling the Four P's to Commercializing the Four C's

The marketing mix is a classic tool to help plan what to offer and how to offer to the customers. Essentially, there are four P's: product, price, place, and promotion. Product is often developed based on customers' needs and wants, captured through market research. Companies control the majority of product decisions from conception to production. To establish a selling price for the product, companies use a combination of cost-based, competition-based, and customer value– based pricing methods. Customers' willingness to pay, estimated in consumer value–based pricing, is the most important input that customers have in connection with pricing.
Once companies decide what to offer (product and price), they need to decide how to offer (place and promotion). Companies need to determine where to distribute the product with the objective of making it conveniently available and accessible to customers. Companies also need to communicate the information about the product to the target audience through various methods such as advertising, public relations, and sales promotions. When the four P's of the marketing mix are optimally designed and aligned, selling becomes less challenging as customers are attracted to the value propositions. In a connected world, the concept of marketing mix has evolved to accommodate more customer participation. Marketing mix (the four P's) should be redefined as the four C's (co-creation, currency, communal activation, and conversation).

Understanding how people buy
Importantly, when we think about customer journey, 5A(5A - Aware/Appeal/Ask/Act/Advocate) model is more reliable than AIDMA. The fiveA's don't always progress in a linear way. Customers may go back and forth among stages and revisit previous stops. Marketers must leverage three overlapping spheres of influence - called ”O zone(O3)"; outer influences/other influences/own influences.




コトラー曰く、5Aのフレームワークにおいて進捗度を判断するための指標は2つあります。ちょっと詳しく書きます。

1. PAR(Purchase Action Ratio)=ブランドの認知からどれだけ購入の行動まで至ったかを判断するための指標=Act/Aware
2. BAR(Brand Advocacy Ratio)=ブランドの認知からどれだけブランドの推奨まで持っていくことができたかを判断するための指標=Act/Advocate

e.g. 100人いる市場で90人ブランドをしっている人(Aware)がいれば、18人が購入(Act)し、そのうち9人が推奨(Advocate)すれば、PARおよびBARはいくつになるか?
PAR=18/90=0.2, BAR=9/90=0.1

理想はPARが1であること(想起した人のうち全員が購入するケース)だが、現実はそこに至ることはほぼない。PARの指標が1以下のときは(つまりほとんどのケースにおいては)、Actまでのどのステップで顧客を失っているのかを考察する必要があります。BARも同様に指標が1であることが望ましいです。なお、PARは「マーケットシェア/ブランド想起率」でも表すことができます。e.g. PARが0.5で、ブランド想起率が1%のとき、マーケットシェア=PAR×ブランド想起率より、マーケットシェア=0.5%とわかります。

PAR/BARの算出する目的とは、現状のパフォーマンスを可視化させ、マーケティングの生産性を向上させること、および、不要なマーケティング費用の浪費を減少させることです。



まあ、後は産業別のArchitecture、コンテンツマーケティング、オムニチャネルの重要性です。産業別のArchitectureは必見のフレームワーク。



個人的に印象に残ったのは、このあたり。
"Instead of delivering value-proposition messages, marketers should be distributing content that is useful and valuable for the customers"
"More touch points and higher volume in messages do not necessarily translate into increased influence"
"If brands want to influence the minds of mainstream customers, convincing youth is the important first step"
"Instead, a company can be more competitive if it can connect with communities of customers and partners for co-creation and with competitors for cooperation."
"Connectivity accelerates market dynamics to the point where it virtually impossible for a company to stand alone and rely on internal resources to win. ..... social media enable customers to show and share their customer experience, which further inspires other customer from the same or cover class to emulate and pursue a similar experience."




2019年7月6日土曜日

クラッシャー上司 松崎一葉


筑波大教授の松崎さんが産業医として働いた経験から、「壊された部下」の目線から「クラッシャー上司」に関して分析、解決策を提示する書籍です。基本的に部下の目線から解決策を提示するケースは少ないです。というのも、現代社会において被雇用者は圧倒的に弱者だから。(ゆえに、限度が行き過ぎるとストライキが起きるわけです。日本ではほぼみないけどw)人事部に相談したって、人事部も所詮(雇用者側に絶対服従する)被雇用者でしかないからです。こういう大局観を理解した上で、組織がどう動くかを知っていることは、長い社会人生活で自分の身を救う唯一の方法だと思います。

目先の業務知識の多寡も大事だけれども、それ以上に語られることない、経営学的に言う、「暗黙知」の獲得がもっと大事だったりします(最近、心理学、経営学の知識の習得が自分のキャリアの構築や仕事を進めるにあたって意味があるのを理解できるようになってきました)。



本の内容は、「多くの日系企業の人事制度がJob型になっていないのに、成果主義の導入によって疲弊する現場」の実態をあぶり出しています。


  1. クラッシャー上司の「旧態依然の根性論マインド」が仕事場に導入される。
  2. クラッシャー上司は猛烈/がむしゃらに働く姿勢を役員に評価されているから、部下に同じ姿勢と労力を要求する。
  3. ゆえに、現場は疲弊して個人が犠牲になる。多くは、精神的鬱病。

鬱病の対処法は食欲と睡眠からはじまります。つまりは、自律神経系=交感神経と副交感神経の回復です。レジリエンス(自己治癒力)が強いと鬱になりにくいとのこと。
1) 有意味感(情緒的余裕)
2) 全体把握感(認知の柔軟性)
3) 経験的処理可能感(情緒的共感処理)


まあ、時代が時代だから普通に転職したほうがいいと思います。




顧客起点マーケティング 西口一希


最近偉大なるOBに直接お会いしました。その著作がこちら顧客起点マーケティング



N1分析と定量分析/プロダクトアイディアとコミュニケーションアイディ/オンオフ統合マーケティング/TVCMのPDCA/5セグマップと9セグマップ/キャズム理論/ゼロフリクションワールド/破壊的イノベーション/シンギュラリティ

マーケティングの世界では、以下のような相反した考え方がぶつかることが多々あるが、それらはすべてHOWの話であって、本質的な話ではない。つまり、視座を一段階上げることが必須。その助けになるのが、シンギュラリティです。

  • マス vs. デジタル
  • 販売促進 vs. ブランディング
  • 短期投資 vs. 長期投資
要は、「パラレル」から「フリクション」Worldへというのがキーワードです。Google所属の未来学者Raymond Kurzweilが提唱している、シンギュラリティという変化の臨界点に我々はそもそもいるのです。
  • 行動と状態のすべてが可視化される世界 - つまりは、データ化
  • 物理的世界と人間すべてがデジタル連結を行う世界
  • 摩擦(時間、物理、心理、無理無駄)がゼロに向かう世界

それが実は前段の部分で、それを踏まえてマーケティングを語ると、「メディア、販路、手法起点で話を進めるのは二流であって、一流は「顧客起点」という視座から話をスタートさせるよ!」というお話です。売上というトップラインを伸ばすには、以下の打ち手に集約されます。これにブランディグという軸を入れ込んだのが西口さんの著作です。これによって、販促活動とブランディングのベクトル軸が明確になり、プロダクトサイクルとともに打ち手の選定に使えます。
  1. ロイヤル顧客→スーパーロイヤル顧客
  2. 一般顧客→ロイヤル顧客
  3. 離反顧客の再顧客化
  4. 見込み顧客(認知・未購買顧客)の再顧客化
  5. 未認知顧客の再顧客化

ちなみに、ありがちな消費者セグメンテーションの基本はそれぞれのセグメンテーションでの打ち手は二軸のデータを基に設計されるべきです。もし提案に「ペルソナ」を使っている広告代理店とか三流なんで信頼しちゃダメですw

  • 行動データ
  • 心理データ

実態として、データの中にも使えるデータとクソデータがあるので、それを見分ける選球眼を身につける必要があります。消費者リサーチ系だと、「次にどのブランドを買いたいですか」という質問とシェアの相関性は高い一方で、他人に勧める系の質問は本音と建て前が全面に出てしまい、本当の定量データは採用できないのは有名な話です。


追記:この書籍を再度読み返したのですが、かなり実務家に役立つ情報が詰まっていると思います。実際に戦略を構築する、あるいは、短期的な打ち手を提案することを想定すると、本書が世の中のマーケティング本の中で有効なんじゃないかと思いました。

9 Segmentationはコンサルの方もMECEに分解して提案しそうな内容なので、新しさはないのですが、ここの図式化の美学は「マーケティング投資対効果を同時に可視化」する点にあります。

アイデアの定義、そして、その勝ちパターンを体系化した点が秀逸です。
  • アイデア=便益かつ独自性(Only-one uniqueness)。これは「注目に値するか」で有無がわかる。
  • 独自性は、Mポーターの戦略論で語られる比較優位性の意味ではない
    • アイディアには二種類あり、Product ideaとCommunication ideaがある
      • Product ideaの独自性=便益になるのが理想形
      • Product ideaの確固たる独自性が便益を支えるのがRTB型
    • Communication ideaは、PIを対象顧客に伝え購買行動を起こしてもらうためのコミュニケーション自体のアイデア
      • Communication ideaの独自性:広告、リアルイベント、キャンペーンの仕組みにおけるクリエイティブの独自性
      • Communication ideaの便益:広告を受け止める顧客が具体的な便益を受け取ること
    • Communication ideaは独自性で注目を集めても、その便益がプロダクト自体の便益に結びついていないと機能しない
  • アプリのマーケティングは、長期、かつ、継続的な利益最大化を目的として、総顧客の増加とロイヤル化を達成するために、新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤル化、離反顧客数の減少、離反顧客の復帰に関して短中期で優先順位を設定して活動する。その実行モデルとして、AARRRモデルが存在している。







2019年6月1日土曜日

マーケティングの基本 安原智樹


マーケティングの基本を読み返しました。マーケティング業務の難しさは概念的な理解と実践的な実務がリンクしにくいことなんでしょうなぁ。

人に教えるというのは難しいですね。実際にやってみないと肌感覚で腑に落ちない部分はいろいろあります。

いつもの通り、以下はメモ。

商品ブランド価値
  1. 具体的な効果や効用を提供する基本価値
  2. 商品が持っているメッセージや美学が提供する情報価値
  3. 商品との接触場面がはじまってから終わるまでの体験が提供するプロセス価値

3Cの環境分析を通じて、要は以下の二点を抑える
  • どのフィールドで商品開発をするのが魅力的か
  • どういった自社資産を活用するのが望ましいか
消費者視点のミクロ分析=GCS(Genre, Category, Segmentation)

Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...