2019年7月30日火曜日

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する エリック・パーカー


この本(残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する)はめっちゃ面白い!成功法則に関して論文を引用しながらEvidenceベースで解説していく書籍です。

 



白黒つけがたい論に対して、Evidence based dataを用いて回答を導きます。これは、筆者の観測によって導かれた推論ではなく、統計学、教育学、心理学、社会学、行動経済学などの学問をベースに導かれた回答です。いろいろトピックがあるので、詳しくは自分で読んで欲しいけれども、20代サラリーマンが気になるトピックは以下でしょう。


  • どんな成功法則よりも役に立つ!「面白いゲームの四つの条件」
  • 「時は金なり」は間違っている
  • 「理想の結婚相手」を見つける理論
  • 引き寄せの法則が脳におよぼす悪影響と現実を本当に変える方法 "WOOP"
  • 外交的なリーダーと内向的なリーダー
  • 成功において自信よりも大切な概念「セルフ・コンパッション」
  • 「退屈な仕事」はあなたを殺すー文字通りの意味で
  • 「リラックス」と「睡眠」の最新科学
  • 休暇の注意点ー旅行の前後に働きすぎては意味がない
  • あわれな「最大化人間」になってはいけない


ということで、序章の一部を引用します。「幸福」を追求して生きていきたい私のような人にはきっと示唆に富んだ学びを得られると思ってます。

巷には、成功の一面だけを取りあげた本、あるいは実践的アドバイスなしに昨今の成功理論だけ紹介した本が溢れている。本書では、まず実際に使える理論を見きわめ、次に、あなたが目指すところに行くための具体的な方策を学ぶ。何をもって成功と定義するかはあなた次第だ。それはすなわち、あなたが仕事や家庭で幸せになるために個人的に必要とするものだ。だからといって、成功の法則はまったくの気まぐれで決まるものでもない。あなたはすでに、成功するための戦略として最も効果がありそうなもの(着実な努力)と、まったく効果がなさそうなもの(毎日昼まで寝ている)を知っている。しかし、問題はこの二つのあいだに位置する膨大な選択肢だ。すでにあなたは、これまでの実体験や知り合いの話、書籍、ウェブ記事で、成功を目指すうえで役に立つ資質や戦術について多くを学んできたかもしれない。ところが、真に確証が得られたものは一つもない。逆に、役立たないとして除外すべきものはたくさんある。私が本書で探究したいのはまさにそのあたりだ。過去八年にわたり、私は自分のブログBarkingUpTheWrongTreeで、人生で成功する秘訣に関するさまざまな調査や研究結果を分析し、専門家へのインタビューを重ねてきた。そして数々の答えを見いだしてきた。その多くは驚くべきもので、なかには世間の常識を真っ向から覆すものもあった。だがそのすべてが、仕事や個人的目標で抜きんでるためにすべきことについて、貴重な洞察を与えてくれた。目標達成のために不可欠な要素として世間一般で広く信じられてきたことの多くは、手堅くて正論だが、今や完全に間違っている。この本ではそうした定説の誤りをあばき、大成功する人と一般の人を分けている科学的背景を探り、私たちがもっと成功者に近づくためにできることは何かを、最新のエビデンスから探る。場合によっては、成功者を真似しないほうが賢明であると学ぶことになるだろう。世の中で信じられてきた成功法則のどれが真実で、どれが空論なのだろうか。
エリック・バーカー,橘玲. 残酷すぎる成功法則 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.209-225). Kindle 版. 

もう一つ、人の能力値に努力量以上のインパクトを与える遺伝子のお話。こういうのを読むと、凡人は努力しても意味なさそうに思えるけれども、幸福の本質は努力する・しない論ではなくて、他者と比較しても意味ないよっていう点に尽きます。どうでもいい差異を追いかけるのではなく、意味ある差異を追いかけることが幸福への第一法則になります。

ニュースでよく聞くのは、遺伝子が原因でああなる、こうなるという話だ。それで私たちはすぐに、「良い遺伝子」「悪い遺伝子」とレッテルを貼る。これは心理学者が「脆弱性ストレスモデル」と呼んでいるもので、悪い遺伝子を持つ者が何か問題に遭遇すると、うつ病や不安神経症などの精神疾患を発症しやすいという。だが一つ問題がある。この説が間違っている可能性がじょじょに強まってきたのだ。遺伝学の最近研究では、「良い遺伝子」対「悪い遺伝子」というモデルが覆され、増強装置概念に近い説が導入されつつある。心理学者が差次感受性仮説(感受性差次仮説)と呼ぶもので、問題があるとされる遺伝子が、状況さえ異なれば素晴らしい遺伝子になりうるという考え方だ。一本のナイフで人も刺せれば、家族の食事も作れる。それと同じで、遺伝子の良し悪しも状況次第で変わるという考え方だ。もっと具体的に話そう。たとえば大多数の人は、正常なドーパミン受容体遺伝子DRD4を持つが、一部の人は突然変異種のDRD4‐7Rを持つ。これは、ADHD、アルコール依存症、暴力性と関連がある悪い遺伝子とされている。しかし、社会心理学の研究者のアリエル・クナフォが子どもを対象に行った実験では、別の可能性が示された。クナフォは、どちらの遺伝子の子どもが、自分から進んでほかの子とキャンディを分け合うかを調査した。通常三歳児は、必要に迫られなければお菓子を諦めたりしない。ところが、キャンディを分け与える傾向がより強かったのは、なんと7R遺伝子を持つ子たちだったのだ。「悪い遺伝子」を持つ子どもたちは、頼まれもしないのに、なぜほかの子にキャンディをあげたいと思ったのだろうか?なぜなら7Rは、「悪い遺伝子」ではないからだ。ナイフと同様に、7Rの良し悪しは状況次第で決まる。7Rを持つ子が虐待や育児放棄など、過酷な環境で育つとアルコール依存症やいじめっ子になる。しかし良い環境で育った7R遺伝子の子たちは、通常のDRD4遺伝子を持つ子たち以上に親切になる。つまり同一の遺伝子が、状況次第でその特性を変えるというわけだ。行動に関連するほかの遺伝子の多くにも同様の結果が見られた。ある種のCHRM2遺伝子を持つ十代の子が、粗悪な環境で育つと非行に走りやすい。
エリック・バーカー,橘玲. 残酷すぎる成功法則 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.425-446). Kindle 版. 

こっからは、いつものようにメモでーす。
  • "Self compassion" (=自尊心の+の面が含まれる概念)が幸福感、楽天主義、個人の主体性、他者のつながりによる充足感などをもたらす。
  • プライスの法則は無我夢中で働くことがいかに大切かを如実に示している
  • 「目覚ましい貢献をした人々にあって膨大な生産力はむしろ標準的なことであり、例外的なことではない」 (カルフォルニア大学サンタクルーズ校名誉教授のフランク・バロンから引用)
  • 確実なゲームに参加しよう。WNGF:Winnable(Whiny) Novel(Neatered) Goals(Goats) Feedback(Fly)
  • 引き寄せの法則が脳に及ぼす悪影響と現実を本当に変える方法=WOOPS(心理対比):Wish/Outcome/Obstacle/Plan

  • HDEC2遺伝子の突然変異により1~3%がショートスリーパーでいられる
  • 睡眠時間が6~8hを下回った被験者は絶対的に同じ睡眠時間を保った者に比べ、心臓血管疾患およびすべての原因による死亡率が高くなった。しかも問題はそれだけではない。今日の世の中では「すべては私たちのせい」になる。または、少なくともそう感じさせられる。人は選ぶのが好きで、特に21世紀は私たちにほとんど無限に近い選択肢を与えている。テクノロジーの進歩により、1日のどの時間にも仕事をするという選択肢を持っている。職場の扉はもう5時で閉まったりはしない。子供と遊んだりする時間もすべて働こうと思えば、働ける時間になった。つまり、一瞬一瞬をどう過ごすかという決断が自分自身に委ねられている。この決断は過去にはなかったものだ。そして、絶えず頭の奥でこの決断を迫られていることは、もの凄いストレスになる。
  • HBSクレイトン・クリステン、ローラ・ナッシュ、ハワード。スティーブンソンによる幸福のmeasurementによれば、以下の四つに注意する。

1.       幸福感=楽しむ:人生から喜びと満足感を得ていること
2.       達成感=目標を達成する:何らかの業績で他に抜きん出ていること
3.       存在意義=他者の役に立つ:身近な人々にPositiveな影響を及ぼしていること
4.       育成=伝える:自分の価値観や業績によって、誰かの未来を助けていること

  • 「もし二つの事柄がトレード・オフの関係にあるなら、双方を最大化することは不可能」by ナッシュ/スティーブンソン
  • 「人が一生のあいだに行うことはすべてトレードオフだ」byスペンサー・グレンドン

  • 心理学者のロバート・エプスティンによれば、ストレスを減少させる効果的な方法は計画を立てることに尽きる。前もってどんな障害があるのか予想し、克服法を考えておくと状況をコントロールできていると(脳神経科学によれば)感じる。ストレス下にさらされると、理性的思考を司る前頭前皮質がお手上げの状態になっているのだ。つまり、辺線系の爬虫類脳と同じ状態である。
1.       時間の使い方を追跡調査してみる
2.       to doリストではなく、予定表にすること(固定スケジュールによる生産性)
3.       上司と話す
4.       自分がおかれた状況をコントロールする
5.       1日を首尾よく予定した時間に終える

Wish/Outcome/Obstacle/Plan:WOOPS

Western/Educated/Industrialized/Rich/Democratic:文化のもとに暮らす特殊な階層

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