2020年4月10日金曜日

シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 安宅和人


話題になっている(!?)「シン・二ホン」を読みました。



まずは、個人の勝手な感想から。
  1. 「日本国」の目線からどうあるべきかを提言している。(ほとんどの書籍は未来を語る本であっても、主語が「個人」なり「特定の業界/組織」から語らている)
  2. 企業価値の「複素数平面化」でよくまとめているように、経済価値を生み出すゲームが変わっている指摘のみならず、そのゲームに参加できる人材像を具体的に提示している。
  3. Fact baseで丁寧に一つずつの論を展開している。

次は、改めて同意する点。その後に、自分の見解を少しまとめてみます。 
  • このようなサイクルが無限にぐるぐる回るのがデータ×AIシステムを回すということであり、正のスパイラルが極めて効きやすい。すなわち先行者利益が効きやすい構造をしている。この直接的な意味合いとしては、学習優位を築くためにもさっさとどんな分野でも始めたほうがいいということが1つ。もう1つは、これらのメカニズムを入れると従来型のPDCAサイクル(17)は半ば終焉するということだ。 安宅和人シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) (Kindle の位置No.453-460). 
    • 1:サービスの価値が上がる 
    • 2:よりユーザ が集まる、もしくは利用が増える
    • 3:データが増え、状況把握が進む
    • 4:アルゴリズムの性能が上がる
    • 5:打ち手の質が上がる (→ 1に戻る

  • 特に留意してもらいたいのは、今上位に来ている企業群が、それまで米国が誇ってきた大企業群、たとえばGE、IBM、WhalmartDuPont などから生まれたわけではないということだ。 また、日本の企業がこれまでしのぎを削っ てきた分野で負けたわけでもない。トヨタの企業価値はクルマ会社としては相変わらず世界で一番だ。まったく見えないところから新しいゲームが始まり、 こに参加しなかったために国としてジリ貧になったのだ。結果、極限的な下剋上の時代に突入している。オールドエコノミーのど真ん中である自動車業界で起きたようなことが、あらゆる業界で起きる可能性は高い(34)。これまでは「 スケール」を取り、大きな売上、付加価値、そして利益を生めば企業価値 につながるのが、富を生む基本方程式だった。しかし、この非連続的な変化に富む局面では、そもそも「 未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益につながるという真逆の流れになった(図1‐11)。安宅和人. シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) (Kindle の位置No.632-639). 株式会社ニューズピックス. Kindle 版.

  • 10 年ほど前、マッキンゼーの戦略研究グループで世界規模のスタディが行われた。対象は世界の主要企業3000社以上。テーマは「事業の成長を決める本当の要因は何か」という話であった。選ばれた要素は4つ、戦略、実行力、リーダー、そして市場だった。この検討の結果は驚くべきものであった。「事業成長の7割以上が単一のファクター、市場によって説明できる」という ものだったのだ。つまりどれほど優れた戦略があろうと、どれほど偉大なリーダーがいようと、そしてどれほど素晴らしい実行力があろうと、市場を間違えるとどうしようもないということだ。時代に逆行したことをすればどんな偉大 な企業も沈んでしまうのだ。逆に言えば、時代の潮流に乗ったことをやればほぼ確実に成長できる。 安宅和人. シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) (Kindle の位置No.1267-1274).

  • 「狭き門より、入れ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこ から入っていくものが多い。命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見出すものは少ない」(マタイ による 福音書 章( 4))こんな話 だ。つまり、難しい試験(難関)を通れというような話ではなく、人が群がっ て流れていくような方向へは行くな、必ずしも人が気づいていないような自分 の道に進め、という教えだ。異人化の教えは実は2000年前から存在してい たのだ。これは実に真実を突いている。人生設計、就職、仕事探しにおいて、とりわけ正しい。人が群がるところに行くということは、コモディティへの道、部品化への道を歩むということだ。人がすでに歩いた道を行くのだから、 当然、先行者利益などない。その人の価値は「何者であるか」ではなく、「どの組織に属しているか」でほとんど判断されることになる。 少なくとも他人 の判断に流されるのを避け、自分の目で見て肌で感じた判断を信じ、逆を張る べきだ。 独自性、つまり同列の競争での優秀さではなく質的な違いこそが価値 になる時代において、交換可能な部品になると実に厳しい道を歩むことになる からだ。人生でもビジネスでも直接的な競争はできるだけ避けるのが正しい。実質的な無競争空間を生み出せるかどうかが、幸せへのカギだ。競争から解き放たれたとき、人も事業も自由になれる。そもそも同じ軸で勝負している段階で「 異人」ではないことは明らかだ。それは単なる同じ軸上のズレに過ぎない からだ。他の人の判断軸に乗らない、ねじれの位置にあるような軸に飛び移るべきだ。業界を問わず、とにかくみんなが目指すものを追っかけるのはやめたほうがいい。1つの軸で極めてレアな存在になることは厳しくても、2つ、3つの異なる軸で熱狂的に取り組めば、それぞれの軸でトップ 30分の1(約 3%)ぐらいの人にはなれるだろう。900分の1、2万7000 1のレアさにはなれるということだ。安宅和人. シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) (Kindle の位置No.1961-1965). 株式会社ニューズピックス. Kindle .

  • 知覚を広げる「経験」には、日常生活や仕事、学習などで新しいものを見聞きする「知的経験」、人との付き合いや関係、文脈特有のアナロジー などから学ぶ「人的経験」、それらの知的、人的な経験の深さの上で、多面的、重層的にものを見て、関係性を整理する「思索」の3つがある。安宅和人. シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) (Kindle の位置No.2254-2257). 株式会社ニューズピックス. Kindle

一個人の人生に落とし込んだ際に、この本の論点は以下に尽きるのではないかと思いました。
  • 「オールドエコノミーゲームに参加しつづけるのか」、「ニューエコノミーゲームにどこかのタイミングで移動できるように準備するのか。(ここに社会制度が絡んでくるから、当然置かれている立場によって意思決定は変わってくる)

なんでこんなことを思ったかというと、資源配分が戦略における最大の論点であり、非現実的なOperation modelを個人の力で回そうとしている場が適切かどうかは一度検討するべきだと。


つまり、パフォーマンスの次段階に入るために前線を突破するというやり方ではなく、成長に必要な資源をそれぞれの事業ユニ ツトに与えること、あるいは成長が見込める ユニットに資源を重点配分することである。日標の未達や進捗の遅れ、努力不足などをあげつらつて社員の尻を叩くのではない。あなたに必要なのは 、 事業ユニットにさらなる人材 、資本 、資源を与えるためのスケールアップか 、勝算のない事業から引き揚げるスケールダウンのどちらかなのである。

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