2022年9月10日土曜日

ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11 バイロン・シャープ

 

ブランディングの科学の書評でも書きます。本書の知識はP&Gやユニリーバ、コカ・コーラ、ペプシ、マース、コルゲートなどの消費財企業などの寄付金と内部データを基にマーケティングの法則を導いた書籍です。社内でもグローバルで6冊に該当する公式指定推薦図書に入っています。

なお、Ehrenberg-Bass institute for Marketing Scienceという機関が世界の名だたる企業からスポンサーを受けて色々マーケティングの神話についてFactベースで解析している機関です。https://www.marketingscience.info/

本書を読むと、マーケティング活動は非常にシンプルなPrincipleに支えられていることがよくわかります。実際のマーケットデータ(インテージなりニールセンなり)を見れる人は是非チェックしてみると腑に落ちる感覚を得られるのではないでしょうか。逆に、難しいのは結果を提示しており、その結果に至るまでの方法論は書かれていません。ただ、世間の経験則から導き出しているマーケティング本とは情報の質が別格です。

  1. ブランドの成長と維持には顧客の獲得が極めて重要である。
  2. 全てのブランドはダブルジョパティの法則に従う。すなわち、マーケットシェアが大きいブランドは顧客離反率が低い。(=ロイヤリティが高い)
  3. ライトユーザーを獲得することが顧客基盤を拡大させることにつながり、顧客基盤を拡大させることがマーケットシェアの慎重に重要である。
  4. パレートの法則は存在するが、80:20ではなく、40:20などカテゴリーによって数値が変わる。(私が知っているデータだと83%はライトユーザーであり、17%がロイヤルユーザー。ロイヤルユーザーのうち、購買量が全体の40%を占める。)
  5. ブランディングを構築するために、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを蓄積していく必要がある。
  6. 認知度が大事、広く知られることがブランドイメージの低下に繋がることはない。
  7. ブランディングには、差別化が大事なのではなく、独自性が大事である。
    • ユニークか?
    • 広く認知されているか?

ブランディングの科学

詳細はぜひ買ってみてほしいのですが、抜粋だけでも骨太の内容です。

消費者の購買行動とブランドの競合状態を何十年間も調査して次のような驚くべき結論に至った。1.マーケットシェアは認知度が上がることで、つまり、いかなるタイプの購買客であれ、その数が増えることで成長する。その多くがブランドをたまにしか買わないライトユーザーである。2.ブランドは、多少の差別化のポイントはあっても、その多くがまるで類似製品のように競合し合っている。しかし認知度には(従ってマーケットシェアも)差が生じている。3.ブランドが競合し合い成長すると、市場を基盤とする大きな2つの資産が根付くことになる。フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の高まり)とメンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)だ。多くの場合、消費者が購入しやすいブランドほどマーケットシェアは大きくなる。そして革新と差別化がうまく機能すると市場に資産が形成される。それは先行製品を競合製品が模倣した後も永続する。従って、マーケターは自分の担当する製品が目立つようにブランディングを改善し、ライトバイヤーに広く効率よく継続的にリーチする必要がある。また、担当するブランド独自の資産(ブランドカラー、ロゴ、トーン、書体など)を知り、これらを守らなければならない。さらに、消費者の購買行動を知り、消費者がいつブランドのことを考え、いつブランドに気づき、どのように自分の生活に取り入れているのかを学ばなければならない。そしてメディアと流通をこれらの事実に即して上手に使わなければならない。バイロン・シャープ. ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.189-202). Kindle 版. 


差別化の重要性について考えるとき、最初に疑問を投げかけるべき点は、競合ブランド間のロイヤルティに大差はない、ということだ(第2章)。ロイヤルティはたしかに存在する。しかしそれはブランドの差別化によって生まれるのではなく、消費者の行動特性の1つに過ぎない。これはすべてのブランドがロイヤルティの恩恵を受けられるはずであることを意味する。しかし、ブランド自体に差異が存在するのであれば、なぜブランド間のロイヤルティに大差はないのか?なぜニッチなブランドは、少数とはいえ極めて高いロイヤルティを持つ顧客層を維持し、陳腐化しないのか?次に、ブランド自体が大きく差別化されているとすれば、そのブランドは、その差別化のポイントに価値を感じるもっと多くの消費者の心をつかんでもいいはずだ。しかし第5章で考察したとおり、どのブランドのユーザープロファイルにも大差はなく、同カテゴリー内で競合するブランドはどれも同じ消費者を相手にしているのが現状だ(Kennedy&Ehrenberg,2000;Kennedy&Ehrenberg,2001)。価格や品質が他と大きく異なるブランドはそのユーザープロファイルも特殊だ。高価なブランドほど裕福な人が買う傾向にある。しかし競合関係にあるブランドのユーザープロファイルは類似している。たとえばヴェルサーチの顧客はグッチの顧客に、ナイキの顧客はアディダスの顧客に似ている。差別化の理論から、非常に多くのサブマーケット(想像以上に多くのまたは少数の顧客をブランド間で共有している)が存在していることが示唆される。差別化が高度になるほどブランドが他ブランドと共有する顧客は少なくなる。逆に、他ブランドとポジショニングが類似しているブランドほど多くの顧客を共有している。しかし、広く浸透している購買重複の法則が、ブランドがマーケットシェアの相対的割合に従ってお互いの顧客を共有し合うこと、市場の細分化はそれほど大きくないことを示している(第6章を参照)。もしブランドの差別化の程度に違いがあれば、価格弾力性にも相違があってもいいはずだ。差別化の進んだブランドを好む顧客は価格に対してそれほど敏感ではないからだ。しかし価格弾力性は価格の変動の影響を受けて変化するようだ(第10章を参照)。この事実からも同じカテゴリー内のブランドの差別化のレベルは同程度であることがわかる。最後に、経験に基づいた強力な数学的指標であるNBD(負の二項分布)ディリクレモデル(Goodhardt,Ehrenberg&Chatfield,1984)を考慮しなければならない。このモデルから、消費者は多様化しているにもかかわらず、ブランドは差別化が進まないまま競合していることが容易に推測される。バイロン・シャープ. ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2060-2084). Kindle 版. 

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