2017年7月23日日曜日

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」 安宅和人



いやー改めてこの書籍の良さを実感しました。





イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」


個人的なポイントは、定量分析において以下の3点に着眼するとうまくいくケースが多いとのこと。
  • 比較:洞察を盛り込んだ条件とは何かを考える(=軸の整理)
  • 構成:何を全体として考え、何を抽出した議論かの意味合いを考える
  • 変化:原因と結果の双方でどのような比較(=軸の整理)が必要なのか

逆説的ですが、仕事の生産性を爆上げする方法は、小手先のPCスキルやタスク処理能力を上げることではなく、「筋のいい仮説を導き、検証できるかどうか」、にかかっているんだと思います。ということで、地味だが、地道にアナリシススキルの向上を目指していきます。


2017年7月17日月曜日

秘録華人財閥―日本を踏み台にした巨龍たち 西原哲也


読了。香港の財閥を綴った書籍。




秘録華人財閥―日本を踏み台にした巨龍たち


長江実業グループの成り立ちは興味深い。プラスチック工場から生花で一発当て、そっから不動産で伸ばすことでコングロマリット企業になる。企業規模が大きくなった段階でメディアも抑えるという堅実ぶり。誘拐されて身代金を支払ったりと、いろんな人生ドラマを乗り越えてきた話や息子ビクターとの逸話は涙腺にくるものがあった。

それにしても、華人のガッツは生命力を感じるなぁ。俺の最初の上司も中国の大陸から全額奨学金を得てシンガポールに渡った、中華系シンガポリアンだったけど、執念と気迫があった。仕事できなくて、夜中に電話かかってきたの覚えてるわ。

そう思うと、まだぬるま湯に浸かってますな。

がんばっていこ。

2017年7月8日土曜日

確率思考の戦略論 森岡毅/今西世貴



2017年上半期の中でよかったのは、確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力。マーケティングに携わる人のバイブル本と称される一冊なんでしょう。




「ビジネスの要素を因数分解してモデルを組む」のが基本的な考え方。ただ、その考え方に統計学と数学を駆使して厳密なモデルにしていく過程が丁寧に説明されています。「市場構造からKey Business Driverを見つけ出し、その変数をどう動かして、最適化するか」といった数学的な思考でビジネスの意思決定をするプロセスが明らかにされています。

例えば、基本的な考え方のおさらい。

  • 年間購入者の全世帯に対する割合=認知率×配下率×過去購入率×エポーク・セット率×年間購入率
  • 売上=総世帯×一年間に買う人×平均購入回数×平均購入金額
  • トライアル率=ある係数×(テスト製品の必ず購入%/今までの新製品の必ず購入の平均)×(計画の配下率/今までの新製品の配下率の平均)×√計画前のmarket cost
  • 市場構造=F(浸透率,購入回数,カテゴリーに対する消費者preference{brand equity, price, product performance})


他には、そもそも購買行動とは、数学の確率と同様に考えてモデリングする方法など。
1.       消費者一人一人が独自に購買決定している
2.       購入行動はランダムに発生する
3.       それぞれのカテゴリーに対して、ほぼ一定のプリファレンスを持っている
4.       プリファレンスの高いものは、より高頻度で販売される(M分布)
と想定すると、デシュリーNBD modelによって求めることができる。



売上を規定する7要素


Control
1
2
3
Awareness rate
認知ドライバー(TVCM/Web Ad)
広告量
店頭活動
Distribution rate
Preference
店頭状況
取引条件
Past purchase rate
(延べTrial)
Preference
カテゴリー購入回数
Distribution
一年間に購入する率
×
カテゴリー購入回数
Preference
Distribution
エポークト・セットに入る率
Preference
ポートフォリオ内の銘柄数
Distribution
年間購入回数
×
カテゴリー購入回数
Preference
Distribution
平均購入金額
サイズ選択肢・値段
サイズの好み
サイズ別配荷率

こういう知識なしにBusiness analysisとかやってもレベルの低いImplicationしか出てこないわけですね。。。


Hooked: How to Build Habit-Forming Products

This book was written almost 10 years ago. Yet it still prevailed his concepts well implemented into a lot of successful products. Based on ...